金曜日の夜21:30時。ようやく仕事が終わり、ビール片手に「さあ送信だ!」と意気込むも、ソフトがエラーを吐き続けて送信できない。
原因はシステムダウンではありません。「お役所の開庁時間」以外は、インターネット回線ごと遮断される仕様だからです。

行政書士の小野馨です。
ここまで本当にお疲れ様でした。署名済みの定款PDF、それがあなたの会社の「魂」です。
あとはこれを法務省に投げ込むだけ…なのですが、この最終関門「申請用総合ソフト」が、実は一番のクセモノです。
Amazonや楽天市場なら、24時間365日いつでも注文できますよね?
しかし、法務省のシステムは違います。
ココがダメ
「役人が働いている時間」しか動きません。
この事実を知らずに、週末や夜中に必死に格闘し、時間をドブに捨てる人が後を絶ちません。
この記事では、そんな理不尽な仕様を回避し、最短ルートで送信を完了させる手順を解説します。
▼ この記事のポイント ▼
- ✅ このシステムは「平日8:30〜17:15」しか稼働していない
- ✅ 定款PDFへの署名とは別に、「申請書」への電子署名が必要
- ✅ 送信後は「到達通知」を確認するまでPCの前を離れてはいけない
【警告】「21:00」がデッドライン。1分でも過ぎたらアウト
操作を覚える前に、まずこのシステムの「閉店時間」を頭に叩き込んでください。
⏰ 稼働時間(オンライン申請受付時間)
システム稼働:平日 8:30 〜 21:00
❌ 21:00以降:強制切断(送信不可)
❌ 土日・祝日:終日停止
会社員の方が自力で申請する場合、勝負は「帰宅後〜21:00」の数時間しかありません。
「21時までやってるなら余裕でしょ」と思いましたか?
甘いです。
このシステムは、21:00になった瞬間にサーバーが遮断されます。「送信ボタンを押している途中」でもエラーで弾かれます。
注意ポイント
つまり、ソフトの起動、PDFの添付、電子署名の付与、これら全ての操作を21:00より前に完結させなければ、その日の作業は水の泡となり、翌朝まで持ち越し(=会社を休む等の対応)が確定します。
※参考:法務省 登記・供託オンライン申請システム「利用時間・運転状況」
ココがポイント
会社員の方の「唯一の勝ち筋」はこれです。
「定時ダッシュで帰宅し、何が何でも21:00までに送信ボタンを押す」
そうすれば、翌朝9時には公証人の手元にデータが届いています。
翌日、仕事の合間に公証役場へ電話確認すればOKです。
STEP 1:申請用総合ソフトで「申請書」を作る
時間が確保できたら、ソフトを立ち上げます。
ここでの目的は、法務局へ送るための「封筒(申請書情報)」を作り、そこに「手紙(定款PDF)」を入れることです。
[画像指示: 申請用総合ソフトの画面。「申請書の作成を行う」ボタンをクリックし、検索窓で「公証」と入力している図解 (推奨ファイル名: shinsei-soft-create-application.jpg, alt: 申請用総合ソフト 申請書作成)]💡 3秒でわかるまとめ
- 手続名は「嘱託(しょくたく)」で検索する。
- 添付ファイルとして、署名済みの定款PDFを登録する。
【入力】「電磁的記録の認証嘱託」を選ぶ
1. ソフトを起動し、「申請書の作成を行う」ボタンをクリックします。
2. 検索キーワードに「公証」または「嘱託」と入力して検索します。
3. 出てきたリストから「電磁的記録の認証の嘱託【署名用電子証明書】」を選びます。
入力フォームが開くので、以下の必須項目を埋めていきます。
- 件名:「株式会社〇〇 定款認証嘱託」などでOK。
- 公証人:予約した公証人の名前をフルネームで(※漢字間違い厳禁)。
- 嘱託人:あなたの氏名と住所(印鑑証明書通りに)。
【添付】ここで「署名済みPDF」をアップロードする
基本情報の入力が終わったら、画面内にある「ファイルの添付」ボタンを押します。
ここで、前回作成した「署名済みの定款PDF(絶対に編集していないもの)」を選択してアップロードします。
※ここで間違えて「署名前のWord」や「ただのPDF」を添付してしまうミスが多いので注意してください。
【⚠️ 重要:送信するPDFの画質について】
添付する印鑑証明書などをスキャンする際、スマホのカメラ撮影などはNGになりやすいです。「300dpi」などの推奨設定を守らないと、法務局から補正(やり直し)の連絡が来てしまいます。
一発で審査を通すための「スキャン設定の正解」と、スキャナがない場合の対処法は以下で詳しく解説しています。
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STEP 2:電子署名の付与(※ここでもう一度署名が必要?)
「よし、PDFは添付した。送信ボタンを押そう!」
…と思っても、送信ボタンはグレー色(無効)のままで押せません。
なぜなら、「申請書そのもの」への署名がまだだからです。

💡 3秒でわかるまとめ
- PDFへの署名とは別に、このソフト上でも署名が必要。
- 「ICカードで署名」を選び、再びパスワードを入力する。
【混乱】PDFへの署名とは別に、「申請書への署名」が必要
これは「封筒に封をする作業」だと思ってください。
中身(定款PDF)には署名しましたが、それを入れる外側のデータ(申請書)にも、「私が送ります」という証明が必要です。
【操作】マイナンバーカードで2回目のパスワード入力
- 作成した申請書を選択状態(青色反転)にします。
- 上部メニューの「電子署名」ボタンをクリックします。
- 「ICカードで署名」を選びます。
- 再びマイナンバーカードのパスワード(英数6桁以上)を入力します。
これでようやく、送信ボタンが活性化し、押せる状態になります。
STEP 3:送信実行と「到達(とうたつ)」の確認
送信ボタンが活性化したら、いよいよ法務省のサーバーへデータを送り込みます。
ただし、まだ油断しないでください。
「送信しました」と表示されても、向こうに届いていなければ意味がありません。
[画像指示: 「申請データ送信」ボタンをクリックし、一覧画面の処理状況が「到達」に変わっている画面 (推奨ファイル名: status-change-to-arrived.jpg, alt: 申請用総合ソフト 到達通知)]💡 3秒でわかるまとめ
- 送信ボタンを押し、再度ログイン情報を入力する。
- 処理状況が「到達」になるまで更新ボタンを押す。
【判定】「到達通知」が来ればひとまず安心
1. 「申請データ送信」ボタンをクリックします。
2. 通信が始まり、一覧画面に戻ります。
3. 画面上の「更新」ボタンを何度か押してください。
4. 「処理状況」の欄が、「未送信」→「送信中」→**「到達」**に変われば成功です。
【その後】公証役場へ「今、送りました!」と電話する
ここがシステムマニュアルには載っていない「実務の鉄則」です。
データが「到達」しても、公証役場のPCでポップアップ通知が出るわけではありません。公証人が画面を更新しないと気づかないこともあります。
そのため、送信が完了したらすぐに公証役場へ電話し、「〇〇時に予約している〇〇です。今、電子定款を送信しましたので、確認をお願いします」と伝えてください。
これで初めて、向こうでの処理がスタートします。
よくあるエラー「補正(ほせい)」と言われたら?
もし公証人から電話で、「ここ間違ってるから直して」と言われた場合。これを専門用語で「補正」と言います。
⚠️ 補正は地獄の作業
申請用総合ソフト上でデータを修正することも可能ですが、初心者がやると泥沼化します。
もし定款の中身(PDF)自体にミスがあった場合、以下の手順を「全て」やり直す必要があります。
- Wordを修正する
- 再度PDFに変換する
- 再度マイナンバーカードで電子署名する
- ソフト上で「取り下げ」処理をするか、再送信する
つまり、最初から全部やり直しです。
こうならないために、STEP 1で解説した「事前のメール確認」が重要なのです。
【結論】平日に休めない会社員は、このソフトを使ってはいけない
ここまで読んで、薄々気づいている方もいると思います。
「これ、会社員がやるの無理じゃない?」
その通りです。冒頭でお伝えした通り、このシステムは「平日の8:30〜17:15」しか動きません。
もしあなたが会社員で、平日の日中はオフィスにいるとしたら、いつ作業しますか?
有給休暇を取りますか? 昼休みの1時間で、お弁当も食べずにエラーと格闘しますか?
印紙代4万円を浮かすために、あなたの日給(有給)を1日分捨てるのは、経営者として正しいコスト感覚でしょうか?
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