電子定款・手続き

【保存版】定款認証の必要書類|当日の持ち物リスト・CD-Rなどを完全公開

予約は完璧でも、当日の持ち物が1つ足りないだけで、手続きは即刻中止となります。

「実印を間違えた」「印鑑証明が期限切れだった」…そんな初歩的なミスで、開業日を延期したくないですよね。

行政書士 小野馨
こんにちは!

行政書士の小野馨です。これまで5000社以上の設立をサポートしてきましたが、実は最も多いトラブルの原因は「難解な法律論」ではなく、単純な**「忘れ物」**です。

「書類なんて、言われた通りに持っていけばいいだけでしょ?」

そう思っていても、いざ当日になると「あれ、発起人の個人の実印だっけ?会社の実印だっけ?」「身分証はコピーじゃダメなの?」と、急に不安になるものです。公証役場は、コンビニのように「忘れたから買ってくる」が通用しない場所。たった1枚の書類不足が、そのまま**「出直し(予約の取り直し)」を意味します。

そこで本記事では、定款認証当日に必要な書類と持ち物を、プロの視点で完全リスト化しました。家を出る直前の「最終チェックリスト」**として、この記事を活用してください。

▼ この記事のポイント ▼

  • ✅ 基本は「定款・印鑑証明・実印・身分証・現金」の5点
  • ✅ 印鑑証明書は「認証日」時点で3ヶ月以内のものに限る
  • ✅ 電子定款なら「空のCD-R」などの保存メディアが必須
  • ✅ 「実質的支配者リスト」など新しい必須書類にも注意

※なお、定款認証の全体的な流れやタイムスケジュールを確認したい方は、

『定款認証の流れを5ステップで完全解説(親記事)』

を併せてご覧ください。

【完全リスト】定款認証当日の「必須持ち物」5点セット

まずは、これだけは絶対に忘れてはいけない「基本の装備」を確認します。登山で言えば「水と地図」レベルの必須アイテムです。

[画像指示: テーブルの上に並べられた定款、実印、印鑑証明書、身分証、現金 (推奨ファイル名: checklist-essential-documents.jpg, alt: 定款認証の必要書類リスト)]

💡 3秒でわかるまとめ

  • 発起人本人が行く場合と、代理人が行く場合で持ち物が変わる。
  • 現金は必ず「お札」で用意しておくこと。

【必要書類】これが基本の5点セット(定款・印鑑証明・実印・身分証・現金)

発起人(出資者)本人が公証役場に行く場合、以下の5つが必ず必要になります。

1. 定款(紙の場合3通 / 電子の場合データ)

紙定款の場合は、公証人保存用、会社保存用、登記用の3通が必要です(印紙貼り付け済み)。電子定款の場合は、事前に送信したデータが役場に届いているので、手ぶらでOK…ではありません(後述のCD-R等が必要)。

2. 発起人の印鑑証明書(発行3ヶ月以内)

個人の実印の証明書です。発起人が複数いる場合は**「全員分」が必要です。

3. 発起人の実印(個人のもの)

定款に押印したものと同じハンコです。当日の訂正や、書類への署名捺印に使用します。会社の実印(代表印)ではないので注意してください。

4. 身分証明書

運転免許証、マイナンバーカードなど、顔写真付きの公的証明書を持参します。

5. 現金(手数料+謄本代)

約3万〜5万円の手数料と、謄本代(約2,000円)です。クレジットカードは原則使えません。

これらに加え、最近は後述する「実質的支配者となるべき者の申告書」**も必須となりました。カバンに入れる前に、一つずつ指差し確認をしてください。

【電子定款の場合】空のCD-RやUSBメモリは必要か?

電子定款の場合、紙の定款(冊子)を持っていく必要はありませんが、代わりに**「データの受け皿」が必要です。

公証役場で認証された定款データは、その場で交付されるわけではなく、法務省のシステム上に保存されます。しかし、銀行や法務局への提出用に、データそのものを持ち帰る必要があります。そのために持参するのが「空のメディア」**です。

・CD-R(推奨)

最も一般的です。新品未開封のものを用意しましょう。ウイルス混入リスクがないため、公証役場でも好まれます。

・USBメモリ

役場によってはウイルス対策のため「使用不可」の場所もあります。事前に電話予約の際に確認してください。

最近は、公証役場側でCD-Rを用意してくれて、実費(100円程度)で購入できるケースも増えています。「メディアを忘れました!」となっても即アウトではありませんが、無駄な出費を避けるためにも、100円ショップや家電量販店でCD-Rを買っていくのが無難です。

【印鑑証明書】「発行3ヶ月以内」の有効期限ルールを徹底解説

書類の中で最もトラブルになりやすいのが、**「印鑑証明書の有効期限」**です。「家にあった去年のやつでいいか」は通用しません。

[画像指示: 印鑑証明書の日付部分を指差して確認している様子 (推奨ファイル名: seal-certificate-validity.jpg, alt: 印鑑証明書 有効期限)]

💡 3秒でわかるまとめ

  • 「認証日」の時点で3ヶ月以内でなければならない。
  • 設立登記(法務局)でも再度使うので、新しいものがベスト。

【期限】「3ヶ月以内」とはいつの時点か?(認証日基準)

定款認証に使用する印鑑証明書は、**「発行から3ヶ月以内」のものでなければなりません。

重要なのは、「いつの時点で3ヶ月以内か」です。答えは「定款認証を受ける当日(公証役場に行く日)」です。

例えば、4月1日に公証役場へ行く場合、1月1日以降に発行された印鑑証明書でなければなりません。「12月31日発行」のものは、たった1日過ぎているだけでも無効として弾かれます。公証人はこの日付を厳格にチェックします。

また、この印鑑証明書は、その後の法務局への「設立登記申請」でも使用します。登記申請の際も同様に「3ヶ月ルール」が適用されるため、定款認証の時点でギリギリの期限のものを使うと、「登記申請の時には期限切れになっている」**という悲劇が起きます。できるだけ直近に取得した新しいものを用意するのが鉄則です。

【誰の分?】発起人全員分が必要。取締役の分は?

定款認証に必要なのは、あくまで**「発起人(出資者)」**全員の印鑑証明書です。

よくある勘違いが、「取締役の分も必要ですか?」という質問です。

発起人 兼 取締役の場合:当然必要です。

出資はしないが、取締役になる人(雇われ社長など)の場合:定款認証の段階では不要です(※後の登記申請時には必要になります)。

つまり、定款の末尾に署名・捺印した人(=発起人)全員の分を集める必要があります。共同創業などで発起人が複数いる場合は、誰か一人が取り忘れると全員が待たされることになるため、リーダーが責任を持って回収管理をしてください。

【実質的支配者リスト】新制度で必須になった「第6の書類」

2018年(平成30年)11月から、暴力団対策やマネーロンダリング防止のために、**「実質的支配者となるべき者の申告書」**という書類の提出が義務化されました。

[画像指示: 実質的支配者リストの書類イメージとチェックマーク (推奨ファイル名: beneficial-owner-list.jpg, alt: 実質的支配者となるべき者の申告書)]

💡 3秒でわかるまとめ

  • 暴力団員ではないことを表明する書類。
  • 一人社長なら書き方は簡単だが、提出は必須。

【概要】なぜこの書類が必要なのか(マネロン対策)

この書類は、簡単に言えば**「この会社の真の支配者(オーナー)は誰ですか? その人は反社会的勢力ではないですか?」ということを公証人に申告するものです。

「自分一人で作る会社だから関係ない」と思ってはいけません。たとえ一人社長であっても、「私が実質的支配者であり、暴力団員等には該当しません」**という申告書を必ず提出しなければなりません。これがないと、定款認証は一切受け付けてもらえません。

【準備】書式はどこにある?

この申告書のフォーマットは、日本公証人連合会のホームページからダウンロードできます。また、公証役場によっては、事前の案文確認の際に「これに記入して当日持ってきてください」とメールで送ってくれることもあります。

記載内容は、住所・氏名・生年月日・暴力団該当の有無などです。一人社長であれば非常にシンプルですが、株主構成が複雑な場合や、法人が発起人になる場合は、誰を「実質的支配者」として書くかの判定が難しくなります。

書き方で迷うポイントについては、以下の記事で**「記入例付き」**で詳しく解説しています。テンプレートのダウンロード先も案内していますので、作成時に活用してください。

▼ 詳しくはこちら(一人社長はどこにチェック?)

>>【記入例あり】定款認証の「実質的支配者リスト」書き方ガイド!一人社長はどこにチェック?

【身分証明書】顔写真なしだとNG?公証役場で使えるID一覧

印鑑証明書とは別に、窓口に行く人(発起人または代理人)の「身分証明書」も必要です。「実印があるからいいじゃないか」と思いがちですが、昨今の犯罪収益移転防止法の厳格化により、窓口での本人確認は非常に厳しくなっています。

[画像指示: 運転免許証とマイナンバーカード、健康保険証の比較イラスト (推奨ファイル名: id-verification-documents.jpg, alt: 定款認証の身分証明書)]

💡 3秒でわかるまとめ

  • 顔写真付きの公的証明書(免許証・マイナカード)が最強。
  • 健康保険証などの「顔写真なし」は、追加書類が必要になる場合も。

【本人確認】免許証・マイナンバーカードが最強。保険証は?

公証役場で提示する身分証明書として、最もスムーズなのは以下の**「顔写真付き公的証明書」**です。

運転免許証(運転経歴証明書も可)

マイナンバーカード

パスポート

在留カード(外国人の場合)

これらを持っていれば、受付での確認は一瞬で終わります。

問題は「顔写真付きの証明書がない場合」です。健康保険証などの「顔写真なし」の証明書でも手続きは可能ですが、公証人によっては「実印と印鑑証明書に加えて、保険証+住民票も出してください」といった追加の疎明資料を求められるケースがあります(※役場ごとの運用や、本人の属性によります)。

「保険証しかない」という方は、予約の電話の際に必ず「身分証は保険証で足りますか?」と確認してください。当日窓口で「これでは確認できません」と言われるリスクをゼロにしましょう。

【代理人】妻や友人に頼む場合の「代理人の身分証」

発起人本人が行けず、代理人(妻、親、知人など)にお願いする場合、持参すべき身分証は**「窓口に来る代理人のもの」**です。

発起人本人の免許証を預かっていく必要はありません(発起人の本人確認は、印鑑証明書と委任状の実印で行うため)。

代理人が持参すべきセット:

1. 代理人の身分証明書(免許証など)

2. 代理人の認印(できれば実印)

3. 発起人からの委任状(発起人の実印押印・印鑑証明書付き)

代理人にお願いする場合は、単に書類を渡すだけでなく、「あなた自身の免許証も忘れないでね」と念押しすることを忘れないでください。

【最終チェック】家を出る前の「忘れ物防止」ToDoリスト

最後に、玄関を出る前にチェックすべきリストを作成しました。スマホの画面を見ながら、カバンの中身を確認してください。

[画像指示: 玄関でカバンの中身を確認している一人称視点の画像 (推奨ファイル名: final-check-before-leaving.jpg, alt: 公証役場へ行く前の最終確認)]

💡 3秒でわかるまとめ

  • 委任状の「捨印」は押したか?
  • 財布の中身(現金)は足りているか?

【委任状】代理人申請なら「捨印」があるか再確認

もしあなたが代理人として行く、あるいは代理人に行ってもらう場合、委任状の欄外に**「捨印(すていん)」が押されているかを必ず確認してください。

記事の後半でも触れましたが、現場での誤字訂正ができるのは「本人の実印」だけです。代理人の認印では訂正できません。しかし、委任状に本人の実印で「捨印」が押してあれば、代理人がその場で訂正することが可能になります。

「完璧に書いたから大丈夫」と思っていても、公証人から「ここの『丁目』の表記、ハイフンに統一してください」といった細かい指示が入ることがあります。捨印は「転ばぬ先の杖」**です。必ず押しておきましょう。

▼ 詳しくはこちら(代理人に頼む際の完全マニュアル)

>>【コピペOK】定款認証の「委任状」書き方完全ガイド!代理人(妻・知人)に頼む時の注意点

【現金】手数料分の現金は財布に入っているか?

意外と盲点なのが、物理的な「現金」です。

・公証人手数料(3万〜5万円)

・定款謄本代(約2,000円〜)

これらを支払うために、少し多めに**「6万円」**ほど財布に入っているか確認してください。また、謄本代の細かい支払いに備えて、千円札を数枚混ぜておくと受付でスムーズです。

👨‍⚖️

行政書士 小野馨の「ここだけの話」

「忘れ物をしたらどうなるか?」

最悪の場合、予約取り直しで1週間遅れます。しかし、もしその場に公証人がいて、なおかつ取りに戻れる距離(車で片道15分など)なら、「午後イチでまた来てください」と温情をかけてくれることもあります。

諦めずに正直に事情を話すこと。そして何より、そんな綱渡りをしなくて済むよう、このリストで完璧に準備をしておくことが、社長としての最初の仕事です。

準備さえ完璧なら、認証は「ただの通過点」

定款認証は、会社設立手続きの中でも特に「形式」が重視される場面です。クリエイティブな発想は必要ありません。必要なのは**「決められたものを、決められた通りに揃える」**という実務能力だけです。

このリストにある物がカバンに入っていれば、もう恐れることはありません。堂々と公証役場のドアを開け、あなたの会社の誕生を確定させてきてください。

🚀 今日から始める「3つの行動」

  • 印鑑証明書の日付が「認証日時点で3ヶ月以内」か確認する
  • 実質的支配者リストを作成し、持参書類に加える
  • 書類作成や準備に不安があるなら、プロに「お気軽に」チェックを依頼する

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⚠️ 免責事項と画像について

本記事内で使用している画像は、すべて生成AIによって作成されたイメージです。

記事の内容は執筆時点の法令・情報に基づいています。法改正や自治体の条例により最新の要件と異なる場合がありますので、実務の実行にあたっては、必ずご自身で管轄の行政庁または専門家へ確認を行ってください。

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