「電子定款だから、全部データで完結するはず」その思い込みが、最後の最後で足を止めます。
スマホで撮影した画像PDFは危険です。法務局で「読み取れない」と突き返されないための、正しいスキャン設定があります。

行政書士として20年、5000社以上の「定款」を見てきた小野馨です。
今回は、電子定款作成の隠れた落とし穴「印鑑証明書のスキャン問題」について、図解レベルで徹底解説します。
電子定款の作成が進み、いざ電子署名!という段階で、多くの起業家がハタと手を止めます。
「あれ? 発起人の印鑑証明書はどうするんだ? 紙でもらったけど、これをどうやってPDFの中に?」
そうです。
注意ポイント
電子定款自体はPDFデータですが、そこに署名する人物(あなた)の実在性を証明する「印鑑証明書」は、役所から紙で発行されます。
これをデータ化して合体させる必要があるのです。
ここで横着をして、スマホのカメラでパシャッと撮った画像を添付すると、後日法務局から「補正(修正)」の連絡が入り、設立日がズレる原因になります。
そこで本記事では、一発で審査を通すための「黄金のスキャン設定(解像度・モード)」と、自宅にスキャナがない場合の「コンビニ活用術」、そしてどうしても無理な場合の逃げ道までを網羅しました。
▼ この記事のポイント ▼
- ✅ 電子定款でも「紙の印鑑証明書」のスキャン取込は必須
- ✅ スマホ撮影は「歪み・影」が出るため推奨されない
- ✅ 設定の正解は「300dpi・グレースケール」
- ✅ スキャナがない場合は「コンビニコピー機」で30円で解決
※もし、スキャンの前に「マイナンバーカードの読み取り自体ができない!」というトラブルに直面している場合は、以下の記事を先にご覧ください。
🔗 署名できない原因はこれ!マイナンバーカードの有効期限とロック解除ガイド
電子定款なのに「スキャナ」が必要?添付書類(印鑑証明書)の役割
「全てデジタルで完結する」というのが電子定款の売り文句ですが、現時点の実務では、どうしても「アナログな紙」が1枚だけ介入します。
それが発起人の印鑑証明書です。
なぜPDFの中にわざわざ画像を埋め込む必要があるのか、そしてなぜ「スマホ写真」ではダメなのか。
ここを理解していないと、何度もスキャンし直す羽目になります。
[画像指示: 電子定款(PDF)のデータ構造イメージ。
【必須】定款には「発起人の印鑑証明書」の合綴(添付)が必要
電子定款における印鑑証明書の添付とは、あなたが「実在する人物」であり、「本人の意思で電子署名を行った」ことを証明するための法的要件です。
紙の定款を作るときは、製本した冊子の裏表紙に、実際の印鑑証明書をホッチキスで留めますよね。
電子定款でも考え方は全く同じです。
PDFデータである定款本体に対して、印鑑証明書のPDFデータを「合綴(がってつ)」、つまりデジタル上でホッチキス留めする必要があるのです。
ポイント
具体的には、取得から3ヶ月以内の印鑑証明書(紙)を用意し、それをスキャナで読み取ってPDF化します。
このPDFファイルを、定款本体のPDFファイルと結合するか、あるいは申請用総合ソフト上で添付ファイルとして指定します。
公証人は、あなたの電子署名(マイナンバーカード)と、この添付された印鑑証明書画像を見比べて、「間違いなく本人が作成した」と認定するわけです。
つまり、この画像が不鮮明だと、本人確認ができず、認証が下りないのです。
💡 3秒でわかるまとめ
- デジタルの定款にも「本人確認書類」の添付が必要
- 紙の印鑑証明書をPDF化してセットにする
【警告】「スマホで撮影」した画像PDFは補正対象になりやすい
スマホのスキャンアプリやカメラ撮影で作成したPDFは、照明による「影」、レンズによる「歪み」、あるいは「解像度不足」により、法務局や公証役場でNG判定(補正)を受けるリスクが非常に高いです。
最近のスマホカメラは高性能ですが、公文書のデータ化には不向きです。
机の上に置いた紙を上から撮影すると、どうしても自分の手やスマホの影が落ちます。
また、紙が少しでも波打っていると文字が歪みます。
注意ポイント
さらに、スキャンアプリによっては勝手に画像を圧縮してしまい、拡大すると文字が潰れて読めないケースも多発しています。
公証役場の担当者とのリアルな会話を紹介しましょう。
私:「先生、このデータ、少し暗いですが読めますか?」
公証人:「うーん、小野さん。これ拡大すると『住所』の番地が潰れてるね。これじゃ証明にならないよ。フラットベッドのスキャナで撮り直してもらえる?」
私:「…承知しました(やはりスマホでは限界か…)」
このように、微妙な画質の悪さが原因で手続きがストップします。
急いでいる時こそ、スマホの簡易撮影ではなく、スキャナでの確実なデータ化を選ぶべきです。
💡 3秒でわかるまとめ
- 「影」や「歪み」があると公証人が判読できない
- 補正になると数日のロスが発生する
補正を回避する「黄金のスキャン設定(300dpi)」とは
では、具体的にどのような設定でスキャンすれば良いのでしょうか。
法務省の推奨規定や、実務上の「安全圏」の設定値を提示します。
これさえ守れば、画質を理由に突き返されることはまずありません。

【設定】解像度は「300dpi」・色は「グレースケール」が鉄則
電子定款添付用のPDF作成において、最もトラブルが少なく推奨される設定は『解像度300dpi』かつ『グレースケール(白黒)』です。
家庭用プリンターやスキャナの設定画面を開くと、様々な数値が出てきて迷うと思います。以下の設定に合わせてください。
- 解像度(DPI): 300dpi※200dpiだと粗く、400dpi以上だとファイルサイズが巨大になりすぎて送信エラーの原因になります。300が最適解です。
- カラーモード: グレースケール(または白黒)※カラーである必要はありません。印鑑の朱肉の色(赤)を再現する必要はなく、文字と印影がくっきり写っていればOKです。カラーでスキャンすると裏写りしたり、容量が増えたりするだけです。
- ファイル形式: PDF※JPEGやPNGなどの画像形式ではなく、必ずPDF形式で保存してください。
この「300dpi・グレースケール・PDF」という呪文を唱えながら設定すれば、間違いありません。
A4サイズ1枚で、容量は数百KB程度に収まるはずです。
💡 3秒でわかるまとめ
- 「300dpi」が最も文字が見やすく容量も軽い
- カラーにする必要はない(グレースケール推奨)
【代用】スキャナがないなら「コンビニ」のマルチコピー機を使え
自宅にスキャナがない、あるいは複合機の設定がよく分からない場合は、迷わず近所のコンビニへ行き『スキャン機能』を使ってください。
セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート等のマルチコピー機には、非常に高性能なスキャナが搭載されています。
これを使えば、歪みも影もない、プロ級の美しいPDFデータが作れます。費用は1枚30円程度です。
手順は以下の通りです。
- USBメモリを持参してコンビニへ行く(※最近はスマホ保存対応の機種もありますが、USB保存が最も確実でトラブルが少ないです)。
- マルチコピー機のメニューから「スキャン」を選択。
- 設定画面で「300dpi」「PDF」「白黒」を選択。
- 印鑑証明書をガラス面にセットしてスキャン実行。
- データをUSBメモリに保存して持ち帰る。
たったこれだけです。
数万円のスキャナを買う必要も、スマホアプリで照明を調整して四苦八苦する必要もありません。
「30円」で完璧なデータが手に入るのですから、機材がない方はこの方法一択で進めてください。
💡 3秒でわかるまとめ
- コンビニコピー機のスキャン性能は非常に高い
- USBメモリを持参するのが最もスムーズ
申請用総合ソフト・Adobe Acrobatでの結合・署名ルール
「スキャンはできた。で、この画像をどうすればいいの?」ここで多くの方が迷います。
定款本体のPDFファイルの中にこの画像を埋め込むべきか、それとも別々のファイルとして扱うのか。
ここを間違えると、システム上でエラーが出たり、公証人から「ファイルが壊れています」と連絡が来たりします。
[画像指示: パソコン画面のイメージ。デスクトップ上に「定款.pdf(電子署名付き)」と「印鑑証明書.pdf」の2つのファイルが並んでいる様子 (推奨ファイル名: separate-pdf-files-structure.jpg, alt: 定款と印鑑証明書PDFのファイル構成)]【手順】定款本体と添付書類は「別ファイル」が基本
原則として、電子定款のオンライン申請においては、定款本体(署名用)と印鑑証明書(添付用)は『別々のPDFファイル』として用意し、申請時にセットで送信します。
「紙の定款」のように、物理的にホッチキスで留めるわけではありません。
デジタル上では以下のような構成になります。
- ファイルA:定款本体.pdf(※あなたが作成したWordをPDF化したもの。これに電子署名を付与します)
- ファイルB:発起人の印鑑証明書.pdf(※今回スキャンして作成したもの。これには署名は不要です)
この2つを無理やり結合(Merge)する必要はありません。
むしろ、結合してしまうとファイルサイズが肥大化したり、署名検証時にエラーが出る原因になります。
法務省の「申請用総合ソフト」や「登記・供託オンライン申請システム」では、メインの申請書(または定款)に、添付ファイルとして印鑑証明書PDFを追加する欄があります。
そこにドラッグ&ドロップすればOKです。「混ぜるな危険」と覚えておいてください。
💡 3秒でわかるまとめ
- 定款PDFと印鑑証明書PDFは合体させない
- システム上で「添付ファイル」として登録する
行政書士 小野馨の「ここだけの話」
ここ、実は公証役場によって運用が微妙に違うことがあります。「事前にメールで送ってくれればいいよ」という親切な公証人もいれば、「システム経由で正式に添付して」という方もいます。ただ、どちらにせよ「きれいなスキャンデータ(PDF)」が手元にあれば対応できます。まずは別ファイルとして持っておくのが正解です。
【注意】署名プラグイン(SignedPDF)を使うタイミング
電子署名(SignedPDFなど)を行うのは『定款本体のPDF』だけであり、スキャンした『印鑑証明書のPDF』には署名してはいけません。
よくあるミスが、すべてのPDFファイルに自分のマイナンバーカードで署名をしてしまうケースです。
印鑑証明書は、あくまで「市区町村長が発行した公文書の写し」です。
そこにあなたが電子署名を上書きするのはおかしな話です。
正しい手順は以下の通りです。
- 定款(Word)をPDFに変換する。
- 定款PDFのみに、Adobe Acrobatと署名プラグインを使って電子署名を付与する。
- 印鑑証明書はスキャンしたまま(署名なし)で保存しておく。
- 申請ソフト上で、署名済み定款と、無署名の印鑑証明書をアップロードする。
「署名するのは、自分が作った文書だけ」。
この原則を守れば、エラーコードに悩まされることはありません。
💡 3秒でわかるまとめ
- 電子署名は「定款PDF」だけに行う
- 印鑑証明書PDFには署名しない
どうしてもPDF化できない時の「紙定款」への切り替え方
- 「スキャナの設定がうまくいかない」
- 「PDF変換ソフトが動かない」
- 「そもそもパソコン操作が苦痛だ」…
もしあなたが今、この段階で数時間以上足踏みしているなら、勇気ある撤退をお勧めします。
目的は「PDFを作ること」ではなく「会社を作ること」だからです。
[画像指示: 紙の定款を製本している手元のイラスト。製本テープを貼り、実印で契印(割印)を押している様子 (推奨ファイル名: paper-articles-binding-hanko.jpg, alt: 紙定款の製本と契印)]【印刷】スキャンを諦めて「紙で製本」する手順(袋とじ)
「紙定款」への切り替えとは、デジタルデータを諦め、定款を紙に印刷して製本テープで綴じ、実印を押して公証役場へ持ち込む方法です。
この場合、スキャナもICカードリーダーもAdobe Acrobatも一切不要になります。
必要なのは「プリンター(またはコンビニ印刷)」と「ホッチキス」「製本テープ」「実印」「印鑑証明書(原本)」だけです。
具体的な手順は以下の通りです。
- 定款(Word)をA4用紙に印刷する(同じものを3通)。
- 左側を2箇所ホッチキスで留める。
- 背表紙に製本テープを貼る(袋とじ)。
- 製本テープと紙の境目、および各ページの綴じ目に実印で「契印(割印)」を押す。
- 4万円の収入印紙を貼る(※ここが最大のデメリットです)。
このアナログ作業を行えば、確実に認証を受けられます。システムの不具合と格闘して設立日が遅れるリスクを考えれば、印紙代4万円は「確実性を買った」と考えることもできます。
💡 3秒でわかるまとめ
- デジタル機器が全滅でも「紙」なら作れる
- ただし印紙代4万円のコストがかかる
【決断】機材トラブルが続くなら「専門家」へスライド依頼
「機材トラブルは嫌だが、4万円の印紙代も払いたくない」という場合、最適解は行政書士への「電子定款作成代行」の依頼です。
これが最も合理的です。
なぜなら、行政書士に依頼すれば、以下のメリットを同時に享受できるからです。
- スキャン不要: あなたは印鑑証明書の「原本」を行政書士に郵送するだけ。
- 署名不要: 行政書士の電子証明書を使うため、マイナンバーカードのトラブルと無縁。
- 印紙代0円: プロが電子定款を作るため、4万円はかかりません。
報酬(1〜3万円程度)を支払っても、印紙代4万円が浮くため、トータルコストは「自分で紙で作るより安い」のです。
「スキャナの設定で半日潰す」という見えないコストを考えれば、ここでプロにバトンタッチするのが、経営者として最も賢いリソース配分と言えるでしょう。
💡 3秒でわかるまとめ
- スキャンや署名の作業を全て丸投げできる
- 印紙代0円なので、コスト的にも合理的
あなたが得られる未来
この記事の知識があれば、あなたは「たかが添付書類」の不備で法務局から呼び出しを受けるリスクをゼロにできます。
起業準備は、華やかな事業計画だけでなく、こうした地味な事務作業の積み重ねです。
しかし、ここで躓いて自信を失う必要はありません。
ポイント
正しいdpi設定を知り、コンビニを活用し、どうしてもダメならプロに頼る。この「選択肢を持っている」という事実こそが、あなたの精神的な余裕(Safety Base)になります。
スキャナの蓋を開け、印鑑証明書をセットする。
そのひと手間が、あなたの会社の信用をデジタルデータに変える第一歩です。
さあ、深呼吸して、きれいなデータを一件作り上げましょう。
その先には、無事に認証された定款と、新しい会社の誕生が待っています。
🚀 今日から始める「3つの行動」
- コンビニまたは自宅スキャナで「300dpi・白黒」設定を確認する
- PDF化した印鑑証明書をPCに保存し、拡大して文字潰れがないか見る
- 機材設定が面倒なら専門家に「お気軽に」相談してみる
自分一人で悩んで、時間を無駄にしていませんか?
実務経験20年のプロが、あなたの「最適解」を即座に回答します。
※お電話でもお気軽にどうぞ。
※この記事を見たとお伝え頂ければスムーズです。
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記事の内容は執筆時点の法令・情報に基づいています。法改正や自治体の条例により最新の要件と異なる場合がありますので、実務の実行にあたっては、必ずご自身で管轄の行政庁または専門家へ確認を行ってください。
会社設立や電子定款認証のスペシャリスト!開業17年・年間実績500件以上。実は、電子定款の制度ができた10年以上前から電子定款認証の業務を行なっているパイオニアです!他との違いは、まず定款の完成度!内容はモデル定款のモデルと言われ全国数百箇所の公証人の目が入っている優れもの!そして電子署名はまるでサインのようなかっこいい電子署名です!その電子定款であなたの大切な会社設立を真心込めて応援します!