ネットの雛形を適当に使い、公証役場で「これでは認証できません」と突き返されるケースが後を絶ちません。
株式会社の設立は「認証手数料5.2万円」+「印紙代4万円」が重くのしかかります。これを合法的に「4万円」安くする方法を知っていますか?

行政書士歴20年、5000社以上の設立を見届けてきた小野馨です。
今回は、会社設立手続きにおける最難関、【株式会社の定款作成】について、プロの実務ノウハウを完全公開します。
株式会社を作る際、多くの起業家が最初にぶつかる壁が「定款(ていかん)」です。
注意ポイント
合同会社とは異なり、株式会社の定款は条文が複雑であるだけでなく、「公証人の認証」を受けなければ紙切れ同然という厳しいルールがあります。
「難しそうだから」と、何も考えずにネット上のテンプレートを丸写しするのは危険です。
定款は会社の憲法であり、将来の「増資」「株主トラブル」「相続」の運命を決める設計図だからです。
設立後に修正しようとすると、株主総会の開催や登記費用(3万円〜)がかかり、大きな損失を生みます。
そこで本記事では、現役の行政書士が使用している「守りの定款条文」の書き方から、一字一句間違えてはいけない絶対的記載事項、そして4万円の印紙代を節約する電子定款の仕組みまでを徹底解説します。
実務で使えるWord雛形も用意しましたので、これを武器に「強い会社」を作ってください。
▼ この記事のポイント ▼
- ✅ 株式会社の定款には「公証人の認証」が必須。
- ✅ 「絶対的記載事項」を一文字でも間違えると無効になる。
- ✅ 株式の「譲渡制限」をつけ忘れると会社が乗っ取られる。
- ✅ 紙定款は損。電子定款なら印紙代4万円が0円になる。
※なお、定款の作成について全体的に知りたい方は、
をブックマークして、起業バイブルとしてお使いください。
株式会社の定款とは? 設立の成否を握る「憲法」の役割
定款(ていかん)とは、会社の「商号(名前)」「目的(事業内容)」「本店所在地」「機関設計(役員構成)」などの基本ルールを定めた、いわば「会社の憲法」です。
株式会社を設立するには、この定款を作成し、公証人の認証を受け、法務局で登記するという一連のプロセスをクリアしなければなりません。
まずは全体像と、株式会社ならではのハードルについて理解しましょう。
[画像指示: 株式会社設立の定款作成から認証、登記までのフローチャート。特に「公証役場での認証」が関門であることを強調した図 (推奨ファイル名: kk-articles-process-flow.jpg, alt: 株式会社定款の認証フロー)]行政書士 小野馨の「ここだけの話」
株式会社の定款作成で最も心が折れるのが「公証役場とのやり取り」です。
条文のてにをは、法令との整合性、誤字脱字…。
プロである私たち行政書士でも、公証人から「ここ直してください」と指摘されることがあります。
素人判断で作った定款がいきなり通ることは稀です。だからこそ、正しい「雛形」と「事前確認」が命綱になるのです。
【全体像】作成・事前確認・認証・登記の5ステップ
株式会社の定款が法的効力を持つまでの流れとは、「作成」から「登記」までの一連の法的手続きを指します。
多くの起業家は「Wordで定款を作れば終わり」と考えていますが、それはスタートラインに過ぎません。
株式会社の設立手続きにおいて、定款は以下の5つのステップを経て初めて「有効」となります。
- 定款案(ドラフト)の作成:発起人で話し合い、Word等で原案を作ります。ここで絶対的記載事項などを網羅します。
- 公証役場での事前確認:【最重要】作成した案をFAXやメールで管轄の公証役場に送り、公証人の事前チェック(添削)を受けます。これなしで当日行っても受け付けてもらえません。
- 定款認証(本番):予約した日時に公証役場へ出向き(またはテレビ電話)、認証を受けます。電子定款の場合はこの時点で電子署名が必要です。
- 資本金の払込み:定款の「認証日」以降に、発起人の個人口座に出資金を入金します。(※認証日より前の入金は無効になるリスクがあります)
- 設立登記申請:認証済み定款と払込証明書をセットにして法務局へ提出し、会社が誕生します。
この中で最も脱落者が多いのが「2. 事前確認」と「3. 認証」です。公証役場は役所ですので、平日の日中しか開いていません。
また、公証人によって条文の解釈や好みが微妙に異なるため、ネットの雛形そのままだと「この表現は修正してください」と赤ペンを入れられることが日常茶飯事です。
この修正の往復で1〜2週間かかることも珍しくないため、設立予定日から逆算して余裕を持って動くことが必須です。
【認証義務】なぜ株式会社だけ「公証人」のチェックが必要なのか?
定款認証とは、「この定款は正当な手続きで作成され、法令違反もありません」ということを、公的機関(公証人)が証明する手続きのことです。
合同会社は認証不要なのに、なぜ株式会社だけ、わざわざ約52,000円も払って認証を受けなければならないのでしょうか?
それは、株式会社が「広く資金を集める(株式を発行する)」という、社会的な影響力が大きい法人形態だからです。
ポイント
出資者(株主)と経営者(取締役)が分離しているため、最初の定款(ルールブック)が適法に作られているか、第三者である「公証人(元裁判官や検察官などの法律のプロ)」が厳格にチェックする必要があるのです。
この認証手続きは、どこの公証役場でも良いわけではなく、公証役場には管轄ルールがあります。
また、当日の持ち物(実印、印鑑証明書、身分証、空のCD-Rなど)を忘れると認証を受けられません。
公証役場での具体的な手順や予約方法、テレビ電話認証のリアルな実情については、以下の記事で「現場レベル」の解説をしています。必ず目を通しておいてください。
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【Word雛形】株式会社定款の書き方マニュアル|絶対的記載事項から条文例・認証まで行政書士が全解説
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【費用】紙だと4万円損する「収入印紙」と認証手数料のリアル
株式会社の定款作成にかかる法定費用とは、**「誰がやっても必ずかかる実費」**のことです。
株式会社を作るには、登録免許税(15万円)以外に、定款関連だけで以下の費用が発生します。
- 認証手数料:約30,000円〜50,000円(資本金の額による変動制)
- 定款の謄本交付手数料:約2,000円(枚数による)
- 収入印紙代:40,000円(※紙で作成した場合のみ)
合計で約7〜9万円の出費です。
しかし、ここで注目すべきは「収入印紙代 40,000円」です。これは、定款を「紙」で印刷して提出した場合にかかる税金(印紙税)ですが、PDFなどの電子データ(電子定款)で作成すれば、文書扱いされないため課税対象外となり0円になります。
「それなら電子定款一択だ!」その通りです。
今の時代、紙で定款を作って4万円払うのは「情弱(情報弱者)」と言われても仕方ありません。
しかし、自分で電子定款を作成・署名するには、マイナンバーカードやICカードリーダー、Adobe Acrobat(有料版)などの専用ソフトが必要です。
これらを揃える手間とコストを考えると、自分でやるのが本当に得策かどうかは計算が必要です。
これについては記事の後半「H2-6」で詳しく損益分岐点を解説しますが、まずは「電子定款なら4万円浮く」という事実だけを覚えておいてください。
💡 3秒でわかるまとめ
- 株式会社の定款は、公証人の「認証」がないとただの紙切れ。
- いきなり行くのはNG。必ずメール等で「事前確認」を受ける。
- 紙で作ると4万円損する。電子定款で0円にするのが現代の常識。
一字一句が命取り!定款の「絶対的記載事項」の完全実務解説
定款には、会社法第27条によって定められた「絶対に書かなければならない5つの項目」が存在します。
これを「絶対的記載事項」と呼びます。
これらが一つでも欠けていたり、記載内容が法令に違反していたりすると、公証人は絶対に認証してくれません。
つまり、定款自体が無効となり、会社設立はそこでストップします。
「とりあえずネットの雛形を埋めればいいだろう」と思っていませんか?
実は、ここにも多くの罠が潜んでいます。行政書士の視点で、特に注意すべきポイントを解説します。
[画像指示: 株式会社定款の絶対的記載事項5つ(目的、商号、本店所在地、設立に際して出資される財産の価額、発起人の氏名住所)をチェックリスト化した図 (推奨ファイル名: kk-absolute-matters-checklist.jpg, alt: 株式会社定款の絶対的記載事項リスト)]【目的・商号】将来を見据えたネーミングと事業範囲
目的と商号とは、それぞれ**「会社が行うビジネス」と「会社の名前」**のことです。定款の冒頭(第1条・第2条)に記載します。
商号には「株式会社」という文字を入れる義務があり、使用できる文字(漢字、ローマ字など)や符号のルールがあります。また、目的には「明確性」が求められ、特に許認可事業(建設、運送、介護など)を行う場合は、その許認可要件を満たす正しい文言で記載する必要があります。ここを間違えると、定款認証後に修正(=認証のやり直し、追加費用)が必要になる最悪のケースも想定されます。
失敗しないための具体的なルールや、使えない文字のリストについては、以下の記事で詳細に解説しています。カニバリゼーション(重複)を避けるため、詳細はこちらをご覧ください。
[内部リンク誘導: 商号・会社名の決め方(使えない文字とリスク)の記事へ]
[内部リンク誘導: 事業目的の書き方(許認可対応・雛形あり)の記事へ]
【本店所在地】定款変更コストを削減する「最小行政区画」
本店所在地とは、会社の法的な住所です。ここでの鉄則は、定款には具体的な番地まで書かず、「最小行政区画(市区町村)」までを記載することです。
例えば、実際の本店が「東京都千代田区丸の内一丁目〇番〇号」であっても、定款には「当会社は、本店を東京都千代田区に置く」とだけ記載します。こうすることで、将来千代田区内でオフィス移転をした際に、定款変更の手続き(株主総会決議+登録免許税3万円)を回避できるからです。具体的な書き方や、自宅を本店にする場合のリスクについては、以下の記事を参照してください。
[内部リンク誘導: 本店所在地の決め方(自宅・レンタルオフィスのリスク)の記事へ]
【設立に際して出資される財産の価額】資本金と「払込証明」の整合性
「設立に際して出資される財産の価額」とは、要するに**「会社設立時に、発起人全員で合計いくらのお金(資本金)を出すのか」**を確定させる記述です。
実務では、以下の2通りの書き方があります。
- 確定額を書く場合(推奨):「当会社の設立に際して出資される財産の価額は、金100万円とする。」
- 下限額を書く場合:「当会社の設立に際して出資される財産の価額は、金100万円以上とする。」
どちらでも有効ですが、発起人間で調整中などの事情がない限り、「1. 確定額」を書くのが一般的で、登記手続きもスムーズです。
【行政書士・小野の警告:1円のズレも許されない】
ここで最も重要なのは、「定款に書いた金額」と「実際に口座に振り込まれる金額」の完全一致です。 株式会社の設立登記では、「払込証明書」として発起人の通帳のコピーを提出します。もし、定款に「100万円」と書いたのに、通帳には「99万9120円(手数料が引かれた額)」しか入っていなかったり、逆に「101万円」入っていたりすると、法務局で登記が通りません。 「資本金=会社の信用力」ですが、見栄を張って用意できない金額を書いてはいけません。確実に用意できる現金を記載し、認証日以降にその全額を入金してください。
また、現物出資(PCや車など)を行う場合は、定款にその旨(誰が、何を、いくらで出すか)を記載する必要があります。株式会社の場合、現物出資額が500万円を超えると裁判所の検査役の調査が必要になるなどハードルが高いため、少額の現物出資に留めるのが賢明です。
【発起人の氏名・住所】印鑑証明書との「完全一致」ルール
発起人(ほっきにん)とは、会社の出資者であり、設立手続きの責任者です。定款の末尾(附則の最後)に、発起人全員の「氏名」と「住所」を記載し、実印を押印(または電子署名)します。
ここは事務的ですが、最もミス(補正)が多い地雷原です。 ルールは単純。**「印鑑証明書の記載通りに、一字一句そのまま写す」**こと。これだけです。
- × 自分の常識:「1-2-3」「1丁目2番3号」
- 〇 印鑑証明書:「1丁目2番3号」(全角・漢数字)
公証人は、提出された印鑑証明書と定款の末尾を並べて、指差し確認します。「丁目」か「ー(ハイフン)」か、「ケ」か「ヶ」か、「大字」があるかないか。これらが不一致だと、その場で訂正を求められます。電子定款の場合、訂正印が押せないので、データの作り直しと再送信が必要になり、非常に面倒です。 「住所なんて郵便が届けばいいだろう」という感覚は捨ててください。登記の世界では、印鑑証明書こそが正義です。
【最重要】会社の支配権を盤石にする「株式」の設計戦略
ここからが株式会社の真骨頂です。絶対的記載事項ではありませんが、定款の機能を決定づける**「株式」**に関する条文設計です。 ここを適当(雛形通り)に決めると、会社が成長した時に「増資ができない」「乗っ取りに遭う」「株券印刷コストがかかる」といった実害が発生します。行政書士として推奨する「守りの設計」を伝授します。
[画像指示: 株式の譲渡制限(鍵のかかった扉)と発行可能株式総数(将来の拡張枠)のイメージ図。守りと攻めを表現したイラスト (推奨ファイル名: kk-stock-strategy-design.jpg, alt: 株式会社の株式設計戦略)]行政書士 小野馨の「ここだけの話」
「将来上場したい」という夢を持つのは素晴らしいですが、設立当初から「公開会社」の定款を作るのは自殺行為です。最初はガチガチに守りを固めた「非公開会社(譲渡制限会社)」としてスタートし、上場準備に入った段階で定款を変更するのが王道です。最初から緩い定款にすると、見知らぬ第三者に株を買い集められ、経営権を奪われるリスクがあります。
【発行可能株式総数】「10倍ルール」で将来の増資枠を確保せよ
発行可能株式総数(授権枠)とは、**「会社が将来、定款変更なしで発行できる株式の上限数」**のことです。
例えば、設立時に「100株」発行してスタートするとします。 この時、発行可能株式総数を「100株」にしてしまうと、どうなるでしょうか? 将来、「事業拡大のために投資家から資金調達したい(増資したい)」と思っても、発行枠がいっぱいなので、まず株主総会を開いて定款変更を行い、枠を広げる登記(登録免許税3万円)をしなければなりません。これでは機動的な資金調達ができません。
そこで、設立時の定款には、設立時発行株数の**「10倍〜100倍」**程度の枠を設定しておくのがセオリーです。 【推奨設定例】
設立時発行株式数:100株
発行可能株式総数:10,000株
このように余裕を持たせておけば、将来9,900株までは、取締役会(または株主総会)の決議だけでスムーズに増資が可能になります。「非公開会社」であれば、この枠に上限はありません(公開会社は発行済の4倍まで)。最初は大き風呂敷を広げておくのが、成長企業の定款戦略です。
【株式の譲渡制限】乗っ取りを防ぐ「守りの要」と相続人に対する売渡請求
これが中小企業の定款における最重要防衛ラインです。 必ず、以下の趣旨の条文を入れてください。
「当会社の株式を譲渡により取得するには、当会社の承認を要する。」
この規定がある会社を**「非公開会社(譲渡制限会社)」**と呼びます。 この規定がないと(=公開会社)、株主は自分の株を、あなたの知らない第三者(ライバル企業や反社会的勢力など)に自由に売却できてしまいます。ある日突然、見知らぬ人が「俺は大株主だ」と経営に乗り込んでくる…。そんなドラマのような乗っ取り劇を防ぐのが、この譲渡制限です。
【応用:相続人に対する売渡請求】 さらに一歩進んだ「守り」として、**「相続人に対する株式売渡請求」**の規定も定款に入れておくことを強く推奨します。 これは、株主が亡くなった際、その株を相続した遺族に対して「会社に株を売ってください」と強制的に請求できる権利です。これがないと、株が相続によって分散し、経営に関心のない(あるいは敵対的な)遺族が株主として残り続け、経営の意思決定が阻害されるリスクがあります。事業承継を見据えた「転ばぬ先の杖」です。
【株券不発行】これを書かないと「紙の株券」を印刷する義務が生じる?
株券不発行の定めとは、「当会社は、株券を発行しない」と宣言する条文です。
「えっ、今の時代、紙の株券なんてないでしょ?」と思った方、正解です。 2006年の会社法改正により、原則として株券は不発行(電子管理)となりました。 しかし、定款の書き方には注意が必要です。もし古い雛形を使って「株券を発行する」という規定を残してしまうと、株主から請求があった場合に、実際に紙の株券を印刷・交付する義務が生じます。これには印刷コストや印紙税がかかる上、紛失・盗難のリスクも発生します。
現在の実務では、定款に**「当会社の株式については、株券を発行しない」**と明記するのが標準です(※法律上は書かなくても不発行になりますが、明確化のために書くのが通例です)。 これにより、株式の管理は「株主名簿」のみで行われ、物理的な紙のリスクから解放されます。IPO(上場)を目指す場合も、株券不発行が前提となりますので、最初からこの条文を入れておきましょう。
💡 3秒でわかるまとめ
- 絶対的記載事項は「印鑑証明書」と完全一致させる。
- 発行可能株式数は、設立時の「10倍以上」にしておく。
- 「譲渡制限」をつけないと、会社が乗っ取られるリスクがある。
【機関設計】取締役会・監査役は必要か?「ひとり社長」の最適解
機関設計(きかんせっけい)とは、株主総会以外に「どんな役職を置き、どうやって会社を動かすか」という統治システムの設計図です。 かつての商法では「取締役3名+監査役1名」が必須でしたが、現在の会社法では**「取締役1名のみ」**というシンプルな構成が可能になりました。 「とりあえず取締役会設置会社にしておこう」という安易な選択は、役員不足による解散リスクや、無駄な登記コストを招きます。自社のフェーズに合わせた最適な設計を選んでください。
[画像指示: 取締役会設置会社(役員3名以上)と、取締役1名のみの会社の構造比較図。意思決定スピードの違いを表現したイラスト (推奨ファイル名: kk-governance-structure.jpg, alt: 株式会社の機関設計比較)]【機関構成】取締役1名 vs 取締役会設置会社
機関構成とは、「誰が経営の意思決定をするか」というパワーバランスの設計です。
スモールビジネスやスタートアップの場合、最初は**「取締役会を設置しない(取締役1名のみ、または複数名)」**形が圧倒的に有利です。 理由は「スピード」と「コスト」です。 取締役会を設置すると、最低3人の取締役と1人の監査役が必要になり、役員報酬の負担が増えます。また、重要な決定のたびに招集通知を出し、議事録を作成し、登記する手間が発生します。 一方、取締役会を置かなければ、社長(取締役)の一存でスピーディーに決定でき、役員も自分一人で済みます。将来、上場を目指す段階や、外部資本を入れてガバナンスを強化したい段階で「取締役会設置会社」へ変更すれば十分です。
このあたりの詳しい比較や、監査役を置くメリット・デメリットについては、以下の専門記事で深掘りしています。
[内部リンク誘導: 機関設計の選び方(取締役会・任期・監査役の要否)の記事へ]
【任期】「2年」か「10年」か? 重任登記コストと解任リスクの天秤
役員の任期とは、「一度選ばれた役員が、いつまでその地位にいられるか」という期間です。
原則は「2年(監査役は4年)」です。しかし、全ての株式に譲渡制限をつけている会社(非公開会社)は、定款で定めることにより、任期を**「最長10年」**まで伸長できます。
【メリット:コスト削減】 役員の任期が切れると、同じ人が再任する場合でも「重任登記」が必要で、登録免許税1万円(資本金1億円以下)がかかります。
任期2年だと:10年間で5回登記=5万円+司法書士報酬
任期10年だと:10年間で1回登記=1万円+司法書士報酬 つまり、任期を10年にすれば、登記コストと手間を5分の1に圧縮できます。
【デメリット:解任リスク】 これが「10年の罠」です。もし、創業メンバーと仲違いし、「あいつを辞めさせたい」と思っても、任期が残っている役員を正当な理由なく解任すると、残りの任期分の役員報酬を損害賠償として請求されるリスクがあります(会社法339条2項)。 「10年」はコスト削減にはなりますが、人間関係のリスクが高い諸刃の剣です。
一人社長や家族経営:迷わず「10年」
他人と共同経営:原則通り「2年」にして、緊張感を保つ これがプロの推奨する使い分けです。
書かないと損する「相対的記載事項」と「任意的記載事項」
絶対的記載事項以外の項目でも、定款に書いておかないと「デフォルトの不便なルール」が適用されてしまう項目があります。これを**「相対的記載事項」や「任意的記載事項」**と呼びます。 これらを戦略的に書き込むことで、会社のランニングコストを下げたり、機動力を高めたりすることができます。
[画像指示: 官報公告と電子公告のコスト比較イメージ。天秤に乗せて、ランニングコストの違いを示す図 (推奨ファイル名: kk-public-notice-cost.jpg, alt: 公告方法の費用比較)]【公告方法】官報(約7万円)と電子公告(維持費)のコスパ比較
公告方法とは、「決算や合併などの重要情報を、世間にどう知らせるか」という手段のことです。
会社法では、会社は必ず公告方法を定款で定めなければなりません。選択肢は主に3つです。
官報(国が発行する新聞)に掲載する
日刊新聞紙に掲載する
電子公告(自社ウェブサイト等)に掲載する
実務上の正解は、**「1. 官報」**です。 「えっ、ネット時代の今、電子公告の方が安くて便利じゃないの?」と思われがちですが、これには罠があります。 電子公告を選ぶと、決算公告(貸借対照表の公開)を自社HPで行う義務が生じます。これ自体は0円ですが、もし減資や合併などで「債権者保護手続き」の公告が必要になった場合、電子公告だと「調査機関による調査」が義務付けられ、その調査費用に数十万円かかります。 一方、官報であれば、掲載料(決算公告で約7〜8万円)はかかりますが、調査費用は不要です。中小企業の場合、毎年決算公告を真面目に出している会社は稀(※本来は義務ですが)という実情もあり、何かあった時だけコストがかかる「官報」にしておくのが、最も維持費がかからない選択肢となります。
【推奨条文】 「当会社の公告は、官報に掲載する方法により行う。」
【事業年度】消費税免税と資金繰りを考慮した決算期の決め方
事業年度(決算期)とは、会社の成績表を締める区切りのことです。 自由に決められますが、「なんとなく3月決算」にするのはやめてください。 消費税の免税期間(最大2年)をフル活用するには、**「設立月の前月」**を決算月に設定するのが鉄則です。 また、自社の繁忙期と決算月(およびその2ヶ月後の納税時期)が重ならないように設定しないと、資金繰りがショートする原因になります。
このあたりの税務戦略については、以下の専門記事でシミュレーション付きで解説しています。
[内部リンク誘導: 事業年度(決算期)の決め方と消費税免税ルールの記事へ]
【招集通知】「1週間前」に短縮して機動力を高める条文
招集通知の短縮とは、「株主総会を開く際、いつまでに通知を出せばいいか」という期間を短くする特約です。
会社法の原則では、株主総会の招集通知は「2週間前」までに発送しなければなりません。 しかし、スピード重視の中小企業で、いちいち2週間も待っていられません。そこで、定款に以下の条文を入れます。 「株主総会の招集通知は、会日の1週間前までに発する。」 (※取締役会非設置会社の場合は、さらに短縮することも可能です)
さらに、**「株主全員の同意があるときは、招集手続を経ずに開催できる」**という会社法の規定(第300条)を活用すれば、通知なしで即日開催も可能です。 しかし、定款のベースとして「1週間」と短縮しておくことで、もし株主総会を開く必要が出た時(全員の同意が取れない時)でも、最短期間で開催できるようになります。これは会社の「機動力」を担保するための重要な一行です。
自力認証 vs 電子定款代行|コストと手間の最終決着
ここまで定款の書き方と戦略について解説してきましたが、最後に「作成手段」の話をします。 株式会社の定款作成には、**「収入印紙40,000円」という重いコストと、「公証人の認証(手数料約5万円)」**という高いハードルがセットで存在します。
これを回避するために「電子定款」がありますが、果たして素人が機材を揃えて自力で挑む価値はあるのでしょうか? 行政書士として、また経営者の先輩として断言します。株式会社設立において、定款認証だけはプロに任せた方が、金銭的にも精神的にも圧倒的に「得」です。その理由を、感情論抜きの数字で証明します。
[画像指示: 株式会社設立にかかる費用比較グラフ。紙定款(印紙あり)、自力電子定款(機材費あり)、プロ依頼(印紙なし・報酬あり)の3パターンを比較し、プロ依頼の実質負担が低いことを示す図 (推奨ファイル名: kk-incorporation-cost-comparison.jpg, alt: 株式会社設立費用シミュレーション)]【電子定款】機材を揃えて自力認証するコストパフォーマンス
まず、電子定款を「自力」で作成・認証する場合に必要なものをリストアップしてみましょう。印紙代40,000円を浮かせようとすると、以下の「見えないコスト」が発生します。
マイナンバーカード:必須
ICカードリーダライタ:約3,000円〜
Adobe Acrobat Pro(署名機能付きPDFソフト):月額約2,000円〜(または永続版数万円)
申請用総合ソフトのセットアップ:Windows環境と、複雑なプラグイン設定(数時間〜数日)
公証役場との事前調整:メールや電話での何度もわたるやり取り
テレビ電話認証の環境:スマホやPCの設定(※これがないと結局公証役場に行く必要があります)
機材やソフトをゼロから揃えると、初期投資で数千円〜数万円かかります。さらに、慣れないソフトの操作に時間を奪われ、公証人との専門的なやり取りでストレスを抱えることになります。「4万円節約するために、3万円の機材を買い、5万円分の時間を浪費した」となっては本末転倒です。 特に株式会社の場合、合同会社と違って「公証役場での認証」が必須です。電子定款を作れても、認証手続きでつまずけば、いつまで経っても会社はできません。
【結論】株式会社設立は「認証」が最大の壁。ここはプロに頼るが吉
結論を申し上げます。**「印紙代40,000円と同等の報酬でやってくれるプロがいるなら、頼まない理由はない」**です。
多くの行政書士事務所(弊所含む)では、株式会社の設立代行において、電子定款作成システムを完備しています。私たちが代理人として作成・認証を行うことで、お客様の印紙代負担はゼロになります。 その浮いた4万円を行政書士への報酬に充てれば、**「実質的な追加負担ほぼゼロ(あるいは微増)」**で、面倒な定款作成、公証人との打ち合わせ、認証手続きの全てを丸投げできることになります。
【損益シミュレーション】
A:自力で紙定款
印紙代4万円 + 認証手数料約5万円 + 労力(大) = 実費約9万円 + 苦労
B:プロに依頼(電子定款)
印紙代0円 + 認証手数料約5万円 + 報酬(4〜6万円程度) + 労力ゼロ = 総額約9〜11万円 + 安心
AとBの差額は、わずか数千円〜2万円程度です。この金額で「プロが作った完璧な定款」と「公証役場に行かなくていい(代理認証の場合)時間」が買えるのです。 特に株式会社の定款認証は、一度ミスをして公証役場で突き返されると、再予約で1週間以上遅れることもザラです。ビジネスの開始を遅らせないためにも、ここは「安心」と「スピード」を、印紙代の代わりに買うという投資判断をしてください。
あなたが得られる未来
株式会社の定款は、あなたのビジネスの「器(うつわ)」そのものです。 強固で、隙のない定款があれば、将来の増資も、M&Aも、事業承継もスムーズに進めることができます。
逆に、穴だらけの定款でスタートすれば、会社が成長した時に必ず足かせとなり、修正のために高いコストを支払うことになります。 ネット上の無料雛形は便利ですが、あくまで「素材」に過ぎません。それをあなたの会社に合わせて調理し、公的機関のお墨付き(認証)をもらうのがプロの仕事です。
設立手続きは、最初で最後の通過点です。ここをスマートにクリアし、一日も早くビジネスの本番へ飛び込んでください。私たちはその背中を全力で支えます。
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⚠️ 免責事項と画像について
本記事内で使用している画像は、すべて生成AIによって作成されたイメージです。
記事の内容は執筆時点の法令・情報に基づいています。法改正や自治体の条例により最新の要件と異なる場合がありますので、実務の実行にあたっては、必ずご自身で管轄の行政庁または専門家へ確認を行ってください。
会社設立や電子定款認証のスペシャリスト!開業17年・年間実績500件以上。実は、電子定款の制度ができた10年以上前から電子定款認証の業務を行なっているパイオニアです!他との違いは、まず定款の完成度!内容はモデル定款のモデルと言われ全国数百箇所の公証人の目が入っている優れもの!そして電子署名はまるでサインのようなかっこいい電子署名です!その電子定款であなたの大切な会社設立を真心込めて応援します!