例(A):MacBookを開いて意気揚々と法務省のサイトに行くと、「Windowsのみ対応」の文字に絶望することになります。
例(C):仮想環境を構築してまで4万円を節約しに行くか、それとも「Macのまま」スマートに解決するか。経営判断の時です。

行政書士の小野馨です。私もプライベートではMacを愛用していますが、この業務をする時だけは、渋々Windows機を引っ張り出します。
なぜなら、日本の電子定款システムは**「Macユーザーに厳しすぎる」**からです。
「今どきWindows専用なんてありえないでしょ?」
そう思いたい気持ちは痛いほど分かりますが、現実として法務省が配布している「申請用総合ソフト」はWindowsでしか動きません。さらに、IntelチップからAppleシリコン(M1/M2/M3)への移行により、かつての「Boot Camp」という逃げ道も塞がれました。
では、Macユーザーは電子定款(印紙代0円)を諦めて、紙の定款(印紙代4万円)にするしかないのでしょうか?
いいえ、まだ手はあります。本記事では、意地でもMacで電子定款をやり遂げたい方のために、**「3つの突破ルート」**を検証します。ただし、それぞれのルートには「見えないコスト」が潜んでいます。それを知った上で、進むか引くかを決断してください。
▼ この記事のポイント ▼
- ✅ 公式ソフト(.exe)はMacでは絶対に動かない
- ✅ 「Webブラウザ版」ならMacでも申請自体は可能だが…
- ✅ 「Parallels」でWindows環境を作るには約3万円かかる
- ✅ M1/M2/M3チップ特有の「ドライバ非対応」リスクあり
※なお、Windows環境をお持ちの方や、一般的な電子定款の準備については、
をご覧ください。
Macユーザー絶望?電子定款が「Windows専用」と言われる理由
まずは敵を知りましょう。なぜMacではダメなのか。その技術的な障壁は2つあります。
[画像指示: MacBookの画面に「非対応OSです」という警告が出ているイメージ (推奨ファイル名: mac-incompatible-error.jpg, alt: Mac 電子定款 できない)]💡 3秒でわかるまとめ
- 申請ソフトがWindowsのプログラム(exe)で出来ている。
- PDFにハンコを押すためのプラグインがMac非対応。
【壁】法務省「申請用総合ソフト」はexeファイルしか動かない
電子定款を公証役場へ送信するためには、法務省が無料配布している「申請用総合ソフト」というアプリケーションが必要です。
しかし、このソフトのインストーラーは「.exe」形式。つまり、Windows専用のプログラムです。Macにダウンロードしても、ファイルを開くことすらできません。公式サイトの動作環境にも、はっきりと「Windows 10 / 11」としか書かれていません。
これが第一の、そして最大の壁です。
【署名】Adobe Acrobat ProのMac版は、署名プラグインが非対応?
もう一つの壁が、PDFファイルにマイナンバーカードで電子署名をするための**「プラグイン(SignedPDF)」です。
法務省指定の「PDF署名プラグイン」は、長らくWindows版のAdobe Acrobatにしか対応していませんでした。最近になりMac版のプラグインも一部提供され始めましたが、「設定が極めて難解」か、「最新のmacOS(Sequoiaなど)で動作保証がない」**という不安定な状態が続いています。
「ソフトも動かない、署名もできない」。これがMacユーザーが直面する現実です。
突破口1:費用0円!「Webブラウザ版」での申請に挑戦する
ソフトがダメなら、Webブラウザ(ChromeやSafari)で直接申請すればいいのでは? そう考えたあなたは鋭いです。
[画像指示: Webブラウザ(Chrome)で「登記・供託オンライン申請システム」を開いている画面 (推奨ファイル名: web-browser-application-system.jpg, alt: 登記供託オンライン申請システム Web版)]💡 3秒でわかるまとめ
- 「かんたん申請(Web版)」ならMacでもアクセス可能。
- ただし、「既に署名済みのPDF」を持っていることが前提。
【可能性】ソフト不要。「登記・供託オンライン申請システム」とは
実は、専用ソフトをインストールしなくても、Webブラウザ上で手続きができる**「かんたん申請(Webブラウザ版)」**という機能があります。
これを使えば、MacのSafariやChromeからでも、申請者情報の入力や、ファイルの添付、送信を行うことができます。「やった!これで解決だ!」と喜ぶのは少し早いです。
【限界】PDF署名自体は別途必要。結局Macで署名できるかが鍵
Webブラウザ版でできるのは、あくまで**「データの送信」だけです。その前段階である「PDFへの電子署名(ハンコ押し)」**機能は付いていません。
つまり、Web申請を使うとしても、送信するPDFファイルには事前にマイナンバーカードで署名をしておく必要があります。前述の通り、Mac版のAdobe Acrobatでの署名設定は難易度が高く、ここで躓く人が後を絶ちません。
「送信はできるが、ファイルが作れない」。これがWebブラウザ版の落とし穴です。
突破口2:仮想環境(Parallels)でMacの中にWindowsを作る
「送信だけでなく、電子署名もWindows環境で行えばいいじゃないか」
その通りです。Macの中に仮想的なWindowsパソコンを作り出し、そこで全ての作業を行う方法があります。これが技術的には**「唯一の完全な解決策」**です。
[画像指示: Macのデスクトップ画面の中に、Windows 11のウィンドウが開いているイメージ (推奨ファイル名: parallels-desktop-windows-on-mac.jpg, alt: Parallels Desktop 電子定款)]💡 3秒でわかるまとめ
- 「Parallels Desktop」を使えば、Mac上でWindowsソフトが動く。
- ただし、ソフト代とOS代で約3万円のコストがかかる。
【方法】M1/M2/M3でも動く「Windows 11 ARM版」の導入
現在のMac(Appleシリコン搭載機)では、かつての「Boot Camp」は使えませんが、**「Parallels Desktop(パラレルス・デスクトップ)」**という有料ソフトを使えば、Macを起動したままWindows 11を動かすことができます。
この仮想Windows上であれば、法務省の「申請用総合ソフト」も、Adobe AcrobatのWindows版も、署名プラグインも問題なく動作します。ICカードリーダーも、USB設定でWindows側に認識させれば利用可能です(※ARM版Windows対応ドライバが必要)。
「おお、これで解決だ!」と思うのはまだ早いです。次の項目の計算機を見てください。
【コスト】Parallels代+OS代で約3万円…節約効果は消滅する
この環境を構築するには、以下の費用がかかります。
・Parallels Desktop(標準版):約10,000円〜12,000円
・Windows 11 Home ライセンス:約15,000円〜19,000円
・ICカードリーダー:約3,000円
➡ 合計:約30,000円前後
電子定款で節約できる印紙代は40,000円です。そこから環境構築費30,000円を引くと、手元に残る節約効果はたったの10,000円です。
さらに、慣れない仮想環境のセットアップやドライバ設定に休日を丸一日費やすことになります。時給換算すれば、実質的な赤字と言っても過言ではありません。「どうしてもMacでやりたい」という技術的探究心がある方以外には、あまりお勧めできないルートです。
突破口3:カフェや漫画喫茶のPCは使えるか?
「じゃあ、ネットカフェのWindowsパソコンを使えば0円では?」
そう考える方もいますが、これはセキュリティとシステム権限の問題で**「ほぼ不可能」**です。
[画像指示: ネットカフェのブースと、使用不可マーク (推奨ファイル名: internet-cafe-security-risk.jpg, alt: ネットカフェで電子定款)]💡 3秒でわかるまとめ
- ネットカフェのPCはソフトのインストールが制限されていることが多い。
- マイナンバーカードのパスワードを入力するのは危険すぎる。
【結論】セキュリティと権限の問題で「ほぼ不可能」
電子定款の作成には、多くのソフト(申請用ソフト、Adobe Acrobat、署名プラグイン、リーダードライバ)をインストールする必要があります。
多くのネットカフェや図書館のPCは、セキュリティ保護のため、利用者が勝手にソフトをインストールできないよう制限(管理者権限ロック)がかかっています。つまり、環境構築の段階で詰みます。
【リスク】マイナンバーカードのパスワード漏洩リスク
仮にインストールできたとしても、不特定多数が利用するPCに、あなたの個人の最高機密である「マイナンバーカード」を接続し、パスワード(暗証番号)を入力するのは自殺行為です。
キーロガー(入力履歴を盗むソフト)が仕掛けられていれば、あなたの個人情報は丸裸になります。会社設立のために人生を棒に振るようなリスクを犯すべきではありません。
【最終結論】Macユーザーの「損益分岐点」はどこか
ここまで3つのルートを検証してきましたが、Macユーザーであるあなたが取るべき戦略は明確です。
[画像指示: 分かれ道。「いばらの道(自力DIY)」と「高速道路(プロ依頼)」の標識 (推奨ファイル名: mac-user-strategy-decision.jpg, alt: Macユーザー 電子定款 判断基準)]💡 3秒でわかるまとめ
- すでにParallels環境があるなら「自力」もアリ。
- ゼロから構築するなら、どう計算しても「外注」が正解。
【判定】すでにParallels環境がある人以外は「外注」が正解
ケースA:すでにParallelsとWindowsが入っている人
エンジニアの方などで、すでに環境があるなら、追加コストはICカードリーダー代だけです。ぜひDIYに挑戦して、4万円の節約メリットを享受してください。
ケースB:生粋のMacユーザー(仮想環境なし)
これから3万円かけて環境を作るのはナンセンスです。印紙代4万円を払って紙でやるか、あるいはその印紙代分を行政書士への報酬に回して、電子定款代理を依頼するか。
賢明な経営者なら後者を選ぶはずです。
プロに頼めば、あなたはMacの前に座ったまま、メールでPDFを送るだけ。面倒なソフトのインストールも、ドライバのエラーも、Windowsライセンスの購入も一切不要です。
行政書士 小野馨の「ここだけの話」
「Macでも電子定款できます!」と謳う記事は多いですが、その裏にある「コスト」と「労力」を隠していることがほとんどです。
起業家にとって最も貴重な資源は「時間」です。Macとの相性が悪いシステムと格闘して数日を潰すより、その時間を事業構想に使い、手続きはWindows環境を完備しているプロに任せる。それが、Macユーザーの最もスマートな「攻略法」だと私は確信しています。
こだわりを捨て、成果を取る
Macユーザーとしてのプライドはあるでしょう。しかし、ここはビジネスの戦場です。
「Macだけで完結させること」が目的ではありません。「会社を設立し、事業をスタートさせること」が目的のはずです。手段に固執せず、最短ルートを選んでください。
🚀 今日から始める「3つの行動」
- 自分のMacにWindows環境(Parallels等)があるか確認する
- ない場合、3万円かけて構築する価値があるか自問する
- 環境構築が「無駄だ」と感じたら、Mac対応のプロに相談する
Macユーザーのあなた、まだWindowsを買おうとしていますか?
その予算があれば、プロに丸投げして「お釣り」が来ます。
※お電話でもお気軽にどうぞ。
※この記事を見たとお伝え頂ければスムーズです。
⚠️ 免責事項と画像について
本記事内で使用している画像は、すべて生成AIによって作成されたイメージです。
記事の内容は執筆時点の法令・情報に基づいています。法改正や自治体の条例により最新の要件と異なる場合がありますので、実務の実行にあたっては、必ずご自身で管轄の行政庁または専門家へ確認を行ってください。
会社設立や電子定款認証のスペシャリスト!開業17年・年間実績500件以上。実は、電子定款の制度ができた10年以上前から電子定款認証の業務を行なっているパイオニアです!他との違いは、まず定款の完成度!内容はモデル定款のモデルと言われ全国数百箇所の公証人の目が入っている優れもの!そして電子署名はまるでサインのようなかっこいい電子署名です!その電子定款であなたの大切な会社設立を真心込めて応援します!