電子定款・手続き

【図解】マイナンバーカードで電子定款に署名!Acrobat Readerと「法務省プラグイン」設定・送信の完全手順

【結論】Acrobat Readerでの電子署名手順とは?

マイナンバーカードを使った電子定款の作成には、無料の「Adobe Acrobat Reader」と、法務省指定の「PDF署名プラグイン」の連携が必須です。

標準の署名ツールではなく、プラグイン経由で「公的個人認証サービス」に基づく署名を行うことで、初めて法的効力が発生します。

本記事ではインストールから送信までを完全図解します。

行政書士 小野馨
こんにちは!

電子定款実績5000件 行政書士の小野馨です。

今回は【図解:Acrobat Readerと法務省プラグインの完全設定マニュアル】についてお話します。

「ICカードリーダーも買った。マイナンバーカードも準備万端。さあ、あとはPDFにハンコを押すだけ!」

そう意気込んでPDFを開いたものの、

「あれ? どこをクリックすれば署名できるの?」

「Adobeの署名ツールを使ったら『検証できません』って出た…」

と、最後の最後で迷子になる方が続出しています。

実は、電子定款への署名は、Acrobat Readerの標準機能(鉛筆マークやスタンプ)を使ってはいけません。

注意ポイント

法務省が配布している「専用のプラグイン」をインストールし、ソフト内で正しい「連携設定」を行わないと、公証役場で「署名なし(無効)」として門前払いを食らってしまいます。

この記事では、実際のパソコン画面の図解と共に、プラグインのインストールから、自分の印鑑画像を使った署名、そして送信までの手順を「一本道」でガイドします。

この通りにマウスを動かせば、誰でも確実に法的効力のある電子定款が完成します。

【警告】自己流で適当に署名ボタンを押すのは危険です。間違った形式で署名すると、データが壊れたり、定款認証が通らず「やり直し(再署名・再申請)」の手間が発生します。必ず「法務省公認」の手順を守ってください。

この記事でわかる4つのポイント

  • ✅ 無料版Acrobat ReaderでOK! 法務省プラグインの導入手順
  • ✅ 「署名が無効」と表示されても焦らないための検証知識
  • ✅ 自分の印鑑画像を背景透過でキレイに押す裏ワザ
  • ✅ 発起人が複数の場合に「上書き署名(連署)」する正しい方法

署名前の準備:Acrobat Readerと「必須プラグイン」の関係

作業を始める前に、パソコンの環境を整えましょう。

結論から言うと、電子定款の署名において高額な有料ソフトは一切不要です。

有料版は不要! 無料の「Acrobat Reader」でOKな理由

「電子署名をするには、月額払いの『Adobe Acrobat Pro』が必要だ」と勘違いされている方が多いですが、それは間違いです。

定款(Word)をPDFに変換するのは、Wordの標準機能(名前を付けて保存→PDF)で可能です。そして、そのPDFにマイナンバーカードで署名をする機能は、無料の「Adobe Acrobat Reader(旧称:Reader DC)」に標準搭載されています。

もしPCにまだ入っていない場合は、Adobe公式サイトから無料版をインストールしてください。それで準備は完了です。

スマホで署名はできる?(PC必須の技術的理由)

「マイナポータルアプリを使えば、スマホでも電子署名ができるのでは?」

残念ながら、電子定款に関してはスマホ・タブレットは100%使用不可です。必ず「Windowsパソコン」と「ICカードリーダー」が必要になります。

🚫 なぜスマホでは無理なのか?

法務省が指定する署名システム(PDF署名プラグイン)が、Windows専用のソフトウェアだからです。iPhoneやAndroid上で動作するアプリが存在しないため、物理的に不可能なのです。

もし、まだパソコン用のICカードリーダーをお持ちでない場合は、以下の記事を参考に、マイナンバーカード対応の機種を準備してください。2,000円〜3,000円程度で購入可能です。

失敗しない「ICカードリーダー」の選び方! マイナンバーカード対応おすすめ3選

 

Adobe標準機能ではダメ? 法務省「署名プラグイン」の正体

Acrobat Readerを開くと、「署名」や「入力と署名」というツールボタンが見えますが、これを使ってはいけません。

これらは「見た目上のサイン」を作る機能であり、法的な電子証明書を埋め込む機能とは別物だからです。

日本の役所(法務局・公証役場)に提出する文書には、法務省が配布している「PDF署名プラグイン」という追加プログラムを使って署名する必要があります。

これをインストールすることで初めて、Acrobat Readerが「マイナンバーカード読み取り機」として機能するようになるのです。

【完全図解】PDF署名プラグインのインストールと初期設定

必要な道具(PC・カードリーダー・Acrobat Reader)が揃ったら、次はそれらを繋ぐ「接着剤」となるソフトを入れます。

それが「PDF署名プラグイン」です。

ここは手順を飛ばすと後で絶対に動きません。

一歩ずつ着実に進めてください。

登記・供託オンライン申請システムからのダウンロード手順

まず、法務省が運営する「登記・供託オンライン申請システム」の公式サイトへアクセスします。

トップページにある「操作手引書・ソフトウェアのダウンロード」というメニューを探してください。

📥 正しいファイルの選び方

ダウンロードページには似たようなソフトが並んでいますが、以下の名称のものをダウンロードしてください。

  • 名称:PDF署名プラグイン(SignedPDF)
  • 対象:Acrobat Reader DC用(または Pro用)

※「申請用総合ソフト」とは別物です。まずはプラグイン単体を落としてインストール(setup.exeを実行)してください。

インストール自体は「次へ」を押していけば数秒で終わります。しかし、本当の戦いはここからです。

【Topic 5】プラグインがメニューに出ない!「環境設定」の落とし穴

「インストール完了! さあAcrobatを開いて署名だ!」

そう思ってAcrobatを起動しても、画面のどこにも「法務省」や「マイナンバー」といったボタンは見当たりません。

実は、Acrobatの裏側にある「環境設定」を手動で書き換えないと、プラグインは起動しないのです。

以下の手順で、標準の署名機能を「法務省モード」に切り替えます。

🔧 署名方法の切り替え設定(重要)

  1. Acrobat Readerを開き、メニューバーの[編集][環境設定] をクリックします。
    (ショートカットキー:Ctrl + K)
  2. 左側のカテゴリ一覧から[署名]を選択します。
  3. 右側の画面にある「作成と表示スタイル」の[詳細]ボタンを押します。
  4. 「デフォルトの署名方法」というプルダウンメニューがあります。ここが最初は「Adobeデフォルトセキュリティ」になっています。
  5. これを【SignedPDF】に変更し、[OK]を押して画面を閉じます。

これで設定完了です。

もしプルダウンの中に「SignedPDF」という選択肢が出てこない場合は、プラグインのインストールに失敗しているか、Acrobatのバージョン(32bit/64bit)とプラグインが合致していない可能性があります。

その場合は、一度プラグインをアンインストールし、別のバージョンを試してください。

💡 行政書士の現場メモ(再起動の魔法)

環境設定を変えたのに動かない時は、「Acrobatの再起動」だけでなく「PCの再起動」を試してください。

また、署名作業を行う際は、Acrobatを起動する「前」に、ICカードリーダーをUSBに挿しておくのが鉄則です。

ソフトを立ち上げてからリーダーを挿しても認識しないことがよくあります。

「機材セット完了 → ソフト起動」の順番を守ってください。

📷 画像挿入指示

推奨画像: 環境設定画面のスクリーンショット。プルダウンメニューで「SignedPDF」を選択している瞬間を赤枠で強調。

生成用プロンプト: Screenshot of Adobe Acrobat Preferences window. Highlighting the 'Creation & Appearance' section and the dropdown menu selecting 'SignedPDF'. Detailed technical guide style.

Alt属性: Acrobat 環境設定 SignedPDF 切り替え

いざ実践! 定款PDFに「電子署名」を行う5ステップ

設定お疲れ様でした。いよいよ本番の署名作業です。
マイナンバーカードをリーダーにセットし、作成した定款PDFを開いてください。以下の手順で進めます。

見栄えアップ!「自分のハンコ画像(背景透過)」の作り方

署名時に表示される印影(ハンコの見た目)は、デフォルトだと「文字だけ」の味気ないものです。ここに、自分の実印や認印の画像を使うと、電子定款が一気にプロっぽくなります。

🎨 ハンコ画像の準備手順(簡易版)

  1. 白い紙に、鮮明な朱肉で実印(または認印)を押す。
  2. スマホで真上から写真を撮る。
  3. 無料の「背景透過サイト(remove.bgなど)」や、Excelの「背景の削除」機能を使い、白い背景を透明にする。
  4. PDF形式または画像形式で保存しておく。

この画像ファイルを準備しておくと、署名の工程で読み込むことができます。

【実践】署名実行の5ステップフロー

それでは、マウス操作に移ります。

失敗しないよう、ゆっくり進めてください。

  1. 署名モードの起動
    Acrobatのメニューから「ツール」タブを開き、証明書のアイコン(ペン先のリボンのマーク)をクリックします。
    ※環境設定で「SignedPDF」に切り替えていれば、法務省プラグインが起動します。
  2. 【Topic 7】署名位置(ドラッグ)の指定
    「デジタル署名」をクリックすると、カーソルが十字キーに変わります。
    定款の末尾、発起人の氏名の横(右側)の余白を、マウスでドラッグして四角く囲ってください。
    ※ここが、紙の定款でいう「捺印」の場所になります。文字に被らないよう注意しましょう。
  3. 署名方法の選択
    ダイアログボックスが表示されます。「署名方法」が「SignedPDF」になっていることを確認してください。
    ※ここで「外観」の選択肢から、先ほど作った【Topic 1】のハンコ画像を読み込むことができます。
  4. パスワード入力と実行
    いよいよクライマックスです。マイナンバーカードの「署名用パスワード(英数字6〜16桁)」を入力し、「署名(または完了)」ボタンを押します。

    ⚠️ エラーが出て進めない方へ

    「ICF4031」などのエラーが出る、またはロックされてしまった場合は、こちらの記事で解除方法を確認してください。

     

  5. 保存(上書きまたは別名保存)
    署名が成功すると、ファイルの保存を求められます。任意の場所(デスクトップなど)に保存してください。
    画面上の指定した位置にハンコマークが表示されていれば、署名完了です!

💡 行政書士の現場メモ(署名後の修正は不可)

電子署名を行った後のPDFファイルは、一種の「封印」状態になります。
もし署名後に「あ、住所間違えてた!」と思って文字を一文字でも修正しようとすると、署名は即座に無効(破損)になります。修正が必要な場合は、必ず署名前のWordファイルに戻って直し、再度PDF変換からやり直してください。

📷 画像挿入指示

推奨画像: 署名位置をドラッグで指定している画面。発起人名の横に赤い枠を作っているイメージ。

生成用プロンプト: Screenshot of Adobe Acrobat showing the cursor dragging a rectangle box next to the promoter's name on a document to place a digital signature. Style: Technical guide illustration.

Alt属性: 電子署名 署名位置 ドラッグ

署名後の検証と「複数人」で会社を作る場合の注意点

署名作業、お疲れ様でした。作成されたPDFを開いてみてください。

もし画面の上部に「署名に問題があります」「署名は検証されていません」という黄色や赤の警告バーが出ていても、絶対に慌てないでください。

「署名は無効です」と表示される原因(ルート証明書)

結論から言うと、その警告は無視してOKです。あなたの署名は失敗していません。

なぜ警告が出るのか。それは、米国企業であるAdobe社のソフトが、日本の「公的個人認証サービス(マイナンバーカード)」を、初期状態では「信頼できるリスト」に入れていないからです。

  • 【Adobeの言い分】
    「この署名は、僕(Adobe)が知っている世界の認証局リストにないよ! だから怪しいかもよ!」
  • 【日本の役所の言い分】
    「日本の法律に基づいた正しい署名だから問題ないよ。役所のシステムではちゃんと『有効』と判定されるから安心してね。」

つまり、Adobe上での表示は気にしなくて大丈夫です。

署名パネルを開き、署名者の欄にあなたの名前があり、プラグイン(SignedPDF)で署名された記録があれば、法的効力は完璧です。

発起人が2人以上いる場合の「連署(重ねて署名)」手順

発起人(出資者)があなた一人の場合はこれで完了ですが、友人と一緒に起業する場合など、発起人が複数いる場合は「全員の電子署名」が必要です。

この場合、1つのPDFファイルに対して、バケツリレー形式で署名を重ねていく「連署(れんしょ)」を行います。

🤝 複数人での署名リレー手順

  1. 【1人目(Aさん)】
    自分のPCでPDFを開き、自分の名前の横に電子署名を行う。
    署名済みファイルを保存し、メールやUSBメモリで2人目(Bさん)に送る。
  2. 【2人目(Bさん)】
    受け取ったファイルを開く。(※この時点で「署名済み」と表示されるが編集は不可)
    自分の名前の横の空欄に、同様の手順で2人目の電子署名を行う。
  3. 【完了】
    全員分の署名が並んだファイルを保存し、代表者が公証役場へ送信する。

💡 行政書士の現場メモ(ロックの罠)

1人目が署名する際、保存画面のオプションで「署名後に文書をロックする」というチェックボックスには、絶対にチェックを入れないでください。
これを入れてしまうと、ファイルが「読み取り専用」になり、2人目が署名を追加できなくなります。連署の場合は、最後の人が署名し終わるまで、ファイルはロックせずにリレーしてください。

📷 画像挿入指示

推奨画像: Acrobatの上部に出る「署名に問題があります」の警告バーと、それに「無視してOK」という吹き出しをつけた図解。

生成用プロンプト: Adobe Acrobat warning bar showing "Signature has problems" or "At least one signature has problems", with a reassuring green check mark graphic overlay saying "Valid in Japan".

Alt属性: 電子署名 検証エラー 無視してOK

申請前の最終チェック:ファイル名と証明書の種類

署名が完了したそのPDFファイルは、言わば「実印を押した契約書」そのものです。

取り扱いには細心の注意が必要ですが、意外と知られていない「OKなこと」と「NGなこと」があります。

【Topic 9】署名後に「ファイル名」を変えても大丈夫か?

結論から言うと、ファイル名の変更は全く問題ありません。

電子署名とは、ファイルの中身(文章データ)に対してかけられる鍵です。

そのため、ファイルの名前を『定款(署名済).pdf』や『株式会社〇〇定款_20260101.pdf』などに変更しても、署名の効力は維持されます。

ただし、前述の通り、ファイルを開いて「スペースを1つ消す」などの中身の変更を行うと、その瞬間に署名は破損(無効化)します。

送信前は、ファイル名の変更だけに留め、中身には一切触れないようにしてください。

司法書士用「商業登記電子証明書」との設定差

ネットで検索していると、「商業登記電子証明書」という言葉を見かけるかもしれません。

「マイナンバーカードと何が違うの?」と不安になるかもしれませんが、これは対象者の違いです。

  • マイナンバーカード(公的個人認証):
    あなたのような「個人(発起人)」が署名するために使うもの。
  • 商業登記電子証明書:
    既に登記されている「法人(会社)」や、私たち司法書士・行政書士が業務で使うプロ用のもの。

これから会社を作るあなたは「個人」の立場なので、マイナンバーカードで正解です。

法務省のソフトの設定画面などで「商業登記電子証明書」という項目があっても、そこは無視して「公的個人認証」の設定だけを行ってください。

🎉 お疲れ様でした! 電子定款の完成です

これで、あなたの手元には「法的効力のある電子定款」が完成しました。

あとは、これを「登記・供託オンライン申請システム」を使って公証役場へ送信し、予約した日時に役場へ行けば、手数料5万円・印紙代0円での認証が完了します。

慣れないソフト操作と格闘し、ここまで自力で辿り着いたあなたの行動力なら、きっと素晴らしい会社を作れるはずです。

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