川崎市(神奈川)に住むあなたが、東京都内に会社を作るとします。「近いから」と川崎の公証役場に行くと、受付で断られます。
逆に、東京都内に会社を作るなら、都心から離れた「八王子」や「町田」の公証役場に行ってもOKです。この違い、分かりますか?

行政書士の小野馨です。
書類作成で疲れ果てた後、最後の最後でやってしまうミスが「場所選び」です。
「えっ、県をまたいじゃダメなんですか?自転車で多摩川渡ればすぐなのに!」
残念ながら、ダメなんです。
公証役場には厳格な「管轄(かんかつ)」という縄張りがあります。
これを無視して予約を入れても、当日の認証手続きで100%却下されます。どんなに急いでいても、法律の壁は越えられません。
しかし、逆に言えば「管轄内であれば、どこの役場でもいい」ということでもあります。
これを知っていると、混雑している都心の役場を避けて、スムーズに手続きを終えることができます。
この記事では、絶対に間違えてはいけない「管轄のルール」と、賢い「役場選びの戦略」について解説します。
▼ この記事のポイント ▼
- ✅ ルールは一つ。「本店がある都道府県内」の役場に行くこと
- ✅ あなたの「自宅」がどこにあるかは関係ない
- ✅ 同一県内なら、あえて「郊外の役場」を選ぶのも賢い戦略
【結論】定款認証は「本店がある都道府県内」ならどこでもOK
ポイント
まず、絶対的なルールを頭に叩き込んでください。基準になるのは、あなたの住所ではなく、これから作る「会社の住所(本店所在地)」です。

💡 3秒でわかるまとめ
- 本店が東京都なら、東京都内の公証役場。
- 本店が大阪府なら、大阪府内の公証役場。
【原則】基準は「会社の本店」。「自宅」は一切関係ない
よくある勘違いが、「発起人(社長)である私の自宅の近くで済ませたい」というケースです。
注意ポイント
しかし、定款認証は「その会社が生まれる場所(本店所在地)」を管轄する法務局所属の公証人が行わなければならない、という決まりがあります。
あなたがどこに住んでいても、「定款に書いた本店所在地の都道府県」にある公証役場へ出向く必要があります。
【県またぎNG】東京の会社を神奈川で認証するのは「絶対不可」
特に注意が必要なのが、県境(けんざかい)エリアです。
例えば、「本店は東京都世田谷区(多摩川沿い)」だとします。橋を渡ればすぐに「神奈川県川崎市の公証役場」があります。
しかし、これを利用することはできません。
世田谷区の会社は、どれだけ近くても神奈川県の公証人には扱えないのです
必ず、東京都内(渋谷や新宿、あるいは立川など)の役場に行く必要があります。
「近くの役場」vs「空いてる役場」賢い場所の選び方
「じゃあ、本店の近くの役場に行かなきゃいけないの?」
いいえ、そこまで厳密ではありません。ここに「抜け道(戦略)」があります。

💡 3秒でわかるまとめ
- 「都道府県」さえ合っていれば、どの市町村でもOK。
- 都心の役場は予約が取りにくい。郊外は狙い目。
【自由】同一県内なら、港区の会社でも「八王子」や「町田」で認証可能
ココがポイント
管轄の単位は「都道府県(法務局の管轄区域)」です。
つまり、東京都港区に本店を置く会社であっても、わざわざ港区(芝公証役場など)に行く必要はありません。
東京都内であれば、八王子、立川、町田、武蔵野など、どこの公証役場でも認証を受けることができます。
【戦略】都心の役場は激混み?郊外の穴場を狙うメリット
年度末や繁忙期になると、千代田区、港区、中央区といったビジネス街の公証役場は予約で埋まりがちです。
「最短で7日後です」と言われることもザラです。
そんな時は、あえて「少し離れた郊外の公証役場」に電話してみてください。
意外と「今日の午後でもいいですよ」と言われることがあります。
電車で30分移動してでも、その日のうちに完了するなら、結果的に会社設立日は早まります。

よくある勘違いシミュレーション(東京・神奈川・大阪編)
より具体的にイメージしていただくために、よくあるパターンの正解・不正解を整理しました。

💡 3秒でわかるまとめ
- 自宅:埼玉、本店:東京 ➡ 「東京」の役場へ。
- 自宅:大阪、本店:兵庫 ➡ 「兵庫」の役場へ。
【事例1】自宅は埼玉、会社は東京 ➡ 埼玉の役場は使える?
答え:NO
あなたは埼玉県民ですが、会社は「東京都民(法人)」として生まれます。
出生届(定款認証)は、会社が生まれる東京都内で出す必要があります。
通勤途中の池袋(東京)などの役場を利用するのが便利でしょう。
【事例2】本店を「自宅(賃貸)」にする場合のリスク管理
答え:自宅のある都道府県の役場へ
自宅兼オフィスで起業する場合はシンプルです。
自宅がある都道府県内の役場に行けばOKです。
ただし、賃貸マンションを本店にする場合、定款認証の「場所」以前に、「大家さんの許可(法人登記の承諾)」を取っているか確認してください。
ここを無視して登記し、後で強制退去になるトラブルも存在します。
「テレビ電話認証」なら全国どこからでもアクセス可能?
「役場に行くのが面倒くさい。Zoomとかでできないの?」
最近は、スマホやPCのテレビ電話機能を使った「Web面談(電子公証)」も選べるようになりました。
「WEB面談」について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
こちらもCHECK
-

定款認証の予約とテレビ電話完全ガイド!公証役場の流れと機材
こんにちは! 開業20年で電子定款と会社設立の実績5000件、行政書士の小野馨です。 今回は【定款認証の予約とテレビ電話完全ガイド!公証役場の流れと機材】というテーマで、熱くお話しします。 「定款認証 ...
続きを見る
しかし、ここにも大きな落とし穴があります。「オンラインなら、沖縄の公証人に頼んでもいいんでしょ?」と思っていると、システム上で弾かれます。
💡 3秒でわかるまとめ
- あなたが「いる場所」は世界中どこでもOK。
- ただし、通信相手(公証人)は「本店のある県」の人限定。
【仕組み】「公証人は管轄内」だが「あなたは自宅でOK」
テレビ電話方式を選んだ場合、「発起人(あなた)」は自宅のリビングにいても、海外のカフェにいても構いません。
物理的な移動はゼロです。
しかし、通信相手となる「公証人」は、あくまで「本店所在地と同じ都道府県の公証役場にいる人」を選ばなければなりません。
東京都の会社を作るのに、北海道の公証役場と通信することはできないのです。
【注意】スマホでも可能だが、事前の環境設定が超面倒
「移動しなくていいなら、全員テレビ電話にすればいいのに」と思いますよね?
でも実際は、多くの人が物理的に役場に行くことを選びます。なぜなら、「接続設定が面倒だから」です。
Web面談には、ZoomやSkypeではなく、法務省指定の専用アプリ(FaceHubなど)を使う必要があります。
事前に接続テストを行い、電子署名済みのデータを送信し、免許証をカメラで提示し…と、不慣れな人にはハードルが高いのが現実です。
「行ったほうが早い」となるケースが大半です。
【まとめ】管轄違いで「門前払い」されないための最終確認
最後に、役場選びで失敗しない持ち物と一発クリアの情報をお渡しします。
こちらもCHECK
-

【保存版】公証役場での電子定款認証|当日の持ち物と「一発クリア」する完全手順書
【結論】公証役場での電子定款認証とは? 電子定款認証とは、オンラインで作成した会社の憲法(定款)に対し、公証役場で公証人の「お墨付き」をもらう最終手続きです。 これを経ることで4万円の印紙税が合法的に ...
続きを見る
これさえ守れば、当日にトラブルはなくなります。
💡 3秒でわかるまとめ
- 必ず電話で「空き状況」を確認してから予約する。
- ネット検索は「都道府県名 + 公証役場」で。
【検索】「〇〇県 公証役場 一覧」で調べるのが確実
あなたの会社の本店がある都道府県名を入れて、「東京都 公証役場 一覧」「大阪府 公証役場 一覧」と検索してください。
法務局や公証人連合会の公式サイトが出てきます。
そこにあるリストの中であれば、自宅から遠くても、名前が気に入った場所でも、どこを選んでも法的に問題ありません。
近所だけで探すな!「話が早い」公証人の見極め方
管轄もクリア、指定公証人もクリア。
では、県内に候補が5つあったとして、どこを選べばいいのでしょうか?
「一番近いところ」?
いいえ、違います。
ココがポイント
私のおすすめは、「予約が取りやすく、対応が柔軟なところ」です。
実は公証役場によって、混雑具合や対応の雰囲気は驚くほど違います。
特に、「テレビ電話認証」を使うなら、一度も役場に行く必要がないため、距離は関係なくなります。
気持ちよく対応してくれる公証役場で進めてくださいね。
公証役場選びは「戦略」です!

定款認証は、会社設立のハイライトです。
「近いから」と安易に選んで混雑に巻き込まれるか、「空いていて親切な場所」を狙い撃ちしてスマートに終わらせるか。
この記事を読んだあなたは、もう後者を選べるはずです。
行政書士 小野馨の「ここだけの話」
公証役場を選ぶ際の、最重要ポイント。
それは「電話対応の愛想が良いところを選ぶ」ことです。
公証人や事務官も人間です。
電話口で高圧的な役場は、当日のチェックも厳しく、些細なミスで訂正を求められることがあります。
逆に「あ、初めてですか?大丈夫ですよ〜」と親切な役場は、現場でも非常にスムーズです。
同一県内ならどこでもいいのですから、ストレスの少ない「当たりの役場」を探すのも、賢い経営戦略です。
🚀 今日から始める「3つの行動」
- 会社の本店所在地(都道府県)を再確認する
- 同一県内の公証役場リストを検索し、通いやすい候補を3つ出す
- 電話をして、一番対応が良かった役場に予約を入れる
「先生のおかげです」起業家を救った公証人の一言
私の記憶に残っている、ある公証人とのエピソードをお話しします。
私がまだ新人行政書士だった頃、あるクライアントの定款認証を依頼しました。
その定款には、事業目的に「〇〇の販売」とだけシンプルに書いてあったんですね。
担当してくれたベテランの公証人は、認証の席でこう言いました。
「小野さん、この目的だとね、将来銀行融資を受ける時に『具体的に何を売るんですか?』って突っ込まれるかもしれないよ。
せっかくだから、『〇〇および関連機器の販売、保守、メンテナンス』まで広げておいた方が、後々楽なんじゃないかな?」
それは、単なる法的なチェックを超えた、「経営へのアドバイス」でした。
ポイント
公証人はそういうアドバイスをする義務はありません。ですが、人としてサポートをしてくれる人もたくさんいます。
その一言のおかげで、その場で定款を修正し、より盤石な事業目的で会社を設立することができました。
後日、そのクライアントは無事に融資審査に通り、「あの時の公証人の先生の一言が効きました!」と喜んでいました。
良い公証人は、ただ書類を見るだけではありません。
「この会社が将来、トラブルに巻き込まれないか?」
「もっとスムーズに事業が進む表現はないか?」
そんな「親心」を持って接してくれます。

会社設立や電子定款認証のスペシャリスト!開業17年・年間実績500件以上。実は、電子定款の制度ができた10年以上前から電子定款認証の業務を行なっているパイオニアです!他との違いは、まず定款の完成度!内容はモデル定款のモデルと言われ全国数百箇所の公証人の目が入っている優れもの!そして電子署名はまるでサインのようなかっこいい電子署名です!その電子定款であなたの大切な会社設立を真心込めて応援します!
