結論
産業廃棄物収集運搬業における「定款の事業目的」とは?
産廃許可申請において、役所が最初にチェックするのが定款の「事業目的」です。
単に「産業廃棄物収集運搬業」と書くだけでは不十分。将来扱うかもしれない「特別管理産業廃棄物(特管)」や「リサイクル品(専ら物)」も見据えた「拡張性のある記載」にしておかないと、いざ仕事が来た時に対応できず、定款変更(3万円〜)が必要になります。

行政書士歴20年・産廃許可申請を得意とする行政書士の小野馨です。
「定款に何て書けばいいですか?」
「ネットの雛形で許可は下りますか?」
この質問を年間数百件いただきますが、答えは一つ。
「許可要件を満たす書き方」をしなければ、後から登録免許税3万円を払ってやり直しになります。
産業廃棄物収集運搬業の許可を取るためには、定款に適切な文言が入っていることが大前提です。
しかし、現場の実務では「収集運搬業」という言葉だけではカバーしきれないケースが多々あります。
例えば、建設現場や工場で以下のようなゴミが出たらどうしますか?
- 医療ゴミや廃油(特管)も運びたい
- スクラップや古紙(専ら物・有価物)も扱いたい
- アスベストや水銀が出る現場に行きたい
これらは、定款や申請書での扱いが非常に特殊です。
この記事では、基本となる「正しい定款目的の雛形」を公開しつつ、許可申請で絶対に躓かないためのポイントを解説します。
💡 産廃だけでなく「建設業」や「会社設立全般」の目的の書き方を知りたい方は、以下の完全ガイドを先にご覧ください。
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この記事でわかる4つのポイント
- ✅ そのまま使える「産業廃棄物収集運搬業」の定款雛形
- ✅ 「特管」や「専ら物」を扱う場合の書き分け
- ✅ アスベスト・水銀・積替保管等の注意点まとめ
- ✅ 赤字・債務超過でも許可は取れるか?
【雛形】産廃許可が下りる「定款目的」推奨セット
産業廃棄物収集運搬業の許可申請では、基本となる「収集運搬業」に加え、扱うゴミの種類やリサイクル事業の有無によって、定款に記載すべき文言が変わります。
後から「あれも書いておけばよかった!」と後悔しないよう、プロが使用している「フル装備の推奨セット」を公開します。
【推奨:定款目的の記載例(コピペ用)】
- 産業廃棄物収集運搬業
- 特別管理産業廃棄物収集運搬業
- 再生資源回収業
- 古物営業法に基づく古物商
- 前各号に附帯関連する一切の事業
なぜこれらを「セット」で書くのか?
「うちは普通のゴミ(ガレキや木くず)を運ぶだけだから、1番だけでいいのでは?」
そう思うかもしれませんが、プロは必ずセットでの記載を勧めます。
理由は「将来のコスト削減(目的変更登記:3万円の回避)」と「コンプライアンス(法令遵守)」です。
| 記載項目 | この項目が必要になるシチュエーション |
|---|---|
| 特別管理産業廃棄物 | 「廃油」や「感染性廃棄物(医療ゴミ)」など、危険なゴミを運ぶ仕事が舞い込んだ時に必要。(※通常の許可とは別ライセンスです) |
| 再生資源回収業 | 段ボールや空き瓶などの「資源ゴミ」を扱う場合。 |
| 古物商 | ゴミだと思って回収した中に「まだ使える機械」や「金属スクラップ(有価物)」があった場合、それを売買するには古物商が必要です。 |
このように、現場では「ゴミ」と「資源」と「商品」が混在しています。
定款の段階からこれらを網羅しておくことで、どんな仕事が来てもチャンスを逃さない体制が整います。
「特管(とっかん)」と「専ら物(もっぱらぶつ)」の書き分け
産業廃棄物収集運搬業と一口に言っても、運ぶモノによって法律上の扱いが全く異なります。
「普通の産廃許可を取れば何でも運べる」と思っていると大間違いです。
事業の拡張性を持たせるために、以下の2つのカテゴリーを定款に盛り込むべきか、判断基準を解説します。
1. 特別管理産業廃棄物(通称:特管)
爆発性、毒性、感染性のある危険な廃棄物は「特別管理産業廃棄物」と呼ばれ、通常の産廃許可とはライセンスが明確に区別されています。
例えば、以下のようなものが該当します。
- 廃油・廃酸・廃アルカリ(揮発性や腐食性が強いもの)
- 感染性廃棄物(病院から出る注射器やガーゼなど)
- 廃石綿等(飛散性アスベスト)
これらを運ぶ場合、通常の「産業廃棄物収集運搬業許可」では運べません。
別途、「特別管理産業廃棄物収集運搬業許可」を取得する必要があります。
【定款対策】
現時点で予定がなくても、将来的に病院や化学工場からの仕事を受ける可能性があるなら、定款にはあらかじめ「特別管理産業廃棄物収集運搬業」と記載しておくことを強く推奨します。
後から追加しようとすると、また株主総会を開いて、法務局で変更登記(登録免許税3万円)を行う羽目になるからです。
最初の設立時に書いておけば、追加コストは0円です。
▼ 「特管」の許可要件は厳しい?
特管の許可を取るには、講習会も「特管用」を受ける必要があり、運搬車両や容器の基準も厳しくなります。
- 【解説】特別管理産業廃棄物の許可要件と定款記載
2. 専ら物(もっぱらぶつ)・再生資源
廃棄物処理法には、例外的に「許可がなくても運んでいい廃棄物」が存在します。
それが、リサイクル専門の4品目、通称「専ら物(もっぱらぶつ)」です。
- 古紙(段ボール、新聞など)
- くず鉄(古銅等を含む金属スクラップ)
- 空き瓶類(ガラスくず)
- 古繊維(衣類など)
これら「のみ」を専門に扱う場合、産廃の許可は不要です。
しかし、現場の実態としては、金属スクラップと一緒にプラスチック(廃プラ)や木くずが混ざって出てくることがほとんどです。
廃プラが混ざった時点で「産廃許可」が必要になります。
【定款対策】
許可不要の品目であっても、ビジネスとして扱う以上、定款には「再生資源回収業」や「製紙原料売買業」、「金属くず商(※自治体条例による)」などの文言を入れておくのが正解です。
これにより、銀行や取引先に対して「うちはゴミ屋ではなく、リサイクル事業をやっている」という明確なアピール(・社会的信用の向上)になります。
💡 行政書士の現場メモ(金属スクラップの罠)
最近、金属スクラップヤード(保管場所)に対する規制が厳しくなっています。
千葉県や埼玉県などでは、産廃許可とは別に「ヤード条例(金属スクラップヤード等規制条例)」に基づく許可や届出が必要な場合があります。
この際、定款に「金属くずの売買」や「再生資源の取り扱い」が明記されていないと、手続きがスムーズに進まないことがあります。
スクラップをやるなら、必ずこれらの文言を入れておきましょう。
申請書でミスしやすい「特殊な品目」と「資金要件」
定款の目的が正しく書けていても、それだけで安心はできません。
定款はあくまで「会社の憲法」であり、実際の許可申請(事業計画)では、さらに細かい「運搬基準」と「会社の資金力」が厳しく審査されるからです。
ここでは、定款には包括的に書かれていても、申請書で「個別に申告しないと不許可になる罠」について解説します。
【罠1】アスベストと水銀使用製品の「チェック漏れ」
定款上は「産業廃棄物収集運搬業」と書いてあれば、法律上はすべての産廃が含まれる解釈になります。
しかし、実際の許可申請書(第1面など)では、以下の品目は「特別扱い」として明確に区別して申請する必要があります。
⚠️ 申請書で「含む」にチェックが必要な品目
① 石綿含有産業廃棄物(アスベスト)
解体工事で出るスレート材や建材などが該当します。
これらを運ぶ場合、飛散を防ぐために「フレコンバック(二重梱包)」や「シート掛け」などの措置が必要です。
申請書の品目欄で「石綿含有産業廃棄物を含む」にチェックを入れ、専用の措置を行った車両写真を添付しないと、許可証に「石綿を除く」と書かれてしまい、現場で仕事ができなくなります。
② 水銀使用製品産業廃棄物
ビルや工場の改修で出る「蛍光灯」や「水銀電池」などが該当します。
運搬中に割れて水銀が漏れないよう、「パッキン付きの専用容器」や、緩衝材を入れたドラム缶などが必要です。
これも申請時に専用容器の写真がないと、許可が下りません。
これらは「定款に書いてあるから大丈夫」ではなく、「申請書で正しく申告し、証拠(写真)を見せる」ことが必須です。
行政書士に依頼せず自分で申請する方が、最もよくやるミスNo.1です。
【罠2】赤字決算でも許可は取れるか?(経理的基礎)
産廃許可の4大要件の一つに「経理的基礎」があります。
簡単に言えば、「この会社は産廃処理を継続できるだけの金があるか? 不法投棄して逃げないか?」という審査です。
多くの経営者様から「直近の決算が赤字なんですが、許可は取れますか?」と相談を受けます。
結論は「取れます。ただし、追加書類が必要です」。
| 決算の状況 | 審査の難易度と必要書類 |
|---|---|
| 黒字決算 | 問題なし(通常の納税証明書等のみ) |
| 赤字決算(資産>負債) | やや注意。 自治体によるが、基本的には許可されることが多い。「赤字の理由書」を求められる場合あり。 |
| 債務超過(資産<負債) | 危険信号。 そのままでは不許可になる可能性大。 「中小企業診断士等の経営診断書」や「5カ年の収支計画書」の提出が必須となる。 |
特に「債務超過(借金が資産を上回っている状態)」の場合、定款が完璧でも、この「経理的基礎」で引っかかります。
しかし、諦める必要はありません。
プロの行政書士や診断士と連携し、「今後5年間でどうやって黒字化するか」という説得力のある事業計画書を作成すれば、債務超過でも許可を取得できるケースは非常に多いです。
💡 行政書士の現場メモ(設立直後の会社の場合)
会社を作ったばかり(第1期目)で、まだ決算を迎えていない場合はどうなるでしょうか?
この場合は、決算書が存在しないため、代わりに「開始貸借対照表(設立時の資産状況)」を提出します。
設立直後は通常、資本金(資産)しかないため、経理的基礎は「問題なし」と判断されます。
つまり、「赤字決算が出る前に(設立直後に)許可を取ってしまう」のが、最もスムーズな戦略なのです。
▼ アスベスト写真例・債務超過対策の詳細は専門サイトへ
申請書でのミスが多い「石綿・水銀」の車両写真の撮り方や、債務超過時の突破ノウハウは専門サイトで深掘りしています。
💡 さらに詳しい「許可実務」を知りたい方へ
定款の準備ができたら、次は「車両の準備」や「資金計画」が必要です。
具体的な写真の撮り方や、赤字対策については、当事務所が運営する「産廃許可専門サイト」で解説しています。
※別サイト(産廃許可の教科書)が開きます
許可取得後の運用と将来戦略(5年後を見据えて)
最後に、許可申請中や、許可取得後(5年後)に見据えるべきポイントを解説します。
ここを軽視すると、せっかく定款を整えて苦労して取った許可が、一瞬で取り消される(あるいは更新できずに失効する)ことになります。
やってはいけない「先行営業」と逮捕リスク
申請書を役所に提出しても、まだ許可は下りていません。
審査期間(標準処理期間:約2ヶ月)は、あくまで「審査中」です。
この期間中に、「もう申請したから大丈夫だろう」と見切り発車で産廃の運搬契約を結んだり、実際にゴミを運んだりすると「無許可営業」になります。
❌ 無許可営業の罰則
「5年以下の懲役 または 1,000万円以下の罰金」
またはその併科(両方)。法人に対しては「3億円以下の罰金」。
会社設立直後に前科がつき、当然ながら申請中の許可も不許可になり、会社がつぶれます。
絶対に焦らず、許可証が手元に届くまで待ってください。
5年後の「更新」と「優良認定」を目指せ
産廃業は「取って終わり」ではありません。むしろ取ってからが勝負です。
① 恐怖の「5年更新」ルール
建設業許可(5年)などと違い、産廃許可の更新期限は極めてシビアです。
有効期限(5回目の誕生日など)を1日でも過ぎると、その瞬間に許可は失効します。救済措置はありません。
また、更新申請をするためには改めて「講習会(更新課程)」を受講し、試験に合格する必要があります。
講習会の予約が取れずに期限切れ……という悲劇が後を絶たないため、期限の半年前から準備を始めるのがセオリーです。
② 目指せ!優良産廃処理業者認定
5年以上、無事故・無違反で実績を積み、インターネットで財務内容を公開する(透明性を高める)などの条件を満たすと、都道府県から「優良認定」が受けられます。
【優良認定のメリット】
- 許可の有効期間が「7年」に延長される(更新の手間とコスト減)。
- 許可証に「優良」のお墨付きが入るため、大手ゼネコンやメーカーからの信頼度が跳ね上がる。
- 産廃処理委託契約書に貼る印紙税が不要になる等の特例はないが、産業廃棄物処分業者の場合、優良認定を受けると処理施設の設置許可の特例などが受けられる場合がある。
💡 行政書士の現場メモ(5年後のために)
優良認定を目指すなら、会社設立当初から「経理の透明性(税金滞納なし)」と「法令遵守(マニフェストの適切な運用)」を徹底する必要があります。
「とりあえず許可が取れればいい」という低い意識ではなく、5年後に地域一番店になるための定款と組織作りを意識してください。
その第一歩が、今回の「正しい事業目的の記載」なのです。
産廃許可の「詳細要件」や「申請代行」は専門サイトへ
この記事では、会社設立に必要な定款と要件の概要を解説しました。
しかし、実際の申請では「あなたの車両で運べるか?」「あなたの資金(決算書)で許可が下りるか?」という個別判断が必要です。
「アスベスト等の特殊品目」「債務超過対策」「優良認定の取得」などの専門的なご相談は、当事務所の産廃専門部門にお任せください。
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会社設立や電子定款認証のスペシャリスト!開業17年・年間実績500件以上。実は、電子定款の制度ができた10年以上前から電子定款認証の業務を行なっているパイオニアです!他との違いは、まず定款の完成度!内容はモデル定款のモデルと言われ全国数百箇所の公証人の目が入っている優れもの!そして電子署名はまるでサインのようなかっこいい電子署名です!その電子定款であなたの大切な会社設立を真心込めて応援します!