「節約のために自分で会社を作ろう」…その決断が、実はあなたから「4万円」を奪っているとしたら? 自力での設立は、必ずしも最安ルートではありません。

こんにちは!
開業20年で会社設立サポートの実績5000件、行政書士の小野馨です。
今回は【会社設立を自分でやる手順と費用】というテーマで、プロの本音をお話しします。
起業を決意したとき、最初に悩むのが「プロに頼むか、自分でやるか」ではないでしょうか。
ネットで検索すれば、申請書の雛形は無料で見つかりますし、法務局の手引きも充実しています。
「勉強にもなるし、手数料も浮くから自分でやってみよう」
その意気込みは素晴らしいです。
しかし、そこには多くの人が見落としている「構造的な落とし穴」が存在します。
それは、自分一人で手続きをすると、定款(会社のルールブック)に貼る収入印紙代「4万円」が強制的に発生してしまうという事実です。
プロが使う「電子定款」なら0円で済むこのコスト。
自分でやるための機材を揃えたり、慣れない書類作成に何十時間も費やした結果、金銭的にも損をしてしまうケースが後を絶ちません。
この記事では、会社設立を自分でやる場合の完全な手順とリアルな費用を解説した上で、最も賢く、安く会社を作るための「最適解」をご提案します。
▼ この記事のポイント ▼
- ✅ 自分でやるための3つのステップを完全図解
- ✅ 株式会社は約24万円、合同会社は約10万円が必要
- ✅ 「紙の定款」だと印紙代4万円の無駄が発生
- ✅ プロに依頼した方がトータルで安くなるカラクリ
※なお、電子定款や会社設立の全体像やロードマップを知りたい方は、
『1番わかる電子定款の教科書(トップページ)』
をブックマークして、辞書代わりにお使いください。
会社設立を自分でやる場合の全手順とスケジュール
会社設立を自分でやるとは、基本事項の決定から定款の作成、認証、資本金の払込み、そして登記申請までの全工程を、自身の責任と労力で完遂させるプロジェクトのことです。
行政書士や司法書士に依頼すれば、彼らがナビゲーターとなってくれますが、自分でやる場合はあなたが船長兼航海士です。
まずは全体像を把握しましょう。
一般的に、ゼロから準備を始めて登記完了までにかかる期間は、スムーズにいって「2週間〜1ヶ月」です。
私が相談を受けたDさんは、「ネットで調べれば1日でできると書いてあった」と勘違いし、退職翌日に法務局へ駆け込みましたが、当然ながら門前払いされました。
定款も作らず、印鑑も掘らずに会社は作れません。
ここでは、失敗のない具体的なステップを3段階に分けて解説します。

設立までの具体的な流れと期間
会社設立の流れは、大きく分けて以下の3フェーズで進行します。
これらを並行して進めるのではなく、順番にクリアしていくのが鉄則です。
【フェーズ1:基本事項の決定と準備(所要期間:3日〜1週間)】 まずは会社の「設計図」を作ります。 商号(会社名)、事業目的、本店所在地、資本金額、役員構成などを決めます。 同時に、会社の実印(代表者印)をハンコ屋さんに注文します。 意外と時間がかかるのがこの「ハンコ作成」です。 即日仕上げの店もありますが、こだわりの材質だと1週間かかることもあり、これが届かないと次のステップに進めません。 【フェーズ2:定款の作成と認証(所要期間:1週間)】 決定した事項をもとに「定款(ていかん)」を作成します。 株式会社の場合は、作った定款を公証役場へ持っていき、公証人の「認証」を受ける必要があります(合同会社は不要)。 公証役場は予約制が基本なので、飛び込みで行っても対応してもらえません。 事前にFAXやメールで原案を確認してもらい、修正を経て認証日を迎えます。 【フェーズ3:資本金の払込みと登記申請(所要期間:1日〜2週間)】 定款認証が終わったら、発起人の個人口座に資本金を振り込みます。 その通帳のコピーと、登記申請書、定款などをセットにして法務局へ提出します。 この「法務局に書類を出した日」が、記念すべき「会社設立日」となります。 ただし、提出して終わりではありません。
そこから法務局内での審査に約1週間〜10日かかり、問題がなければ晴れて登記完了、謄本(履歴事項全部証明書)が取得できるようになります。
以前、私の友人が自分で設立に挑戦しましたが、法務局での補正(修正指示)が3回も入り、結局設立日が予定より2週間も遅れてしまいました。
「自分でやる」ということは、こうした不測の事態も含めてスケジュール管理をする必要があるのです。
株式会社と合同会社の費用シミュレーション
次に、最も気になる「お金」の話です。
「自分でやればタダ(0円)」ではありません。
国に支払う税金(登録免許税)や手数料(公証人手数料)は、誰がやっても必ず発生する「法定費用」だからです。
ここで残酷な現実をお見せします。
実は、自分で「紙の定款」を作成して申請する場合が、最もコストパフォーマンスが悪いのです。
以下の比較表をご覧ください。
| 費目 | 株式会社(自分で/紙定款) | 合同会社(自分で/紙定款) | 【参考】電子定款の場合 |
|---|---|---|---|
| 定款収入印紙代 | 40,000円 | 40,000円 | 0円 |
| 定款認証手数料 | 約52,000円 (資本金による) | 不要 | 同左 |
| 登録免許税 | 150,000円 | 60,000円 | 同左 |
| その他の実費 (印鑑・謄本代等) | 約5,000円 | 約5,000円 | 約5,000円 |
| 合計目安 | 約247,000円 | 約105,000円 | 印紙代4万円分安い |
ご覧の通り、自分で紙の定款を作成すると、株式会社で約25万円、合同会社で約10万円がかかります。
もし、電子定款に対応している行政書士に依頼した場合、報酬が3万円だったとしても、印紙代の4万円が浮くため、トータルでは「自分でやるより1万円安く」なります。
「自分でやったのに高くついた」という悲劇は、この印紙代の仕組みを知らないことから起こるのです。
(印紙代4万円をドブに捨てたくない方は、電子定款の作成だけプロに頼むのも賢い手です)
法務局へ提出する必要書類リスト
最後に、法務局での登記申請に必要な書類を確認しましょう。
ここは「一字一句の間違いも許されない」厳格なエリアです。
基本セットは以下の通りです。
1. **登記申請書:** 法務局HPの雛形を使用。商号や目的は定款と完全一致させること。
2. **登録免許税の収入印紙貼付台紙:** コンビニではなく、郵便局か法務局で購入した高額印紙を貼る。
3. **定款の謄本:** 公証役場で認証を受けたもの(株式会社の場合)。
4. **発起人の決定書:** 本店所在地の詳細番地などを定めた書類。
5. **就任承諾書:** 役員になる人が「やります」と承諾した書類。
6. **払込証明書:** 資本金が振り込まれた通帳のコピーを綴じたもの。
7. **印鑑証明書:** 役員個人のもの(発行から3ヶ月以内)。
8. **印鑑届書:** 会社の代表印を登録するための書類。
特に多いミスが「印鑑証明書」の取り忘れや期限切れです。
また、書類に押すハンコが「実印」なのか「認印」なのか、あるいは「会社の実印」なのかを混同して押し間違えるケースも多発しています。
私が以前リカバリーを担当した案件では、ご自身で申請書を作成したEさんが、捨印(訂正用のハンコ)を押し忘れていたため、軽微な誤字訂正のためだけに法務局へ呼び出され、往復2時間を無駄にしていました。
書類作成はパズルと同じです。
1ピースでも欠ければ完成しません。
リストを片手に、何度もチェックする慎重さが求められます。
会社設立を自分でやるメリットと意外な注意点
会社設立を自分でやるメリットとは、単なる経費削減だけでなく、会社の構造や法律を深く理解し、経営者としての「基礎体力」を身につけられる点にあります。
自分の手で定款を作り、法務局へ足を運ぶことで、「自分がこの会社の生みの親だ」という強烈な愛着と責任感が芽生えるのは事実です。
しかし、そのメリットを打ち消してしまうほどの「意外な落とし穴」があることも忘れてはいけません。
それは、ビジネスにおいて最も重要な資源である「時間」と「集中力」を、利益を生まない事務作業に大量投下してしまうリスクです。
私は過去に、手続きをすべて自分で完遂したものの、その疲れから開業直後の営業活動がおろそかになり、初月の売上目標を大きく下回ってしまった起業家を知っています。
「手続きのプロ」になることがあなたのゴールではありません。
「ビジネスのプロ」として成功することがゴールのはずです。
ここからは、感情論ではなく「経営的な損得」の視点で、自分でやることのデメリットや難易度を冷静に分析していきます。
紙の定款だと4万円損するデメリット
自分で会社設立をする最大のデメリットは、先ほども触れた通り「収入印紙代の4万円」が余計にかかることです。
これは、努力ではどうにもならない構造的な損失です。
定款を「紙」で作成して認証を受ける場合、印紙税法により4万円分の収入印紙を貼ることが義務付けられています。
「たかが4万円」と思うでしょうか?
創業時の4万円は、売上に換算すれば数十万円分の価値があります。
例えば、利益率10%のビジネスなら、40万円を売り上げてようやく手元に残る金額です。
それを、単に「紙で出したから」という理由だけで国に納めるのは、経営判断としてあまりに非効率です。
以前相談に来られたFさんは、「全部自分でやってこそ意味がある」という信念をお持ちで、私の忠告を振り切って紙の定款で設立されました。
しかし、後日彼はこう言いました。
「法務局の帰りに家電量販店に寄ったら、欲しかった高機能なプリンターが3万8千円で売っていたんだ。あの印紙代4万円があれば、これが買えたのかと思ったら、急に馬鹿らしくなってね…」
この「4万円の損失」は、電子定款を使えば100%回避できます。
しかし、次でお話しするように、個人で電子定款を導入するには高いハードルがあります。
だからこそ、「定款作成だけは電子定款対応のプロに任せる」というハイブリッドな選択肢が、最も賢い「4万円の守り方」となるのです。
節約の鍵となる電子定款の落とし穴
「じゃあ、自分でも電子定款をやればいいじゃないか」と考えるのが自然な流れです。
しかし、ここには「機材とソフトの投資コスト」という大きな落とし穴が待ち構えています。
電子定款を作成・署名・送信するためには、以下の環境を自前で整える必要があります。
1. **マイナンバーカード**(これは持っている前提とします)
2. **ICカードリーダーライター**(約3,000円〜)
3. **Adobe Acrobat ProなどのPDF作成ソフト**(月額約2,000円〜、または永続版数万円)
4. **署名プラグインソフト**(SignedPDFなど。無料体験版で乗り切る裏技もありますが、設定は複雑)
5. **法務省の申請用ソフトウェア**(インストールと設定が必要)
これらを全て揃え、マニュアルを読み込み、ドライバをインストールして環境構築をするのに、慣れている人でも半日はかかります。
パソコンが苦手な人なら、数日潰れることもザラです。
実際に、Gさんというお客様は「自分で電子定款に挑戦する」と言って機材を揃えましたが、カードリーダーがうまく認識せず、エラーとの格闘に3日間を費やしました。
結局、「もう無理です、お願いします」と私に依頼されましたが、その時点で機材代と3日間の時間は戻ってきません。
「4万円を浮かすために、機材代を払い、自分の時給を何十時間もドブに捨てる」。
これでは本末転倒です。
プロに依頼すれば、機材もソフトも不要。
手数料が仮に1〜2万円かかったとしても、印紙代4万円が浮くため、確実にプラスになります。
「節約の鍵」である電子定款は、素人が素手で触ると火傷をするツールなのです。
専門家に依頼すべきかどうかの難易度判定
では、あなたは「自分でやるべき」か「プロに任せるべき」か。
その判断基準となる「難易度」と「向き不向き」を整理しました。
以下のチェックリストで、ご自身の状況を判定してみてください。
【自分でやってもOKな人(難易度:低〜中)】
✅ 平日の日中に何度も役所(公証役場・法務局)に行ける時間がある。
✅ パソコン操作や公的書類の読解が得意で、苦にならない。
✅ 設立予定日まで1ヶ月以上の余裕がある。
✅ 株主=自分、役員=自分だけのシンプルな構成である。
✅ 「4万円の印紙代」を支払ってでも、経験を買いたい。
【専門家に依頼すべき人(難易度:高)】
✅ 平日は仕事があり、役所に行く時間が取れない。
✅ 書類作成や細かいチェックが苦手で、ミスをする自信がある。
✅ できるだけ安く(電子定款で)設立したい。
✅ 役員が複数いる、出資者が別にいるなど、権利関係が複雑。
✅ 1円でも無駄なコストをかけず、事業資金に回したい。
会社設立は、一生に何度も経験するものではありません。
だからこそ、「自分でやって覚える」価値は限定的です。
もしあなたが「時給3,000円」以上の価値を生み出せるビジネスパーソンなら、50時間かけて慣れない手続きをするよりも、その時間を営業や商品開発に使い、手続きは数万円でプロに外注する方が、経済合理的にも正解と言えるでしょう。
「社長」の仕事に集中できる未来を手に入れる
ここまで、会社設立を自分でやる手順と、プロに依頼する損得についてお話ししてきました。
結論として、私の提案はこうです。
「全体の流れは自分で把握しつつ、電子定款や登記申請といった『専門性が高くリスクのある部分』だけをプロに任せる」。
これが、コスト、時間、品質のすべてにおいて最もバランスの取れた選択です。
会社設立手続きが完了した瞬間、あなたは法的に「社長」になります。
しかし、真の社長の仕事は、書類を作ることではありません。
顧客を喜ばせ、利益を生み出し、社会に価値を提供することです。
面倒な事務作業から解放され、晴れやかな気持ちで開業初日を迎える。
そして、浮いた4万円で名刺をアップグレードしたり、チームの決起集会を開いたりする。
そんな「幸先の良いスタート」を切るために、どの方法が自分にとってベストか、今一度考えてみてください。
あなたの起業が、手続きに忙殺されるものではなく、希望に満ちた第一歩となることを願っています。
これから起業するあなたへ
失敗させないための「3つの武器」を贈ります✨
🎁 スペシャルプレゼント内容
- ① 1年以内に80%廃業を100%生き残りに変えた「裏・創業マニュアル」
- ② あなたの会社の法人口座開設、許認可、融資、オフィス開設などを支援する【0円企業診断】
- ③ サクセスファンクラブ会員【25%割引券】
※予告なく終了する場合があります。
よくある質問(FAQ)
Q. 途中まで自分でやって、挫折したらプロに頼めますか?
A. 可能です。ただし、作成途中の書類のチェックや修正に手間がかかり、最初から依頼するのと費用が変わらない(あるいは追加料金がかかる)ケースもあります。「定款認証前」であれば比較的スムーズに引き継げます。
Q. 自分で設立すると、銀行の法人口座審査で不利になりますか?
A. 基本的には「自分でやったから」という理由だけで審査に落ちることはありません。しかし、定款の「事業目的」があまりに不明確だったり、書類に不備が多いと、経営能力を疑われる可能性はゼロではありません。
Q. 会社設立freeeなどの無料ソフトを使えば電子定款も0円ですか?
A. いいえ。ソフト自体は書類作成をサポートしてくれるものですが、電子定款の作成・署名に関しては「行政書士に依頼する(手数料5,000円〜)」というオプションになっていることが一般的です。完全に0円で電子定款を作るには、前述の機材購入が必須です。
この記事を書いた人
行政書士 小野 馨
会社設立・電子定款専門の行政書士。起業家の「面倒」を「武器」に変えるサポートを信条に、年間数百件の相談に対応。実務とマーケティングの両面から、失敗しない創業を支援しています。
## ■ 付属資料:H2見出し用・画像生成プロンプト(Powered by Banana)
**【H2-1: 会社設立を自分でやる場合の全手順とスケジュール 用】**
> **Prompt:** A detailed roadmap illustration showing three steps of company establishment: Preparation, Articles of Incorporation, and Registration. Isometric 3D style, clean lines, white background with blue and gold accents, professional and educational --ar 16:9 --v 6.0
> **Concept:** 会社設立の3ステップ(準備・定款・登記)を、すごろくやロードマップのような俯瞰図で表現。わかりやすさと計画性を重視。
**【H2-2: 会社設立を自分でやるメリットと意外な注意点 用】**
> **Prompt:** A balance scale comparing "Experience" (glowing book) on one side and "Lost Money" (fading Japanese Yen bills) on the other. High quality 3D render, dramatic lighting, symbolizing the trade-off of doing it yourself, white background --ar 16:9 --v 6.0
> **Concept:** 「経験」と「失うお金(印紙代)」を天秤にかけているイメージ。メリットとデメリットの比較を視覚化。
会社設立や電子定款認証のスペシャリスト!開業17年・年間実績500件以上。実は、電子定款の制度ができた10年以上前から電子定款認証の業務を行なっているパイオニアです!他との違いは、まず定款の完成度!内容はモデル定款のモデルと言われ全国数百箇所の公証人の目が入っている優れもの!そして電子署名はまるでサインのようなかっこいい電子署名です!その電子定款であなたの大切な会社設立を真心込めて応援します!