電子定款・手続き

資本金いくらが正解?会社設立時の融資と消費税に有利な決め方【平均と手数料】

会社設立の資本金:最適額と融資

行政書士 小野馨

こんにちは!
開業20年で電子定款の実績5000件、行政書士の小野馨です。

今回は【資本金いくらが正解?融資と消費税免税に有利な金額の決め方】というテーマでお話しします。

「資本金、とりあえず1円でもいいんですよね?」

これから起業するお客様から、毎日のようにこの質問をいただきます。

確かに、今の法律では「資本金1円」で会社を作ることは可能です。

注意ポイント

しかし、安易に1円や低すぎる金額設定をしてしまったがために、創業直後に「銀行口座が作れない」「融資が通らない」と頭を抱える経営者を、私は何人も見てきました。

資本金は、単なる初期費用ではありません。

あなたの会社の「体力」であり、社会に対する「本気度」を示す最初のメッセージなのです。

「じゃあ、結局いくらにすればいいの?」

そう迷っているあなたへ、今回は行政書士として5000件以上の現場を見てきた経験から、「損をしない資本金の決め方」をズバリ解説します。

これを読めば、融資、税金、手数料、そして将来の許認可まで見越した、あなたにとって「正解」の金額が必ず見つかります!

▼ この記事のポイント ▼

  • ✅ 「1円起業」は可能だが、銀行口座開設と信用面でリスク大
  • ✅ 資本金の平均相場は「100万円〜300万円」が最も多い
  • ✅ 資本金の額によって「定款認証の手数料」が3万円〜5万円に変わる
  • ✅ 融資を受けるなら「自己資金の10倍」が限度額の目安になる

会社設立の資本金いくらにする?1円起業の罠と相場

資本金とは、事業を始めるための「元手(運転資金)」であり、対外的に会社の「信用力」を数値化したもののことです。

「会社法」という法律が変わる前は、株式会社を作るには最低1000万円が必要でした。

しかし現在は規制緩和により、極端な話「1円」でも会社を作ることができます。

法務省:会社法の一部を改正する法律について

「じゃあ、手軽に1円で!」

そう思う気持ちは痛いほどわかります。
初期費用は抑えたいですよね?

しかし、現場を知る行政書士として断言します。

「特別な戦略がない限り、資本金1円はやめておけ」と。

なぜなら、資本金は会社の「履歴書」のようなものだからです。

あなたが取引先だとして、資本金1円の会社と、300万円の会社、どちらと安心して取引したいですか?

ここでは、金額を決めるための判断材料として、リアルな「信用リスク」「世間の相場」「手数料の違い」について深掘りしていきます。

[画像指示:天秤のイラスト(alt="会社設立の資本金1円と信用のバランス")]

会社設立時に知っておくべき「1円起業」のリアル

まずは、誰もが一度は考える「1円」での**会社設立**についてお話しします。

以前、私が相談を受けたIT起業家のAさんの話です。
Aさんは「Webサービスだし、パソコン1台あればいいから」と、資本金1円で会社を設立しました。

設立手続き自体は問題なく完了しました。
しかし、地獄はその後すぐにやってきました。

「法人口座が作れないんです……」
Aさんは真っ青な顔で私に電話をかけてきました。

銀行に行くと、「資本金1円ですか? 事業実態はどうなっていますか?」と厳しく追及され、結局、大手都市銀行だけでなく、ネット銀行の審査も落ちてしまったのです。

なぜこんなことが起きるのでしょうか?
銀行から見れば、資本金1円の会社は「いつでも捨てられる会社」「実態のないペーパーカンパニーではないか?」という疑いの目で見られがちだからです。

さらに、法人口座がないと、取引先からの入金も「個人名義の口座」にお願いすることになります。
これでは、せっかく法人化したのに、相手に「この会社、大丈夫か?」と不安を与えてしまいますよね。

もちろん、1円設立ですべての銀行がダメなわけではありません。
しかし、スタートダッシュで余計な苦労を背負い込むリスクがあることは、覚悟しておかなければなりません。

 

平均いくらが妥当?みんなが選ぶ「300万円」の理由

では、世の中の社長たちは、一体いくらに設定しているのでしょうか?
ここで気になる**平均**の話をしましょう。

私の事務所で扱う案件や、国税庁の統計データなどを見ても、最も多いボリュームゾーンは**「100万円〜300万円」**です。

なぜ、この金額が多いのでしょうか?
理由は3つあります。

1. **初期の運転資金として現実的だから**
会社を作っても、すぐに売上が入るわけではありません。
家賃、光熱費、自分の役員報酬など、半年分くらいの経費を計算すると、だいたい100万〜300万円くらい必要になるケースが多いのです。

2. **対外的な見栄えが良いから**
名刺交換や会社案内で資本金の額を見られたとき、100万円以上あれば「ああ、ちゃんとした会社だな」と安心してもらえます。
これは日本社会独特の「空気感」ですが、ビジネスでは無視できない要素です。

3. **消費税免税事業者の要件を満たすから**
これは後ほど詳しく解説しますが、資本金1000万円未満であれば、設立1期目は消費税が免税になります。
そのため、多くの企業が1000万円未満、かつ信用力のある金額として300万円前後を選ぶのです。

「みんなと同じ」というのは、ビジネスにおいては「悪目立ちしない」という強みになります。
もし迷ったら、まずは**「300万円」**を基準に、ご自身の資金力と相談して増減を考えるのが、最も失敗の少ない王道ルートです。

手数料が変わる!定款認証のコスト差を知っていますか?

ここで、意外と知られていない「お得な情報」をお伝えします。
実は、資本金の額によって、公証役場で支払う「定款認証の**手数料**」が変わるのです。

これは、令和4年(2022年)1月から施工された新しいルールです。
日本公証人連合会:定款認証の手数料について

具体的には、以下のように3段階に分かれています。

資本金の額定款認証手数料判定
100万円未満30,000円一番安い!
100万円以上〜300万円未満40,000円標準的
300万円以上50,000円従来通り

いかがでしょうか?
資本金を100万円未満(例:99万円など)にすれば、手数料は3万円で済みます。
逆に300万円以上にすると、5万円かかります。

その差額は2万円。
「たった2万円?」と思うかもしれませんが、創業時の2万円は貴重ですよね。
印鑑カードを作ったり、名刺を刷ったりできます。

ただ、ここで注意してほしいのは「手数料をケチるあまり、信用を失ってはいけない」ということです。
先ほどお伝えした通り、信用重視なら300万円がおすすめです。
しかし、副業からのスモールスタートや、信用よりも現金を温存したい場合は、あえて「資本金50万円(手数料3万円)」や「資本金100万円(手数料4万円)」を狙うのも賢い戦略です。

大切なのは、この「ルールを知った上で選ぶ」ことです。
何も知らずに「キリがいいから300万円」にして5万円払うのと、知った上で選ぶのとでは、経営者としてのレベルが違いますよね?

(もし、ご自身の最適解がわからなかったり、手続きが面倒なら、丸投げも可能です。詳細はこちら)

融資と消費税で損しない資本金いくら?戦略的決め方

資本金の額を決める際、絶対に無視してはいけないのが「融資」と「税金」のルールです。

結論から言います。
戦略的な資本金の決め方とは、**「融資の審査を有利に進め、かつ消費税の支払いを少しでも先延ばしにするギリギリのラインを攻めること」**です。

「えっ、そんなことができるんですか?」
はい、できます。むしろ、これを知らずに金額を決めてしまうと、後から「数百万円単位」で損をする可能性があるのです。

ここでは、創業融資の審査基準や、消費税の免税ライン、さらには許認可ビジネスにおける「500万円の壁」について、行政書士の視点で生々しく解説します。

[画像指示:電卓と金貨の山、そして銀行員との握手(alt="融資と消費税を考慮した資本金設定")]

融資の審査に響く!自己資金と資本金の「黄金比率」

創業時に銀行や日本政策金融公庫から**融資**を受けようと考えているなら、資本金の額は命取りになります。

なぜなら、創業融資の審査には「自己資金の要件」があるからです。
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」などの要件を見ると、建前上は「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」となっています。
日本政策金融公庫:新創業融資制度

しかし、現場の実感として断言します。
**「自己資金の10分の1」ギリギリでは、満額融資はまず通りません。**

実際には、「自己資金の2倍〜3倍」、良くても「4倍〜5倍」くらいが融資限度額の現実的なラインです。

ここで想像してみてください。
もし、あなたが「資本金1円」で会社を作ったとします。
通帳にある会社の資産は1円です。
この状態で銀行に行き、「1000万円貸してください!」と言ったらどうなるでしょうか?

銀行員は心の中でこう思います。
「あなたは自分のビジネスに1円しかリスクを負っていないのに、銀行には1000万円のリスクを負わせるんですか?」と。
門前払いされるのがオチです。

逆に、コツコツ貯めた「300万円」を資本金にしていればどうでしょう?
「300万円も自分で用意した努力家なら、さらに600万円〜900万円くらい貸しても返してくれるだろう」と、信用が一気に跳ね上がるのです。

つまり、融資を受けたい金額から逆算して資本金を決める必要があります。
「1000万円借りたいなら、最低でも200万〜300万円の資本金(自己資金)を用意する」。
これが、融資を引き出すための黄金ルールなのです。

消費税1000万円の壁!あえて「999万円」にする戦略

次に、税金の話です。
会社設立時に最も意識すべき税金、それは法人税ではなく**消費税**です。

現在の税制では、原則として**「資本金1000万円未満」**で設立された法人は、設立1期目(場合によっては2期目も)の消費税納税義務が免除されます。
国税庁:基準期間がない法人の納税義務の免除の特例

これは強烈なメリットです。
例えば、初年度に売上が5000万円あがったとします。
簡易計算ですが、受け取った消費税(10%)の500万円近くが、そのまま会社の利益として残る可能性があるのです(※インボイス制度登録の有無によります)。

もし、見栄を張って「資本金1000万円ジャスト」で設立してしまうとどうなるか?
設立初年度から消費税の納税義務が発生します。
たった1万円の差で、数百万円の税金を払うことになるのです。

これを避けるために、多くの賢い経営者は、あえて資本金を**「900万円」**や**「999万円」**に設定します。
「1000万円の壁」のギリギリ手前で止めるわけです。

「でも、インボイス制度が始まったから、どのみち消費税を払わないといけないのでは?」
鋭い質問ですね。
確かにインボイス発行事業者になれば消費税の納税が必要ですが、それでも「2割特例」などの軽減措置が使える場合があります。
また、取引先が一般消費者(BtoC)メインであれば、あえてインボイス登録をせず、免税事業者のままでいるという選択肢も残ります。

重要なのは「選択権を持つこと」です。
資本金1000万円以上にしてしまうと、最初から選択権がありません。
1000万円未満にしておけば、状況に合わせて「免税」か「課税」かを選べるのです。

建設業なら500万円必須?許認可を見据えた逆算思考

最後に、見落としがちな**許認可**の話をします。
もしあなたが、「建設業」や「宅建業(不動産)」、「人材派遣業」などを始めようとしているなら、法律で「最低限必要な資産要件」が決まっている場合があります。

特に相談が多いのが**「建設業許可(一般)」**です。
この許可を取るためには、「自己資本が500万円以上あること」という財産要件をクリアしなければなりません。
国土交通省:建設業許可の要件

もし、資本金100万円で会社を作ってしまったらどうなるでしょうか?
許可を取りたいと思った時に、400万円足りません。
その場合、「400万円の利益が出るまで頑張って内部留保を貯める」か、「増資手続き(数万円のコストがかかる)をして資本金を増やす」しかありません。

これは二度手間ですし、許可が取れるまで大きな工事を受注できないという「機会損失」につながります。

ですから、将来的に建設業許可を取るつもりがあるなら、最初から**「資本金500万円」**で設立するのが正解です。
「後でやればいいや」は、ビジネスのスピードを殺してしまいます。

ご自身の業種に許認可が必要かどうか、必ず事前にチェックしてください。
もしわからなければ、私たち専門家に相談してくださいね。

あなたが得られる未来

ここまで、資本金の決め方について、かなり踏み込んでお話ししてきました。
「1円でもいい」という甘い言葉の裏には、信用リスクや口座開設の壁があること。
「1000万円の壁」や「許認可の要件」を知っているかどうかで、スタートラインが大きく変わること。

これらを理解した今のあなたは、もう「なんとなく」で金額を決めることはないはずです。

「よし、うちは融資を見据えて300万円でいこう!」
「うちは建設業だから、覚悟を決めて500万円用意しよう!」

そうやって、理由を持って決めた資本金は、あなたの会社の「背骨」になります。
銀行員の前でも、取引先の前でも、堂々と胸を張って営業ができるようになります。

その自信こそが、起業成功への第一歩です。
あなたの会社が、最適な資本金を武器に、最高のスタートダッシュを切れることを心から応援しています!

これから起業するあなたへ
失敗させないための「3つの武器」を贈ります✨

🎁 スペシャルプレゼント内容

  • ① 1年以内に80%廃業を100%生き残りに変えた「裏・創業マニュアル」
  • ② あなたの会社の法人口座開設、許認可、融資、オフィス開設などを支援する【0円企業診断】
  • ③ サクセスファンクラブ会員【25%割引券】


今すぐ3つの特典を受け取る >

※予告なく終了する場合があります。

よくある質問(FAQ)

Q. 資本金は現金以外(パソコンや車など)でもいいですか?
A. はい、可能です。これを「現物出資」と呼びます。ただし、定款への記載が必要で、総額が500万円を超える場合は裁判所の検査役の調査が必要になるなど、手続きが複雑になる場合があります。少額であれば、手持ちのパソコンなどを資本金に組み込むのは賢い方法です。
Q. 資本金は後から増やす(増資する)ことはできますか?
A. はい、いつでも可能です。ただし、その都度「株主総会の決議」や「法務局での変更登記」が必要になり、登録免許税(最低3万円〜)や司法書士報酬などのコストがかかります。最初から必要な額を設定しておくのがベストですが、事業拡大に合わせて増資するのは一般的な経営判断です。
Q. 資本金を使ったらなくなってしまいますが、補充が必要ですか?
A. いいえ、補充の義務はありません。資本金はあくまで「設立時に用意した元手」の記録であり、事業に使って銀行残高が減っても、登記上の「資本金の額」は変わりません。むしろ、事業を回すためにどんどん使って利益を生み出すためのものです。

## ■ 添付:H2見出し用 画像生成プロンプト (Powered by Banana)

**[For H2-1: 会社設立の資本金いくらにする?1円起業の罠と相場]**
> **Prompt:** A balanced scale concept art, one side has a single gold coin representing 1 yen, the other side has a heavy stack of documents labeled TRUST, white background, cinematic lighting, photorealistic, 8k, highly detailed, professional administrative scrivener atmosphere --ar 16:9 --v 6.0
> **Concept:** (天秤の片方に「1円玉」、もう片方に「重厚な信用(書類の山)」が乗っている様子。1円起業の軽さと、信用の重さを対比させる。)

**[For H2-2: 融資と消費税で損しない資本金いくら?戦略的決め方]**
> **Prompt:** A strategic business planning scene, a close-up of a calculator showing the number 9,990,000, blurred background of a bank vault and tax forms, blue and gold color scheme, sharp focus, professional financial advice, intelligent atmosphere --ar 16:9 --v 6.0
> **Concept:** (電卓に「9,990,000」という数字が表示されているクローズアップ。背景に銀行の金庫や税金の書類をぼかして配置し、戦略的なギリギリのラインを攻める賢さを表現。)

オファー

-電子定款・手続き