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会社の定款変更手続き|株主総会の流れと議事録作成を行政書士が解説

会社の定款変更・株主総会の流れや議事録作成

会社の定款変更・株主総会の流れや議事録作成

警告:「どうせ形式的なものだから」と、ネットの雛形をツギハギで定款変更しようとしていませんか?

その「1行の記載ミス」が、将来の融資審査を止め、許認可を取り消し、最悪の場合、株主間トラブルで会社を空中分解させる時限爆弾になります。

行政書士 小野馨
こんにちは!

開業20年で5000社以上の起業をサポートし、多くの社長の「生存」と「廃業」の分岐点を見てきた行政書士の小野馨です。

今回は【会社の定款変更手続き|株主総会の流れと議事録作成】というテーマについて、きれいごとは抜きにして、本音で解説します。

会社経営を続けていれば、必ず「変化」の時が訪れます。

  • 「新しい事業を始めたい」
  • 「社名を変えて心機一転したい」
  • 「本社を移転したい」

これらはすべて、会社の憲法である「定款」の変更を伴う重大な手続きです。

しかし、多くの経営者が「法務局に出せば終わり」と軽く考えています。

本記事では、手続きの不備で法務局から突き返されないための手順はもちろん、「経営戦略として、どのような定款変更を行うべきか」という視点まで踏み込んで解説します。

▼ この記事のポイント ▼

  • ✅ 定款変更が必要な「4大ケース」と経営リスク
  • ✅ 3万円では済まない? 見えないコストの全貌
  • ✅ 株主総会の「特別決議」を成立させる要件
  • ✅ そのまま使える「議事録」の最強雛形

そもそも「定款変更」が必要なケースとは? 経営者が知るべきリスクとコスト

定款変更とは、会社設立時に定めた「会社の基本ルール」を、現状のビジネスに合わせて書き換える作業です。

「ちょっと書き直すだけでしょ?」と思われるかもしれませんが、法的には「株主総会の特別決議」という非常に重い手続きを経なければ、一文字たりとも変更することは許されません。

注意ポイント

なぜなら、定款の内容は登記事項証明書(登記簿謄本)に反映され、取引先や金融機関がその会社を信用するかどうかの判断材料になるからです。

ここでは、具体的にどのような場面で変更が必要になり、どれくらいのコスト(痛み)を伴うのか、経営者が直視すべき現実を詳しく解説していきます。

定款変更のリスクと経営判断

[画像はAIで生成したものです]

定款変更が必要な「4つの典型的ケース」と経営判断の重み

定款変更が必要なケースとは、登記事項に変更が生じる場合、または会社内部のルール(機関設計など)を変更する場合のことです。

実は、多くの起業家がここで躓きます。

「カフェを経営していたが、夜はバーとしてお酒も出したいし、ついでに古着も売りたい」

そう思い立った社長が、何も考えずに営業を始めようとして、私が慌てて止めたことがあります。

「社長、今の定款の『目的』に『古物営業』が入っていません。これでは警察署で古物商の許可が下りず、無許可営業で逮捕されるリスクがありますよ」

定款はただの紙切れではありません。

ココがポイント

許認可申請の土台であり、銀行が融資の可否を判断する「事業の証明書」なのです。

具体的に、定款変更が必須となる代表的な4つのケースを見ていきましょう。

1. 商号(会社名)の変更

ブランドイメージの刷新や、M&Aによる変更などが該当します。

単に名前が変わるだけでなく、銀行口座の名義変更、社会保険の手続き、契約書の巻き直しなど、膨大な事務作業が発生します。

2. 事業目的(ビジネス内容)の追加・削除

最も多いケースです。

新規事業を始める際は、必ず定款の「目的」欄を確認してください。

注意ポイント

特に建設業、宅建業、運送業、産廃業、古物商などの「許認可ビジネス」を行う場合、定款の目的に「正しい文言」が入っていなければ、役所は申請を受理してくれません。

「〇〇業」と書けばいいというものではなく、管轄の役所が求める「特定のキーワード」が含まれている必要があるのです。

3. 本店所在地の移転

オフィスの引っ越しです。

注意ポイント

定款に「当会社は本店を東京都渋谷区に置く」と定めている場合、渋谷区内での移転なら定款変更は不要(取締役会決議のみ)ですが、港区へ移転する場合は定款変更が必要です。

管轄の法務局が変わる場合、登録免許税が倍額(6万円)になるため注意が必要です。

4. 発行可能株式総数の変更

増資(資金調達)を行う際、定款で定めた「発行できる株式の上限」を超えてしまう場合に必要となります。

VC(ベンチャーキャピタル)からの出資を受けるスタートアップ企業では頻繁に行われます。

誤解を恐れずに言えば、定款変更は「会社の履歴書を書き換える」行為です。

ココに注意

その記載内容一つで、許認可が取れたり取れなかったり、融資が通ったり通らなかったりする。

それほどの影響力を持つ手続きであることを、まずは肝に銘じてください。

【見えないコスト】手続きにかかる費用(登録免許税・司法書士報酬)と時間の真実

定款変更にかかるコストとは、「登録免許税」という法定費用と、「専門家報酬」などの実費、そして経営者の「時間単価」の合計のことです。

「自分でやればタダですよね?」と聞かれることがありますが、それは大きな間違いです。

私の依頼者でも、コストをケチって自分で手続きをしようとし、法務局で何度も書類の不備を指摘され、結局3日も会社を空けてしまった社長がいました。

彼の時給を経営者として換算すれば、数万円以上の損失です。

ここでは、見落としがちな「リアルなコスト」をシミュレーションしてみましょう。

【株式会社の定款変更(商号変更+目的変更)にかかる費用概算】

項目金額(税込目安)備考
登録免許税30,000円法務局に納める印紙代。

※本店移転(管轄外)なら60,000円

司法書士報酬30,000円〜50,000円登記申請の代行手数料。

内容の複雑さにより変動。

実印作成費5,000円〜20,000円商号変更の場合必須。

ゴム印や名刺の刷り直しも含む。

謄本取得費1通 600円銀行や役所への届出用に数通必要。
合計約 7万円〜12万円これに加えて「経営者の作業時間」がかかる。

1. 登録免許税(3万円の壁)

定款変更の登記申請には、1件につき3万円の登録免許税がかかります。

「商号変更」と「目的変更」を同時に行えば、1回の申請で済むため3万円です。

しかし、別々に申請すればそれぞれ3万円、合計6万円かかります。

「来月あれも変えよう」ではなく、変更事項はまとめて一回で行うのが節約の鉄則です。

2. 専門家報酬(安心料)

行政書士や司法書士に依頼する場合、3万〜5万円程度が相場です。

これを「高い」と感じるか、「保険」と感じるか。

目的変更の場合、プロは「将来この事業もやるかもしれませんね?」と先回りして提案し、将来的な変更コスト(再度の3万円)を削減してくれます。

3. 見えないレシート(事務負担)

商号を変えると、法務局の手続きだけでは終わりません。

銀行口座の名義変更、税務署への届出、社会保険事務所、労働基準監督署、公共料金の引き落とし先変更…。

これらの「事後処理」にこそ、膨大な時間が奪われます。

あえて厳しいことを言いますが、資金ギリギリの状態で、思いつきで社名を変えるのは自殺行為です。

定款変更は、コストとリターンを天秤にかけた上で行う「投資」だと認識してください。

👨‍⚖️

行政書士 小野馨の「ここだけの話」

定款の「目的」欄ですが、実は最近、銀行審査が厳しくなっています。「事業内容が多すぎて何が本業かわからない会社」は、融資で警戒される傾向にあるのです。一昔前のように「将来やるかもしれないから」と、脈絡のない事業を20も30も羅列するのは逆効果。現在は「実態のある事業+関連事業」に絞るのが、スマートで信用される定款のトレンドです。

💡 3秒でわかるまとめ:

  • 定款変更は「許認可」や「融資」に直結する経営判断。
  • 登記には最低3万円の税金がかかる。複数変更はまとめるのがお得。
  • 商号変更後の「事後手続き」のコストも計算に入れるべし。

失敗できない「株主総会」の招集から決議までの実務フロー

「うちは社長一人の会社だから、株主総会なんて開かなくていいですよね?」

これは、私が相談を受ける中でトップ3に入る勘違いです。

たとえ株主が社長一人であっても、あるいは家族だけであっても、法律上、定款変更には「株主総会」というプロセスが絶対に必要です。

なぜなら、法務局は「株主総会が開かれ、適正に決議されたこと」を証明する書面(議事録)がなければ、変更登記を受け付けてくれないからです。

ここでは、形だけの開催に終わらせない、実務上有効な株主総会の進め方を解説します。

株主総会の招集と決議の流れ

[画像はAIが生成しています。]

【開催1週間前】招集通知の発送と「みなし総会」の活用テクニック

株主総会の招集手続きとは、原則として「総会開催日の1週間前(公開会社は2週間前)までに、株主に対して招集通知を発走すること」です。

「えっ、妻と息子しか株主がいないのに、いちいち郵送するんですか?」

驚かれるのも無理はありません。

実務上、中小企業の9割以上は、この厳格な招集手続きを省略しています。

しかし、ただ「やらなくていい」わけではありません。

「全員が同意しているなら、手続きを省いてもいいよ」という法律の例外規定(会社法300条)を使っているだけなのです。

具体的には、以下の2つの方法があります。

1. 招集手続の省略(全員の同意)

株主全員から「招集手続きを省略して、今すぐ総会を開くことに同意します」という意思表示があれば、通知期間(1週間)を待たずに、いつでも開催できます。

実務では、株主総会議事録の冒頭に「株主全員の同意により招集手続を省略し、即時開催した」と記載することで処理します。

2. 書面決議(みなし決議)の活用

そもそも「集まること」すら省略する方法です。

取締役が定款変更の提案を行い、株主全員が書面(またはメール)で「同意」の意思表示をした場合、株主総会を開催せずに決議があったとみなされます(会社法319条)。

これを「みなし総会」と呼びます。

【ここだけの現場テクニック】

私が中小企業のクライアントに提案するのは、多くの場合「招集手続の省略」を利用した開催です。

全員が顔を合わせられる関係なら、わざわざ書面決議にするよりも、「集まってハンコを押す」ほうが手っ取り早いからです。

ただし、将来的に「言った言わない」の骨肉の争いになるリスクが0.1%でもあるなら、必ず「招集通知」を出し、証拠を残してください。

「家族だから大丈夫」といって適当に済ませ、相続発生後に「あの時の定款変更は無効だ!」と親族間で裁判になった事例を、私は嫌というほど見てきました。

【当日】定款変更には「特別決議」が必須! 3分の2の壁を超える要件解説

ポイント

定款変更の決議要件とは、「議決権の過半数を有する株主が出席し、その出席株主の議決権の3分の2以上の賛成」が必要となる「特別決議」のことです。

通常の役員選任などは「普通決議(過半数の賛成)」で決められます。

しかし、定款変更は会社の根幹に関わるため、よりハードルが高い「特別決議」が求められるのです。

この「3分の2」という数字、経営者なら絶対に暗記しておくべき数字です。

パーセンテージで言うと、約66.7%です。

注意ポイント

逆に言えば、「33.4%(3分の1超)」の株式を持つ株主が一人でも反対すれば、定款は指一本触れられないということです。

【恐怖のシミュレーション:34%の反乱】

参考

ある創業社長の事例です。

創業時、資金不足で友人に出資してもらい、34%の株式を渡していました。

事業が軌道に乗り、新しい事業目的を追加しようとしたところ、仲違いしていたその友人が「俺は反対だ」と言い出しました。

結果どうなったか?

何もできませんでした。

商号変更も、目的追加も、本店移転も、すべてブロックされました。

その会社は、成長のチャンスを逃し、事実上の「飼い殺し」状態になってしまったのです。

これが、会社法が定める「特別決議」の重みです。

定款変更を行う際は、必ずご自身の会社の「株主名簿」を確認してください。

  • 誰が何株持っているか。
  • 確実に賛成してくれる株主だけで、議決権の3分の2(66.7%)を超えているか。

もし超えていなければ、総会を開く前に、反対しそうな株主への根回し(あるいは株式の買取交渉)が、何よりも優先すべき「生存戦略」となります。

👨‍⚖️

行政書士 小野馨の「ここだけの話」

定款変更の効力発生日(いつから変わるか)は、原則として「株主総会の日」です。しかし、議事録の中で「令和〇年〇月〇日から変更する」と将来の日付を指定することも可能です。新しい会社名の看板が出来上がるタイミングに合わせたい場合などは、この「停止条件付決議」を使うとスムーズですよ。

💡 3秒でわかるまとめ:

  • 定款変更は「特別決議」が必要。出席株主の3分の2以上の賛成が条件。
  • 中小企業は「招集手続の省略」でスピード開催が可能(全員同意時)。
  • 持ち株比率33.4%以上の反対者がいると、定款は一切変更できない。

【行政書士監修】法務局で受理される「株主総会議事録」の書き方と雛形

株主総会が無事に終わっても、安心してはいけません。

法務局という名の関所を通るためには、当日の議論の内容を証明する「株主総会議事録」という通行手形が必要です。

「どうせ身内だけの会議だから、適当に書いておけばいいだろう」

そんな甘い考えで作成した議事録が、法務局の窓口で「記載不備」として突き返され、代表印を押し直すために社長を呼び戻す羽目になった担当者を何人も見てきました。

ここでは、会社法318条の要件を完全に満たし、一発で登記が通る「鉄壁の議事録」の作成法を伝授します。

[画像はAIが生成しています]

議事録は「証拠書類」。記載しなければならない法定記載事項(会社法318条)

株主総会議事録の法定記載事項とは、「開催日時・場所」「議事の経過の要領及びその結果」「出席した取締役等の氏名」「議長の氏名」など、会社法施行規則72条で定められた必須項目のことです。

実は、議事録作成において最も多い失敗は、「書くべきことを書いていない」ことではなく、「余計なことを書いて墓穴を掘る」ことです。

私のクライアントで、過去の議事録を見せてもらった際、こんな記載がありました。

『株主A氏より、今回の定款変更は時期尚早ではないかとの慎重論が出たが、社長が説得し、最終的に了承された』

読み物としては面白いですが、法務局提出用としては0点です。

「説得し」という曖昧な表現は、「強引に決めたのではないか?」という疑念を招きかねません。

登記用の議事録に必要なのは、ドラマではなく「結果」です。

法務局が審査するポイントは以下の3点に集約されます。

1. 適法に招集されたか?

「定刻、本社会議室において開催した」等の記載に加え、株主総数、発行済株式総数、出席株主数、その議決権数を明記し、定足数(過半数)を満たしていることを数字で証明します。

2. 決議要件を満たしているか?

定款変更の議案について、「満場一致をもって承認可決した」あるいは「賛成多数(〇〇株中〇〇株の賛成)をもって可決承認した」と記載し、特別決議の要件(3分の2以上)をクリアしていることを示します。

3. 誰が責任を負うのか?

議長および出席取締役が記名押印することで、内容の真実性を担保します。

定款で「議事録には議長及び出席取締役が署名または記名押印する」と定めている会社が多いため、実務上は会社実印(代表印)だけでなく、出席役員個人の印鑑(認印で可の場合も多いが、定款変更議事録は重要なので実印推奨)を押すケースが一般的です。

余計な修飾語は削ぎ落とし、事実だけを淡々と、しかし正確に記載する。

それが、プロの作る議事録です。

【コピペOK】定款一部変更の議事録記載例(商号変更・目的追加の具体的文言)

百聞は一見に如かず。

ここでは、最もニーズの多い「商号変更」と「目的変更」を同時に行う場合の、標準的な議事録雛形を公開します。

このままWordに貼り付け、〇〇の部分を自社の情報に書き換えるだけで、法的要件を満たした議事録が完成します。

【臨時株主総会議事録(定款一部変更)】

臨時株主総会議事録

日時:令和〇年〇月〇日 午前〇時〇分

場所:当会社本店会議室

株主の出席状況

発行済株式総数          〇〇株

議決権を有する株主総数      〇〇名

その議決権の総数         〇〇個

出席株主数(委任状出席を含む)  〇〇名

その議決権の総数         〇〇個

【作成時の注意点】

新旧対照表の要否: 議事録の中に「変更の内容」として新旧の条文を明記すれば、添付書類としての新旧対照表は必須ではありません(実務上は分かりやすくするために付けることも多いですが、議事録への記載で十分です)。

効力発生日: 商号変更などで、変更日をずらしたい場合は、「なお、本定款変更の効力は、令和〇年〇月〇日から発生するものとする」という一文を議案の説明部分に追記します。

👨‍⚖️

行政書士 小野馨の「ここだけの話」

議事録の押印についてよく質問されますが、登記申請に使用する場合、代表取締役は必ず「会社実印(法務局届出印)」を押してください。他の取締役は認印でも通りますが、後々の紛争予防(「俺は押していない!」という言いがかり防止)のためには、実印+印鑑証明書添付が最強の防衛策です。

💡 3秒でわかるまとめ:

  • 議事録は「事実」を淡々と記載する証拠書類。感情や余計な描写は不要。
  • 「株主数」「議決権数」の数字に矛盾がないか徹底チェックせよ。
  • コピペ用雛形を使えば、商号・目的変更の要件はクリアできる。

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決議だけでは終わらない! 変更登記申請の期限と提出書類

株主総会でハンコを押して、「ああ、終わった」と祝杯を挙げるのはまだ早いです。

定款変更の手続きにおいて、株主総会決議は「社内の決定」に過ぎません。

ポイント

これを対外的に(国に対して)宣言する「登記」を完了させなければ、法的な効力(第三者対抗要件)は完全なものにならないのです。

ここでは、多くの社長が後回しにしがちな「登記申請」のデッドラインと、窓口で慌てないための必要書類セットを解説します。

法務局への変更登記申請と期限

[画像はAIが生成しています]

「2週間ルール」の厳守。申請期限を過ぎた場合の過料リスク

変更登記申請には、法律で定められた厳格な期限があります。

ココがポイント

それは、「効力発生日から2週間以内」です(会社法911条3項)。

「2週間くらい過ぎても大丈夫だろう」

そう思っているなら、今すぐその認識を改めてください。

法務局は、登記申請書の日付を機械的にチェックしています。

注意ポイント

もし2週間を過ぎて申請した場合、登記自体は受け付けられますが、後日、裁判所から代表者の自宅に「過料(かりょう)決定通知」が届く可能性があります。

過料とは、いわゆる罰金のようなものです。

参考

金額は遅れた期間によりますが、数万円から、悪質な場合は100万円以下(会社法976条1号)と定められています。

しかも恐ろしいことに、この過料は「会社の経費」にはできません。

代表取締役個人に対する制裁なので、社長のポケットマネーから支払わなければならないのです。

「知らなかった」は通用しません。

株主総会が終わったら、その足で司法書士に書類を渡すか、法務局へ向かう。

それくらいのスピード感が、経営者の財布を守ります。

申請に必要な書類セット(株主リスト・変更新旧対照表)の完全準備リスト

いざ法務局へ行く前に、以下の「完全準備リスト」で手持ちの書類をチェックしてください。

一つでも欠けていれば、受け付けてもらえません。

1. 変更登記申請書

法務局HPからダウンロードできます。

商号、本店、目的など、変更する項目に応じた様式を使用します。

ここに3万円分の「収入印紙」を貼付します。

2. 株主総会議事録

先ほど作成したものです。

会社実印が押されていることを再確認してください。

3. 株主リスト

平成28年から添付が義務化された重要書類です。

ポイント

議決権数上位10名の株主、または議決権割合が3分の2に達するまでの株主「氏名・住所・株式数・議決権数」を記載し、代表者が証明(押印)したものです。

「怪しい人物が勝手に役員登記をする」等の犯罪防止のために導入されました。

定款変更は重要事項なので、このリストがないと絶対に登記できません。

4. 定款(抜粋または全文)

変更後の新しい定款です。

原則として添付義務はありませんが、議事録の記載が簡略化されている場合などは、補完資料として求められることがあります。

会社保存用としても、変更後の最新版(現行定款)を必ず作成し、製本しておきましょう。

5. 委任状

司法書士等の代理人に依頼する場合に必要です。

【意外な落とし穴:印鑑届書】

商号(会社名)を変更して、それに合わせて「代表社印(実印)」も新しく作り直した場合。

変更登記申請と一緒に、「改印届(印鑑届書)」も提出する必要があります。

これ忘れると、新しい社名になったのに、印鑑証明書が取れないという事態に陥ります。

👨‍⚖️

行政書士 小野馨の「ここだけの話」

法務局の窓口は、月末や年末、年度末(3月)に激混みします。もし2週間の期限ギリギリなら、郵送申請(書留)をおすすめします。郵送の場合、「消印日」ではなく「法務局への到達日」が申請日になるので、期限まであと1日しかないなら、窓口へ走ったほうが確実です。

💡 3秒でわかるまとめ:

  • 登記期限は「効力発生日から2週間」。遅れると社長個人に数万円の過料。
  • 「株主リスト」は平成28年から必須化。忘れずに作成すること。
  • 社名変更で印鑑も変えるなら、「改印届」もセットで提出。

専門家に依頼すべきか? 自力手続きの限界とプロの活用法

ここまで読み進めて、「よし、全部自分でやってやる!」と意気込んでいる方もいれば、「面倒くさすぎる…」と頭を抱えている方もいるでしょう。

結論から言えば、定款変更は「自分でできなくはない」手続きです。

しかし、私が多くの経営者を見てきた経験則で言えば、**「事業規模が大きくなるほど、自分でやるべきではない」**手続きでもあります。

最後に、プロに依頼する場合の役割分担と、コスト以上の価値を引き出す活用法をお伝えします。

[画像指示: 経営者と行政書士・司法書士がデスクを挟んで相談している。ホワイトボードには会社の将来図が描かれている。 (推奨ファイル名: professional-consultation-strategy.jpg, alt: 専門家への相談と定款戦略)]

「たかが定款、されど定款」。行政書士が設計する「未来を守る定款」の違い

専門家にお金を払う意味は、「書類を作る手間」を買うためだけではありません。

「将来のリスクヘッジ」「戦略的アドバイス」を買うためです。

定款変更の手続きに関わる専門家は主に2人です。

行政書士:

「権利義務に関する書類作成」のプロ。

定款変更案の起案、株主総会議事録の作成、許認可取得を見据えた事業目的の精査を行います。

特に「この目的を追加すれば、将来〇〇の補助金が使えるかもしれない」「この表現だと許認可が下りない」といった、ビジネスの実益に直結するアドバイスが得意です。

司法書士:

「登記申請手続き」のプロ。

作成された書類をチェックし、法務局への代理申請を行います。

登記の正確性を担保する最後の砦です。

【自力手続きの限界点】

例えば、「将来、会社を売却(M&A)したい」と考えている場合。

自力で作った定款に「譲渡制限規定」の不備があったり、「株券発行会社」の設定が残ったままだったりすると、M&Aのデューデリジェンス(買収監査)でマイナス評価を受け、売却価格が数百万単位で下がる、あるいは破談になることがあります。

たかだか数万円の専門家報酬を節約した結果、将来の数千万円をドブに捨てる。

これが「自力の限界」であり、最も怖いコストです。

定款変更は、会社が生まれ変わるタイミングです。

単なる事務処理として片付けるのではなく、法律とビジネスの両面から「最強の定款」にアップデートする機会として、賢く専門家を使ってください。

👨‍⚖️

行政書士 小野馨の「ここだけの話」

私たち行政書士は、司法書士と提携している事務所がほとんどです。私に相談していただければ、定款の中身(ソフト)は私が練り上げ、最終的な登記申請(ハード)は信頼できる司法書士につなぐ、というワンストップサービスが可能です。窓口を一本化することで、社長の手間は最小限になります。

💡 3秒でわかるまとめ:

  • 行政書士は「定款の中身(許認可・戦略)」、司法書士は「登記申請」のプロ。
  • 自作定款の不備は、将来のM&Aや融資で致命傷になるリスクがある。
  • 専門家報酬は、将来のリスクを消すための「必要経費(保険)」と考えよ。

定款変更で手に入れる「強い会社」の未来

定款変更手続きは、面倒で、お金もかかり、神経を使う作業です。

しかし、それを乗り越えた先には、確実に**「レベルアップした会社」**が待っています。

新しい商号で、誇りを持って名刺交換をする瞬間。

新しい事業目的が登記され、堂々と新規ビジネスをスタートさせる日。

参考

整備された議事録がファイルに並び、銀行担当者から「しっかり管理されていますね」と評価される未来。

定款を変えるということは、経営者であるあなたが「次のステージに行く」と覚悟を決めた証拠です。

その覚悟を、法的に完璧な形で記録に残す。

それが今回の手続きの本質です。

どうか、事務作業の煩雑さに負けず、あなたの会社の「新しい憲法」を完成させてください。

その第一歩を踏み出すあなたを、私は心から応援しています。

🚀 今日から始める「3つの行動」

  • 現在の定款(原本)を探し出し、現状の内容を確認する。
  • 変更したい箇所(新商号・新目的)をメモに書き出す。
  • 許認可が必要な事業の場合、管轄役所のHPで「目的の記載要件」をチェックする。

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⚠️ 免責事項と画像について

  • 本記事内で使用している画像は、すべて生成AIによって作成されたイメージです。
  • 記事の内容は執筆時点の法令・情報に基づいています。法改正や自治体の条例により最新の要件と異なる場合がありますので、実務の実行にあたっては、必ずご自身で管轄の行政庁または専門家へ確認を行ってください。

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