電子定款・手続き

【図解】定款認証の流れを5ステップで完全解説!必要書類と当日の所要時間

全体の流れを知らずに動くと、「管轄違い」や「書類不足」で公証役場を往復することになります。

各ステップの「急所」さえ押さえれば、手続きはスムーズに完了し、即座に登記申請へ進めます。

行政書士 小野馨
こんにちは!

行政書士歴20年、5000社以上の設立を見届けてきた小野馨です。

今回は、会社設立の最大の山場である「定款認証の具体的な流れ」について、全体像を解説します。

「定款認証なんて、書類を持ってハンコをもらうだけでしょ?」

もしそう軽く考えているなら、少し危険です。

公証役場は「一見さん」に厳しい場所ではありませんが、「段取り不足」には容赦がありません。

事前確認なしに突撃すれば、「これでは認証できません」と門前払いを食らい、予約の取り直しで会社設立日が1週間以上遅れることも日常茶飯事です。

そこで本記事では、定款認証の全体像を5つのステップに分解し、「いつ、どこで、何をすればいいのか」を時系列でガイドします。

各ステップで躓きやすいポイントについては、より詳しい「専門解説記事」への案内も用意しました。

この記事を地図代わりにして、最短ルートで認証をクリアしましょう。

▼ この記事のポイント ▼

  • 全体像は「作成→事前確認→予約→当日→受取」の5ステップ
  • ✅ 最も重要なのは当日ではなく「事前の案文チェック」
  • ✅ 必要書類や電子定款の準備は「専門記事」で深掘り確認
  • ✅ 流れを把握すれば、所要時間は大幅に短縮できる

※なお、公証役場での定款認証について知りたい方は、

『公証役場の電子認証-完全ガイド(トップページ)』

をブックマークしてお使いください。

定款認証とは?手続きの全体像とタイムスケジュール

定款認証とは、あなたが作った「会社の憲法(定款)」が正当な手続きで作られたものであることを、国の公的機関である「公証人」に証明してもらう手続きのことです。

これは単なる形式的な儀式ではありません。

後のトラブルを防ぐための「法的な防波堤」です。

まずは細かい枝葉を見る前に、ゴールまでの全体地図とタイムスケジュールを把握しましょう。

定款認証の5つのステップ

💡 3秒でわかるまとめ

  • いきなり役場に行くのはNG。まずはFAXかメール。
  • 所要時間はスムーズにいけば3〜5日程度。

【定款認証 流れ】5つのステップをチャートで理解

定款認証の流れとは、**「不備のない完璧な原案を作り、公証人のOKをもらってから、最後にハンコをもらいに行く」という一連のプロセスのことです。

実務では、以下の5つのステップで進行します。

1. 定款(案)の作成

まずは会社の基本ルールを定めた「定款」の案を作成します。商号、目的、本店所在地、資本金などを決定します。

2. 公証役場での「事前確認」

ここが最重要です。作成した案を公証役場にFAXやメールで送り、「この内容で法的に問題ないか」を事前にチェックしてもらいます。

3. 公証役場の「予約」

事前確認で公証人からGOサインが出たら、実際に役場へ行く日時を電話で予約します。

4. 当日の「認証手続き」

予約した日時に公証役場へ出向きます(またはテレビ電話認証)。発起人(出資者)の本人確認と、定款への署名・捺印を行います。

5. 定款謄本の受け取りと精算

認証済みの定款を受け取り、手数料を支払って完了です。この謄本が、後の法務局での登記申請や銀行口座開設に使われます。

多くの初心者が、ステップ2の「事前確認」を飛ばして、いきなりステップ3の「予約」をしようとします。

しかし、公証人は多忙であり、また間違いのある定款をその場で直すことはできないため、「まずは案文を送ってください」と必ず言われます。

この「事前確認」こそが、定款認証の成否を分ける9割の要素だと思ってください。

「とりあえず行けばなんとかなる」という考えは捨てましょう。

公証役場は役所のような窓口対応ではなく、「予約制の法律事務所」に近いイメージを持つと、振る舞い方が理解しやすいはずです。

【公証役場 場所】どこの役場でも良いわけではない(管轄の罠)

定款認証を受ける場所とは、「会社の本店所在地を管轄する法務局・地方法務局所属の公証役場」のことです。

非常に間違いやすいポイントですが、公証役場なら日本全国どこでも良いわけではありません。

「自宅から近いから」「会社の近くにあるから」という理由だけで選ぶと、管轄違いで認証を受けられないという事態に陥ります。

原則として、「同一の都道府県内」にある公証役場であれば、どこでも利用可能です。

例えば、東京都八王子市に本店を置く会社を作る場合、八王子公証役場はもちろん、新宿公証役場や丸の内公証役場でも認証を受けられます。

しかし、隣の神奈川県の相模原公証役場では、いくら距離が近くても認証を受けることはできません。

実務上のテクニックとして、「予約が取りやすい役場」「電子定款の対応がスムーズな役場」を、同一都道府県内で選ぶことはよくあります。

 

なお、「管轄」についての詳細は、以下の記事で「県またぎの可否」や「例外パターン」について詳しく解説しています。

もし場所選びで迷っている場合は、必ず確認してください。

▼ 詳しくはこちら(管轄と場所選びの正解)

こちらもCHECK

特に都心部の公証役場は混み合っていることがあるため、少し離れた役場の方が、希望の日時で予約が取れることもあります。

[/st-mybox]

【所要時間】準備から認証完了までにかかる日数

定款認証にかかる所要時間とは、**「定款案の作成開始から認証済み謄本を手にするまでの期間」のことです。

一般的には、スムーズに進んで「3日〜1週間程度」を見ておくのが安全です。

内訳の目安:

・定款案の作成:1〜2日(※事業目的の決定に時間がかかる場合あり)

・公証人の事前確認:1〜3日(※役場の混雑状況による)

・予約から当日まで:1〜3日(※空き状況による)

ここで最も時間が読めないのが、「公証人の事前確認」の期間です。公証役場によっては、FAXを送ってから返答が来るまでに丸1日以上かかることもあります。また、修正箇所が多い場合は、修正→再確認のラリーが続き、数日をロスすることになります。

「明日、会社を作りたいんです!」という相談を受けることがありますが、定款認証が未完了であれば、物理的に不可能です。法務局への登記申請日は「会社設立日(誕生日)」になりますが、その前に必ずこの定款認証をクリアしていなければなりません。

起業家の先輩としてアドバイスするならば、設立希望日の「2週間前」**には定款作成に着手し、余裕を持って公証役場とのコンタクトを開始することをお勧めします。焦って作成した定款は、後々の経営の足かせになることが多いのです。

【STEP1〜2】事前準備から公証人との「案文確認」まで

いよいよ実践編です。まずは公証役場に連絡する前に、手元で完璧な準備を整えましょう。料理で言えば「下ごしらえ」のフェーズです。

[画像指示: 書類の山とパソコンに向かう様子 (推奨ファイル名: preparation-documents.jpg, alt: 定款認証の準備)]

💡 3秒でわかるまとめ

  • 印鑑証明書は発行3ヶ月以内のもの。
  • 電子定款なら4万円浮くが、機器が必要。

【必要書類】認証に必要なものリスト(印鑑証明書・実印ほか)

定款認証に必要な書類とは、**「公証人が本人確認と意思確認を行うための法的資料一式」のことです。

基本となるのは以下のセットです。

1. 定款(案)

事前に確認を受けた最終版です。

2. 発起人全員の印鑑証明書

発行から3ヶ月以内のものが必要です。

3. 実印

定款への押印や、当日の訂正印として使用します。

4. 身分証明書(運転免許証など)

顔写真付きのものが推奨されます。

5. 委任状(代理人が行く場合)

発起人全員で行けない場合は必須です。

これらはあくまで「基本セット」です。例えば、発起人が法人の場合や、未成年の場合など、状況によって追加書類が必要になります。また、最近導入された「実質的支配者リスト」の提出も必須化されています。

「当日になって書類が足りない!」という事態は、そのまま「出直し」を意味します。以下の記事で、より詳細な「必要書類チェックリスト」**や「印鑑証明書の有効期限の落とし穴」について解説しています。準備を始める前に、必ず目を通してください。

▼ 詳しくはこちら(絶対に忘れてはいけない持ち物)

>>【保存版】定款認証の必要書類リスト!当日の持ち物「5点セット」と印鑑証明の有効期限

【電子定款】紙との違いと準備すべき機器・ソフト

電子定款とは、**「紙の代わりにPDFファイルで作成し、電子署名を付与した定款」のことです。

最大の違いは「コスト」です。紙の定款には4万円の収入印紙を貼る義務がありますが、電子定款は「モノ」ではないため印紙税がかかりません。つまり、電子定款にするだけで合法的に4万円を節約できます。

しかし、これには裏があります。「4万円浮くなら電子一択だ」と飛びつく前に、環境構築のハードルを知っておく必要があります。電子定款を自分で行うには、以下のツールが必要です。

・マイナンバーカード(署名用電子証明書入り)

・ICカードリーダー(マイナンバー対応)

・Adobe Acrobat Pro(または指定のPDFソフト)

・署名用プラグインソフト

・申請用総合ソフト(法務省提供)

特にAdobe Acrobat Proなどの有料ソフトを導入すると、場合によっては「節約額以上にコストがかかる」こともあり得ます。また、設定が複雑で、パソコンが苦手な方はここで数日悩み続けることも少なくありません。

「自分でやって4万円浮かせたい」という方のために、以下の記事で「完全DIYのための環境構築ガイド」**を用意しました。必要な機器やソフト、コストパフォーマンスの検証を行っていますので、チャレンジする方は参考にしてください。

▼ 詳しくはこちら(自力で4万円節約する方法)

>>【完全図解】電子定款を自分でやる方法は?必要な機器・ソフトと「4万円の節約効果」をガチ検証

【事前確認】FAXやメールでの「事前チェック」が必須な理由

事前確認とは、**「予約を入れる前に、公証人に定款の中身を添削してもらうプロセス」のことです。

これは法律で義務付けられているわけではありませんが、実務上は「ほぼ必須の義務」となっています。なぜなら、定款認証は「一字一句の間違いも許されない厳格な手続き」だからです。

例えば、「目的」の項目に不明確な言葉があったり、「発行可能株式総数」の計算が合っていなかったりすると、認証はできません。これを当日の公証役場のカウンターで指摘されても、その場での修正は不可能です。定款を打ち直し、発起人全員の実印を押し直し、再度予約を取って出直すことになります。

そうならないために、作成したWordファイルやPDFを、公証役場の指定する方法(FAXまたはメール)で送付します。数日後、公証人から「ここはこう直してください」という指示や、「これでOKです」という連絡が来ます。

実際の会話例:

私:「(電話)定款の事前確認をお願いしたいのですが」

役場担当者:「はい、ではFAXかメールで送ってください。確認後、こちらから連絡します」

〜2日後〜

公証人:「(電話)第〇条の文言ですが、会社法上これだと無効になるので、こう修正してください」

このように、プロである行政書士ですら、必ずこのプロセスを経ます。初めての方がこのステップを飛ばすのは、目隠しで高速道路を走るようなものです。必ず「訪問前の添削」**を受けてください。

承知いたしました。それでは「STEP 3(後編)」を執筆します。

前編で解説した「事前準備」と「案文確認」をクリアした後の、**「いざ、公証役場へ」**というフェーズから、認証後のトラブル対応、そしてクロージングまでを一気に書き上げます。

【STEP3〜4】公証役場での「予約」と当日の「認証手続き」

公証人から「定款の内容、これでOKです」という連絡をもらったら、いよいよ仕上げの段階です。ここからは物理的な移動や対面の手続きが発生します。

公証役場は「裁判所」のような厳格な雰囲気を持つ場所もあり、初めて足を踏み入れる時は緊張するものです。しかし、事前に流れさえ知っておけば、恐れることは何もありません。遠足のしおりのように、当日の動きを確認しておきましょう。

[画像指示: カレンダーを見ながら電話予約をするビジネスパーソン (推奨ファイル名: booking-appointment.jpg, alt: 公証役場の予約)]

💡 3秒でわかるまとめ

  • 予約時は「受付番号」や担当者名を必ず伝える。
  • 当日は予約時間の10分前には到着すること。

【予約】電話予約のコツと伝えるべき項目

定款認証の予約とは、**「公証人と対面(またはオンライン)で手続きを行うための枠を確保すること」です。

「事前確認」が完了した時点で、そのまま電話で予約を入れるのが一般的な流れです。ここで重要なのは、「誰の、どの案件か」**を即座に伝えることです。公証役場では日々大量の案件が動いているため、単に「予約したい」と言うだけでは話が通じません。

スムーズな予約の会話例:

私:「お世話になります。株式会社〇〇(商号)の発起人、〇〇です。」

私:「先日、メールで定款の事前確認をいただき、完了の連絡をいただいた件で、本認証の予約をお願いします。」

担当者:「はい、確認します。(検索中)…ああ、担当の公証人〇〇の案件ですね。いつがよろしいですか?」

このように、「事前確認済みであること」と「会社名(または受付番号)」を伝えるのが鉄則です。なお、月末や「大安」の日は予約が埋まりやすいため、希望日がある場合は、事前確認のメールを送る段階で「〇月〇日の午前中に認証を受けたいのですが」と希望を添えておくとスムーズです。

予約時には、以下の項目も合わせて確認しておきましょう。

・当日の持参物(最終チェック)

・手数料の概算金額(現金を用意するため)

・代理人が行く場合の委任状の要否

【当日の流れ】受付から認証完了までのリアルな動き

当日の認証手続きとは、**「公証人の面前で、発起人が『自分たちの意思で会社を作ります』と宣言し、署名・捺印する儀式」のことです。

所要時間は、トラブルがなければ「20分〜30分程度」**で終了します。具体的な当日のステップは以下の通りです。

1. 受付(予約時間の10分前)

公証役場に到着したら、受付で会社名と予約時間を伝えます。身分証明書、印鑑証明書、実印、定款(紙の場合)、CD-R(電子定款の場合)などを提出し、待合室で待機します。

2. 公証人による面談(聴取)

名前を呼ばれたら、公証人の個室(またはブース)へ入ります。ここで本人確認と、簡単な意思確認が行われます。「この定款の内容で間違いありませんか?」「はい」といったやり取りです。その後、書類への署名や押印を行います。

3. 手数料の支払いと受領

手続きが終わると、一度待合室に戻ります。数分後、認証済みの定款(謄本)と領収書が用意されるので、手数料を現金で支払い、書類を受け取って終了です。

プロからの助言:

公証役場の雰囲気は静かですが、過度に緊張する必要はありません。公証人は「敵」ではなく、法律に基づいてあなたの会社設立を証明してくれる「立会人」です。堂々とした態度で臨んでください。

【テレビ電話】役場に行かずに認証する「オンライン方式」とは

テレビ電話認証とは、**「スマホやPCのビデオ通話機能を使って、自宅やオフィスにいながら公証人の面談を受ける仕組み」**のことです。

「忙しくて役場に行けない」「遠方の発起人がいる」という方には便利な制度ですが、完全にデジタルだけで完結するわけではありません。以下の点に注意が必要です。

・事前に「電子署名」と「電子定款のオンライン申請」が完了していることが前提。

・テレビ電話のアプリは、法務省指定の「FaceHub」などを使用する(事前のインストールや設定が必要)。

・認証済みの定款データは、結局郵送してもらうか、後で取りに行く必要がある。

特に最後の点が盲点です。テレビ電話で認証自体は終わっても、銀行に提出する「定款謄本(紙)」を入手するには、レターパックを事前に公証役場へ送っておくなどの物理的な手配が必要です。

「オンラインだから簡単」とは限りません。機器の操作に自信がない場合、設定で躓いて時間を浪費するくらいなら、直接役場に行った方が早いケースも多々あります。ご自身のITリテラシーと相談して決めてください。

【STEP5】認証が終わったら?謄本の受け取りと費用精算

無事に認証が終わっても、まだ気は抜けません。最後に「成果物」を受け取り、対価を支払う必要があります。ここでは、意外と知られていない「お金」と「紙の枚数」の話をします。

[画像指示: 財布から現金を出す手元と定款謄本の束 (推奨ファイル名: paying-fees-notary.jpg, alt: 定款認証手数料の支払い)]

💡 3秒でわかるまとめ

  • 手数料は資本金額によって3万〜5万円変動する。
  • 銀行提出用に謄本は「2通」もらっておくと安心。

【定款認証 費用】手数料の支払い方法(現金のみ?)

定款認証にかかる費用とは、「公証人手数料令」という政令で決まった法定費用のことです。

具体的な金額は、**「資本金の額」によって3段階に分かれています(令和4年改正)。

・資本金100万円未満:30,000円

・資本金100万円以上300万円未満:40,000円

・資本金300万円以上:50,000円

これに加えて、定款の謄本(コピー)代として、1枚につき250円程度がかかります。例えば、定款が全10ページで謄本を2通もらう場合、約2,000円が追加されます。

注意すべきは「支払い方法」です。多くの公証役場では、クレジットカードや電子マネーは使えず、「現金のみ」**の取り扱いが基本です(※一部対応している役場もありますが稀です)。3万円〜5万円という大金を財布に入れ忘れて、当日ATMに走る起業家を何人も見てきました。必ず前日に現金を用意しておきましょう。

なお、資本金額の設定によって手数料が変わるため、「とりあえず資本金300万円で」と考えている方は、少し減らすだけで手数料が安くなる可能性があります。費用の詳細や節約術については、以下の記事で徹底検証しています。

▼ 詳しくはこちら(資本金と手数料の損益分岐点)

>>定款認証の費用はいくら?「資本金」による手数料の違いと印紙代節約術

【謄本】銀行提出用に「何通」もらえばいいのか?

定款謄本とは、**「認証された定款の写しであり、公的な証明力を持つ書類」**のことです。

認証終了時に「謄本は何通必要ですか?」と聞かれます。ここで「えっ?」と答えに詰まらないよう、必要な通数を把握しておきましょう。

結論:最低でも「2通」取得することをお勧めします。

1. 会社保存用(原本の代わり)

会社設立後、自社で大切に保管するためのものです。

2. 銀行口座開設用

法人の銀行口座を作る際、多くの銀行で「認証済み定款の写し」の提出を求められます。コピーで良い場合もありますが、原本提示を求められることもあるため、1部持っておくと確実です。

※以前は「法務局への登記申請用」にもう1通必要でしたが、電子定款の場合はデータ(CD-R等の媒体)で申請するため、紙の謄本は不要なケースが増えています。

1通あたり1,000円〜2,000円程度の出費になりますが、後から「足りない!」となって公証役場に取りに行く手間(と交通費)を考えれば、予備を含めて2通もらっておくのが最もコストパフォーマンスが良い選択です。

定款認証で「よくある失敗」とリカバリー方法

最後に、現場で起きがちなトラブルと、その解決策をお伝えします。これを知っているだけで、万が一の時にパニックにならずに済みます。

[画像指示: 訂正印を押す手元のアップ (推奨ファイル名: correction-seal.jpg, alt: 定款の訂正印)]

💡 3秒でわかるまとめ

  • 誤字脱字は「捨印」があればその場で直せる。
  • 代理人に頼むなら委任状と「本人の実印」が必須。

【誤字 訂正】当日ミスに気づいた時の「捨印」と訂正方法

人間が作ることですから、どれだけチェックしても誤字が見つかることはあります。当日、公証役場で「あ、ここの住所、番地が抜けてますね」と指摘されたらどうなるでしょうか?

ここであなたを救うのが**「捨印(すていん)」です。

捨印とは、あらかじめ欄外にハンコを押しておくことで、「軽微な訂正なら、私のいないところで直してもいいですよ」という意思表示をするものです。これがあれば、公証人がその場で訂正処理をしてくれるため、持ち帰って作り直す必要がありません。

紙の定款であれば、袋とじの余白などに発起人全員の実印を押しておきます。電子定款の場合は、委任状に捨印を押しておくのが一般的です。ただし、商号や目的の変更など、「内容の根幹に関わる重大な変更」**は捨印では対応できません。その場合は、残念ながら予約を取り直し、定款を作り直して再チャレンジとなります。

【代理人】自分で行けない場合の委任状活用法

発起人が忙しい場合、配偶者や知人、あるいは行政書士を「代理人」として公証役場に行かせることができます。

代理人を立てる場合に必要なのは以下の3点です。

1. 委任状(発起人の実印が押されたもの)

2. 代理人の身分証明書

3. 代理人の印鑑(認印で可の場合が多いが、実印推奨)

よくある失敗が、委任状の記載ミスです。「一切の権限を委任する」という包括的な文言が入っていないと、現場での些細な訂正ができず、認証を受けられないことがあります。代理人を立てることは「リスク」も伴うため、書き方には細心の注意が必要です。

委任状のテンプレートや、妻・家族に頼む際の注意点については、以下の記事で解説しています。コピペで使える文例もありますので、活用してください。

▼ 詳しくはこちら(失敗しない委任状の書き方)

>>【コピペOK】定款認証の「委任状」書き方完全ガイド!代理人(妻・知人)に頼む時の注意点

👨‍⚖️

行政書士 小野馨の「ここだけの話」

「公証人に怒られないか心配…」という声をよく聞きますが、安心してください。公証人の方々は元裁判官や元検察官などの法曹エリートですが、相談に来る市民に対しては非常に丁寧です。

ただし、彼らが一番嫌うのは「不誠実な対応」「準備不足」です。アポなし訪問や、書類不備でゴネるようなことをしなければ、強い味方になってくれます。定款認証は、あなたの会社が社会的に認められるための「最初の関門」です。堂々と通過しましょう。

定款認証は「ゴール」ではなく「スタートライン」

定款認証が終わると、大きな達成感があるでしょう。しかし、忘れてはならないのは、これがまだ**「会社設立手続きの一部」**に過ぎないということです。

認証の次には、「資本金の払込み」そして「法務局への設立登記申請」が待っています。定款認証がうまくいけば、残りのステップもその勢いで乗り切れるはずです。ここで躓かず、最速で事業開始へと進んでください。

あなたが作ったその定款が、将来大きく成長する企業の「揺るぎない土台」となることを願っています。

🚀 今日から始める「3つの行動」

  • 公証役場に電話し、FAX番号かメールアドレスを確認する
  • 発起人全員の「印鑑証明書」を取得する
  • 自分でやるのが不安なら、まずは専門家に「お気軽に」相談してみる

自分一人で悩んで、時間を無駄にしていませんか?

実務経験20年のプロが、あなたの「最適解」を即座に回答します。

【定款認証の流れ】について、プロに無料で相談する >

※お電話でもお気軽にどうぞ。

※この記事を見たとお伝え頂ければスムーズです。

⚠️ 免責事項と画像について

本記事内で使用している画像は、すべて生成AIによって作成されたイメージです。

記事の内容は執筆時点の法令・情報に基づいています。法改正や自治体の条例により最新の要件と異なる場合がありますので、実務の実行にあたっては、必ずご自身で管轄の行政庁または専門家へ確認を行ってください。

オファー

-電子定款・手続き