【結論】法人成りしても「個人事業主を廃業しない」併用モデルとは?
法人格の独立性を活かし、社会保険料を最適化する法人と、事業控除を活かす個人事業を合法的に並行運営する経営戦略です。
単なる手続きではなく、起業家のコストを4万円削減し、オーナーにとっては手取りの最大化と税務上の安全を実現する第一歩です。

電子定款実績5000件 行政書士の小野馨です。
今回は【法人成りしても「個人事業主を廃業しない」最強の二刀流|マイクロ法人で社保・税金を最適化する実務ガイド】についてお話します。
「会社を作ったら、必ず個人事業の廃業届を出さなければならない」という思い込みが、多くの起業家から年間数十万円規模のキャッシュフローを奪っています。
事業が成長し、国民健康保険料の負担が限界に達している方にとって、法人と個人を併用するハイブリッド経営は、合法的に手取り額を最大化する極めて有効な選択肢です。
今回は、税務調査で租税回避と指摘されないための契約実務と、社会保険料を最小化する具体的な手順を包み隠さずお伝えします。
紙の定款で認証を受けると、印紙税4万円をドブに捨てることになります。2026年、電子定款を使わない理由は『ゼロ』です。
この記事でわかる4つのポイント
- ✅ 会社法に基づく「法人格の独立性」と二刀流が違法にならない理由
- ✅ マイクロ法人を活用して社会保険料を最低等級に固定する具体策
- ✅ インボイス制度下で免税メリットを維持するBtoB・BtoC分離戦略
- ✅ 税務調査で否認されないための「業務委託契約」と証跡管理の手順
法人成り後も「個人事業主を廃業しない」併用モデルは適法か?
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Alt属性: 併用モデルの適法性と法人格の独立性[Professional minimalist flat illustration]
法人を設立した後も個人事業主を継続する「併用モデル」は、日本の法律上、完全に適法です。会社法により、代表者個人と設立された株式会社や合同会社は、権利義務の主体が異なる「別人格」として明確に区別されるからです。
また、憲法第22条の職業選択の自由により、個人が複数の事業形態を持つことも制限されません。
例えば、個人で「WEB制作」の事業所得を得ながら、自身が代表を務めるマイクロ法人から「コンサルティング」の役員報酬を得る二刀流は、実務上広く行われています。
ただし、税務署から同族会社の行為計算否認を受けないよう、両者の実体を厳格に区分する管理が必須となります。
法人格の独立性と「別人格」の論理的証明
会社を設立し、個人事業主と並行して経営することが適法とされる最大の根拠は、会社法における「法人格の独立性」にあります。法人格とは、法律上において人間(自然人)と同じように権利義務の主体となる資格のことです。
株式会社や合同会社を設立したその瞬間、法律上は代表者であるあなた自身とは全く異なる「別人格」が誕生します。
この別人格という大原則があるため、代表取締役であるあなた個人と、設立した法人の間で、業務委託契約を結んだり、事業資金の貸し借りをしたりすることが法的に有効となります。
つまり、個人事業主としての「あなた」と、法人としての「会社」は、法律上は完全に切り離された第三者の関係として扱われます。
この明確な境界線が存在するからこそ、異なる事業をそれぞれの器で適法に同時進行するハイブリッド経営が成立する仕組みです。
【警告】税務調査で狙われる「実体のない法人」と行為計算否認
法人と個人が法律上は別人格であるとはいえ、実態を伴わないペーパーカンパニーを設立して利益を分散させる行為は、税務調査において厳しく追及されます。
ここで経営者が最も恐れなければならないのが、法人税法第132条に規定される「同族会社の行為計算の否認」という強力なルールです。
これは、税務署長が「税金負担を不当に減らすための不自然な取引である」と判断した場合、法人の取引を無効とし、本来の適正な形(例えばすべて個人の事業所得である)として税金を再計算できるという制度です。
例えば、あなたが個人事業主として行っている「システム開発」の仕事のうち、売上の半分を単に新設したマイクロ法人へ付け替えたとします。
名刺もホームページも同じ、業務内容も全く同じで、単に請求書の宛名だけを法人名義に変更したようなケースです。
このような運用は、税務調査において「法人としての事業実体がない」とみなされ、行為計算否認の対象となる確率が極めて高くなります。
結果として、法人の売上はすべて個人の所得として合算され、重加算税を含めた数百万円単位の追徴課税を受けることになります。
この致命的なリスクを回避し、税務署に「実体のある適法な併用である」と認めさせるためには、客観的な証拠(エビデンス)の構築が絶対に欠かせません。具体的には、以下の3つの防衛線を構築する必要があります。
- 1. 事業内容の明確な分離: 個人と法人で、提供するサービスやターゲット層を完全に切り分けます。例えば、「個人事業では一般消費者向けのWEBデザイン案件を受注し、法人では企業向けのITコンサルティング業務に特化する」といった具合です。定款の事業目的も、この実態に合わせて明確に書き分ける必要があります。
- 2. 契約・資金の厳格な独立: 銀行口座やクレジットカードはもちろんのこと、取引先との業務委託契約書、請求書、領収書に至るまで、名義を完全に分離します。個人の生活費を法人口座から支払ったり、法人の経費を個人のクレジットカードで決済したりする「財布の混同」は、実体がないとみなされる最大の要因です。
- 3. 法人としての活動記録の保存: マイクロ法人であっても、株式会社や合同会社である以上、会社法に基づいた運営が求められます。年に1回の定時株主総会議事録の作成、適正な役員報酬の決定手続き、会計帳簿の記帳など、会社としての意思決定と活動のプロセスを書面で残すことが不可欠です。
💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)
過去に相談に来られたフリーランスの方で、ネットの情報を鵜呑みにしてマイクロ法人を設立したものの、個人の事業用口座と法人口座の間で毎月理由のない資金移動(単なる生活費の引き出し)を繰り返していた方がいました。
税務調査に入られた際、調査官から「法人としての独立した経済活動が見られない」と厳しく指摘され、実質的な個人事業と認定される寸前まで追い込まれました。
税理士と連携して過去の議事録や契約書面を整備し直し、なんとか最悪の事態は免れましたが、安易な「口座を分けただけ」の併用は、税務署のプロの目をごまかすことは絶対にできません。
法人成りして個人事業主を廃業しないという選択は、高度な経営判断です。
だからこそ、単なる節税のテクニックとして捉えるのではなく、二つの独立した事業を運営するという経営者としての覚悟と、それを裏付ける書類作成という地道な実務が、あなたの手取りを守る最強の盾になるんです。
【実利】マイクロ法人と個人事業を併用する3つの最強メリット
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Alt属性: マイクロ法人と個人事業主併用の経済的メリット[Professional minimalist flat illustration]
マイクロ法人と個人事業を併用する最大の理由は、合法的に家計全体の手取り額を最大化できる点にあります。
なぜなら、日本の税制と社会保険制度は、法人と個人で保険料や控除の計算基準が全く異なる構造になっているからです。例えば、個人の事業所得が800万円の場合、国民健康保険と国民年金の負担は年間約100万円に達します。
しかし、マイクロ法人を設立して役員報酬を月額4.5万円に設定すれば、協会けんぽ等の社会保険料(労使合計)を年間約25万円にまで圧縮できます。
さらに、インボイス制度への戦略的対応や、青色申告特別控除との二重取りを組み合わせることで、強固な財務基盤が完成するんです。次に続く3つの具体的なメリットを紐解いていきましょう。
社会保険料を「最低等級」に固定して手取りを最大化する
個人事業主として利益が拡大していく過程で、多くの経営者が直面する最大の壁が「国民健康保険料」と「国民年金保険料」の重圧です。
国民健康保険(第1号被保険者)は、前年の事業所得に対して保険料がダイレクトに計算される構造になっています。
例えば、事業所得が800万円に達すると、自治体にもよりますが保険料は上限額の年間約100万円近くに張り付きます。
さらに、国民健康保険には「扶養」という概念がないため、配偶者や子供がいれば人数分の均等割が加算され、家計へのダメージは計り知れません。
この理不尽とも言えるコスト構造を、合法的にリセットする手段が「マイクロ法人」の設立です。
具体的には、法人の代表取締役として協会けんぽ(または健康保険組合)と厚生年金に加入し、自身の役員報酬を「月額4万5千円」といった極めて低い金額に設定します。
日本の社会保険(第2号被保険者)は、個人の総資産や他事業での利益ではなく、あくまで「その法人から受け取る役員報酬の額(標準報酬月額)」のみを基準に保険料が計算されるという厳格なルールがあります。
月額4万5千円の報酬であれば、健康保険は最低等級(標準報酬月額5万8千円)、厚生年金も最低等級(標準報酬月額8万8千円)が適用されます。
この場合、法人負担分と個人負担分を合算しても、年間の社会保険料コストは約25万円程度に収まるんです。ここで国民健康保険法第6条の規定が活きてきます。
法人で社会保険に加入すると、自動的に国民健康保険からは「適用除外」となり脱退することになります。
つまり、個人事業側でどれだけ莫大な利益(例えば1000万円)を出していようとも、その所得には社会保険料が1円もかからなくなるという、完璧な合法スキームが完成します。
さらに、社会保険への切り替えは「家族の保険料」において劇的な恩恵をもたらします。
協会けんぽ等の社会保険には扶養の概念があるため、収入要件(年収130万円未満など)を満たす配偶者や子供を扶養に入れることで、家族全員分の健康保険料が「追加費用ゼロ」でカバーされます。
個人事業主時代に家族4人分を払っていた経営者からすれば、これだけで年間数十万円の固定費削減に直結します。
💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)
役員報酬を4万5千円に設定すること自体は合法ですが、「法人側にその報酬と社会保険料(会社負担分)を支払うだけの売上実態があるか」は日本年金機構の調査で必ずチェックされます。
過去に、法人の売上がゼロのまま、社長個人のポケットマネーを法人口座に入れて無理やり社会保険料を引き落とさせていたケースがありました。
これは「事業実体のない社会保険の不正加入」とみなされ、資格の遡及取消し(過去に遡って国保へ強制的に戻されること)の対象となります。
最低でも年間40万円〜50万円程度の安定した売上を、法人側の事業(例えば個人事業とは別口のコンサルティング契約など)でしっかりと作ることが、このスキームを維持するための絶対条件です。
このように、マイクロ法人の設立は単なる節税ではなく、社会保険制度の構造的な違いを利用した「家計の財務戦略」です。年間70万円以上のキャッシュフローの差額が生まれれば、10年で700万円です。
この資金を次の事業投資に回すか、無駄な保険料として納め続けるか。経営者としてのリテラシーが最も問われる決断と言えます。
控除の二重取り:「給与所得控除」と青色申告の併用
マイクロ法人と個人事業主を併用するもう一つの大きな実利が、所得税法上の「控除の二重取り」です。
完全な個人事業主のままでは、事業所得に対してe-Tax等の電子申告要件を満たした場合の「青色申告特別控除(最大65万円)」という一つの非課税枠しか受けることができません。
しかし、併用モデルによって法人から役員報酬を受け取ると、その報酬は税務上「給与所得」として区分されるため、事業所得とは全く別に、最低でも年間55万円の「給与所得控除」が無条件で適用されます。
つまり、個人の青色申告特別控除(65万円)と、法人の給与所得控除(55万円)を同時に活用し、年間合計120万円もの所得控除枠を合法的に確保できる仕組みです。具体的な数値で検証しましょう。
前の章で解説した通り、社会保険料を最低等級に抑えるために役員報酬を月額4万5千円(年間54万円)に設定したとします。この年間報酬額54万円は、給与所得控除の最低枠である55万円の中に完全に収まりきります。
その結果、法人から個人へ移転させた54万円に対する所得税および個人の住民税は「非課税(実質ゼロ)」となるんです。
このように、一つの家計に対して「事業所得」と「給与所得」という性質の異なる二つの所得区分を持たせることで、日本の超過累進税率(所得が増えるほど税率が跳ね上がる仕組み)の適用を緩和する「所得分散」の効果が最大限に発揮されます。
これは制度の抜け穴ではなく、所得税法の基本構造に則った正当な権利です。売上を闇雲に追うのではなく、法律が用意している控除枠を正確に使い切って課税所得を圧縮する。
この緻密な計算こそが、ハイブリッド経営を成功させるための財務の要となります。
インボイス制度対応:BtoB法人とBtoC個人の分離戦略
インボイス制度の導入により、従来の「資本金1,000万円未満で法人を設立すれば、最初の2年間は無条件で消費税が免税される」というセオリーは、多くの事業者にとって実質的に崩壊しました。
なぜなら、取引先が企業(課税事業者)である場合、あなたが適格請求書(インボイス)を発行できなければ、取引先は消費税の仕入税額控除を受けられず、結果として取引の打ち切りや消費税分の値下げ要求といった死活問題に直面するからです。
インボイスを発行するためには、設立初年度であっても自ら進んで「課税事業者」として登録しなければならず、設立直後からの消費税納付義務が発生します。
このインボイス制度のジレンマを完全に解決し、利益を最大化する唯一の手法が、マイクロ法人と個人事業主の「ハイブリッド併用モデル」です。
具体的には、事業のターゲット層(顧客属性)に合わせて、法人と個人を明確に使い分けます。
企業を相手とするBtoB(Business to Business)取引は、すべて法人で引き受け、法人は適格請求書発行事業者として登録します。これにより、法人顧客からの信用を維持し、取引を継続させることができます。
一方で、一般消費者を相手とするBtoC(Business to Consumer)取引や、インボイスを必要としない免税事業者向けの取引は、すべて個人事業主として引き受けます。
一般消費者は消費税の申告を行わないため、あなたがインボイスを発行できなくても一切不都合はありません。
したがって、個人事業主側はインボイス登録を行わず、「免税事業者」としての地位を維持し続けます。
個人事業の基準期間(前々年)の課税売上高を1,000万円以下にコントロールし続ければ、個人事業で得た売上に含まれる消費税分は、合法的にそのままあなたの手元に残る「益税」となるんです。
💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)
このBtoBとBtoCの分離戦略を実行する際、絶対にやってはいけないのが「全く同じ事業内容を、単に請求書の宛名だけで法人と個人に振り分ける」という行為です。
例えば、同じ店舗で同じ商品を販売しているのに、「企業から注文が来たら法人名義で請求し、個人から注文が来たら個人事業主名義で請求する」といった運用は、税務調査で「消費税の納税義務を免れるための不当な売上分割(実質的な単一事業)」とみなされ、行為計算否認の対象となります。
このスキームを安全に運用するためには、法人は「システム開発」や「企業向けコンサルティング」、個人事業主は「アフィリエイト収入」や「一般向け小売」といったように、事業の性質そのものを明確に区分し、別々の事業として実体を伴わせることが絶対条件です。
さらに、実務上の運用として、法人と個人の間で経費の按分基準を厳格に設定し、それぞれ独立した会計帳簿を作成する必要があります。
請求書のフォーマットも、法人用(登録番号あり)と個人用(登録番号なし)で完全に分け、入金口座も別々に管理します。
この緻密な事業設計と日々の経理実務を徹底することで初めて、取引先を失うリスクを完全に排除しつつ、合法的な消費税の免税メリットを最大限に享受する「最強の経営体制」が構築できるのです。
[比較表] 完全法人化 vs 併用モデル(マイクロ法人)
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推奨画像: 左右に分かれた天秤のイラスト。一方には「完全法人化」、もう一方には「併用モデル」のラベルがあり、中央には書類や電卓が配置されている。
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Alt属性: 完全法人化とマイクロ法人併用モデルの維持コスト比較表[Professional minimalist flat illustration]
事業を次のステージへ進める際、どちらの形態を選ぶべきかは、単なる目先の節税額だけでなく、年間を通じて発生する「見えない維持コスト」と「事務負担」の総量で決断する必要があるんです。
なぜなら、法人を設立して完全に事業を一本化する場合と、個人事業を併用し続ける場合では、税理士報酬や均等割などの固定費、そして日々の経理フローが根本から異なるからです。
例えば、完全法人化すれば経理は一本化されてスッキリしますが、自身の役員報酬全額に対する高い社会保険料と、赤字でも毎年発生する法人住民税の均等割(最低7万円)が重くのしかかります。
一方、併用モデルは手取りを最大化できる反面、クラウド会計ソフトを2ライセンス(年間約3万円〜)契約し、個人の確定申告(3月)と法人の決算の双方を管理する手間が確実に増加します。
どちらがあなたの事業フェーズに最適か、明確な損益分岐点を見極めるための判断基準を整理していきましょう。
事務コストと節税額の「損益分岐点」をシミュレーション
完全法人化と併用モデルを天秤にかける際、最も重要になるのが「損益分岐点」の見極めです。
マイクロ法人を設立・維持するためには、社会保険料が下がるというメリットの反面、確実に追加の事務コストが発生します。
具体的に計算してみましょう。法人が赤字でも毎年必ず納める「法人住民税の均等割」が年間7万円。
さらに、個人と法人の帳簿を完全に分けるため、クラウド会計ソフトのデュアル運用で年間約3万円の出費が増えます。最大のネックとなるのが税理士報酬です。
個人の確定申告に加えて法人の決算申告(法人税申告書の作成など)を依頼するため、顧問料と決算料の合計で年間15万円から25万円程度のコストアップを見込む必要があります。
つまり、併用モデルを維持するための追加コストは、年間約25万円から35万円にのぼるんです。
では、この維持コストを支払ってでも手取りが増える損益分岐点はどこにあるのでしょうか。
実務上の目安として、個人事業の安定した年間利益(青色申告特別控除前の所得)が「500万円から600万円」を超えてきたタイミングが明確な分岐点となります。
所得が600万円の個人事業主の場合、国民健康保険と国民年金の負担は年間約80万円に達しますが、マイクロ法人で役員報酬を月額4.5万円に設定すれば、社会保険料は約25万円に激減します。
この差額55万円の削減効果から追加コスト35万円を差し引いても、年間20万円の純利益(手取りの増加)が手元に残る計算です。
利益が800万円、1000万円と増えれば、この手取りの増加幅はさらに拡大します。
逆に言えば、事業所得が400万円を下回るフェーズでは、事務負担とコストがメリットを食いつぶしてしまうため、無理に法人を作る必要はありません。
自社の現在の利益水準と照らし合わせ、冷静に判断を下すことが経営者としての鉄則です。
法人成りして「個人事業主を廃業しない」ための鉄壁の運用実務
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推奨画像: 法人と個人の2つのファイルに、契約書や帳簿を明確に分けて整理しているビジネスパーソンの手元。
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Alt属性: 個人事業主とマイクロ法人の実体要件と証跡管理[Professional minimalist flat illustration]
ハイブリッド経営を絵に描いた餅で終わらせず、税務調査を完全にクリアするためには、法人と個人の間に客観的な「壁」を築く運用実務が不可欠です。
なぜなら、当局は登記の形式だけでなく、資金の流れや契約主体といった「事業の実体」を厳しく審査するからです。
例えば、明確な賃貸借契約書なしに個人の自宅を法人の事務所として使ったり、法人口座と個人口座で資金を混同したりすれば、法人税法に基づく「行為計算否認」の対象となります。
せっかくの社会保険料削減スキームを否認されず、合法的に手取りを守り抜くために、設立直後に必ず実行すべき鉄壁の証跡管理と契約手続きを具体的に紐解いていきましょう。
「土地の無償返還」届出を活用した自宅オフィスの適正管理
マイクロ法人を設立する際、個人の自宅を法人の「本店所在地(オフィス)」として登記するケースが非常に多く見られます。
しかし、ここには法人税法上の恐ろしい罠が潜んでいます。
個人が所有する土地や建物を、法人が無償または極端に低い家賃で借りて事業を行うと、税務署は「法人が個人から、高額な借地権(権利金)をタダでもらった」とみなすルールがあるからです。
これを「権利金の認定課税」と呼びます。本来なら授受されるべき権利金は数百万円から数千万円にのぼることもあり、これが法人の利益として計上され、約25%の実効税率で法人税が課されるという、一発退場レベルのペナルティです。
この巨額の認定課税を完全に防ぐための必須手続きが、所轄の税務署へ提出する「土地の無償返還に関する届出書」です。
これは、土地の所有者である「あなた個人」と、借り主である「法人」の連名で、「将来この土地の貸し借りをやめる時は、法人は借地権や立ち退き料を一切請求せず、無償で更地にして返還します」と公的に約束する書類です。
この紙1枚を契約締結後、遅滞なく提出するだけで、権利金の認定課税という時限爆弾を合法的に無効化できるんです。
具体的な実務の手順として、まずは個人と法人の間で「賃貸借契約書」を書面で締結します。
自宅兼事務所の場合、法人が事業として専属で使用する面積(例えば全体の20%など)を明確に計算し、その面積に応じた適正な家賃を設定します。税務上トラブルになりにくい「相当の地代」の目安は、固定資産税の2〜3倍程度です。
そして、契約書を作成するだけでなく、毎月必ず法人の銀行口座から個人の口座へ、決められた家賃を実際に振り込んでください。帳簿上の未払金として処理し続けると、実体のない架空契約とみなされます。
💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)
以前、ネットの知識だけでマイクロ法人を立ち上げた方が、税務調査でこの「土地の無償返還に関する届出書」を出していなかったことを指摘されました。
調査官からは権利金の認定課税をチラつかされ、さらに「毎月の家賃の振込履歴がないため、そもそも賃貸借の実態がない」と契約自体を否認されかけました。
Yahoo!知恵袋などでは「社長と会社は同じだから契約書は適当でいい」という危険な回答もありますが、税務署のプロの目に対し「身内間の口約束」は一切通用しません。
法人設立と同時に契約書を作り、届出書を提出し、実際に資金を動かす。この3点セットが防衛の絶対条件です。
さらに、実務歴20年の行政書士として、将来の事業展開を見据えた重要な警告があります。
法人の「事業目的」や「本店所在地」「資本金」を定款に記載する際、単に現状のコスト削減だけを考えて適当に設定しないでください。
もし将来、あなたが建設業許可や運送業許可を取得する予定がある場合、ここでの記載ミスや、施設の使用権原(賃貸借契約の不備)が致命傷になります。
許認可の審査では、法人がその営業所を適法に使用する権原があるかを極めて厳格に審査されるため、数年後に定款変更や契約書の巻き直しで数十万円の無駄なコストと時間を失う経営者が後を絶ちません。
目先の節税だけでなく、未来の許可要件を満たす定款設計と契約実務を行うことこそが、真のハイブリッド経営です。
「業務委託契約」と資金移動:否認されない証跡管理
ハイブリッド経営において、個人事業主である「あなた」と、法人の代表取締役である「あなた」が取引を行う場合、単に銀行口座を分けるだけでは実体要件を満たしたことにはなりません。
税務調査や運輸局等の監査において、資金の移動が「正当な事業取引」であると認められるためには、第三者が見ても明確なルールに基づく『証跡(エビデンス)』を残す必要があります。
この証跡管理を怠ると、法人から個人への支払いはすべて「役員への臨時ボーナス(事前確定届出のない役員賞与)」とみなされ、法人の経費(損金)として認められないばかりか、個人の所得税と法人の法人税の二重課税という最悪のペナルティを受けることになります。
この致命的な否認リスクを防ぐための第一歩が、個人と法人間での「業務委託契約書」の締結です。代表者が同一人物であっても、会社法上は「別人格同士の取引」となるため、契約書という形のある証拠が不可欠です。
さらに、会社法第356条(および第365条)の規定により、取締役が自分自身と会社の取引(自己取引・利益相反取引)を行う場合、株主総会(または取締役会)の承認決議が必要です。
一人社長の会社であっても例外ではなく、「この業務委託契約を締結することを承認した」という内容の株主総会議事録(合同会社の場合は同意書)を作成し、会社に保管しておくことが、適法性を担保する鉄則となります。
契約書を作成する際、最も注意すべきは「取引単価(金額)」の設定です。法人税を減らしたいがために、市場価格が月額10万円程度の業務に対して、個人へ月額100万円の業務委託費を支払うような契約は絶対に認められません。
これは「独立企業間価格」の原則から逸脱しており、税務署からは「利益の不当な操作(寄附金または役員賞与)」として全額否認されます。
契約書には「システム保守業務一式として月額〇〇円」「記事執筆1文字あたり〇〇円」といったように、他社に外注した場合と同等の、客観的かつ合理的な単価を明記してください。
そして、日々の運用実務として「請求書の発行」と「期日通りの銀行振込」を徹底します。
毎月末などの締め日に、個人事業主から法人宛てに正式な請求書を発行し、法人は契約書で定めた支払期日(翌月末など)に、法人口座から個人の事業用口座へ、1円単位で正確に資金を振り込みます。
この時、「社長個人の生活費が足りないから、今月は多めに法人から引き出そう」といったどんぶり勘定の資金移動は言語道断です。
また、法人用と個人用のクレジットカードを厳格に使い分け、万が一間違えて決済してしまった場合は、速やかに「役員借入金」または「役員貸付金」として帳簿上で精算し、放置しないことが求められます。
💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)
過去に設立支援を行ったお客様で、法人と個人でしっかりと業務委託契約書を巻いていたにも関わらず、税務調査で厳しく追及されたケースがありました。原因は「相殺(そうさい)」の多用です。
「法人が個人に払う業務委託費」と、「個人が法人に立て替えていた経費」を帳簿上だけで相殺し、実際の銀行口座には数ヶ月間、1円もお金の動きがなかったのです。
調査官からは「資金の動きがない以上、契約が本当に機能しているか疑わしい(架空外注費の疑い)」と指摘を受け、過去の請求書や領収書、メールのやり取りなどをすべて提出して実体を証明するまでに膨大な時間と労力を削られました。
契約書、請求書、そして『銀行の振込履歴』。この3つが揃って初めて、鉄壁の証跡となるんです。
マイクロ法人と個人事業主の併用は、社会保険料の最適化やインボイス対応など、経営者に多大な実利をもたらす強力な戦略です。
しかし、その恩恵を享受し続けるためには、別人格であることを証明する地道な実務管理が不可欠です。
開業20年、5000件超の起業家を見てきた行政書士として断言します。
この「契約と資金の分離」というルールを当たり前にこなせる経営者だけが、税務リスクに怯えることなく、手元資金を最大化して事業を次のステージへと成長させることができるのです。
⚠️ 【警告】自己判断のリスクと「見えないコスト」
「ネットの知識だけでマイクロ法人を作れる」という過信は危険です。実体を伴わないずさんな契約や、資金管理の不備による税務調査での「行為計算否認(数百万の追徴課税)」、そして何より「本業に集中できない時間的損失」は計り知れません。また、設立時の定款の事業目的や本店所在地の不備が、将来の許認可取得や融資を妨げるリスクも見逃せません。
【毎月3名様限定】社会保険料の最適化と、手取りの最大化を両立しませんか?
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