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【飲食店】会社設立は「利益600万」が分岐点!法人成りの節税と採用戦略

【結論】飲食店の会社設立はいつすべき?

飲食店の法人化(法人成り)を検討すべき目安は、個人の課税所得(利益)が600万円〜800万円を超えたタイミングです。

このラインを超えると、個人事業主としての税負担が重くなる一方、法人化による「役員報酬」「経費の定額控除」による節税メリットがコスト(社会保険料など)を上回ります。

また、2店舗目の出店や料理長クラスの採用を考えるなら、利益に関わらず「信用」のために法人化を選ぶべきです。

行政書士 小野馨
こんにちは!

電子定款実績5000件 行政書士の小野馨です。

今回は【飲食店】会社設立は「利益600万」が分岐点!法人成りの節税と採用戦略についてお話します。

「お店の売上は順調だが、確定申告で税金の高さに驚愕した」

「2店舗目を出したいが、いい物件の審査がなかなか通らない」

繁盛している飲食店のオーナーほど、こうした「成長の壁」にぶつかるものです。

「とりあえず個人事業でいいや」と開業したものの、売上が伸びるにつれて「税金」と「人手不足」が経営を圧迫していませんか?

特に飲食業界では、法人化は単なる節税対策ではありません。

優秀なシェフを採用するための「社保完備」の看板であり、銀行から多店舗展開の資金を引き出すための「信用」の証でもあります。

この記事では、5000社以上の支援実績を持つ行政書士が、飲食店の現場で直面する「法人化の10のメリット・デメリット」を徹底解説します。

交際費の特例から、避けては通れない保健所の許可取り直し問題まで、オーナーシェフが知っておくべき経営戦略をすべて網羅しました。

【警告】紙の定款で認証を受けると、印紙税4万円をドブに捨てることになります。その4万円があれば、新メニュー開発のための「視察(食べ歩き)」に何回行けるでしょうか? 電子定款を使わない手はありません。

この記事でわかる4つのポイント

  • ✅ 利益600万・消費税・2店舗目…法人化すべき3つのタイミング
  • ✅ 食べ歩きを経費に!「交際費800万円枠」と決算期の魔術
  • ✅ 採用難を突破する「社保完備」と「のれん分け」戦略
  • ✅ 保健所の許可は引き継げない!営業停止を防ぐ移行テクニック

飲食店が「法人成り」を検討すべき3つのタイミング

女性が一人で開業する小さいカフェするから、多店舗展開を目指すレストランまで、飲食店の形は実に千差万別です。

だからこそ、法人化という『設計図』に正解は一つではありません。

大切なのは、目の前の開店準備だけでなく、数年後の未来を見据えたスタートを切ること。

どんなに大きな事業も、最初は一段ずつ階段を上るような地道な歩みから始まります。

しかし、経営を続けていれば、必ず『会社設立』という大きな決断の時がやってきます。

早すぎれば余計な維持コストに苦しみ、遅すぎれば本来払わなくて済んだ税金を払い続けることになる――。

これまで5,000件以上のスタートアップの現場に立ち会い、多くの社長様を支えてきた行政書士としての経験から、私は確信しています。

飲食店経営において、法人化への『ゴーサイン』を出すべき決定的なタイミングは、大きく分けて3つあります。

いまからその3つを解説します。

利益が600万円を超えたら「役員報酬」で節税

最も分かりやすい基準は、オーナー個人の手元に残る利益(課税所得)が「600万円〜800万円」を超えたあたりです。

個人事業主の所得税は「累進課税」であり、利益が増えれば増えるほど税率が跳ね上がります。

(最大45%+住民税10%)

一方、法人化して自分に「役員報酬(給与)」を払う形にすると、以下の「税金の圧縮効果」が生まれます。

【法人化による節税メカニズム】

  • ① 給与所得控除の活用:
    個人事業の利益を「給与」として受け取ることで、みなし経費(給与所得控除)が適用され、個人の税金が安くなります。
  • ② 所得の分散:
    奥様や家族を役員にして報酬を支払うことで、世帯全体の税率を下げることができます(所得分散効果)。
  • ③ 法人税のフラット化:
    個人の税率が跳ね上がるラインを超えても、中小法人の法人税率は比較的低く一定(800万円以下の部分は約15%)です。

利益が600万円を超えてくると、法人化によるコスト増(社会保険料や税理士報酬)を差し引いても、手元に残るキャッシュが増える可能性が高まります。

消費税インボイス制度と「免税期間」の損益分岐点

2つ目は、消費税の納税義務が発生するタイミングです。

原則として、開業から2年間、または「基準期間の売上が1,000万円」を超えると消費税の課税事業者になります。

ここで法人化(資本金1,000万円未満で設立)すると、個人事業とは別の人格となるため、「最大2年間」の消費税免税期間を新たに獲得できるチャンスがあります。

インボイス制度下での注意点

ただし、現在はインボイス制度が導入されています。

接待利用が多い居酒屋や高級店の場合、インボイス登録(=課税事業者になること)をしないと法人客が減るリスクがあるため、免税メリットを享受できないケースがあります。

一方で、お客様のほとんどが一般消費者(領収書を求めない層)であるカフェやラーメン店であれば、あえてインボイス登録せず、免税事業者のまま2年間走るという戦略も有効です。

2店舗目の出店資金を「プロパー融資」で狙う時

3つ目は、多店舗展開を本気で目指す時です。

1店舗目は個人の信用や日本政策金融公庫の融資でなんとかなりますが、2店舗、3店舗と増やすには、数千万円規模の資金が必要です。

この段階で必要になるのが、銀行が独自に行う「プロパー融資」です。

銀行は、どんぶり勘定になりがちな個人事業主よりも、法に基づいて決算書を作成し、社会保険にも加入している「法人」に対して圧倒的に融資をしやすくなります。

「次は駅前の一等地に勝負をかけたい」

そう思った時こそ、個人という殻を破り、株式会社という「信用」の衣をまとうべきタイミングです。

💡 行政書士の現場メモ(マイクロ法人の選択肢)

「店は1つだけで大きくするつもりはないが、節税はしたい」という場合、個人事業を残したまま、資産管理会社(マイクロ法人)を作るスキームもあります。

しかし、飲食店の場合は「営業許可」や「スタッフの雇用」が絡むため、管理会社スキームは複雑になりがちです。

基本的には、事業ごと法人に移す「完全な法人成り」の方が、後述する採用面や物件契約でのメリットをフルに享受できるためおすすめです。

【メリット・金】個人店にはない「経費」と「信用」の力

法人化のメリットは、税率の差だけではありません。

株式会社という「箱」を使うことで、個人事業主では認められにくい支出を経費にしたり、個人の信用力では借りられない物件を契約したりすることが可能になります。

食べ歩きも会議費?「交際費800万円枠」の活用術

 

飲食店経営者にとって、他店への視察(食べ歩き)や、取引先・スタッフとの会食は、メニュー開発やチームビルディングに欠かせない「投資」です。

個人事業主の場合、こうした飲食代は「個人的な支出(家事費)」とみなされやすく、税務調査で厳しくチェックされます。

しかし、資本金1億円以下の中小法人には、「年間800万円までの交際費を全額経費(損金)にできる」という特例があります。

  • 同業他社の視察: 研究開発費や交際費として処理しやすい。
  • スタッフへの慰労: 福利厚生費や交際費として計上可能。

年間800万円(月額約66万円)という枠は、小規模な飲食店にとっては実質「使い放題」に近い金額です。

利益が出た際、税金として持っていかれるくらいなら、次のメニューのヒントを得るために高級店を視察する。

そうした「攻めの経費利用」がしやすくなるのが法人の強みです。

決算月を「繁忙期の直後」にずらして節税する裏技

個人事業主は「1月〜12月」が会計期間と決まっており、変更できません。

そのため、12月の忘年会シーズンで予想以上に利益が出てしまうと、翌年3月に多額の税金を払うことになり、キャッシュフローが苦しくなります。

一方、法人は「決算月」を自由に決めることができます。

飲食店におすすめなのは、「繁忙期の直後」ではなく、「繁忙期の手前」に決算を持ってくる、あるいは「閑散期」に決算を設定する戦略です。

💡 決算期設定の戦略例(12月が繁忙期の場合)

  • 戦略A:11月決算にする
    12月の大きな売上を「来期のスタート」に回せます。手元に現金がある状態で新しい期が始まるため、設備投資や求人に資金を使いやすくなります。
  • 戦略B:2月決算にする
    12月・1月の売上確定後に、年間の最終利益が見えます。「利益が出すぎた」と分かれば、決算月の2月に「決算賞与」をスタッフに出して節税しつつ、従業員満足度を上げることができます。

このように、売上の波に合わせて「税金をコントロールできる」のが法人の特権です。

人気の居抜き物件は「法人契約」で勝ち取る

良い立地の「居抜き物件」や、駅前の一等地のテナント募集は、スピード勝負の争奪戦です。

ここで個人の飲食店オーナーは圧倒的に不利になります。

大家さんや管理会社から見れば、個人事業主は「病気で倒れたら家賃はどうなる?」「夜逃げされたら回収できない」というリスクがあります。

対して法人は、決算書があり、社会保険に加入しているというだけで、「社会的な信用がある」と判断されやすくなります。

「この物件、申し込みが3件入っていますが、法人様なら優先して審査進めますよ」。

不動産仲介の現場では、このような会話が日常的に行われています。

2店舗目、3店舗目の展開スピードを上げたいなら、法人格は必須のパスポートと言えるでしょう。

💡 行政書士の現場メモ(賃貸契約の名義変更)

個人で借りている店舗を法人成りする場合、賃貸契約の「名義変更」が必要です。

ここで注意すべきは、大家さんによっては「名義変更=新規契約」とみなし、「敷金の積み増し」や「礼金の再支払い」を求めてくるケースがあることです。

法人化の登記をする前に、必ず大家さんや管理会社に「法人成りを検討しているが、契約条件はどうなるか?」を確認してください。

ここを確認せずに登記してしまうと、後で高額な手数料を請求されても断れなくなります。

【メリット・人】人手不足を解消する「採用」と「組織化」

「味には自信があるが、店を任せられる人がいないから2店舗目が出せない」。

これが多くの繁盛店オーナーの悩みです。

法人化は、この人材の壁を突破するための最強のツールとなります。

「社保完備」でないと一流の料理人とは呼べない現実

かつて飲食店は「修行の場」であり、社会保険(厚生年金・健康保険)がないのは当たり前という風潮がありました。

しかし今は違います。

特に腕の良い30代〜40代の料理長クラスや、責任感のある店長候補を採用したい場合、彼らには「家族」がいます。

ポイント

求人サイトにおいて、求職者の多くは検索条件で「社会保険完備」にチェックを入れます。

個人事業主(従業員5人未満)で社会保険に加入していない店は、この時点で検索結果から除外され、見てもらうことすらできません。

「法人化して社保完備にする」ことは、コスト増にはなりますが、「家族を養える安心できる職場」という強力なメッセージになります。

結果として、離職率が下がり、採用広告費を削減できるため、長期的に見ればコストパフォーマンスは良くなるのです。

将来の「のれん分け」を見据えた子会社スキーム

優秀なスタッフほど、「いつかは自分の店を持ちたい(独立したい)」という野心を持っています。

彼らを繋ぎ止めるのではなく、その夢を応援する仕組みとして法人格を活用するのが「のれん分け(子会社化)」の戦略です。

【法人を活用した独立支援スキーム】

  • STEP 1:店長として実績を積む
    まずは既存店の店長として、利益を出せる経営能力を身につけさせます。
  • STEP 2:新店舗を別法人(子会社)で作る
    2店舗目などを出店する際、本体の会社とは別に「株式会社〇〇」を設立し、そのスタッフを「代表取締役」に就任させます。
  • STEP 3:株式を持たせてオーナー感覚を持たせる
    株の一部を持たせることで、単なる雇われ店長ではなく「経営者」としての自覚を促します。

「頑張れば、うちのグループ会社の社長になれる」

このキャリアパスを見せることで、優秀な人材が定着し、モチベーション高く働き続けてくれるようになります。これは個人事業主では描けない組織図です。

💡 行政書士の現場メモ(就業規則の整備)

法人化して人を雇うなら、必ず「就業規則」を作成しましょう(常時10人以上なら届出義務あり)。
飲食業界は「残業代」や「休憩時間」のトラブルが非常に多い業界です。

「うちは家族的な付き合いだから大丈夫」と思っていても、退職時に未払い残業代を請求されるケースが後を絶ちません。

法人化を機に、労務管理をクリーンにすることが、会社とスタッフ双方を守ることになります。

【デメリット】避けて通れない「社会保険料」の負担増

法人化の最大のデメリットは、間違いなく「社会保険(厚生年金・健康保険)」への強制加入によるコスト増です。

個人事業主(従業員5人未満)の飲食店であれば、スタッフは国民健康保険・国民年金に個人で加入してもらうことが認められていますが、法人は社長1人であっても、アルバイトでも一定条件を満たせば加入義務が発生します。

利益を圧迫する「厚生年金」のリアルなシミュレーション

社会保険料は、会社と従業員が「折半(半分ずつ)」で負担します。

会社側の負担額は、給与額の約15%(厚生年金+健康保険+子ども・子育て拠出金)と考えてください。

【恐怖のコストシミュレーション】

月給30万円の店長を1人雇っている場合、会社が負担する社会保険料はいくら増えるのか?

  • 月額負担増: 約45,000円
  • 年間負担増: 約54万円

※もし社員が3人いれば、年間で約160万円の新たな固定費が生まれます。
これは、利益率10%の店なら「年商1,600万円分の利益」が吹き飛ぶ計算です。

この負担を「採用コスト」「将来への投資」と割り切れるかどうかが、法人化の分かれ道です。

中途半端な覚悟で法人化すると、この社会保険料の支払いで資金繰りがショートし、黒字倒産するリスクすらあります。

赤字でも発生する「法人住民税」と税理士顧問料

もう一つのデメリットは、維持費の増加です。

1. 赤字でもかかる「法人住民税(均等割)」

個人事業主なら赤字(所得ゼロ)なら住民税も安くなりますが、法人は赤字であっても「年間約7万円(均等割)」の法人住民税を必ず支払わなければなりません。

「店を開けている場所代」のような税金が、最低でも年間7万円発生します。

2. 税理士報酬のアップ

法人の決算申告は非常に複雑で、自力で行うのはほぼ不可能です(e-Taxの難易度も跳ね上がります)。

そのため税理士との顧問契約が必須となりますが、個人事業の時よりも月額顧問料や決算料が高くなるのが一般的です。

ざっくりですが、年間で20万円〜50万円程度、税理士コストが増えると考えておきましょう。

💡 行政書士の現場メモ(アルバイトの加入要件)

「うちは社員がいないから大丈夫」と思っていても、アルバイトでも「週20時間以上勤務」「月額8.8万円以上」などの条件を満たすと、社会保険の加入対象になる可能性があります(※従業員数による適用拡大ルールに注意)。

法人化する際は、シフト管理を徹底し、誰を加入させる必要があるのかを社労士と相談して明確にしておく必要があります。

個人から法人へ!移行手続きの「保健所」トラップ

最後に、飲食店が法人成りする際、最も注意しなければならない手続き上の「罠」について解説します。

それは、「個人の営業許可は、法人に引き継げない」という事実です。

営業許可は「引き継げない」?新規取り直しの空白期間

個人事業主として取得した「飲食店営業許可」は、あくまで「あなた個人」に与えられたものです。

法人化(会社設立)すると、別人格となるため、許可も「新規で取り直し」になります。

「名義変更の書類1枚出せば終わりでしょ?」と思っていると痛い目を見ます。

実際には、以下のプロセスが必要です。

【許可切り替えのデス・ロード】

  1. 廃業届の提出: まず個人の営業許可を返納(廃業)します。
  2. 新規申請の提出: 新しい法人名義で許可申請を出します。
  3. 実地調査(保健所): 担当官が店に来て、厨房設備などのチェックを「もう一度」行います。
  4. 許可証の交付: 検査合格から数日〜1週間後に交付されます。

空白期間(営業停止)を防ぐには?

最も恐ろしいのは、個人の廃業と法人の許可取得の間に「空白期間」ができてしまうことです。

この期間は無許可営業となるため、店を閉めなければなりません。

これを防ぐためには、会社設立の登記申請中に保健所へ事前相談に行き、「個人の廃業日」と「法人の許可日」が同日(または翌日)になるよう、検査日程を綿密に調整する必要があります。

売り上げを止めないための、まさに綱渡りのスケジュール調整です。

賃貸契約や酒類販売免許の名義変更リスト

保健所以外にも、名義変更(または新規取り直し)が必要なものは山ほどあります。

  • 賃貸借契約: 大家さんへの承諾と再契約(敷金等の精算リスクあり)。
  • 酒類販売業免許: テイクアウトでお酒を売っている場合、これも新規取り直しです(※非常に時間がかかります)。
  • 銀行口座・クレジット端末: 法人口座ができるまでカード売上が入金されないトラブルが多発します。

⚠️ 【警告】会社を作るだけでは「営業」できません

飲食店の法人化は、登記簿ができれば終わりではありません。

保健所、消防署、税務署、年金事務所、労働基準監督署…。これら全ての手続きを、店を回しながら一人で行うのは現実的ではありません。

特に保健所の許可が遅れれば、その日数の売上がゼロになります。

餅は餅屋、手続きはプロに任せて、オーナーは「最高の料理とサービス」に集中してください。

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