定款作成の完全ガイド|会社設立で4万円損しない書き方と基礎知識【行政書士監修】

【結論】定款(ていかん)とは?
定款とは、商号・目的・本店所在地・機関設計など、その会社の根本規則を定めた「会社の憲法」です。

会社設立手続きにおいて作成が義務付けられており、この記載内容を誤ると、銀行口座が開設できないだけでなく、将来の許認可取得や節税対策に致命的な損失を招きます。

また、紙ではなく電子定款を選択することで、印紙税4万円を合法的に削減可能です。

行政書士 小野馨
こんにちは!
電子定款実績5000件 行政書士の小野馨です。
今回は【定款とは?会社設立で4万円損しない書き方と基礎知識】について解説します。

「とりあえずネットに落ちている雛形をコピペすればいい」
もしそう考えているなら、今すぐその手を止めてください。

定款は、単なる「役所に提出するための形式的な書類」ではありません。
あなたの会社の「将来の拡張性(許認可が取れるか)」「守り(株主トラブルで会社を乗っ取られないか)」、そして「手残り資金(創業期の節税)」を決定づける、極めて重要な設計図です。

この記事では、現役行政書士が「法的にミスのない定款の書き方」と、将来のリスクを回避する「守りの条文」を徹底解説します。
また、多くの起業家が躓く「電子定款(作成)」や「公証役場(認証)」といった専門的・技術的な手続きについては、この記事から各「完全攻略マニュアル(専門記事)」へスムーズに案内します。

まずはこの記事で「定款の全体像」と「絶対に外してはいけない急所」を押さえてください。それだけで、あなたは無駄なリスクとコストを回避した「賢い創業者」になれます。

⚠️ 【警告】損失回避の重要性
紙の定款で認証を受けると、印紙税4万円をドブに捨てることになります。2026年現在、電子定款を使わない理由は『ゼロ』です。この記事では、その4万円を確実に守るためのルートもナビゲートします。

この記事でわかる4つのポイント

  • ✅ 定款の「絶対的記載事項」と法的に無効になるNG例
  • ✅ 将来の許認可・融資を通す「事業目的・商号」の書き方
  • ✅ 【リンク誘導】電子定款・認証・変更手続きの完全マップ
  • ✅ 行政書士直伝!4万円損しないための「守りの定款」戦略

定款(ていかん)とは?会社設立における「憲法」の役割

会社設立の相談を受ける中で、最も多い勘違いが「定款なんて、登記が通れば何でもいい」というものです。
しかし、行政書士として断言します。定款は、あなたの会社の命運を左右する「憲法」そのものです。

国の法律(憲法)に違反する法律が無効であるのと同様に、会社の活動もすべて定款というルールの範囲内で行われなければなりません。
まずは、なぜこれほどまでに定款が重要視されるのか、その法的背景を理解しましょう。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

過去に、「ネットで拾った定款」を内容も理解せず使い回して設立した方がいました。数年後、創業メンバーと仲違いし、相手を解任しようとした際、定款に「役員の解任要件」が厳格に設定されていたため解任できず、逆に会社を乗っ取られてしまった事例があります。
定款は「順調な時」のためではなく、「トラブルが起きた時」に会社とオーナーを守るための武器なのです。

なぜ作成義務があるのか?会社法上の定義と「効力」

定款(Articles of Incorporation)とは、会社の目的・組織・活動・構成員・業務執行などに関する基本規則を記した書面、または電磁的記録(PDFなど)のことを指します。
会社法第26条等により、株式会社であれ合同会社であれ、法人を設立するには必ず発起人(出資者)全員で定款を作成し、同意しなければならないと定められています。

なぜこれほど厳格に作成義務が課されているのでしょうか。
それは、定款が以下の3つの場面で強力な法的な「効力」を発揮するからです。

  • ① 組織の根本ルール(自治法規)としての効力
    株主総会の招集方法、役員の任期、配当のルールなど、会社の運営ルールを拘束します。定款に違反する株主総会決議は、原則として「無効」となります(決議取消の訴え等の対象)。つまり、定款を無視した経営決定は、後からすべてひっくり返されるリスクがあるのです。
  • ② 対外的な信用証明としての効力
    銀行融資、オフィス契約、そして許認可申請。あらゆるビジネスの契約場面で、相手方は「定款」の提出を求めてきます。
    それは定款が、「この会社は何をする会社か(事業目的)」「誰が責任者か(機関設計)」を証明する唯一無二の公的文書だからです。ここに不備があれば、社会的な信用はゼロになります。
  • ③ 法律よりも優先される「別段の定め」
    会社法は「定款で別段の定めをすれば、そちらを優先する」という規定(任意規定)を多く設けています。
    例えば、取締役の任期は原則2年ですが、定款で定めれば「最大10年」まで延長可能です。このように、定款を作り込むことで、法律の枠組みを超えた自由で戦略的な経営が可能になります。

【比較表】株式会社と合同会社の定款の違い(認証の有無)

これから会社を作る際、大きく分けて「株式会社」と「合同会社」の2つの形態があります。
どちらも定款の作成は必須ですが、手続きの面で大きな違いがあるのが「公証役場での認証(にんしょう)」です。

以下の比較表をご覧ください。

比較項目株式会社合同会社
定款作成義務あり(必須)あり(必須)
公証人の認証必要(公証役場)不要
認証手数料約3万〜5万円
(資本金額による)
0円
収入印紙代4万円
(※電子定款なら0円)
4万円
(※電子定款なら0円)

ここで最も重要なポイントは、「合同会社であっても、紙で定款を作れば4万円の印紙税がかかる」という事実です。

「合同会社は認証がいらないから安く済む」と油断して紙で定款を作ってしまうと、無駄な4万円を支払うことになります。株式会社であれ合同会社であれ、スタートアップにおけるコスト削減の正解は「電子定款」一択です。

📷 画像挿入指示

推奨画像: 株式会社と合同会社の設立フロー比較図(認証プロセスの有無と、共通する電子定款メリットを強調)

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Alt属性: 株式会社 合同会社 定款認証 違い

【重要】定款に記載する「3つの事項」と法的効力

定款に記載する内容は、その法的な重要度によって「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つに明確に分類されています。
この分類は単なる法律用語ではありません。「必ず書くべきこと」「書かないと損すること」「自由に決めていいこと」のリストそのものです。

これらを混同して、「絶対に必要な項目」を書き忘れると定款自体が無効になり、「書くと得する項目」を知らずにスルーすると、設立後の経営で数万円〜数十万円単位の損をすることになります。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

最も恐ろしいのは、「設立後に定款の不備に気づくこと」です。
例えば、発起人の住所氏名などの絶対的記載事項に誤字が一つあるだけで、公証人は認証を拒否します。また、設立後に定款原本を紛失し、再作成しようとした際に当時の内容(発起人の住所など)を思い出せず、法務局のデータと矛盾してしまうトラブルも多発しています。この章で「正しい書き方」を完璧に押さえてください。

絶対的記載事項(これがないと無効)

会社法第27条により、以下の5項目は一言一句たりとも欠かしてはならない事項です。これらが一つでも欠けると、定款そのものが法律上無効となり、会社を設立できません。

  • ① 目的(事業内容):何をして稼ぐ会社か。
  • ② 商号(会社名):株式会社〇〇などの名称。
  • ③ 本店所在地:会社の住所。
  • ④ 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額:資本金など。
  • ⑤ 発起人の氏名または名称および住所:出資者の情報。

特に戦略的な判断が求められるのが「③ 本店所在地」「④ 資本金」です。プロはここで将来のコストを削減します。

【戦略1】本店所在地は「最小行政区画」で止める裏技

定款の本店所在地は、具体的な番地やビル名まで書く必要はありません。例えば東京都港区六本木にオフィスを借りる場合でも、定款には以下のように記載します。

(本店の所在地)
第3条 当会社は、本店を東京都港区に置く。

あえて「東京都港区六本木1丁目〇番〇号」まで書かないのが、賢い起業家の鉄則です。
なぜなら、将来同じ港区内でオフィスを引っ越した際、番地まで定款に書いていると「定款変更(株主総会決議)」が必要になり、手続きの手間が発生するからです。

「東京都港区」という最小行政区画(市区町村)までにしておけば、同一区内の移転なら取締役の決定だけで済み、定款を変更する必要がありません。これだけで、将来の手続きコストと時間を節約できます。

※注:法務局への「登記」には正確な番地まで申請する必要があります。定款と登記で記載の粒度を変えるのがポイントです。

【戦略2】資本金は「1,000万円未満」が節税の分水嶺

資本金の額は1円から自由に決められますが、税務面で絶対に意識すべきラインが「1,000万円」です。
資本金が1,000万円未満(999万円以下など)であれば、以下の強力なメリットを享受できる可能性があります。

  • 消費税の免税事業者(原則):
    設立1期目(要件を満たせば2期目も)の消費税納税義務が免除されます。
    (※インボイス制度登録を行う場合は課税事業者となりますが、それでも簡易課税制度の選択肢など、小規模事業者特例の恩恵を受けやすいラインです)
  • 法人住民税(均等割)の安さ:
    赤字でも必ず支払う「均等割」が、資本金1,000万円以下なら最低ランク(年間約7万円)で済みます。1,000万円を超えると、この税金が跳ね上がります。

「見栄を張って資本金1,000万円ジャストにする」というのは、税務的には最も損な選択肢になりかねません。900万円や500万円など、身の丈に合った設定をお勧めします。

相対的記載事項(書かないと効力なし)

定款に記載しなくても定款自体は有効ですが、記載しないと法的な効力が発生しない事項です。
「後で決めればいいや」と思って記載し忘れると、そのルールを会社で適用できなくなります。

最も重要、かつ中小企業の99%に必要なのが「株式の譲渡制限」に関する規定です。

(株式の譲渡制限)
第〇条 当会社の株式を譲渡により取得するには、当会社の承認を要する。

この一文を入れることで、あなたの会社は「非公開会社(閉鎖会社)」となります。
この規定がない会社(公開会社)は、株主が自分の持っている株を、会社の許可なく誰にでも自由に売ることができます。

もし創業メンバーの一人が辞める際、腹いせに全く関係のない第三者や、敵対的な競合他社に株式を売ってしまったらどうなるでしょうか?
見ず知らずの人間が株主総会に乗り込んできて、経営に口を出したり、帳簿の開示を求めてきたりするリスクがあります。

家族経営や少人数での起業ならば、この「譲渡制限」は必須の防衛策です。これを入れ忘れると、会社法上の特例(取締役会を置かない、任期を10年にするなど)も使えなくなり、管理コストも増大します。

任意的記載事項(会社ごとの独自ルール)

会社法に違反しない範囲で、会社が自由に決められるルールです。
ここで起業家のセンスが問われるのが「事業年度(決算期)」の設定です。

個人の確定申告は「1月〜12月」と決まっていますが、法人は「4月〜3月」「10月〜9月」など自由に決められます。
ここでの「節税の最適解」は、「設立日からできるだけ離れた月を決算月にすること」です。

【例:4月1日に会社を設立する場合】

  • 4月30日を決算日にする
    → 設立してわずか1ヶ月で決算申告(税理士報酬約20万円〜)が発生し、消費税免税のボーナスタイムも1ヶ月で消化してしまいます。
  • 3月31日を決算日にする
    → 第1期を丸々1年間(12ヶ月)確保できます。決算コストを先送りにでき、消費税免税期間も最大限活用できます。

定款で事業年度を戦略的に定めることは、創業初期の貴重なキャッシュフローを守るための、立派な「経営判断」なのです。
単に「3月決算が一般的だから」という理由で決めるのは避けましょう。

失敗しない「事業目的」と「商号」の書き方【許認可リスク】

定款の第2条などに記載する「目的(事業目的)」は、会社の履歴書における「職務経歴」のようなものです。
多くの人が「将来やるかもしれないから」と安易に大量の目的を羅列したり、「ネットのサンプル」をそのまま貼り付けたりしますが、これは非常に危険です。

不適切な事業目的は、会社設立後の「許認可申請(免許取得)」や「法人口座開設」で門前払いを受ける直接の原因になります。

行政書士として5000社以上を見てきた経験から言えることは、「事業目的は、将来欲しい許認可から『逆算』して一言一句正確に書かなければならない」ということです。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

以前、「介護事業」で起業したお客様が、定款の目的に「老人介護業務」とだけ記載して設立されました。しかし、いざ役所に指定申請(許認可)に行ったところ、「『介護保険法に基づく居宅サービス事業』という法律用語が入っていないため受理できません」と却下されました。
結局、そのお客様は設立直後に3万円の登録免許税と司法書士報酬を払い、定款を変更することになりました。許認可には、役所が求める「魔法の文言(定型句)」が必ず存在します。

建設業・運送業・古物商…許認可を通す「魔法の文言」

日本には、特定の事業を行うために役所の許可が必要な業種が数多くあります。
これらの許認可申請では、定款の事業目的に「その事業を行う意思」が明確に読み取れる文言が入っていることが絶対条件(適格性要件)となります。

以下に、代表的な許認可事業における「必須文言」の事例を公開します。これから申請を考えている方は、必ずメモしてください。

【事例1】建設業許可を取りたい場合

単に「建設業」や「リフォーム業」と書くだけでは不十分な場合があります。
将来、大きな工事を請け負う「特定建設業許可」などを目指すのであれば、以下のように具体的に記載することが推奨されます。

  • 建築工事、土木工事、大工工事、左官工事…(等の専門工事名)の請負、施工、設計、監理及びコンサルティング
  • 建築工事及び土木工事に関する請負、設計、施工及び監理

特に重要なのが「請負」という言葉です。また、建築士事務所登録も視野に入れるなら「設計・監理」の文言も必須となります。

【事例2】中古品販売(古物商許可)の場合

リサイクルショップ、古着屋、ネットでのせどり事業を法人化する場合、警察署での「古物商許可」が必要です。
警察署の防犯担当者は、定款に以下の文言があるかを目を皿のようにしてチェックします。

  • 古物営業法に基づく古物商
  • 中古自動車の販売及び輸出入
  • リサイクルショップの経営

「物品販売業」や「ECサイトの運営」といった広義の表現だけでは、「古物(中古品)を扱う意思が読み取れない」として、定款変更を求められるリスクが高いです。

【事例3】運送業(緑ナンバー)の場合

トラックやバスなどの運送業は、最も規制が厳しい分野の一つです。貨物自動車運送事業法に基づく正確な用語が求められます。

  • 一般貨物自動車運送事業(トラック)
  • 貨物利用運送事業(水屋・配車のみ)
  • 貨物軽自動車運送事業(軽トラ・黒ナンバー)

【結論】
定款を作る際は、自己判断せず、必ず「管轄の役所(都道府県庁や警察署)の手引き」を確認するか、許認可専門の行政書士に「この文言で許可が下りるか」を事前確認してください。
たった一行の書き忘れが、事業開始を1ヶ月遅らせる原因になります。

銀行口座が開設できない?「事業目的」のNG事例

会社設立後、多くの社長が直面する最初の難関が「法人口座の開設審査」です。
近年、マネーロンダリング対策の強化により、銀行の審査は極めて厳格になっています。その際、定款の事業目的が「怪しい」「実態が見えない」と判断されると、口座開設を拒否されます(通称:口座開設難民)。

【銀行にNG判定されやすい3つの特徴】

1. 事業目的が多すぎる(総花的定款)
「あれもこれも」と30個も40個も羅列している会社は、「実態がないペーパーカンパニーではないか?」と疑われます。
事業目的は、直近で行う事業+将来(3年以内)行う可能性がある事業に絞り、10個〜15個程度に収めるのがスマートです。

2. 実態不明・ハイリスクな用語が含まれている
以下のキーワードは、銀行のコンプライアンス部門が警戒レベルを最大に引き上げます。

  • 仮想通貨交換業、暗号資産マイニング(金融庁登録がない限りNG)
  • 投資顧問業、金融商品取引業(無登録業者の疑い)
  • 情報商材の販売、情報提供サービス(詐欺的商法の疑い)

もしこれらの事業を本当に行うのであれば、事業計画書や許認可証の提示が必須です。行う予定がないのに「かっこいいから」という理由だけで記載するのは、自ら口座開設のハードルを上げる自殺行為です。

3. 整合性が取れていない
例えば「Web制作業」がメインのはずなのに、「農産物の生産」「マッサージ店の経営」「中古車の輸出」など、全く脈絡のない事業が含まれていると、事業の真実性を疑われます。

【解決策:魔法の包括条項】
事業目的の最後(締めくくり)には、必ず以下の文言を入れてください。

「前各号に附帯または関連する一切の事業」

これを入れておけば、メイン事業に関連する派生ビジネスであれば、いちいち定款変更しなくても対応できるようになります。

📷 画像挿入指示

推奨画像: 許認可申請でNGになる定款(×曖昧な表現)とOKになる定款(◎具体的・法定用語)の対比図

生成用プロンプト: Illustration comparing a rejected document with vague text vs an approved document with specific legal wording (e.g. 'General Cargo Transportation'). Style: Professional minimalist flat illustration, reliable corporate blue and white color scheme.

Alt属性: 定款 事業目的 許認可 銀行口座開設 審査

紙の定款は4万円の損!「電子定款」という賢い選択

会社設立の初期費用で最も無駄な出費、それが定款に貼る「4万円の収入印紙」です。
しかし、2004年の法改正以降、定款を紙ではなく「電子データ(PDF)」で作成すれば、この4万円を合法的にカットできるようになりました。

現在、当事務所に依頼されるお客様のほぼ100%がこの「電子定款」を選択しています。
ここでは、なぜ安くなるのかという仕組みと、これからご自身で作成する場合の「損益分岐点(自分でやるべきか否か)」について解説します。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

「電子定款なら4万円浮く」と聞いて飛びついたものの、マイナンバーカードのパスワードを忘れていたり、ICカードリーダーの設定ができずに挫折し、結局紙で出し直して4万円損した…という方が後を絶ちません。電子定款は「事前の環境準備」が9割です。

収入印紙代が0円になる法的仕組み

なぜ、同じ定款なのに紙だと4万円かかり、電子だと0円なのでしょうか?
それは「印紙税法」という法律の定義に理由があります。

印紙税法では、課税対象を「文書(紙)」と定義しています。
電子定款は、紙ではなく「電磁的記録(PDFデータ)」であるため、法律上「文書」には該当しません。したがって、印紙税の課税対象外(非課税)となるのです。

これは脱税やグレーゾーンではなく、政府がデジタル化を推進するために認めている正式な特例措置です。
資本金が100万円の小さな会社でも、1億円の大きな会社でも、一律で4万円の削減効果があります。

【図解】認証手続きの流れ(紙 vs 電子)

では、実際に作成から認証(株式会社の場合)までの流れはどう違うのでしょうか。
株式会社設立のケースで比較します。

ステップ紙の定款電子定款
①作成Word等で作成し印刷・製本Word等で作成しPDF変換
②署名発起人全員が実印を押印発起人が電子署名を付与
(要マイナンバーカード等)
③申請公証役場へ持参オンライン申請システムで送信
④受取公証役場で原本受取
(4万円印紙貼付)
公証役場でデータ受取
(印紙不要・USBメモリ持参)

最大のハードルは、②の「電子署名」です。
単にPDFにするだけでなく、そのファイルに「実印を押したのと同じ法的効力」を持つ電子署名を付与するには、専用のソフトと機材が必要になります。

自分でやるか?プロに頼むか?(機材コストの損益分岐点)

「4万円浮くなら自分でやろう!」と意気込む前に、必要な機材コストを確認しましょう。
完全DIYで電子定款を作成するには、以下の環境が必要です。

  • マイナンバーカード(署名用電子証明書入り)
  • ICカードリーダー(約3,000円〜)
  • Adobe Acrobat Pro等のPDF編集ソフト(月額約2,000円〜、または無料体験版)
  • 申請用プラグインソフト(PDF署名プラグイン等・無料)

機材を一から揃えると、約5,000円〜10,000円程度のコストがかかります。
それでも差し引き「実質3万円」は浮く計算になりますが、セットアップにはITスキルと時間(半日〜1日)が必要です。

【行政書士からの判断基準】

  • 「ITスキルがあり、時間をかけてでもコストを最大まで削りたい方」
    → ご自身で「電子定款」に挑戦する価値があります。以下の専門ガイドを見ながら進めてください。
  • 「面倒な設定は嫌だ、失敗したくない、本業の準備に時間を使いたい方」
    → 電子定款対応の行政書士や、設立代行サービス(freee会社設立など)を利用したほうが、結果的に時間単価は安くなります。

🔧 【完全版】自分でできる!電子定款の作成マニュアル

「機材を揃えてでも自分でやってみたい」「具体的なPDF署名の方法を知りたい」というチャレンジャーのために、機材選びからプラグインの設定、署名付与までを画像付きで解説しました。

電子定款の作り方・署名手順を見る >

定款作成後の手続きと「原本」の保管ルール

定款は「作って終わり」ではありません。
株式会社であれば公証役場での「認証」を経て初めて効力を持ちますし、設立後も会社法上の「保存義務」があります。

ここでは、定款作成後に待ち受けている手続きと、銀行口座開設や将来の変更時に困らないための「運用ルール」を解説します。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

「定款の認証予約」は、3月や4月などの繁忙期には1〜2週間待ちになることもあります。オフィスの契約日や融資の実行日が決まっている場合、定款認証が遅れるとすべてのスケジュールが破綻します。定款案ができたら、すぐに公証役場へ事前確認(FAXやメール)を送るのがプロの鉄則です。

公証役場での認証と「実質的支配者申告書」

株式会社を設立する場合、作成した定款は管轄の法務局所属の公証役場で、公証人の「認証(にんしょう)」を受けなければなりません。
これは、「この定款は正当な手続きで作られた本物ですよ」というお墨付きをもらう手続きです。

認証当日の必須アイテムと「印鑑証明書」の罠

認証当日、発起人が公証役場に出向く必要があります(代理人も可)。
ここで最も注意すべきなのが、持参する「印鑑登録証明書」の有効期限です。

  • 発行から6ヶ月前のもの → 使えません。
  • 発行から3ヶ月以内のもの → 必須です。

「家にある昔のやつでいいや」と思っていると、当日窓口で突き返されます。
また、電子定款の場合は、定款データを入れた空のCD-RやUSBメモリも必要になります。

忘れがちな「実質的支配者となるべき者の申告書」

2018年より、マネーロンダリング対策として、定款認証の際に「実質的支配者(会社の真のオーナー)」を申告することが義務化されました。
定款とは別に申告書を作成し、公証人に提出する必要があります。

「自分が100%株主だから関係ない」ではありません。自分自身を支配者として申告する必要があります。

🏛️ 公証役場が怖くない!定款認証の完全攻略マップ

公証人との事前協議メールの文面から、当日の持ち物チェックリスト、実質的支配者申告書の書き方まで、認証手続きの全てをまとめました。

定款認証の予約・当日の流れを見る >

銀行口座開設に使う「原始定款」とは?

認証が無事に終わり、法務局での設立登記が完了すると、いよいよ銀行口座の開設です。
この時、銀行から必ず提出を求められるのが「定款の写し(コピー)」です。

ここで登場するのが「原始定款(げんしていかん)」という言葉です。
これは「会社設立時に最初に作った、公証人の認証印がある定款」のことです。

【実利テクニック】謄本は何通もらえばいい?

認証が終わると、公証人から「定款の謄本(とうほん)」をもらえます(有料:1通約2,000円程度)。
この時、ケチらずに「2通」取得することをお勧めします。

  • 1通目:銀行提出用(原本還付用)
    銀行の窓口で見せます。
  • 2通目:会社保存用(金庫用)
    会社法では、定款を本店(および支店)に備え置く義務があります(会社法第31条)。

設立直後のバタバタで定款を紛失する社長は意外と多いです。予備を含めて取得しておきましょう。

設立後の定款変更と「株主総会決議」

会社が成長すれば、「商号を変えたい」「新しい事業を始めたい(目的追加)」「本店を引っ越したい」という場面が必ず訪れます。
しかし、定款は一度決めたら、社長の一存で勝手に書き換えることはできません。

定款を変更するには、原則として「株主総会の特別決議」が必要です。
(※発行済株式総数の過半数を持つ株主が出席し、その議決権の3分の2以上の賛成が必要)

変更には「3万円」の税金がかかる

株主総会で承認された後、法務局で「定款変更の登記」を行う必要があります。
この際、登録免許税として3万円(本店移転で管轄外なら6万円)がかかります。

この記事の冒頭で、「事業目的や本店所在地を慎重に決めてください」としつこくお伝えしたのは、この「後から変えると3万円かかる」というペナルティを回避していただくためです。

📝 【雛形あり】株式会社の定款変更手続きガイド

商号変更や目的変更に必要な「株主総会議事録」のテンプレートと、法務局への登記申請書の書き方を解説します。自分でやれば司法書士報酬を節約可能です。

定款変更・議事録の書き方を見る >

⚠️ 【警告】自己判断のリスクと「見えないコスト」

「自分でやれば無料」は間違いです。
不慣れな電子署名設定に3日も費やしたり、定款の記載ミスで認証をやり直したりすれば、あなたの時給換算での損失は数万円では済みません。
何より、不備のある定款で将来「許認可が取れない」「融資が下りない」という事態になれば、会社の成長そのものが止まってしまいます。

【毎月3名様限定】会社設立費用を4万円安くしませんか?

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※賢い起業家への第一歩。
※この記事を見たとお伝え頂ければスムーズです。