「マイナポイントの申請はスマホだけでできたのに、なんで定款はダメなの?」…その怒り、ごもっともです。しかし、無理にスマホで完結させようとすると、PC設定の泥沼にハマり、週末がすべて消え失せます。

行政書士歴20年、5000社以上の起業をサポートし、ITツールに翻弄される経営者を救い続けてきた小野馨です。
今回は「ICカードリーダー不要」という甘い言葉の裏にある、技術的な現実と最適解について、忖度なしで解説します。
その気持ち、痛いほどわかります。
最近は、確定申告(e-Tax)もスマホだけで完結する時代です。
当然、会社設立の電子定款もスマホだけでサクッと…といきたいところですが、現実はそう甘くありません。
法務省のシステムは、いまだに強固な「パソコン至上主義」だからです。
しかし、諦めるのはまだ早いです。
パソコンは必須ですが、あなたの手元にあるスマホをカードリーダー代わりに使い、機材購入費を0円にする「抜け道」は存在します。
この記事では、技術的に難易度の高い「修羅の道」と、ツールを使った「賢者の道」の2つを提示し、あなたが選ぶべき最短ルートを明らかにします。
▼ この記事のポイント ▼
- ✅ スマホ「だけ」で電子定款作成が不可能な技術的理由
- ✅ スマホをリーダー化する「JPKI連携」の接続地獄
- ✅ iPhoneユーザーがWindowsと連携する際のエラー率
- ✅ クラウドツールを使えば、設定不要で署名できる事実
※なお、会社設立の流れや電子定款の仕組みを網羅的に知りたい方は、
『電子定款・会社設立の教科書(トップページ)』
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【結論】スマホ「だけ」で電子定款は作れない。だが「リーダー」は捨てられる
まず、残酷な現実からお伝えしなければなりません。
ネット上には「スマホで電子定款」というタイトルが溢れていますが、あれは半分正解で、半分嘘です。
正確には、「パソコン操作の一環として、スマホを補助的に使う」ことしかできません。
なぜ、マイナポータルアプリのようにスマホ単体で完結できないのか。
その根本的な原因と、それでもカードリーダーを買わずに済む2つのアプローチについて解説します。
法務省システムの限界(WindowsPCの呪縛)
法務省システムの限界とは、「電子定款に署名するための『PDF署名プラグインソフト』が、Windowsのパソコン(Adobe Acrobat)上でしか動作しないという絶対的な仕様」のことです。
実は、多くの人がここで躓きます。
「iPadやMacBookじゃダメなんですか?」
残念ながら、ダメです。
法務省が提供している署名用ソフトは、Windows専用に設計されています。
PDFファイル自体はスマホでも見られますが、そこに「マイナンバーカードの電子証明書を埋め込む」という高度な処理は、スマホのスペックやOS(iOS/Android)では対応していないのです。
したがって、電子定款を自力で作るなら、必ず「Windowsパソコン」と「Adobe Acrobat(有料版)」が必要になります。
ここを避けて通ることはできません。
それでもリーダーを買わなくていい「2つのルート」とは
2つのルートとは、「①PCの設定をいじってスマホをリーダー化する『JPKI連携ルート』と、②民間サービスを使ってスマホ署名する『クラウドツールルート』」のことです。
パソコンは必須ですが、ICカードリーダー(Sony PaSoRiなど)を買う必要はありません。
一つ目のルートは、公的個人認証サービス(JPKI)の機能を使い、Bluetooth経由でスマホをPCに認識させる方法です。
これは無料でできますが、設定が非常に複雑で、ITリテラシーが求められます。
二つ目のルートは、freee会社設立やマネーフォワードなどの「設立支援クラウド」を使う方法です。
これらのサービスは、独自のアプリ経由で署名を行う仕組みを持っており、面倒な設定なしにスマホで「ピッ」とするだけで署名が完了します。
「技術的な達成感を味わいたい」なら前者、「時間を買いたい」なら後者。
この選択が、あなたの設立準備の快適さを左右します。
- 「スマホだけで完結」は幻想。Windowsパソコンが絶対に必要。
- Macユーザーは、Boot CampなどでWindows環境を作る必要がある。
- ICカードリーダーは不要だが、代わりの手段を選ぶ必要がある。
【裏技①】スマホをPCのリーダー化する「JPKI連携」(修羅の道)
まずは、無料でできる「JPKI連携」の方法について解説します。
これを「修羅の道」と呼ぶのには理由があります。
公式サイトの手順書を見ても専門用語だらけで、接続が安定しないことが多々あるからです。
それでも「意地でも1円も払いたくない」というチャレンジャーのために、その実態を明かします。
公的個人認証サービス(JPKI)利用者ソフトの「スマホ連携機能」
スマホ連携機能とは、「PCにインストールした『JPKI利用者ソフト』と、スマホに入れた『JPKI利用者ソフト(アプリ)』をBluetooth等でペアリングし、スマホをカードリーダーとして誤認させる技術」のことです。
仕組みとしては、PCが「カードリーダーはどこだ?」と探した時に、「ここにいますよ(実はスマホですが)」と信号を送るイメージです。
これを実現するには、以下のステップが必要です。
1. PCに「JPKI利用者ソフト」をインストールする。
2. スマホに同名のアプリをインストールする。
3. PCとスマホをBluetoothでペアリングする。
4. PC側のソフトで「ICカードリーダライタ設定」を開き、「スマートフォン」を選択する。
文字にすると簡単そうですが、実際には「ペアリングできたのにソフト上で認識しない」「ドライバが見つからない」といったエラーが頻発します。
[画像指示: PCの画面とスマホを並べ、Bluetoothで接続しようとしている様子。画面にはエラーメッセージや設定ウィンドウが表示されているイメージ (推奨ファイル名: jpki-smartphone-pairing-error.jpg, alt: JPKI利用者ソフト スマホ連携 設定)]Androidはまだマシ、iPhoneは地獄?
iPhoneは地獄とは、「iOSのセキュリティ仕様やBluetoothの接続安定性がWindowsと相性が悪く、署名の瞬間に接続が切れるトラブルが起きやすい」ことです。
※これは私の主観ではなく、多くのユーザーの悲鳴です。
Android端末の場合、比較的スムーズにペアリングできることが多いですが、iPhoneとWindowsの組み合わせは鬼門です。
「iTunesが入っていないと認識しない」「Bluetoothのプロファイルが合わない」など、原因不明の接続不良に悩まされます。
e-Tax(確定申告)のサイトではスムーズにいっても、法務省のPDF署名プラグインを通した瞬間にフリーズすることがあります。
「リーダー代3,000円」をケチるために、5時間以上ネットでトラブルシューティングをする覚悟があるか。
iPhoneユーザーには、この方法はお勧めしません。
署名プラグインとの「相性最悪問題」
相性最悪問題とは、「Adobe Acrobatの署名機能が、Bluetooth経由の不安定な接続を『カード抜き取り』と誤判定し、エラーコードを吐いて終了する現象」のことです。
電子署名は、非常に繊細な処理を行っています。
USB接続の物理的なカードリーダーなら通信が安定していますが、無線(Bluetooth)を使ったスマホ連携の場合、わずかな通信ラグが発生します。
このラグを、古い設計の署名プラグインが「エラー」と判定してしまうのです。
「署名ボタンを押す」→「スマホでパスワード入力」→「通信中…」→「エラー:ICカードが見つかりません」。
このコンボを食らった時の絶望感は計り知れません。
ここだけの話ですが、私も実験で試しましたが、3回に1回は失敗しました。
本番の申請でこれを使うのは、あまりにもリスクが高いと言わざるを得ません。
- JPKI連携を使えば、理論上はスマホがリーダーになる。
- iPhone×Windowsの組み合わせは接続トラブルの温床。
- Adobe上の署名は通信が不安定だと即エラーになる。
【裏技②】クラウド設立サービスの「スマホ署名」機能(賢者の道)
PCの設定に時間を溶かすのが嫌な方には、もう一つの選択肢があります。
それが、民間の設立支援サービス(クラウドツール)を活用する方法です。
これらは、法務省の不親切なシステムをラップ(包み込む)して、誰でも直感的に操作できるように設計されています。
「お金をかけずに」という当初の目的とは少しズレるかもしれませんが、時間対効果を考えれば、これが最も現実的かつスマートな解決策です。
その仕組みと、コストパフォーマンスについて解説します。
freee会社設立などの「QRコード署名」の仕組み
QRコード署名とは、「PC画面に表示されたQRコードを専用のスマホアプリで読み取るだけで、Bluetooth設定なしにマイナンバーカード署名が完了する技術」のことです。
「えっ、これだけで終わり?」
初めてこの機能を使った時の、クライアントの驚いた顔を忘れません。
freee会社設立やマネーフォワード会社設立などのサービスでは、独自の技術により、面倒なペアリング設定を完全に排除しています。
手順はシンプルです。
1. PCのブラウザで設立情報を入力し、電子定款の作成画面へ進む。
2. 画面に「署名用QRコード」が表示される。
3. 指定のスマホアプリを起動し、QRコードを読み取る。
4. スマホの背面にマイナンバーカードを当てる。
これだけで、クラウド上の定款データにあなたの電子証明書が付与されます。
Adobe Acrobatも、JPKI利用者ソフトの設定も不要。
まさに「賢者の道」と呼ぶにふさわしいショートカットです。
コスト比較:リーダー購入(3,000円)vs ツール手数料(0円〜5,000円)
コスト比較とは、「Amazonでカードリーダーを買う3,000円と、ツール利用料(電子定款作成手数料)の5,000円を天秤にかけ、どちらが『得』かを判断すること」です。
ここで電卓を叩いてみましょう。
多くのクラウド設立サービスは、会員登録や書類作成自体は「無料」ですが、電子定款の作成代行(行政書士の署名付与)を依頼する場合に「5,000円」程度の手数料がかかるケースが一般的です。
一見すると、カードリーダー(3,000円)を買って自分でやった方が2,000円安く見えます。
しかし、前述した「PCの設定時間」や「Adobeソフト代(月額数千円)」を考慮すれば、5,000円払ってツールを使った方が、トータルコストは圧倒的に安くなります。
さらに、キャンペーンなどで「電子定款手数料0円」になっているタイミングであれば、迷う理由はありません。
「目先の2,000円」を拾うために「半日の時間」をドブに捨てるか。
それとも、手数料を払って「快適さ」を買うか。
経営者としてのセンスが問われる瞬間です。
リーダーを買うべき人、ツールを使うべき人
リーダーを買うべき人とは、「会社設立後も、e-Tax(確定申告)や登記ねっとを使って、頻繁に公的個人認証を行う予定があるITリテラシーの高い人」のことです。
逆に、ツールを使うべき人は、「今回限りで面倒な手続きは終わらせたい人」です。
もしあなたが、将来的に税理士を雇わず、自分で毎年確定申告をするつもりなら、今のうちにICカードリーダーを買ってPC環境を整えておくのも悪くありません。
e-Taxでもスマホ署名は可能ですが、大量の領収書を入力するならPC画面での作業が必須となり、手元にリーダーがあった方が効率的だからです。
しかし、「設立後は税理士に丸投げする」「本業に集中したい」という方は、リーダーを買っても間違いなくタンスの肥やしになります。
その場合は、クラウドツールでサクッと終わらせるのが正解です。
行政書士 小野馨の「ここだけの話」
クラウドツールは確かに便利ですが、一つだけ注意点があります。
それは「定款の内容が定型文になりがち」だということです。
特殊な種類の株式を発行したい、事業承継を見据えた複雑な機関設計にしたいといった要望がある場合、ツールの自動入力では対応できないことがあります。
こだわりがある場合は、やはり専門家に相談するのが無難です。
- クラウドツールの「QRコード署名」なら、PCの設定地獄から解放される。
- 手数料5,000円払っても、ソフト代や時間を考えれば「元は取れる」。
- 確定申告を自分でやる予定がないなら、リーダーは買わなくていい。
【生存戦略】「3,000円」をケチって「3日」失うな
最後に、技術論を超えて、起業家としてのマインドセットについてお話しします。
この「ICカードリーダーを買うか買わないか」という悩みは、実はあなたの経営判断の縮図です。
ここでボタンを掛け違えると、ビジネス全体がスピードダウンします。
技術的挑戦に価値はない。最短で「印鑑」を押して前に進め
技術的挑戦に価値はないとは、「定款作成のプロセス自体は利益を一円も生まない『事務作業』であり、そこに情熱や時間を注ぐことは経営者としての怠慢である」ということです。
誤解を恐れずに言えば、あなたがPCの設定に詳しくなっても、会社の売上は上がりません。
私が相談を受けたある起業家は、JPKI連携の設定に3日間没頭し、結局できずに私の元へ駆け込んできました。
「最初から頼めばよかった…この3日間で営業資料が作れたのに」。
彼の後悔は、まさに「手段の目的化」による機会損失です。
起業の目的は「会社を作ること」ではなく、「事業を成功させること」はずです。
そのための通過点である定款認証ごときで、足踏みをしてはいけません。
3,000円や5,000円をケチるよりも、そのコストを払って得た時間で、一人でも多くの顧客と会ってください。
それが、生存率を高める唯一の道です。
あなたが得られる未来
あなたが得られる未来とは、「ツールの力で面倒な手続きを一瞬で終わらせ、誰よりも早くスタートラインに立ち、ライバルが設定に悩んでいる間に最初の顧客を獲得する勝利」のことです。
想像してください。
あなたがスマホをかざして「ピッ」と署名を完了させた瞬間、会社設立のハードルは消滅します。
余った体力と気力は、すべてビジネスの構想に注ぎ込むことができます。
「ITツールを使いこなし、本質的な価値に時間を投資する」。
この経験こそが、これから始まる経営者人生において、あなたを支える強力な武器となるでしょう。
賢い選択をし、胸を張って社長への第一歩を踏み出してください。
🚀 今日から始める「3つの行動」
- 自宅のPCがWindowsか確認する(Macなら諦めてツール検討)
- クラウド設立ツールの「電子定款手数料」を確認する
- Adobeソフトの契約料とカードリーダー代の合計を計算してみる
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会社設立や電子定款認証のスペシャリスト!開業17年・年間実績500件以上。実は、電子定款の制度ができた10年以上前から電子定款認証の業務を行なっているパイオニアです!他との違いは、まず定款の完成度!内容はモデル定款のモデルと言われ全国数百箇所の公証人の目が入っている優れもの!そして電子署名はまるでサインのようなかっこいい電子署名です!その電子定款であなたの大切な会社設立を真心込めて応援します!
