会社設立

会社設立完全ガイド!準備と費用、税務メリットなど徹底解説

行政書士 小野馨
こんにちは!

行政書士の小野馨です。

今回は「会社設立」についてどこよりも詳しく解説します!

「いつかは自分の会社を持ちたい」「副業の売上が伸びてきたから、そろそろ法人化すべきかな?」

そんな前向きな気持ちで会社設立について調べ始めたものの、いざ検索してみると情報が多すぎて戸惑っていませんか。

株式会社と合同会社はどっちが得なの?」「資本金はいくらに設定するのが正解?」「手続きが複雑そうで自分にできるか不安…」など、次から次へと疑問が湧いてきて、なかなか最初の一歩が踏み出せないという方も多いはずです。

その気持ち、痛いほどよくわかります。会社を設立するということは、人生において何度も経験することではない大きな決断です。

絶対に失敗したくないと慎重になるのは当然のことですよね。

特に、資本金の額や会社形態の選び方は、設立後の税金や資金繰り、さらには取引先からの社会的信用にまで直結する、極めて重要な経営判断になります。

そこでこの記事では、年間数多くの起業家をサポートしている私が、行政書士としての専門知識と現場で培ったノウハウをフル動員して、会社設立のリアルな実情を徹底解説します。

単なる手続きの説明だけでなく、「プロならこう判断する」という戦略的な視点も交えてお話ししますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。

  • 個人事業主とは全く異なる、会社設立の真のメリットと隠れたリスク
  • 株式会社と合同会社、あなたのビジネスモデルに最適な形態の選び方
  • 1人社長でも失敗しない、資本金設定と定款作成の黄金ルール
  • 余計なコストをかけずに、最短ルートで自分で設立手続きを完結させる全手順

失敗しない会社設立の準備と費用

「会社を作る」ということは、法務局に書類を出して終わり、ではありません。それはあくまでスタートラインに立つための儀式に過ぎないんです。

本当に大切なのは、「なぜ会社にするのか」「どんな会社にするのか」という設計図を、設立前にしっかりと描いておくこと。

この準備が不足していると、後から「税金がこんなにかかるとは思わなかった」「銀行口座が作れない」といったトラブルに直面することになります。

ここでは、手続きに入る前に必ず理解しておきたい、会社設立の基礎知識とリアルな費用感について、深掘りして解説していきますね。

会社設立のメリットとデメリット

「法人化=節税」というイメージが強いかもしれませんが、メリットはそれだけではありません。

一方で、個人事業主の気楽さを失うという側面もあります。まずは天秤にかけて、冷静に判断してみましょう。

社会的信用とビジネスの拡大

会社にする最大のメリットは、なんといっても「信用力」です。

日本のビジネス習慣として、「個人事業主とは取引しない」「法人口座がないと契約できない」という企業は依然として多いのが現実です。

法人格を持つことで、大手企業との取引や、優秀な人材の採用において、圧倒的に有利なポジションに立つことができます。

また、万が一事業が失敗した際も、出資の範囲内で責任を負う「有限責任」が原則です(連帯保証人になっている場合を除く)。

個人の全財産まで没収されるリスクがある個人事業主(無限責任)と比べて、リスクを限定して挑戦できるのは大きな強みですよね。

税務・財務面でのメリット

税金面でも、法人ならではの強力な武器があります。

法人化の税務メリット

  • 赤字の繰越控除が10年可能:個人事業主は3年ですが、法人は10年間も赤字を繰り越せます。創業期の赤字を、将来の黒字と相殺して節税できる期間が長いのは助かりますよね。
  • 決算期を自由に決められる:個人は12月締め3月申告と決まっていますが、法人は「一番忙しい時期を避ける」「売上が立つ月の前に決算を迎えて節税対策をする」といった戦略的な設定が可能です。
  • 経費の幅が広がる:役員社宅制度を使えば家賃の一部を経費にできたり、出張手当(日当)を非課税で受け取れたりと、個人の財布を守るスキームが豊富です。

知っておくべきデメリットとコスト

もちろん、良いことばかりではありません。

ここを無視すると痛い目を見ます。

会社設立のデメリット

  • 赤字でも税金がかかる:これ、結構ショックを受ける方が多いんですが、法人は利益がゼロや赤字でも、地方税の「均等割」として年間約7万円(自治体や資本金による)の支払いが必ず発生します。
  • 社会保険の強制加入:社長1人だけの会社でも、社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務があります。保険料は会社と個人で折半ですが、1人社長なら実質全額負担。国民健康保険・国民年金に比べて負担額が増えるケースが多いです。
  • 事務負担の激増:個人の確定申告とは比べ物にならないほど、法人の決算申告は複雑です。基本的に税理士に依頼することになるため、年間数十万円の顧問料や決算料が固定費として発生します。

「年間7万円の均等割」や「税理士報酬」といったランニングコストを支払ってもなお、余りあるメリットがあるかどうか。

これが判断の分かれ目になります。

個人事業主と会社設立の税金の違い

「どのくらい稼いだら会社にしたほうがいいの?」という疑問に答えるためには、税金の構造的な違いを理解する必要があります。

ここ、少しややこしいですが、お金に関わる超重要な部分なので丁寧に説明しますね。

所得税(個人)は「稼ぐほど損をする」超過累進課税

個人事業主にかかる所得税は、所得が増えれば増えるほど税率が階段状に上がっていく「超過累進課税」です。

税率は5%からスタートし、最高で45%。

これに住民税10%が一律で加わるので、最大で所得の約55%が税金として持っていかれます。

「半分以上税金」というのは、モチベーション的にも辛いですよね。

法人税は「一定率」に近い比例税率

一方、会社にかかる法人税は、基本的に税率が一定です(比例税率)。

資本金1億円以下の中小企業の場合、年800万円以下の所得部分には約15%、それを超える部分には約23.2%の法人税がかかります。

地方法人税などを合わせても、実効税率は概ね30%台前半で落ち着きます。

どれだけ利益が出ても税率が天井知らずに上がるわけではない、というのが法人の大きな特徴です。

(出典:国税庁『法人税の税率』)

最強の節税スキーム「給与所得控除」

そして、法人化の最大の節税メリットと言えるのが、社長であるあなた自身に支払う「役員報酬」です。

この役員報酬には、二重のメリットがあります。

  1. 会社の経費になる:支払った報酬分だけ会社の利益が減るので、法人税が安くなります。
  2. 個人の税金が安くなる:報酬を受け取った個人側では、サラリーマンと同じ「給与所得控除」が適用されます。これは、実際には経費を使っていなくても、年収に応じて一定額(最大195万円)を所得から差し引いてくれる、いわば「見なし経費」のようなものです。

つまり、会社で稼いだお金をそのまま利益として法人税を払うのではなく、一度「給与」として個人に移転させることで、「法人税の軽減」と「個人の控除活用」のダブルでお得になるわけです。

これが、個人事業主から法人成りする最大の税務的動機ですね。

株式会社と合同会社の違いを比較

さて、会社を作ると決めたら、次に悩むのが「株式会社(KK)」にするか「合同会社(GK)」にするか、という問題です。

「株式会社の方が立派に見える?」「合同会社って怪しくない?」なんて心配する方もいますが、最近のトレンドは大きく変わってきていますよ。

株式会社:信頼と拡張性の王道

株式会社は、言わずと知れた日本で最もポピュラーな会社形態です。

最大の特徴は「所有(株主)」と「経営(取締役)」が分離していること。

これにより、広く投資家から資金を集めたり、将来的に株式上場(IPO)を目指したりすることが可能です。

「代表取締役社長」という肩書きや、一般的な知名度を重視するなら、やはり株式会社に軍配が上がります。

特に、保守的な業界や、高齢の方を相手にするビジネスの場合、株式会社のほうが信頼を得やすい傾向はまだ残っていますね。

合同会社:コスパ最強の現代的選択肢

一方、2006年から始まった合同会社は、アメリカのLLC(Limited Liability Company)をお手本にした形態です。

こちらは「所有」と「経営」が一致しており、出資者(社員)が自ら経営を行うのが原則。株主総会を開く必要がなく、利益の配分も出資比率に関係なく自由に決められるなど、圧倒的な自由度とスピード感が魅力です。

Apple、Google、Amazonといった世界的なテック企業の日本法人が合同会社を選んでいることから、特にIT業界やクリエイティブ業界、BtoCビジネスでは「合同会社でも全く問題ない」という認識が定着しています。

それぞれの違いを、実務的な視点で比較表にまとめました。

比較項目株式会社合同会社
初期費用(法定実費)約20万円〜24万円約6万円〜10万円
定款の認証公証役場での認証が必要(手数料3〜5万円)認証不要(0円)
役員の任期あり(原則2年、最長10年)。更新のたびに登記費用(1〜3万円)がかかる。なし。無期限で続けられるためランニングコストが安い。
決算公告義務あり(官報掲載費 年約3〜7万円)なし
意思決定スピード重要事項は株主総会の決議が必要社員(出資者)同士の話し合いで即決可能
代表者の肩書き代表取締役代表社員(※名刺等では「社長」や「CEO」と名乗ってもOK)

結論として、「将来上場したい」「第三者から資金調達したい」なら株式会社「1人または家族経営」「初期費用と維持費を抑えたい」なら合同会社を選ぶのが、プロとしてのおすすめです。

合同会社で小さく始めて、組織が大きくなってから株式会社に組織変更する(費用はかかりますが可能です)というステップアップも賢い戦略ですよ。

1人で会社設立は可能?条件と注意点

「一緒にやるパートナーがいないと会社は作れない?」

いいえ、そんなことはありません。

今の会社法では、たった1人でも会社を設立・経営することが完全に認められています

1人社長(オーナー社長)の仕組み

かつての商法時代は、株式会社を作るのに発起人(出資者)が7人以上、取締役が3人以上必要…なんていうハードルがありましたが、今は昔の話。現在は、出資者1名、取締役1名でOKです。

つまり、あなたが100%お金を出して「株主」になり、あなたが100%経営権を持つ「代表取締役」になる。これで立派な株式会社の完成です。

合同会社の場合も同様に、1人で「代表社員」になれます。

1人設立ならではの注意点

ただし、自分以外にチェックする人がいない分、いくつか気をつけなければならないポイントがあります。

1人会社の落とし穴

  • 公私混同のリスク:会社の口座と個人の口座がごっちゃになりがちです。「会社の金は俺の金」と思って使い込むと、税務調査で「役員賞与」と認定され、法人税と所得税の両方で追徴課税される恐れがあります。きっちり線引きしましょう。
  • 事業承継とリスク管理:もしあなたに万が一のことがあった場合、会社がその瞬間にストップしてしまいます。株式(出資持分)が相続対象になり、遺産分割協議が終わるまで誰も意思決定できなくなるリスクも。遺言書を用意しておくなどの対策も、頭の片隅に入れておくと安心です。
  • 自宅オフィスの契約:1人だと自宅を本店にするケースが多いですが、賃貸物件の場合、契約書で「住居専用」となっていると、無断での法人登記は契約違反になります。大家さんや管理会社に事前の承諾を得るのがマナーであり、リスク回避策です。

会社設立にかかる費用と内訳

「で、結局いくら用意すればいいの?」

ここが一番知りたいところですよね。

会社設立の費用は、「誰がやっても絶対にかかるお金(法定費用)」と、「誰かに頼むとかかるお金(手数料)」に分けて考えるとスッキリします。

法定費用の内訳を完全公開

自分で行ったとしても、法務局や公証役場に支払う以下の費用は必ず発生します。

費目株式会社合同会社
定款収入印紙代40,000円(※電子定款なら0円)40,000円(※電子定款なら0円)
定款認証手数料約32,000円〜52,000円

※資本金額により変動

0円(不要)
定款謄本交付料約2,000円0円(不要)
登録免許税150,000円〜

※資本金の0.7%

60,000円〜

※資本金の0.7%

合計(紙定款の場合)約242,000円約100,000円
合計(電子定款の場合)約202,000円約60,000円

「電子定款」がコスト削減の鍵

表を見て気づきましたか?「電子定款」にするだけで、印紙代の4万円がまるっと浮くんです。

これは、紙の定款には印紙税法で課税されますが、PDFデータ(電子ファイル)には課税されないというルールの隙間(?)を活用したものです。

ただ、自分で電子定款を作るには、マイナンバーカード対応のカードリーダーや、電子署名ができる有料ソフト(Adobe Acrobat等)が必要です。

「4万円浮かすために機材で3万円かかった…」なんてことにならないよう、ここに関しては最初から電子定款に対応している専門家や、設立代行サービスを利用するのが賢い選択と言えます。

資本金の決め方と適切な目安額

「資本金1円でも会社が作れる」というのは事実ですが、実際に1円で作るのは「百害あって一利なし」です。

資本金は、会社の「体力」そのもの。

登記簿(登記事項証明書)を見れば誰でも確認できる公開情報なので、ここがあまりに少ないと「この会社、お金ないのかな?」「準備不足じゃないか?」と疑われてしまいます。

目安は100万円〜300万円、あるいは運転資金の3〜6ヶ月分

適切な資本金額の考え方は、「売上が入ってくるまでの間に、会社が潰れないだけの現金」を用意することです。

家賃、PC代、仕入れ、自分の給料…。これらを支払うために、最低でも数ヶ月分の運転資金は資本金として入れておくべきです。

一般的には100万円〜300万円程度で設定する方が多く、このくらいあれば銀行口座の開設審査でも門前払いされるリスクは低くなります。

許認可ビジネスの場合は要注意

注意が必要なのは、許認可が必要な業種です。

例えば、「一般建設業許可」を取るなら自己資本が500万円以上、「有料職業紹介事業」なら基準資産額500万円以上など、法律で明確な資産要件が決まっている場合があります。

「後から増資すればいいや」と思っていると、増資の手続きにも登録免許税(最低3万円)がかかるので、最初から要件を満たす額で設立するのがスマートですよ。

1,000万円の壁に注意!

資本金を1,000万円未満に設定すると、設立1期目(および条件により2期目)の消費税納税義務が免除されるという特例があります(※インボイス登録をする場合は除く)。

逆に1,000万円以上にしてしまうと、初年度から消費税がかかるだけでなく、法人住民税の均等割も高くなる可能性があります。

あえて1,000万円以上にする理由がない限り、999万円以下に抑えるのがセオリーです。

個人事業主が法人化する目安

最後に、法人化のタイミングについて深掘りしましょう。

「利益が出たら法人化」とよく言われますが、具体的なラインはどこなのでしょうか。

所得800万円〜900万円が分岐点

税金面だけで見るなら、個人の課税所得(売上から経費と控除を引いた額)が800万円〜900万円を超えたあたりが、法人化した方が手取りが増える分岐点と言われています。

これは、先ほどお話しした「所得税率」が「法人税率」を上回ってくるラインであり、かつ消費税の課税事業者になる売上1,000万円の基準ともリンクしてくるからです。

「インボイス」と「取引条件」で判断する時代へ

しかし、現在はインボイス制度の導入により、この「金額基準」だけでは判断できなくなってきました。

売上がまだ少なくても、取引先が大手企業で「インボイス登録事業者(適格請求書発行事業者)でないと発注を控える」といった方針の場合、個人で課税事業者になるくらいなら、いっそ法人化して信用力を高めよう、という判断も非常に合理的です。

また、求人を出しても個人事業主だとなかなか人が集まらない…という悩みがあるなら、採用コストを下げるための投資として法人化するのも大正解。

「税金の損得」だけでなく、「ビジネスを成長させるための手段」として法人化を捉える視点を持ってくださいね。

会社設立の流れと手続きの完全手順

「よし、会社を作るぞ!」と決心がついたら、いよいよ具体的なアクションに移りましょう。

ここからは、実際に手を動かして会社を登記するまでのロードマップを、時系列で完全ガイドします。

「役所の手続きって難しそう…」と身構える必要はありません。

やるべきことは決まっていますし、順番通りにクリアしていけば、パズルのピースをはめるように必ずゴール(設立)にたどり着けます。

ただ、一つだけ注意してほしいのは「スケジュール感」です。

書類作成から登記完了まで、スムーズにいっても2週間〜1ヶ月程度はかかります。「明日から会社にしたい!」と思ってもすぐにはできないので、余裕を持って準備を始めましょうね。

会社設立までの流れ5ステップ

会社設立のプロセスは、大きく分けて5つのステップに集約されます。

ここでは、それぞれのフェーズで「何を」「どうすればいいか」を具体的に見ていきましょう。

ステップ1:会社の基本事項(定款の案)を決める

まずは会社の骨組みとなる「基本事項」を決定します。これらは後で作る「定款(ていかん)」に記載する重要な項目です。

  • 商号(会社名):あなたの会社の顔です。使える文字(漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベット、アラビア数字、一部の記号)に制限があります。「株式会社」などの文字を入れるのも必須です。
  • 事業目的:会社が「何のビジネスをするか」を定義します。「定款に書いていない事業はやってはいけない」という原則があるため、将来やりそうなビジネスも含めて幅広く書いておくのがコツです。特に、古物商や人材派遣などの許認可ビジネスをやる場合は、目的の書き方に厳密なルールがあるので要注意ですよ。
  • 本店所在地:会社の住所です。自宅にするか、オフィスを借りるか。バーチャルオフィスの場合は、銀行口座開設や社会保険加入でハードルが上がる可能性も考慮して選びましょう。
  • 資本金額:先ほどお話しした通り、100万円〜300万円程度が目安です。
  • 事業年度:決算月をいつにするか決めます。消費税の免税期間を最大化したり、繁忙期を避けたりと、戦略的な設定が可能です。

ステップ2:会社の実印を作る

会社名が決まったら、すぐに印鑑を発注しましょう。

個人の実印とは別に、法務局に登録するための「会社実印(代表者印)」が必要です。通常は、以下の3本セットで作るのが一般的ですね。

会社設立時の印鑑3点セット

  • 代表者印(実印):法務局に登録する最重要印鑑。契約書などに使います。二重丸の外側に「株式会社〇〇」、内側に「代表取締役印」と彫るのがセオリーです。
  • 銀行印:銀行口座の開設や手形・小切手に使います。実印と区別するため、一回り小さいサイズで作ることが多いです。
  • 角印(社印):請求書や領収書などに押す、四角い認印です。日常業務で一番使います。

印鑑が出来上がるまでに数日かかることもあるので、早めの手配が吉です。

ステップ3:定款を作成し、認証を受ける

会社のルールブックである「定款」を作成します。

株式会社の場合は、作成した定款を「公証役場」に持ち込み、公証人の認証を受ける必要があります。ここで「この定款は正当な手続きで作られましたよ」というお墨付きをもらうわけですね。

合同会社の場合は、この認証手続きが不要です。作っただけで効力が発生するので、その分スピーディーで安上がりです。

ステップ4:資本金の払い込み

「え、まだ会社がないのに、どこにお金を入れるの?」

ここ、よく混乱するポイントです。会社設立前は当然ながら法名義の銀行口座は存在しません。なので、発起人(あなた)の個人の銀行口座を使います。

手順はシンプル。「あなたの個人口座」に、「あなた名義」で、決めた資本金の額を振り込みます(または預け入れ)。

通帳に「誰が」「いつ」「いくら払ったか」が記帳されることが重要です。この通帳のコピーが、後ほど「払込証明書」の一部として登記書類になります。

ステップ5:法務局へ登記申請(設立日!)

全ての書類が揃ったら、会社の本店所在地を管轄する法務局へ提出します。

この「提出した日」が、記念すべき「会社設立日(創立記念日)」になります。大安などの吉日を選びたい場合は、その日に合わせて提出できるよう逆算して準備しましょう。

申請から1週間〜10日ほどで登記が完了し、晴れて登記事項証明書(登記簿謄本)や印鑑証明書が取得できるようになります。

(出典:法務局『商業・法人登記の申請書様式』)

自分で会社設立する方法と注意点

一昔前までは、分厚い専門書を片手に書類を手書きして…というのが当たり前でしたが、今はテクノロジーの進化で状況が一変しました。

「freee会社設立」や「マネーフォワード会社設立」といった、いわゆる「会社設立クラウドサービス」を使えば、専門知識がない方でもガイドに従って入力するだけで、完璧な登記書類が自動生成されます。

DIY設立(自分で行う)のリアルな手順

クラウドサービスを使う場合の流れはこんな感じです。

  1. アカウント作成し、会社名や資本金などを入力。
  2. 印鑑を購入(サービス内で購入できることも多いです)。
  3. 生成された定款をダウンロードし、行政書士に電子定款作成を依頼(※サービスのオプションで5,000円程度でやってくれます)。
  4. 公証役場で定款認証の予約をし、受け取りに行く。
  5. 生成された登記書類を印刷し、ハンコを押して、法務局へ持参または郵送。

これなら司法書士報酬(5万〜10万円)を節約できるので、コストを抑えたい方には強力な味方です。

「完全無料」ではない!隠れたコストと手間

ただし、注意点もあります。「自分でやる=タダ」ではありません。

特に「電子定款」を完全に自力でやろうとすると、逆に高くつくことがあります。

完全自力で電子定款を作るための装備

  • マイナンバーカード
  • ICカードリーダー(3,000円〜)
  • Adobe Acrobat ProなどのPDF署名ソフト(月額数千円〜)
  • 申請用総合ソフト(法務省)のインストールとセットアップ

これらの環境構築にかかる時間と費用を考えると、クラウドサービスの「電子定款作成代行オプション(5,000円ほど)」を使うか、最初から専門家に丸投げするほうが、時給換算では安くなるケースも多々あります。

「勉強のためにやってみたい!」という方はDIY、「本業の準備に集中したい」という方は専門家依頼、と使い分けるのが賢い経営者の判断ですよ。

登記申請に必要な書類の書き方

法務局は書類審査のプロです。1文字の誤字、ハンコのかすれ、綴じ方のミス…これら全てが「補正(やり直し)」の対象になります。

完璧な書類を作るために、特に間違いやすいポイントを解説しますね。

絶対に必要な書類セット一覧

一般的な株式会社設立(発起設立)の場合、以下の書類を製本して提出します。

書類名内容と注意点
登記申請書商号、本店、資本金、登録免許税額などを記載。一番上に置く表紙です。
登録免許税納付用台紙収入印紙を貼り付けるための白い紙です。割印は絶対にしてはいけません(消印は法務局職員がします)。
定款公証人の認証を受けたもの。電子定款の場合は、データが入ったCD-Rなどを添付するか、オンラインで送信した旨を記載します。
発起人の同意書本店所在地の詳細(〇丁目〇番〇号まで)や、資本金の払込みを受ける銀行口座などを決めたことを証明する書類です。
設立時取締役の就任承諾書「取締役になることを承諾します」という書類。個人の実印を押します。
印鑑証明書取締役全員分が必要です(発行から3ヶ月以内)。
払込を証する書面いわゆる「払込証明書」。通帳のコピーと合体させて作ります。
印鑑届書会社の実印を法務局に登録するためのカードのような書類。

最難関?「払込証明書」の作り方

一番質問が多いのが、資本金の証明書の作り方です。

これは、「表紙(証明文言と実印)」+「通帳のコピー」をホッチキスで留めて、ページのつなぎ目に「契印(割印)」を押して作ります。

通帳コピーは以下の3ページ分が必要です。

①表紙(銀行名などが書いてある表面)

②裏表紙(支店名や口座番号、口座名義人が書いてあるページ)

③明細ページ(実際に資本金が振り込まれた記帳があるページ)

ネット銀行の場合は通帳がないので、「口座情報画面」と「取引明細画面(振込履歴)」をプリントアウトして代用します。この時、必ず「銀行名」「支店名」「口座番号」「名義人」「振込日」「金額」のすべてが確認できる必要があります。画面が見切れていたりするとNGになるので気をつけてくださいね。

会社設立後の手続きチェックリスト

「ふぅ、登記申請が終わった!」

お疲れ様でした。でも、まだシャンパンを開けるのは早いです。

会社は「生まれた」だけでは活動できません。人間でいう出生届(登記)の次は、税務署や社会保険事務所への「住民登録」のような手続きが待っています。

期限を過ぎると、金銭的なペナルティを受けるものもあるので、このリストを使って確実に消化していきましょう。

【税務署】これが遅れると大損!

管轄の税務署には、以下の書類を提出します。

最優先で提出すべき書類

  • 法人設立届出書:設立から2ヶ月以内。会社の謄本や定款のコピーを添付します。
  • 青色申告の承認申請書:設立から3ヶ月以内(または第1期終了日の早い方)。これを出し忘れると、1期目は強制的に「白色申告」になり、赤字の繰越(10年間)などの特典が一切使えません。設立届と一緒に初日に出すのが鉄則です!
  • 給与支払事務所等の開設届出書:設立から1ヶ月以内。給料を払う(役員報酬含む)なら必須です。
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書:従業員10人未満の場合、毎月の源泉所得税の支払いを年2回にまとめられる申請書。事務負担が激減するので、絶対に出しておきましょう。

【年金事務所】社長1人でも逃げられない

法人は、社長1人であっても社会保険(健康保険・厚生年金)の強制適用事業所です。

「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を、設立から5日以内(実際には登記簿謄本が取れてからでOK)に提出します。

「保険料が高いから入りたくない…」という気持ちはわかりますが、未加入が見つかると最大2年分遡って徴収されるリスクがありますし、ハローワークでの求人も出せません。ここは観念して手続きしましょう。

【その他】自治体と労働保険

  • 都道府県税事務所・市町村役場:「法人設立届出書」を提出します。地方税(法人住民税や事業税)を納めるための手続きです。
  • 労働基準監督署・ハローワーク:従業員を1人でも雇う場合にのみ必要です。役員だけの会社なら不要です。

会社設立をスムーズに進めるコツ

最後に、手続きの手戻りを防ぎ、最短ルートで設立完了するためのプロのコツを伝授します。

1. 個人の印鑑証明書は早めに取得

定款認証や登記申請には、発起人や取締役の「個人の印鑑証明書」が必要です。

マイナンバーカードがあればコンビニで即日発行できますが、カードがない場合は役所の窓口に行く必要があります。期限切れ(発行から3ヶ月以内)にも注意して、人数分を早めに集めておきましょう。

2. 「商号調査」でトラブル回避

使いたい会社名が決まったら、必ず国税庁の「法人番号公表サイト」や法務局で、「同じ住所に同じ名前の会社がないか」を確認してください。

また、Google検索や特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で、似た名前の会社が商標登録していないかもチェックしましょう。後から「商標権侵害だ!」と訴えられて社名変更…なんてことになったら目も当てられません。

3. 設立日(登記申請日)を決めておく

法務局に申請書類が到着した日が「会社設立日」になります。

「大安」や「一粒万倍日」、あるいは「自分の誕生日」や「1月1日(法務局が休みの日は不可なので注意)」など、思い入れのある日を設立日にしたい場合は、そこから逆算して2週間前には定款作成をスタートさせる必要があります。

郵送申請の場合は、配送事情で到着がズレることもあるので、日にちにこだわりたいなら「窓口への持参」が一番確実ですよ。

会社設立ガイドのまとめ

ここまで、会社設立のリアルな全貌を駆け足でお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

「やることが多くて大変そう…」と感じたかもしれませんね。でも、大丈夫です。

会社設立は、登山のようなものです。麓から見上げると頂上は遥か彼方に見えますが、一歩ずつ足を進めていけば、必ず絶景(自分の会社)にたどり着けます。

必要なのは、「完璧に理解すること」ではなく、「次の一歩で何をすべきか」を知ることです。

  • まずは「株式会社か合同会社か」を決める。
  • 次に「資本金」「会社名」を決める。
  • そして「印鑑」を作る。

まずはここから始めてみてください。

会社を作ることは、ゴールではなくスタートです。その先には、自分の裁量でビジネスを動かし、社会に価値を提供し、対価を得るという、何物にも代えがたいエキサイティングな日々が待っています。

面倒な手続きはクラウドツールや専門家に頼りつつ、あなたはぜひ「どんな会社にしていくか」という未来の構想に、一番の時間と情熱を注いでください。

あなたの新しい挑戦が、最高の結果に繋がることを心から応援しています!

※本記事は2025年時点の法令や一般的な実務に基づいた情報提供を目的としており、個別の事情による法務・税務判断を保証するものではありません。最終的な判断や手続きの代行については、税理士、司法書士、行政書士等の専門家にご相談いただくか、最新の法令・官公庁の情報を必ずご確認ください。

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