

今回は【公証役場の管轄ルールと賢い選び方】というテーマでお話しします。
「自宅から一番近い公証役場に行けばいいんでしょ?」
「えっ、県境を越えたら認証が無効になるって本当?」
「なんか公証役場の電話対応が怖かった…別の場所じゃダメなの?」
今、あなたはGoogleマップを開きながら、どこの公証役場に行こうか迷っていませんか?
その迷い、非常に危険です。
実は、公証役場には法律で厳格に定められた「縄張り(管轄)」が存在します。
これを知らずに、
「職場の近くだから」
「昔行ったことがあるから」
という理由だけで予約を入れてしまうと、当日になって「ここでは認証できません」と門前払いされる可能性があるのです。
想像してください。
設立予定日ギリギリに意気気揚々と出向いて、「予約が必要です」「管轄外です」と告げられる絶望を。
全てのスケジュールが崩壊し、会社設立が数週間遅れる悪夢を。
でも、安心してください。
これからお話しする「管轄の鉄則」と「相性の良い公証人の探し方」さえ知っていれば、そんな悲劇は100%防げます。
さらに、テレビ電話認証を活用すれば、混雑している都心を避けて、対応の早い郊外の役場を選ぶという「裏技」も使えるようになります。
あなたのビジネスを加速させる「最高のパートナー(公証役場)」の選び方をお伝えします!
▼ この記事のポイント ▼
- ポイント1: 「家から一番近い」は危険?県境を越えてはいけない「管轄の鉄則」。
- ポイント2: 全ての役場ができる訳じゃない!電子公証制度対応の「指定公証人」とは。
- ポイント3: 大阪・東京・兵庫…大都市圏ならではの「公証役場選び放題」の活用術。
- ポイント4: 良い公証人はビジネスの加速装置!「事務処理」を超えた出会いの価値。
※なお、電子定款や会社設立の全体像やロードマップを知りたい方は、
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絶対に間違えてるな!公証役場の「管轄ルール」と探し方

ポイント
公証役場の管轄ルールとは、公証人法に基づき、公証人が職務を行えるエリア(法務局の管轄区域)が厳格に決められているルールのことです。
これを無視して認証を受けると、その定款は法的に無効となり、当然ながら法務局での登記申請も通りません。
まずは、基本中の基本にして、最も多くの人が勘違いしている「地理的な縛り」から解説します。
「どこでもいい」は命取り!都道府県単位の鉄の掟
結論から言います。
ココがポイント
あなたが利用できる公証役場は、「会社の本店所在地がある都道府県内の公証役場」に限られます。
ここでのポイントは、「あなたの現住所」ではなく、「会社の本店所在地」が基準になるということです。
よくある勘違い事例を見てみましょう。
- ❌ ケース1: 東京都町田市で会社を作るが、神奈川県横浜市の公証役場の方が近いので、そちらに行った。
- ❌ ケース2: 大阪市で会社を作るが、発起人である自分が兵庫県西宮市に住んでいるので、西宮の公証役場に行った。
これらは全てアウトです。
町田市は東京都なので、どんなに近くても神奈川県の役場では認証できません。
逆に言えば、「同じ都道府県内であれば、どこでもOK」ということです。
参考
例えば、東京都八王子市で会社を作る場合、八王子の公証役場を使ってもいいですし、遠く離れた丸の内や渋谷の公証役場を使っても法的には全く問題ありません。
「えっ、じゃあ県内なら選び放題なの?」
その通りです。
だからこそ、後述する「混んでいる役場を避ける」という戦略が有効になるのです。
まずは、自分の会社の本店が「何県」なのか。
それを基準に、Googleマップで「〇〇県 公証役場」と検索することから始めましょう。
すべての役場が対応ではない?「指定公証人」の罠
「管轄はわかった。じゃあ県内にある一番近い役場に行こう!」
ちょっと待ってください。
もう一つ、確認しなければならない重要な条件があります。
それは、その公証役場に「指定公証人(していこうしょうにん)」がいるかどうかです。
ココがポイント
電子定款の認証は、法務大臣から指定を受けた「指定公証人」しか行うことができません。
現在、主要都市の公証役場であればほぼ100%対応していますが、地方の小さな出張所や、ごく一部の役場では、まだ電子公証に対応していない場合があります。
もし非対応の役場に行ってしまうと、「紙の定款ならできるけど、電子は無理だよ」と言われ、泣く泣く4万円の収入印紙を貼る羽目になります。
確認方法は簡単です。
法務省のホームページにある「指定公証人一覧」を見るか、その公証役場の公式サイトを見て「電子認証対応」と書いてあるかチェックするだけです。
「行ってみたらできませんでした」が一番の無駄足です。
必ず事前にチェックしてくださいね。
近所だけで探すな!「話が早い」公証人の見極め方
管轄もクリア、指定公証人もクリア。
では、県内に候補が5つあったとして、どこを選べばいいのでしょうか?
「一番近いところ」?
いいえ、違います。
ココがポイント
私のおすすめは、「予約が取りやすく、対応が柔軟なところ」です。
実は公証役場によって、混雑具合や対応の雰囲気は驚くほど違います。
特に、前回の記事でも紹介した「テレビ電話認証」を使うなら、一度も役場に行く必要がないため、距離は関係ありません。
それぞれの特徴を表にまとめました。
| タイプ | メリット | デメリット | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| 都心・ビジネス街 (例:丸の内、梅田) | 経験豊富で処理が早い。 複雑な案件にも慣れている。 | とにかく混んでいる。 予約が取りにくい。事務的。 | △(急ぎなら避けるべき) |
| 郊外・住宅街 (例:八王子、練馬、枚方) | 比較的空いている。 対応が丁寧で親身なことが多い。 | 都心からはアクセスが悪い。 (テレビ電話なら関係なし!) | ◎(狙い目!) |
どうですか?
もしあなたが東京都内で起業し、テレビ電話認証をするなら、予約でパンパンの「霞ヶ関」や「日本橋」を避けて、少し離れた「府中」や「立川」の公証役場に連絡するのも賢い戦略です。
練馬公証役場は、23区ですが、対応の早い事務の方がおられ、割と早めに対応していただけるなど、事務員の方の対応ってとても重要です。
「同じ県内ならどこでもいい」というルールを逆手に取り、自分のスケジュールに合わせて役場を選ぶ。
これが、できる経営者の「時間管理術」です。
公証役場の管轄選びの「だいご味」は、良い公証人との出逢うこと

「公証人なんて、誰がやっても同じでしょ?ハンコを押すだけなんだから」
もしあなたがそう思っているなら、それは大きな間違いです。
公証人は、元裁判官や元検察官といった法律のプロフェッショナル中のプロフェッショナル。
彼らの知識と経験は、生まれたばかりのあなたの会社にとって、最強の防具になり得ます。
しかし、人間には「相性」というものがあります。
事務的に淡々と処理するタイプもいれば、親身になってアドバイスをくれるタイプもいます。
起業という人生の大一番。
どうせなら、あなたの背中を温かく押してくれる人にお願いしたいと思いませんか?
ここでは、そんな「神対応」の公証人を見抜く方法と、実際の感動エピソードをお話しします。
事務的対応vs神対応!電話一本で分かる相性診断
公証人との相性を確かめるのに、わざわざ会いに行く必要はありません。
たった一本の「問い合わせ電話」で、相手のスタンスは9割見抜けます。
私がいつもクライアントに推奨している「魔法のフレーズ」があります。
それは、「初めて会社を作るので不慣れなのですが、電子定款の認証をお願いできますか?」という一言です。
この時の相手のリアクションをよーく聞いてください。
もし、「あー、やり方は全部法務省のHPに書いてあるから、それ見てからまた連絡して」と、冷たく突き放すような対応(塩対応)だったら…。
私なら、即座に電話を切り、別の公証役場を探します。
なぜなら、こういう役場は、少しのミスも許してくれず、当日の認証で「ここ間違ってるから出直して」と平気で言うリスクがあるからです。
逆に、「あ、初めてなんですね。おめでとうございます。まずは定款の案をメールで送ってくださいね。一緒に確認しましょう」と、ウェルカムな雰囲気(神対応)だったら…。
その公証役場は「当たり」です。

こういう公証人は、多少の書類不備があっても、その場で修正方法を教えてくれたり、認証までの段取りを丁寧にリードしてくれたりします。
電話口の声のトーン、事務員さんの対応の柔らかさ。
これらは全て、その役場の「組織風土」を表しています。
起業のスタートラインで、嫌な思いをする必要はありません。
電話一本で、あなたの心を守る選択をしてください。
「先生のおかげです」起業家を救った公証人の一言
私の記憶に残っている、ある公証人とのエピソードをお話しします。
私がまだ新人行政書士だった頃、あるクライアントの定款認証を依頼しました。
その定款には、事業目的に「〇〇の販売」とだけシンプルに書いてあったんですね。
担当してくれたベテランの公証人は、認証の席でこう言いました。
「小野さん、この目的だとね、将来銀行融資を受ける時に『具体的に何を売るんですか?』って突っ込まれるかもしれないよ。
せっかくだから、『〇〇および関連機器の販売、保守、メンテナンス』まで広げておいた方が、後々楽なんじゃないかな?」
それは、単なる法的なチェックを超えた、「経営へのアドバイス」でした。
ポイント
公証人はそういうアドバイスをする義務はありません。ですが、人としてサポートをしてくれる人もたくさんいます。
その一言のおかげで、私たちはその場で定款を修正し、より盤石な事業目的で会社を設立することができました。
後日、そのクライアントは無事に融資審査に通り、「あの時の公証人の先生の一言が効きました!」と喜んでいました。
良い公証人は、ただ書類を見るだけではありません。
「この会社が将来、トラブルに巻き込まれないか?」
「もっとスムーズに事業が進む表現はないか?」
そんな「親心」を持って接してくれます。
そんな出会いがあるからこそ、私は「場所選びより人選び」だと断言するのです。
地元の「法の番人」を知る!経営者の地域戦略
「管轄内ならどこでもいい」と言いましたが、あえて「地元の公証役場」を選ぶメリットについても触れておきましょう。
それは、「地域密着のネットワーク」です。
地元の公証人は、その地域の地主さんや、老舗企業の社長さんとも繋がりが深いことが多いです。
認証の雑談の中で、「あそこの商店街で店を出すなら、会長さんに挨拶しておくといいよ」なんていう、ネットには載っていない「生きた情報」を教えてくれることもあります。
また、会社設立後も、契約書の作成(公正証書)や、将来の事業承継、遺言書の作成など、公証役場のお世話になる機会は意外と多いものです。
その時、「あの時、会社設立でお世話になった〇〇です」と言える関係ができているかどうか。
これは、経営者としての「見えない資産」になります。
ただ、公証人には任期があるので、それほど長くは一緒にお仕事できないですが…
もしあなたが、「この街で骨を埋める覚悟」でビジネスをするなら、あえて地元の公証役場の門を叩き、仁義を切るのも、立派な経営戦略の一つです。
「法の番人」を味方につけた経営者は、強いですよ。
小野馨の予言(あなたが得られる未来)
あなたがこの記事を参考に、自分に合った「最高の公証役場」を見つけ出し、そこで認証を受けたなら、その会社は「人に恵まれる会社」になります。
なぜなら、あなたは設立の段階で、「誰と仕事をするかを選ぶ重要性」を肌で学んだからです。
その人を大事にする感覚って、今後の従業員採用や、取引先選びでも必ず発揮されます。
「あの時の公証人さん、親切だったな」
その温かい記憶は、あなたが将来、誰かの背中を押す立場になった時の原動力になるはずです。
さあ、恐れずに電話をかけてみましょう。
受話器の向こうで、あなたの新しいビジネスパートナーが待っています。
これから起業するあなたへ、失敗させないための「3つの武器」を贈ります。
🎁 スペシャルプレゼント内容
- ① 1年以内に80%廃業を100%生き残らせた裏・創業マニュアル!
- ② サクセスファンクラブ会員【25%割引券】
- ③ あなたの会社の法人口座開設、許認可、融資、オフィス開設などを支援する【0円企業診断】
※予告なく終了する場合があります。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 対応が悪かった場合、途中で公証役場を変えてもいいですか?
- A. はい、可能です。認証が完了する前(手数料を払う前)であれば、キャンセルして別の公証役場に依頼し直すことに法的な問題はありません。ただし、定款案のチェックが進んでいる場合は、相手に失礼のないようにお断りの連絡を入れましょう。
- Q2. 公証役場によって認証手数料は違いますか?
- A. いいえ、全国一律です。公証人手数料令という政令で決まっており、資本金の額等に応じて約3万円〜5万円です。場所によって安くなったり高くなったりすることはありません。
- Q3. 全国全ての公証役場のリストはどこで見られますか?
- A. 日本公証人連合会のホームページにある「公証役場一覧」で最新の情報を確認できます。検索する際は、必ず「電子公証制度対応」のマークがあるか確認することをお忘れなく。
この記事を書いた人
行政書士 小野 馨(おの かおる)
行政書士歴20年。これまでに5000社以上の会社設立、建設業許可、産業廃棄物処理業許可などをサポート。「難解な法律を、6歳児でもわかる言葉で伝える」をモットーに、起業家の頼れるメンターとして活動中。
兵庫・大阪を中心に、全国の電子定款作成に対応。趣味はサウナと愛犬の散歩。
会社設立や電子定款認証のスペシャリスト!開業17年・年間実績500件以上。実は、電子定款の制度ができた10年以上前から電子定款認証の業務を行なっているパイオニアです!他との違いは、まず定款の完成度!内容はモデル定款のモデルと言われ全国数百箇所の公証人の目が入っている優れもの!そして電子署名はまるでサインのようなかっこいい電子署名です!その電子定款であなたの大切な会社設立を真心込めて応援します!
