例(A):委任状はただの「お願いの手紙」ではありません。公証人に対して法的権限を証明する厳格な証書です。
例(B):「奥さんに頼んだら、書類不備で門前払いされ、夫婦喧嘩になった…」そんな悲劇を防ぐための完璧な書き方を伝授します。

行政書士の小野馨です。「平日は今の会社の仕事があって抜けられない」「どうしても外せない商談が入ってしまった」…そんな時、誰かに公証役場へ行ってもらいたいと考えるのは当然です。
定款認証は、必ずしも発起人(社長)本人が行く必要はありません。信頼できる代理人に任せることが可能です。しかし、ここで最も注意すべきなのが**「委任状(いにんじょう)の不備」です。
「とりあえず『任せます』って書いておけばいいんでしょ?」
その認識は危険です。公証役場では、権限の範囲が明確でない委任状は一切受け付けられません。たった1行の記載漏れや、ハンコ(捨印)の押し忘れがあるだけで、代理人は窓口で何もできずに帰されることになります。善意で引き受けてくれた代理人に、そんな恥をかかせるわけにはいきませんよね。
そこで本記事では、公証役場で確実に受理される「最強の委任状テンプレート」と、絶対に忘れてはいけない「捨印のルール」**を完全解説します。
▼ この記事のポイント ▼
- ✅ 代理人は妻・親・知人、誰でもOK(未成年を除く)
- ✅ 「一切の件」という文言がないと、現場での修正ができない
- ✅ 代理人の身分証とハンコも忘れずに持参すること
- ✅ 何より重要なのは「捨印」を押しておくこと
※なお、当日の持ち物や代理人が持参すべき書類セットについては、
で必ず再確認してください。
定款認証は「代理人」でも可能!家族や友人に頼む条件
まずは、誰に頼めるのか、そして頼む際のリスクについて理解しておきましょう。
[画像指示: 忙しいビジネスマンが妻に書類を託しているイラスト (推奨ファイル名: appointing-agent-concept.jpg, alt: 定款認証の代理人依頼)]💡 3秒でわかるまとめ
- 身内でも友人でも、信頼できる成人なら誰でもOK。
- ただし、ミスがあった時の「リカバリー」は代理人には難しい。
【代理人】誰でもなれる?妻・親・従業員の可否
定款認証の代理人には、特別な資格は必要ありません。弁護士や行政書士でなくても、以下のような方であれば誰でも代理人になれます。
・配偶者(妻、夫)
・親、兄弟姉妹
・友人、知人
・創業メンバー(共同発起人ではない従業員など)
ただし、**「意思能力がある成人」**であることが前提です。未成年者に高額な取引や法的手続きを任せることはリスクが高いため、避けるべきです。一般的には、身分証明書(免許証など)を持っている成人であれば問題ありません。
【リスク】自分で行かない場合のデメリット(訂正の限界)
「頼めるなら楽でいいや」と思うかもしれませんが、代理人を立てることには明確なデメリットがあります。
それは、**「現場での臨機応変な対応が難しい」ということです。
発起人本人であれば、万が一書類に不備があっても、自分の実印を持っていればその場で訂正・修正が可能です。しかし、代理人はあくまで「委任状に書かれた範囲のこと」しかできません。想定外のトラブル(定款の条文ミスなど)が発覚した場合、代理人では判断・訂正ができず、一度持ち帰って再出頭…となるリスクが高まります。
だからこそ、次章で解説する「強い委任状」**を作成し、代理人に十分な権限を持たせて送り出す必要があるのです。
【テンプレあり】公証役場で絶対に通る「委任状」の書き方
それでは、実務で実際に使われている「最強の委任状」を作成しましょう。以下のテンプレートをコピーして、Wordなどで作成してください。
[画像指示: 委任状のサンプル文書(Word画面)のスクリーンショット (推奨ファイル名: power-of-attorney-template.jpg, alt: 定款認証 委任状 テンプレート)]💡 3秒でわかるまとめ
- 「一切の権限を委任する」の一文が命綱。
- 作成年月日は「認証日」以前の日付にする。
【ひな形】コピペで使えるWord/テキスト文例
以下は、紙の定款認証を行う場合の標準的な委任状です。
委 任 状
私(当会社)は、下記の者を代理人と定め、当会社の定款認証に関する一切の権限(公証人手数料等の支払い、受領、定款の補正・訂正、原本還付請求及び受領に関する件を含む)を委任します。
記
代理人の住所:
東京都〇〇区〇〇町一丁目2番3号
代理人の氏名:
代 理 太 郎
令和〇年〇月〇日
(委任者=発起人)
住所:
東京都〇〇区〇〇町四丁目5番6号
氏名:
発 起 次 郎 (実印)
(※ここに捨印を押す)
【必須項目】「一切の件」という魔法の言葉を入れろ
このテンプレートで最も重要なのは、**「定款認証に関する一切の権限(〜定款の補正・訂正〜を含む)」という部分です。
単に「定款認証の手続きを委任します」だけだと、公証人から「誤字があったので直したいのですが、訂正の権限までは委任されていませんね?」と突っ込まれる可能性があります。「補正・訂正」まで明記することで、代理人は「本人の代わりにミスを直す権限」**を持つことができます。
この一文があるかないかで、トラブル時の生存率が天と地ほど変わります。自作する場合でも、必ずこのフレーズを入れてください。
【図解】ここが最重要!「捨印」と「実印」の押し方ルール
委任状に名前を印刷しただけでは、ただの紙切れです。ここに「魂(法的効力)」を吹き込むのが**「ハンコ(実印)」です。そして、その効力を最大化する保険が「捨印(すていん)」**です。
[画像指示: 委任状の署名欄に実印を押し、欄外の上部に捨印を押している図解 (推奨ファイル名: seal-impression-instructions.jpg, alt: 委任状 捨印 押し方)]💡 3秒でわかるまとめ
- 捨印(すていん)は、欄外の余白にポツンと押す。
- これがあれば、軽微なミスを代理人がその場で直せる。
【捨印】これを忘れると、誤字一つで即却下される理由
捨印とは、あらかじめ文書の欄外(通常は上部の余白)にハンコを押しておくことで、**「もし誤字脱字があったら、このハンコを使って訂正してもいいですよ」という意思表示をするものです。
なぜこれが必要なのでしょうか?
公証役場で「あ、住所の『丁目』が抜けてますね」と指摘されたとします。この時、捨印があれば、代理人がその場で「では訂正します」と言って修正手続きができます。しかし、捨印がない場合、代理人は訂正権限を持たないため、「一度家に持ち帰って、発起人に訂正印をもらってから、また来てください」**と言われてしまいます。
発起人が自分で行くなら捨印は不要(その場で実印を押せばいいから)ですが、**代理人に頼む場合は、この捨印が命綱になります。**必ず、署名欄に使った実印と同じハンコで、欄外に押しておいてください。
【押印位置】発起人の実印はどこに? 重ならないように注意
ハンコを押す場所は2箇所です。
1. 署名の横(本印)
発起人の氏名の横に、鮮明に押します。文字と重ならないように注意してください。これが「私が委任しました」という証拠になります。
2. 欄外の上部(捨印)
用紙の上側の余白部分に押します。「捨印」という文字を書く必要はありません。ハンコだけポンと押しておけば意味は通じます。
※発起人が複数いる場合は、全員分の実印と捨印が必要です。
代理人に持たせる「当日の持ち物」最終チェック
委任状が完成したら、いよいよ代理人を送り出します。ここで「委任状だけ持っていけばいい」と勘違いすると、窓口でストップがかかります。
[画像指示: 代理人が持つべきバッグの中身(委任状、自分の免許証、自分のハンコ) (推奨ファイル名: agents-belongings-checklist.jpg, alt: 定款認証 代理人の持ち物)]💡 3秒でわかるまとめ
- 代理人自身の身分証(免許証など)を忘れないこと。
- 代理人のハンコ(認印)も訂正用に必要。
【身分証】代理人自身の「顔写真付きID」が必須
公証役場の窓口では、**「来た人は本当に代理人の〇〇さんですか?」という本人確認が行われます。
そのため、代理人は「自分自身の身分証明書」**を持参する必要があります。発起人の免許証を預かっていく必要はありません(むしろ預かってはいけません)。
・推奨:運転免許証、マイナンバーカード(顔写真付き)
・注意:健康保険証などの顔写真なし証明書の場合、住民票などの追加書類を求められることがあります。
【ハンコ】代理人の印鑑(認印・実印)を忘れるな
意外と忘れがちなのが、**「代理人のハンコ」です。
公証役場で書類を受領する際、「受け取りました」という署名・捺印を求められます。また、万が一訂正が発生した場合、捨印を使って訂正するのは代理人ですので、代理人のハンコも必要になります。
基本的には「認印(100円ショップのものでも可)」**で大丈夫ですが、シャチハタ(スタンプ印)は不可です。朱肉を使うタイプのハンコを必ず持たせてください。
よくあるQ&A:電子定款の場合や「復代理」について
最後に、少し特殊なケースについての疑問を解消します。
[画像指示: 電子定款用のCD-Rと、行政書士バッジのイラスト (推奨ファイル名: electronic-articles-proxy.jpg, alt: 電子定款 委任状)]💡 3秒でわかるまとめ
- 電子定款を行政書士に頼む時の委任状は別物。
- 代理人がさらに別の人に頼む(復代理)は原則NG。
【電子定款】行政書士に頼む場合の委任状との違い
今回紹介した委任状は、主に「紙の定款認証」を前提とした標準的なものです。
もしあなたが、行政書士に**「電子定款の作成代理」**を依頼する場合、委任状の中身はもっと複雑になります。「電磁的記録の作成権限」や「電子署名の付与権限」などを細かく指定する必要があるからです。
ただし、行政書士に依頼する場合は、プロ側で完璧な委任状を作成して送ってくれます。あなたは指示された場所に実印を押すだけですので、自分で文面を考える必要はありません。安心してください。
【復代理】代理人がさらに別の人に頼むことはできる?
「妻にお願いしていたけど、妻も急用で行けなくなった。妻の友人に行ってもらおう」
これを**「復代理(ふくだいり)」と言います。結論から言うと、これは避けるべき**です。
原則として、委任状には「復代理人の選任権」を明記していない限り、又貸しはできません。また、公証役場での本人確認も複雑になり、トラブルの元です。もし代理人が行けなくなった場合は、大人しく「新しい代理人(妻の友人)」宛ての委任状を、発起人が新しく書き直してください。
行政書士 小野馨の「ここだけの話」
代理人をお願いする相手は、単なる「運び屋」ではありません。あなたの会社の運命を握る重要なパートナーです。
だからこそ、丸投げするのではなく、「何時までに、どこへ行き、誰に会うのか」を丁寧に伝え、必要な持ち物を一緒にチェックしてあげてください。その「配慮」こそが、良い会社を作る第一歩になります。
委任状一枚で、信頼関係が試される
たかが紙切れ一枚ですが、委任状には「あなたを信頼して任せます」という重みがあります。
正しい書き方とルールを守れば、代理人はスムーズに任務を遂行し、笑顔で定款謄本を持ち帰ってくれるでしょう。この記事のテンプレートとチェックポイントを活用して、ミスのない完璧な委任状を作成してください。
🚀 今日から始める「3つの行動」
- 委任状テンプレートをダウンロードし、必要事項を記入する
- 発起人の実印を押し、必ず欄外に「捨印」も押す
- 書類作成が面倒なら、全てプロに任せるプランを検討する
自分一人で悩んで、時間を無駄にしていませんか?
実務経験20年のプロが、あなたの「最適解」を即座に回答します。
※お電話でもお気軽にどうぞ。
※この記事を見たとお伝え頂ければスムーズです。
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記事の内容は執筆時点の法令・情報に基づいています。法改正や自治体の条例により最新の要件と異なる場合がありますので、実務の実行にあたっては、必ずご自身で管轄の行政庁または専門家へ確認を行ってください。
会社設立や電子定款認証のスペシャリスト!開業17年・年間実績500件以上。実は、電子定款の制度ができた10年以上前から電子定款認証の業務を行なっているパイオニアです!他との違いは、まず定款の完成度!内容はモデル定款のモデルと言われ全国数百箇所の公証人の目が入っている優れもの!そして電子署名はまるでサインのようなかっこいい電子署名です!その電子定款であなたの大切な会社設立を真心込めて応援します!