【結論】レンタカー許可における「定款目的」とは?
レンタカー許可(自家用自動車有償貸渡許可)における定款の「事業目的」とは、運輸支局が審査を行う際の「絶対的な入り口」です。
ここに「自家用自動車有償貸渡業」という特定の文言が一字一句正確に入っていなければ、どんなに完璧な車庫や資金を用意しても、申請書は受理されず門前払いとなります。

電子定款実績5000件 行政書士の小野馨です。
今回は【雛形】レンタカー許可の定款目的!正しい書き方と審査を通す3つの要件についてお話します。
「会社設立の手続きを自分で進めているが、目的の欄になんと書けばいいかわからない」
「ネットの雛形をコピペしようとしたが、情報が古くて不安だ」
そんな悩みを持ったまま、適当な文言で定款認証を受けてしまう起業家が後を絶ちません。
はっきり申し上げます。レンタカー許可申請において、定款の目的記載ミスは「致命傷」です。
もし記載が漏れていれば、法務局で再度「定款変更登記(登録免許税3万円)」を行い、修正した定款を用意しなければ許可申請ができません。
たった1行の書き忘れで、3万円と2週間の時間をドブに捨てることになるのです。
この記事では、年間数百件の許認可を扱う行政書士が、運輸支局の審査を確実にパスするための「定款目的の雛形」を完全公開します。
さらに、許可取得の最大の壁となる「人・場所・金」の3大要件についても実務レベルで解説します。
【警告】紙の定款で認証を受けると、印紙税4万円が無駄になります。電子定款を利用し、浮いた4万円を「許可要件」である駐車場代や車両整備費に回すのが、賢い経営者の鉄則です。
この記事でわかる4つのポイント
- ✅ 【コピペOK】審査を通す「定款目的」の正解フレーズ
- ✅ 中古車販売もやるなら必須!「古物商」のセット記載法
- ✅ 許可が下りない9割の原因「整備管理者」と「車庫」の罠
- ✅ 申請書に添付する「貸渡約款」の準備方法
定款に書く事業目的について全体図を知りたい方は
「事業目的完全ガイド」をご覧ください。
【コピペOK】レンタカー事業の「定款目的」完全雛形
定款の「事業目的(第2条)」は、その会社が何をするための組織なのかを定義する重要な項目です。
レンタカー許可申請において、運輸支局の審査官は「定款の目的に、許可を受けようとする事業が含まれているか?」を必ずチェックします。
ここでは、曖昧さを一切排除した「正解」の書き方をお伝えします。
基本形:「自家用自動車有償貸渡業」の記載ルール
最もシンプルかつ確実な書き方は、法律(道路運送法)の用語をそのまま使うことです。
【定款記載例:基本セット】
- 第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
- 1.自家用自動車有償貸渡業
- 2.前号に附帯関連する一切の事業
ネット上には「レンタカー業」や「自動車賃貸業」という書き方も散見されます。
これらでも法務局の登記自体は通りますが、運輸支局の窓口担当者によっては「文言の整合性」を厳しく問われるリスクがあります。
無駄な問答を避けるためにも、申請書と同じ用語である「自家用自動車有償貸渡業」と記載することを強く推奨します。
中古車販売・代行・リース…将来を見据えた「セット記載」
実務上、レンタカー事業「だけ」を行う会社は稀です。多くの場合、車両の仕入れや売却(中古車販売)、あるいは周辺サービス(運転代行・保険)を組み合わせることで収益を安定させます。
後から定款を変更して登録免許税(3万円)を払うのは無駄の極みです。設立時に以下の項目もセットで記載しておきましょう。
💡 【推奨】レンタカー事業フルセット雛形
- 1.自家用自動車有償貸渡業(※必須)
- 2.中古自動車の販売及び買取(※古物商許可に必要)
- 3.自動車のリース及びレンタル業
- 4.自動車運転代行業(※夜間の代行業務を行う場合)
- 5.損害保険代理業(※貸渡時の保険販売のため)
- 6.自動車の点検、整備、修理及び板金塗装業
- 7.キャンピングカー及びアウトドア用品のレンタル
- 8.前各号に附帯関連する一切の事業
特に重要な「古物商」との併用
レンタカーとして使った車を、古くなってから市場で売却する場合、あるいはオークションで中古車を仕入れてレンタカーにする場合、警察署での「古物商許可」が必要になるケースがほとんどです。
古物商の申請時にも定款のチェックが入りますので、「中古自動車の販売及び買取」は必ず入れておいてください。
💡 行政書士の現場メモ(定款変更の悲劇)
「とりあえずレンタカーだけ書きました」というお客様が、1年後に「実は中古車販売も始めたくて…」と相談に来られるパターンが非常に多いです。
そのたびに株主総会議事録を作成し、法務局へ変更登記を行い、3万円の印紙代がかかります。設立時にたった一行「中古自動車の販売」と入れておけば、この手間とコストはゼロでした。
定款は「今の事業」だけでなく「3年後の事業」まで想像して書くのが、プロの鉄則です。
許可が下りない?「人・場所・金」の厳格な審査基準
定款の準備ができたら、次は運輸支局へ提出する「許可申請書」の作成に入ります。
レンタカー許可の審査は、主に「人(資格・欠格)」「場所(事務所・車庫)」「金(資産)」の3つの観点で行われます。
どれか1つでも基準を満たしていなければ、申請書は受理されません。ご自身の状況と照らし合わせてチェックしてください。
【人】欠格事由と整備管理者の資格要件
まず「人」に関する要件です。これには「申請者自身(役員)」と「現場の責任者」の2つの側面があります。
1. 欠格事由(申請者・役員)
申請者(法人の場合は役員全員)が、過去に禁錮以上の刑を受け、その執行が終わってから2年を経過していない場合などは許可が下りません。
これは定款認証の公証役場でのチェックとは異なり、警察庁への照会も含めた厳格な審査が行われます。
2. 整備管理者の選任(最大の壁)
レンタカー事業を行うには、車両の点検・整備を管理する「整備管理者」を配置しなければなりません。
これは、以下のいずれかの資格を持つ必要があります。
- A:自動車整備士(1級、2級、3級)の資格保有者
- B:整備の実務経験が2年以上あり、かつ「整備管理者選任前研修」を修了した者
乗用車であれば、車両台数が10台未満なら「整備管理者の選任は不要(責任者のみで可)」という緩和措置がありますが、マイクロバスやトラック(積載量2トン以上)を1台でも扱う場合は、最初から必須となります。
資格者がいない場合の「外部委託」
「自分も社員も整備士資格がない」という場合でも諦める必要はありません。
以下の4条件をすべて満たせば、外部の整備工場などの有資格者に「整備管理者の外部委託」が認められる場合があります。
- レンタカー型カーシェアリング等、特定の業態であること(※要確認)
- または、整備管理者を外部委託することについての「承諾書」を整備工場等からもらうこと
※ただし、外部委託の可否は管轄の運輸支局によって運用が厳しく異なるため、必ず事前の窓口相談が必要です。
【場所】「事務所」と「車庫」の2kmルールと配置図の罠
次に、物理的な場所の要件です。
ここで多くのDIY申請者が「図面の書き直し」を命じられます。
事務所の要件
プレハブや自宅兼事務所でも構いませんが、少なくとも「3年以上の使用権原」があることが求められます。
賃貸物件の場合、契約期間が1年でも「自動更新」の条項があれば認められますが、契約書の使用目的が「住居専用」となっている場合は、大家さんから「事業用使用承諾書」をもらう必要があります。
車庫(駐車場)の要件と「2kmルール」
車庫は、原則として事務所に併設されているのが望ましいですが、離れている場合は「事務所から直線距離で2km以内」になければなりません。
また、申請書には詳細な「車庫の配置図」を添付し、全車両が確実に収容できることを証明する必要があります。
「コンパクトカー5台」で申請したのに、図面上の寸法がギリギリで「ドアが開かないですよね?」と指摘され、不許可になるケースもあります。
余裕を持ったスペース確保が必要です。
【金】車両購入資金と資産要件(トラックとの違い)
最後に、お金の要件です。
一般貨物(トラック運送業)のような「預金残高証明書の提出」までは求められませんが、申請書には「開始に要する資金の総額」とその調達方法を記載しなければなりません。
- 自己資金: 資本金など、返済不要な資金
- 借入金: 銀行や公庫からの融資
この「資金計画」が、設立した会社の資本金額とあまりにも乖離している(例:資本金1万円で車両費500万円)場合、事業遂行能力を疑われる可能性があります。
資本金は最低でも車両購入費の一部を賄える額(100万〜300万円)に設定しておくのが、スムーズな許可取得のコツです。
💡 行政書士の現場メモ(配置図の「縮尺」ミス)
自分で申請する方が最も苦戦するのが「車庫の配置図」です。
Googleマップのコピーに適当に線を引いただけでは受理されません。
運輸支局は「前面道路の幅員(車が出入りできるか)」と「車両1台あたりの寸法」を定規で測って審査します。
「幅員証明書」までは不要なケースが多いですが、メジャーを持って現地に行き、正確な寸法(メートル単位)を記載した図面を作成する必要があります。
「わ」ナンバー取得のための「保険」と「車両」のルール
許可要件である「人・場所・金」が揃っても、まだ安心はできません。
実際にレンタカーとして貸し出す車両に「わ」ナンバー(または「れ」ナンバー)を取り付けるためには、国が定めた厳しい「保険加入」と「車両登録」のルールをクリアする必要があります。
加入必須!自動車保険(任意保険)の「最低補償額」
レンタカー事業に使用する車両は、必ず「自動車保険(任意保険)」に加入しなければなりません。
ここで重要なのは、法律(道路運送法)で定められた「最低補償額」があることです。
これを1円でも下回る保険内容では、許可が下りても車両登録ができません。
【レンタカー許可基準:保険の最低補償額】
- ① 対人補償: 1人あたり 8,000万円以上
- ② 対物補償: 1事故あたり 200万円以上
- ③ 搭乗者補償: 1人あたり 500万円以上
※上記はあくまで「法律上の最低ライン」です。
実務上は、万が一の事故リスクを考慮し、「対人・対物無制限」+「人身傷害3000万円以上」で契約するのが業界の常識です。
申請時には、この補償内容が記載された「保険加入計画書」や「見積書」の添付が求められます。
ポイント
保険代理店には必ず「レンタカー事業用(事業用料率)」であることを伝えて見積もりを取ってください。
自家用よりも保険料は高くなります。
車検と登録:車両の名義は「会社名」でなければならない
最後に、車両を陸運局に持ち込んで「わ」ナンバーに変更(変更登録)する際の名義ルールです。
原則として、車検証の「使用者」の欄が、許可を受けた「法人名(または個人事業主名)」と完全に一致している必要があります。
- 所有者: リース会社やローン会社でもOK。
- 使用者: 必ず「許可を受けた事業者名」であること。
よくあるミスが、社長個人の名義で買った車を、名義変更せずにそのままレンタカーにしようとするケースです。
これでは登録できません。
必ず「個人→法人」への名義変更と同時に、ナンバー変更の手続きを行う必要があります。
申請書に添付する「貸渡約款」の準備
車両登録の前に、許可申請書には「貸渡約款(かしわたしやっかん)」の添付も必要です。
これは、お客さんと契約する際のルールブックです。
国土交通省が公表している「標準貸渡約款」をそのまま使用するのが最もスムーズですが、キャンセル料の規定などを独自に決めたい場合は、別途作成して届け出る必要があります。
初心者はまず「標準約款」で申請し、事業が軌道に乗ってから独自の約款に変更することをお勧めします。
💡 行政書士の現場メモ(わナンバー封印の瞬間)
長い審査期間(約1ヶ月)を経て許可証が交付された後、車両を陸運局に持ち込み、ナンバープレートを付け替える瞬間が最も感動的です。
しかし、ここで「希望ナンバー」の予約を忘れていると、ランダムな数字が割り振られてしまいます。「777」や「111」など、お店の看板となる車両のナンバーにこだわりたい場合は、許可申請と並行して希望ナンバーの抽選申込も忘れずに行いましょう。
最短で開業するための設立〜許可申請スケジュール
最後に、会社設立の準備から実際にレンタカーを貸し出すまでの全体スケジュールを整理します。
「書類さえ出せばすぐ許可が下りる」わけではありません。
ポイント
審査期間(標準処理期間)や、許可後の手続きを含めると、トータルで2〜3ヶ月を見ておくのが安全です。
定款認証から許可証交付までのタイムライン
以下は、最も無駄のない標準的なスケジュール例です。
【第1フェーズ:会社設立(約2週間〜)】
- ▼ Step 1:定款作成・認証
※ここで「自家用自動車有償貸渡業」の記載を確定させる。 - ▼ Step 2:資本金払込・登記申請
※法務局へ申請。約1週間で登記完了。 - ▼ Step 3:登記事項証明書の取得
※これがないと許可申請ができません。
【第2フェーズ:許可申請(約1ヶ月〜)】
- ▼ Step 4:運輸支局へ許可申請書提出
※車庫の配置図、欠格事由の宣誓書等を提出。 - ▼ Step 5:審査期間(標準1ヶ月)
※補正(修正指示)があればその分延びます。 - ▼ Step 6:許可証の交付&登録免許税納付
※許可取得時に9万円の登録免許税を納付します。
【第3フェーズ:登録・開業(約1週間)】
- ▼ Step 7:車両登録(ナンバー変更)
※車を陸運局へ持ち込み、「わ」ナンバーへ変更。 - ▼ Step 8:営業開始
※貸渡証や料金表を事務所に掲示してスタート。
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【レンタカー事業】会社設立ガイド!開業資金と法人化の完全手順
※開業に必要な「資金」や「法人化のメリット」については、こちらの記事で経営視点から詳しく解説しています。
⚠️ 【警告】書類不備による「機会損失」の恐怖
もし定款の目的記載ミスや、車庫の配置図に不備があれば、申請は受理されず「出直し」となります。
その間も、事務所の家賃や駐車場の賃料は発生し続けます。
「自分でやればタダ」と思って数ヶ月空回りするより、専門家のチェックを受けて最短ルートを走る方が、結果的にコストは安く済みます。
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