
こんにちは。行政書士の小野馨です。
今回は会社設立を自分でやる手順や費用などをわかりやすくお伝えします。
ぜひ、あなたの会社設立手続きにお役立てください!
会社設立を自分でやる方法についてリサーチしていると、フリーランスの方や起業準備中の方は手続きの難しさや費用が一体いくらかかるのか気になりますよね。
「行政書士に頼むと高いし、今はネットで簡単にできるって聞いたけど本当?」という疑問、とてもよく分かります。
最近はfreeeや弥生といった会社設立サイトを利用したりオンライン申請を使ったりすることで、これまでよりも安く、そして驚くほど簡単に手続きができるようになりました。
それでも、法務局や公証役場といったお堅い役所相手の手続きですから、本当に自分ひとりで完結できるのか、それとも最初から行政書士や司法書士などの専門家に依頼したほうがいいのかは迷いどころです。
会社設立は、単に書類を出せば終わりではありません。設立後の税金のこと、社会保険のこと、銀行口座の開設など、スタートラインに立つまでに決めるべきことは山積みです。
この記事では、行政書士として数多くの起業家をサポートしてきた私の経験も踏まえ、皆さんが疑問に思う株式会社と合同会社の手続きの違いや設立日の決定ルール、そして具体的なコスト比較まで、プロの視点で徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたが「自分でやるべきか」「プロに任せるべきか」を自信を持って判断できるようになっているはずですよ。
- 株式会社と合同会社を自分で設立する際にかかる費用の違いと内訳
- 会社設立サイトやオンライン申請を活用した具体的な手順と期間
- 自分で登記申請を行うメリットと、素人が陥りやすい失敗ポイント
- 専門家に依頼する場合と自分で行う場合の損益分岐点と判断基準
会社設立を自分でやる手順と費用の目安
会社を作ると決めたら、まずは具体的な「作業の流れ」と「必要なお金」を把握しておきましょう。「なんだか難しそう」と感じるかもしれませんが、やるべきことは法律でしっかりと決まっています。
ゴールが見えていれば、不安も減りますよね。
ここでは、株式会社と合同会社それぞれのパターンや、最新のツールを使った効率的な進め方について、実務の裏話も交えて解説します。
株式会社を自分で設立する手順と流れ
株式会社を自分で設立する場合、やるべきことは大きく分けて「定款の作成・認証」と「登記申請」の2つに集約されますが、実際にはその前後にも細かい準備が必要です。
このプロセスは、言ってみれば「会社の設計図を作り、国に認めてもらい、誕生を宣言する」という流れになります。
一つでも手順を飛ばしたり間違えたりすると、法務局で受理されず、設立日がズレ込んでしまうこともあるので注意が必要です。
1. 会社の基本事項(設計図)を決定する
まずは、どのような会社にするか「基本事項」を決めます。
これは法律上「定款(ていかん)」に記載しなければならない非常に重要な項目です。
具体的には、「商号(会社名)」「本店所在地(住所)」「事業目的(何をする会社か)」「資本金(元手)」「発起人(出資者)」「役員構成」などを決定します。
特に「事業目的」は、将来的に銀行融資や許認可申請(建設業許可や古物商許可など)に関わってくるため、「適当に書いておく」のはNGです。
将来やるかもしれない事業も含めて、明確かつ具体的に記載しましょう。
2. 法人用印鑑の作成と印鑑証明書の取得
会社名が決まったら、すぐに会社の実印(代表者印)を作成しましょう。登記申請の際に、この会社実印を法務局に登録(印鑑届出)する必要があるからです。
ネット通販などを利用すれば数千円で作れますが、納期には注意してくださいね。
また、定款認証や登記申請には、発起人(あなた)個人の「印鑑証明書」も必要になります。これらは発行から3ヶ月以内のものが必要ですので、区役所などで取得しておきましょう。
3. 定款の作成と公証役場での認証
会社の憲法である「定款」を作成します。株式会社の場合、作成した定款は「公証人」という法律のプロにチェックしてもらい、「これは正当な定款ですよ」というお墨付き(認証)をもらう必要があります。
これが合同会社にはない、株式会社特有のハードルです。最近は紙の定款ではなく、PDF化した「電子定款」が主流です。これについては後ほど詳しく費用面で解説しますね。
4. 資本金の払込み
定款の認証が終わったら(ここが重要です!認証日より前に振り込まないように!)、発起人の個人銀行口座に資本金を振り込みます。
まだ会社の口座はできていないので、代表者個人の口座を使います。「誰が」「いつ」「いくら」払ったかが通帳に記帳されることで、資本金の証明になります。
5. 登記書類の作成と法務局への申請
最後に、「登記申請書」「定款の謄本」「払込みがあったことを証する書面」「就任承諾書」などの書類一式を束ねて、管轄の法務局へ提出します。
この「提出した日」が、記念すべき「会社設立日」となります。
これらの手続きの詳細については、法務省の公式サイトでも案内されていますので、必ず一次情報を確認するようにしてください。
(出典:法務省『商業・法人登記の申請書様式』)
自分でやる場合の費用の目安と内訳
「自分でやればタダになるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、残念ながらそうではありません。
会社設立には、誰が手続きしても必ず国や公証役場に支払わなければならない「法定費用」という実費が存在します。
自分でやるということは、専門家への報酬(手数料)を節約できるだけで、この法定費用は絶対に発生します。
ここでは、株式会社と合同会社でどれくらいの費用がかかるのか、具体的な内訳を見てみましょう。
特に注目してほしいのが「電子定款」を利用するかどうかで、費用が4万円も変わってくる点です。
| 費目の内容 | 株式会社(目安) | 合同会社(目安) |
|---|---|---|
| 定款認証手数料 | 約3万〜5万円 ※資本金により変動 | 0円 (認証自体が不要) |
| 定款の収入印紙代 | 4万円 (電子定款なら0円) | 4万円 (電子定款なら0円) |
| 登録免許税 | 最低15万円 (資本金×0.7%) | 最低6万円 (資本金×0.7%) |
| その他実費 | 数千円 (謄本取得費など) | 数千円 (謄本取得費など) |
| 合計(電子定款) | 約20万円〜 | 約6万円〜 |
| 合計(紙定款) | 約24万円〜 | 約10万円〜 |
【定款認証手数料の変更について】
以前は一律5万円でしたが、現在は資本金の額に応じて手数料が変わります。
・資本金100万円未満:3万円
・資本金100万円以上300万円未満:4万円
・その他の場合:5万円
これに加え、定款の謄本交付代として2,000円程度がかかります。
このように、株式会社を設立するには最低でも約20万円、合同会社なら約6万円の現金を用意する必要があります。
「電子定款」とは、定款をPDFファイルにして電子署名を付与したもののことです。
紙の定款には4万円の収入印紙を貼る義務がありますが、電子データには印紙税がかからないため、4万円がまるまる節約できるのです。
自分でやる場合でも、この「電子定款」に対応しないと損をしてしまいますが、自力で電子署名を行うには専用のソフトや機器が必要です。
そのため、後述する会社設立サイトなどをうまく活用するのが賢い方法と言えます。
設立完了までの期間と短縮のコツ
「明日から会社ということにしたい!」と思っても、準備なしでは不可能です。通常、ゼロから準備を始めて登記が完了(会社として正式に動けるようになる)までは、2週間〜3週間程度を見ておくのが一般的です。
これは、書類作成や印鑑の作成期間だけでなく、役所の処理期間も含まれるからです。
一般的なスケジュールの目安
- 1週目:基本事項の決定、印鑑発注、個人の印鑑証明書取得。
- 1〜2週目:定款作成、公証役場との事前打ち合わせ(FAXやメール)、定款認証、資本金の払込み。
- 2〜3週目:登記申請(設立日)、法務局での審査(1週間〜10日程度)、登記完了、登記事項証明書・印鑑カードの取得。
期間を短縮する最大のコツは、「事前の根回し」と「オンライン申請」です。特に株式会社の場合、公証役場での定款認証に時間がかかりがちです。
いきなり訪問しても認証してもらえません。事前に定款案を公証人に送って添削してもらうプロセスがあるため、ここに数日かかります。
また、法務局への申請を「オンライン」で行うと、紙の申請よりも審査が優先的に処理される傾向があり、早ければ申請から3〜4日程度で登記が完了することもあります。
さらに、「設立日」をいつにするかも重要です。
法務局は土日祝日がお休みなので、カレンダー上の休日を設立日にすることはできません。
ゴールデンウィークや年末年始を挟むと審査期間も伸びるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが、結果的に最短での設立につながります。
合同会社を自分で設立する場合の違い
最近、AmazonやAppleの日本法人も合同会社であることから注目を集めていますが、自分で設立する場合の手続きは株式会社よりも圧倒的にシンプルです。一番の大きな違いは、「公証役場での定款認証が一切不要」という点です。
株式会社では、公証人という第三者に定款をチェックしてもらい、数万円の手数料を払う必要がありましたが、合同会社はこのプロセスがありません。
自分で定款を作成し、そのまま法務局へ登記申請を行うことができます。これにより、以下のメリットが生まれます。
【合同会社設立のメリット】
- 費用が安い:認証手数料(約3〜5万円)がかからない。登録免許税も6万円と安い。
- 手続きが早い:公証役場との予約調整や事前確認の手間がないため、準備から数日で申請まで進めることも可能。
- 定款の自由度が高い:利益の配分を出資比率に関係なく自由に決められるなど、柔軟な設計が可能。
スモールビジネスや、家族経営、あるいはエンジニアやデザイナーなどのフリーランスが法人化するケースでは、無理に株式会社にする必要がない場合も多いです。
将来的に上場を目指したり、第三者から大規模な資金調達をする予定がなければ、コストと手間を極限まで抑えられる合同会社は非常に合理的な選択肢かなと思います。
「合同会社」という名称が気になる方もいるかもしれませんが、名刺には英語表記(LLC)を使ったり、屋号を強調したりすることでカバーできますよ。
会社設立サイトや作成ツールの活用
「自分で書類を一から作るのは無理かも…」と感じた方、安心してください。
今は「freee会社設立」や「弥生のかんたん会社設立」、「マネーフォワード会社設立」など、質問に答えていくだけで書類が自動作成できる便利なクラウドサービスが充実しています。
これらのサービスは、基本的に「利用料無料」で提供されています(印鑑購入や有料プラン契約などのオプションで収益を得ているため)。
画面の案内に従って「会社名は?」「住所は?」と入力していくだけで、プロが作成したような定款や登記申請書がPDFで出力されます。
【会社設立ツールでできること・できないこと】
◎できること:定款、登記申請書、就任承諾書などの必要書類の自動作成。電子定款作成のサポート(手数料5,000円程度で代行してくれるオプションもあり)。
×できないこと:法務局への提出代行(これは自分で行うか、司法書士に依頼する必要があります)。公証役場での認証手続き(自分で行く必要があります)。
特に強力なのが「電子定款」への対応です。
これらのツールを使えば、自分で高価なソフトを買わなくても、サービス運営側の行政書士等が電子署名を代行してくれるオプション(数千円程度)を利用でき、結果的に紙の定款で作るより3万円以上安く済むケースがほとんどです。
「自分でやる」=「手書きやWordで一から作る」と思わずに、こうした文明の利器はフル活用しましょう。それが現代における「賢い自力設立」です。
オンライン申請での設立日と費用特例
「会社の誕生日は、大安の日や自分の誕生日にしたい!」というこだわりがある方も多いですよね。会社設立日(創立記念日)は、法務局に登記申請を行った日になります。
郵送の場合は「法務局に届いた日」、窓口の場合は「窓口に提出した日」ですが、オンライン申請の場合はどうなるのでしょうか。
オンライン申請の場合、システム自体は平日8時30分から17時15分まで稼働しています(時間は法務省の運用状況により変動あり)。
基本的には、申請データがシステムに送信され、受け付けられた日が設立日となります。ただし、土日祝日や年末年始はシステムが停止しているか、受け付け自体が行われないため、休日に会社を設立することは原則できません。これはオンラインでも同様です。
また、マイナンバーカードとICカードリーダー(またはスマホ)を使って完全オンラインで申請を行う場合、以前は必要だった手続きの一部が簡略化されたり、印紙代の納付がネットバンキング(Pay-easy)でできたりと利便性が高まっています。
さらに、特定の要件を満たしてオンライン申請を行うことで、登録免許税が軽減される特例措置が講じられるケースも過去にはありましたが、現在は恒久的な減税措置はありません。
しかし、窓口に行く交通費や時間を節約できる点は大きなコストダウンと言えるでしょう。
司法書士などの専門家へ依頼する基準
ここまで「自分でやる」方法をお伝えしてきましたが、私自身、すべての人が自分でやるべきだとは思っていません。
状況によっては、手数料を払ってでも専門家(司法書士や税理士など)に任せたほうが、トータルで見て得をするケースも確実に存在します。
では、どのような基準で「自力」か「依頼」かを決めれば良いのでしょうか。
以下のチェックリストに当てはまる場合は、専門家への依頼を検討してみてください。
- 時間が全く取れない人:本業が忙しく、平日の昼間に公証役場や法務局へ行く時間が物理的に作れない。
- 複雑な定款を作りたい人:種類株式(議決権制限株式など)の発行や、特殊な機関設計、事業承継を見据えた複雑なルールを定款に盛り込みたい。
- 絶対にミスが許されない人:銀行融資の審査が控えており、特定の日までに確実に謄本を提出しなければならない。
- 助成金・補助金を活用したい人:創業融資や創業補助金の申請サポートとセットで依頼したい場合(この場合、設立手数料が実質無料になるキャンペーンを行っている税理士法人などもあります)。
もし「電子定款」のためのICカードリーダーをこのためだけに買うのが面倒だったり、書類の書き方を調べるのに3日も4日も悩んで本業が疎かになるくらいなら、手数料(株式会社なら司法書士報酬7〜10万円前後、行政書士なら定款作成のみで数万円〜)を払ってでも依頼する価値は十分にあります。
あなたの「時間単価」と相談して決めてくださいね。
会社設立を自分でやるメリットと注意点
ここまで、具体的な手順や費用についてお話ししてきました。
「これなら自分でもできそう!」と思った方もいれば、「やっぱり面倒くさそう…」と少し引いてしまった方もいるかもしれません。どちらの感想も正解です。
会社設立は、一生に一度あるかないかの大きなイベントです。
だからこそ、コスト面だけでなく、経営者としてのスタートダッシュにどう影響するかという視点で、メリットとデメリットを天秤にかける必要があります。
ここでは、現場を見てきた私だからこそ言える、リアルな「得られるもの」と「失うかもしれないリスク」について、包み隠さずお話ししますね。
自分で設立手続きを行うメリット
自分で会社設立を行う最大のメリットは、何と言っても「費用の節約(コストカット)」です。これは起業直後の資金繰りが厳しい時期において、非常に大きな魅力ですよね。
しかし、メリットはお金だけではありません。「経験」という見えない資産も手に入ります。
1. 専門家報酬(約4万〜15万円)が丸ごと浮く
前述の通り、行政書士や司法書士に依頼すれば、当然ながら「報酬」が発生します。
相場としては、書類作成だけのサポートなら4〜5万円、登記申請まで完全代行なら10〜15万円程度です。
自分で手続きを行えば、この金額がそのままあなたの手元に残ります。
浮いた10万円があれば何ができるでしょうか?
オフィスのデスクやチェアを少し良いものにしたり、Webサイトの制作費に充てたり、あるいは名刺やチラシを大量に印刷したりと、事業の成長に直結する投資に回すことができます。
スモールスタートで、1円でも無駄にしたくないという方にとっては、この金額差は決定的でしょう。
2. 会社のルール(定款)を深く理解できる
これは意外と見落とされがちなメリットですが、経営者としての「自覚」と「知識」が身につくという点です。
専門家に丸投げすると、完成した定款を渡されて「はい、これが御社のルールブックです」と言われるだけになりがちです。
その結果、自分の会社なのに「決算期はいつだっけ?」「株主総会はどうやって開くんだっけ?」「役員の任期は何年?」といった基本的なことすら把握していない経営者が生まれてしまいます。
自分で定款を作れば、「なぜ決算期をこの月にしたのか」「なぜ役員の任期を10年にしたのか」という意図をすべて自分で決定することになります。
会社法という法律が、会社の運営にどう関わっているのかを肌で感じる経験は、設立後のコンプライアンス意識や、銀行との交渉時にも必ず役に立ちます。
「苦労して作った」という愛着も、会社を長続きさせるモチベーションになるはずですよ。
3. スケジュールを自分でコントロールできる
専門家とのやり取りには、どうしてもタイムラグが発生します。
「メールを送って返信を待つ」「面談の日程調整をする」といったコミュニケーションコストがかかります。
自分でやる場合、やる気と時間さえあれば、深夜でも早朝でも書類作成を進めることができます。「今週末に一気に仕上げて、月曜日に申請しよう!」といった、自分のペースに合わせた柔軟な動きができるのも、多忙な起業家にとってはメリットと言えるでしょう。
自分でやる場合のデメリットとリスク
一方で、デメリットも無視できません。
「タダより高いものはない」という言葉があるように、目に見える費用以外の「見えないコスト」が発生します。
特に注意すべきは「時間」と「責任」です。
1. 膨大な時間と手間(機会損失)がかかる
慣れない法律用語を調べ、書類のフォーマットを探し、公証役場や法務局へ足を運ぶ…。
初めて会社を作る方がこれらを完璧にこなそうとすると、トータルで数十時間〜数日分の時間を費やすことになります。
もし、あなたの本業での時給(あるいは稼ぎ出す利益)が1万円だとしたらどうでしょうか。
手続きに20時間かかったら、実質的に20万円分の価値ある時間を失ったことになります。
「その時間で営業を一軒でも多く回ったほうが、結果的に会社のためになるのではないか?」という経営判断(機会損失の考慮)は常に必要です。
2. 法務局からの補正(修正)リスクがある
プロでも緊張するのが登記申請です。
法務局の審査は非常に厳格で、「てにをは」の間違いや、住所の表記(「1丁目」か「一丁目」か)が印鑑証明書と少し違うだけでも、「補正(ほせい)」という訂正指示が入ります。
補正になると、法務局から電話がかかってきて呼び出され、訂正印を持って窓口まで修正に行かなければなりません。
郵送で申請していたとしても、修正のために出向く必要があるのです。これにより、予定していた日に登記が完了せず、銀行口座の開設が遅れ、取引先への支払いが間に合わない…といったトラブルに発展するリスクがあります。
3. 法律的に不利な定款を作ってしまう可能性がある
ネット上の雛形をそのままコピペして定款を作った結果、自社の実情に合わないルールを設定してしまうケースが多々あります。
例えば、「株式の譲渡制限」をつけ忘れて会社乗っ取りのリスクを残してしまったり、役員の任期を短く設定しすぎて2年ごとに高額な登記費用(重任登記)が発生する仕組みにしてしまったり。
専門家なら「今の規模ならこの設定がお得ですよ」とアドバイスできますが、自分一人だとその判断がつかず、設立後に定款変更の手続き(これにも3万円かかります!)が必要になることも珍しくありません。
登記申請で失敗しないための注意点
「それでも自分でやりたい!」というガッツのあるあなたへ。私が過去に見てきた、セルフ設立での「あるある失敗事例」を共有します。ここさえ押さえておけば、致命的なミスは防げるはずです。
【ここが落とし穴!登記申請の三大失敗ポイント】
- 印鑑の押し間違い:「個人の実印」を押すべき場所に「会社の実印」を押してしまう(またはその逆)ミスが多発します。書類ごとに「誰の意志表示か(発起人個人か、代表取締役か)」をよく確認しましょう。
- 日付の順序矛盾:「定款認証日」→「資本金払込日」→「設立登記申請日」という時系列が基本です。定款認証を受ける前に資本金を振り込んでしまうと、やり直しになるケースがあります(現在は特例で認められる場合もありますが、原則を守るのが安全です)。
- 「事業目的」の書きすぎ・書きなさすぎ:あれもこれもと詰め込みすぎて怪しい会社に見られたり、逆に具体性がなさすぎて許認可が取れなかったりします。特に「〇〇業」などの許認可ビジネスをやる場合は、管轄の役所に文言を事前確認するのが鉄則です。
また、最も確実な対策は、「法務局の登記相談」を利用することです。
多くの法務局では、予約制で登記官や相談員による事前の書類チェックを行っています。申請前に一度見てもらうだけで、補正のリスクを劇的に減らせます。「プロに頼まないなら、役所のプロを頼る」。
これが成功の秘訣です。
個人事業主が法人化する際の手続き
すでに個人事業主(フリーランス)として活動していて、それを法人化(いわゆる「法人成り」)する場合、単に会社を作るだけでは終わりません。
「個人の廃業」と「法人の開業」という2つの手続きをセットで行う必要があります。
1. 個人事業の廃業手続き
会社ができたら、個人事業主としての看板は下ろすことになります。
税務署に対して「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出し、事業を廃止したことを知らせます。
また、青色申告をしていた場合は「所得税の青色申告の取りやめ届出書」も必要です。
さらに、消費税の課税事業者だった場合は「事業廃止届出書」も忘れないでください。
これらの提出期限は、基本的に廃業から1ヶ月以内とされています。
2. 資産と負債の引き継ぎ(ここが最重要!)
個人事業時代に使っていたパソコン、在庫商品、車、そして借入金などをどうするか。
これらを会社に引き継ぐ場合、無償で譲ることは税務上問題になることがあります(贈与税や所得税が絡みます)。
一般的には、個人から法人への「売買契約」を結んで会社に買い取らせるか、「現物出資」として資本金の一部に組み込む等の処理を行います。
この資産の移行処理を間違えると、設立初年度から税務調査のリスクが高まるため、ここだけは税理士さんに相談することを強くおすすめします。
法人化に伴う税務上の手続き詳細については、国税庁の公式サイトで必ず最新の情報を確認してください。
(出典:国税庁『個人事業の開業・廃業等届出書』)
会社設立を自分でやるか決めるまとめ
長い記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ここまで読んでくださったあなたは、すでに「なんとなく会社を作る人」から「知識を持って経営に臨む人」へとステップアップしています。
最後に、私のスタンスをお伝えして締めくくりたいと思います。
会社設立を自分でやることは、今や特別なことではありません。
便利なツールやオンライン申請を使えば、費用を抑えて自分の会社を持つことができます。特に「とにかく初期費用を安く済ませたい」「勉強のために自分でやってみたい」という方には、ぜひチャレンジしてほしいと思います。
その経験は、必ず経営の糧になります。
一方で、時間は有限です。本業の売上がすでに立っていて忙しい方や、融資のために一刻も早く、確実に登記を完了させたい方にとっては、専門家への依頼が最も「コスパの良い投資」になることも事実です。
「お金を節約して、経験を買うか」。
「時間を買って、確実性を取るか」。
正解はありません。あなたの現在の状況と、大切にしたいリソース(お金か時間か)に合わせて、ベストな選択をしてください。どちらの道を選んだとしても、あなたが踏み出す新しい一歩を、私は心から応援しています!
