「なんとなく株式会社」は思考停止。「安さだけで合同会社」は機会損失。あなたのビジネスモデルに最適なのはどっちか、5つの視点で白黒つけます。

起業相談で最も多いのが「株式会社と合同会社、どっちがいいですか?」という質問です。
正直に言います。税金は同じです。できることもほぼ同じ。
違うのは「設立コスト」と「他人の目(信用)」だけです。
今回は、この2つの違いを経営視点で天秤にかけ、あなたが選ぶべき選択肢を提示します。
日本で設立される会社の約3割が「合同会社(LLC)」を選ぶ時代になりました。AmazonやAppleの日本法人も合同会社です。
しかし、「大企業がやっているから」という理由で安易に真似をするのは危険です。
彼らには圧倒的なブランド力がありますが、創業期のあなたにはまだ「信用」がないからです。
この記事では、スペック表の比較だけでなく、「名刺を出した時の相手の反応」や「将来の融資への影響」といった、現場の肌感覚を含めて徹底比較します。
▼ この記事のゴール ▼
- ✅ コスト:合同会社なら約14万円安く作れる。
- ✅ 信用:BtoBや採用重視なら、迷わず「株式会社」を選ぶべき。
- ✅ 戦略:小さく合同で始めて、後から株式会社にする「裏技」を知る。
結論:あなたが選ぶべきは「こっち」です
細かい比較の前に、結論を出します。
以下のチャートに従って決めてください。

株式会社(KK)を選ぶべき人
- 法人顧客(BtoB)がメインで、相手が保守的な業界だ。
- 求人を出して、優秀な人材を採用したい。
- 将来、投資家から出資を受けたい(または上場を目指す)。
- 「代表取締役社長」という肩書きにプライドを持ちたい。
合同会社(GK/LLC)を選ぶべき人
- 飲食店、美容室、通販など、一般消費者(BtoC)相手のビジネスだ。
- 自分一人、または家族だけで経営し、採用予定はない。
- 初期費用をとにかく抑えたい。
- 「マイクロ法人」として投資や節税に使いたい。
決定的な違い①:「設立費用」には約14万円の差がある
合同会社を選ぶ最大のメリットは「安さ」です。
株式会社と比較すると、初期費用で約14万円もの差が出ます。
創業期の14万円は、PC1台分、あるいは広告費1ヶ月分に相当する重みがあります。
【費用の内訳比較】合同会社はコスパ最強
| 費目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 登録免許税(税金) | 150,000円〜 | 60,000円〜 |
| 定款認証手数料 | 約52,000円 | 0円(不要) |
| 合計目安 | 約202,000円 | 約60,000円 |
この差が生まれる最大の要因は、「公証役場での定款認証」の有無です。
株式会社を作るには、作成した定款を公証人にチェックしてもらう義務があり、手数料がかかります。一方、合同会社はこのプロセスが不要です。つまり、「公証役場に行かなくていい=時間とお金が浮く」というのが合同会社の強みです。
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※認証手続きのリアルな流れはこちらで解説しています。
ランニングコスト(決算公告・重任登記)の違い
設立後にかかる費用も合同会社の方が安いです。
株式会社:
・役員に「任期(最長10年)」があり、更新のたびに「重任登記」で1万円〜3万円がかかる。
・毎年「決算公告」の義務があり、官報に掲載する場合は年間約7万円〜がかかる。
合同会社:
・役員の任期がない(無期限)。よって重任登記コストは0円。
・決算公告の義務がない。コスト0円。
10年単位で見ると、維持費だけでも数十万円の差がつきます。
決定的な違い②:「信用」と「名刺」のリアル
ここまで見ると「合同会社圧勝」に見えますが、なぜ世の中の会社の約7割はいまだに株式会社なのでしょうか。それは「信用」という目に見えない資産の価値が高いからです。
特に日本では、「株式会社=ちゃんとした会社」というブランド信仰が根強く残っています。現場の実感として、以下の2点において株式会社が圧倒的に有利です。
[画像指示: 名刺交換のシーン。片方は「代表取締役社長 株式会社〇〇」、もう片方は「代表社員 合同会社〇〇」と書かれている名刺の対比 (推奨ファイル名: business-card-comparison-kk-gk.jpg, alt: 株式会社と合同会社の名刺の肩書きの違い)]「代表取締役」と「代表社員」の肩書き問題
株式会社のトップは「代表取締役」です。誰でも知っている、社長の代名詞です。
一方、合同会社のトップは法律用語で「代表社員」と呼ばれます。ここが最大のネックです。名刺交換の際、「え? 社員さんですか? 社長さんはどちらですか?」と勘違いされるケースが実際にあります。
もちろん、名刺上の表記は自由なので「社長」や「CEO」と刷ることは可能です。しかし、契約書などの公的な書類には「代表社員」と記載しなければなりません。「小さなプライド」かもしれませんが、経営者にとってモチベーションに関わる重要な問題です。
融資や採用に及ぼす「見えない影響」
融資(銀行):
制度上は、形態による有利不利はありません。しかし、地方銀行や信用金庫の年配担当者によっては、「株式会社の方がガバナンスが効いている(しっかりしている)」という古いバイアスを持っている可能性はゼロではありません。
採用(求人):
ここが最大のリスクです。求職者が親に「就職先が決まった」と報告した際、「合同会社? 聞いたことない形態だけど大丈夫?」と心配されるブロック(通称:親ブロック)がかかることがあります。将来的に社員を雇って組織化したいなら、株式会社が無難です。
決定的な違い③:「税金」と「決算」は同じ
よくある誤解ですが、「合同会社の方が税金が安い」ということは一切ありません。
法人税、消費税、地方税、社会保険料の計算方法は、株式会社も合同会社も全く同じです。節税メリットは「形態」ではなく「経費の使い方」や「役員報酬の設定」で決まります。
そのため、副業用や資産管理用の「マイクロ法人(自分一人の会社)」を作る場合、対外的な信用が必要ないため、設立コストの安い合同会社が選ばれることが多いのです。
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「コストは抑えたいけど、将来的には株式会社にしたい…」
そんな迷いがあるなら、行政書士として一つの戦略を授けます。
「まずは合同会社で小さく生んで、儲かったら株式会社へ進化させる」
という方法です。
[画像指示: 小さな苗木(合同会社)が成長して大木(株式会社)になるイメージ図。進化の矢印 (推奨ファイル名: entity-conversion-growth.jpg, alt: 組織変更による株式会社化)]組織変更(合同会社→株式会社)という裏技
会社法には「組織変更」という手続きがあります。これを使えば、設立後にいつでも合同会社から株式会社へ変更可能です。
変更には登録免許税や官報公告費などで約10万円〜の費用がかかりますが、設立時の差額(14万円)を考えれば、コスト的にはトントンです。
「最初は資金がないから合同会社でスモールスタートし、売上が立って採用が必要になったタイミングで株式会社にする」というステップアップは、非常に合理的な経営判断です。
行政書士 小野馨の「ここだけの話」
正直な話をしますと、AppleやGoogleが合同会社なのは、彼らが「アメリカの税制上のメリット(パススルー課税)」を享受するためであり、日本の小さな起業家が真似をする理由とは少し事情が異なります。
ですが、「器」は何であれ、一番大事なのは「中身(ビジネス)」です。
株式会社か合同会社かで迷って1ヶ月足踏みするくらいなら、安い合同会社で明日登記して、1ヶ月早く商売を始めた方が、成功確率は間違いなく上がります。
あなたが得られる未来
株式会社か、合同会社か。この選択は「一生モノ」ではありません。後から変えることもできます。
重要なのは、形式に悩んで立ち止まることではなく、一刻も早くビジネスをスタートさせることです。今のあなたの懐事情と、1年後のビジョンを照らし合わせて、最適な「器」を選んでください。
🚀 今日から始める「3つの行動」
- 自分のビジネスが「BtoB(対企業)」か「BtoC(対個人)」か確認する。
- 初期費用「14万円の差」が、今の資金繰りにとって致命的か判断する。
- 決めたら、それぞれの形態に合わせた「定款」の準備を始める。
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会社設立や電子定款認証のスペシャリスト!開業17年・年間実績500件以上。実は、電子定款の制度ができた10年以上前から電子定款認証の業務を行なっているパイオニアです!他との違いは、まず定款の完成度!内容はモデル定款のモデルと言われ全国数百箇所の公証人の目が入っている優れもの!そして電子署名はまるでサインのようなかっこいい電子署名です!その電子定款であなたの大切な会社設立を真心込めて応援します!
