会社設立・許認可

【完全版】マイクロ法人の作り方ロードマップ|素人でも「自分で」安く設立する5ステップ【合同会社編】


専門家に丸投げすると、手数料だけで10万円以上飛びます。そのお金、資本金に回しませんか?


「役所の手続きは難しそう…」今はクラウドツールを使えば、プラモデル感覚で会社が作れる時代です。

行政書士 小野馨
こんにちは。

「自分の会社は自分で作る。それが最初の経営判断だ」と考える、行政書士の小野馨です。

今回は、マイクロ法人(合同会社)を【誰の手も借りずに、自分で安く作る方法】について、実務家の視点でガイドします。

マイクロ法人を検討している方の多くは、「コスト意識」が高いはずです。

せっかく社会保険料を削減するために法人を作るのに、設立手続きで司法書士や行政書士に10万円、20万円と報酬を払っていては本末転倒です。合同会社であれば、構造は非常にシンプルです。

ポイントさえ押さえれば、法律知識のない素人でも、法務局での登記を完了させることは十分に可能です。

そこで本記事では、プロに依頼せず、最低限の法定費用(6万円)だけでマイクロ法人を立ち上げるための「完全自力ロードマップ」を公開します。

各工程で必要な「決定事項」については、専門の解説記事への案内板(リンク)も用意しました。迷わずゴールまで走り抜けましょう。

▼ この記事のポイント ▼

  • ✅ 合同会社なら、自分でやれば「総額6万円」で設立可能
  • ✅ 紙の定款は4万円損する。「電子定款」が必須条件
  • ✅ 期間は準備から登記完了まで「最短2週間」見ておく
  • ✅ 事業目的などの「中身」は、専門記事でカンニングせよ

※なお、まだマイクロ法人の仕組みやメリット・デメリットを把握していない方は、

『【2025年版】マイクロ法人の最強の教科書』

を先に読んで、全体像を掴んでおくことをお勧めします。

マイクロ法人の作り方・全体ロードマップ(期間と費用)

まずは全体像を把握しましょう。

登山と同じで、ルートを知らずに歩き出すと遭難します。

マイクロ法人(合同会社)の設立は、以下の5ステップで進みます。

[画像指示: 5つのステップのフローチャート。1.基本事項決定 → 2.定款作成(電子) → 3.出資金払込 → 4.登記申請 → 5.事後届出。期間バーとして「トータル約2週間」と表示 (推奨ファイル名: micro-corp-setup-roadmap.jpg, alt: マイクロ法人設立ロードマップ)]

【準備〜登記】完了までは「最短2週間」のスケジュール感

「明日会社を作りたい!」と思っても、それは不可能です。

役所(法務局)の審査には一定の日数がかかりますし、その前の書類作成や印鑑作成にも物理的な時間が必要です。

スムーズにいって、準備開始から登記完了(謄本が取れる状態)まで、約2週間を見ておいてください。

  • 📅 1週目(準備): 会社名の決定、印鑑発注、定款作成、出資の払込み
  • 📅 2週目(申請): 法務局へ申請(登記)、審査待ち(約1週間)

なお、法務局に書類を出した日(申請日)が、あなたの会社の「設立記念日(誕生日)」になります。大安などのこだわりがある場合は、逆算して準備を進める必要があります。

費用は「合同会社」×「電子定款」なら総額6万円のみ

次に予算です。自分でやる場合と、専門家に頼む場合、そして「株式会社」で作ってしまった場合の比較です。

パターン会社形態法定費用(税金等)専門家報酬合計コスト
自分(電子定款)合同会社60,000円0円約6万円
自分(紙定款)合同会社100,000円0円約10万円
専門家に依頼合同会社60,000円約5〜10万円約11〜16万円
参考:株式会社株式会社約200,000円(+報酬)20万円超

ご覧の通り、「合同会社」を「自分で(電子定款で)」作るのが、最強のコスパです。株式会社にするだけで、コストは3倍以上に跳ね上がります。見栄を捨てて実利を取るマイクロ法人なら、迷わず一番上のパターンを選んでください。

Step1:基本事項の決定(商号・本店・印鑑)

ここから具体的な作業に入ります。まずは会社の「基本スペック」を決めます。

会社名は「英語」でもOK? 意外と自由な商号ルール

会社名(商号)は、基本的に自由につけられます。

漢字、ひらがな、カタカナはもちろん、ローマ字(ABC…)やアラビア数字(123…)も使えます。例えば「合同会社Smart-Life 2025」のような名前も登記可能です。

【注意点】
・「合同会社」という文字は必ず前後どちらかに入れなければなりません。(例:合同会社〇〇、または〇〇合同会社)
・同一住所に同一の商号は登記できません(自宅兼事務所にする場合、家族が既に会社を作っていないか確認してください)。

本店住所は「自宅」でいい? 賃貸契約の注意点

マイクロ法人の本店所在地は、コスト削減のため「自宅」にするのが一般的です。

ただし、自宅が「賃貸マンション」の場合は注意が必要です。多くの賃貸契約書には「居住専用」「事務所不可」という条項があります。勝手に法人登記をして、郵便物が届くようになると、大家さんに見つかって契約解除になるリスクがあります。

リスクを避けたい場合は、大家さんに承諾を取るか、月額数千円の「バーチャルオフィス」を借りて、そこを本店所在地として登記するのが安全です。

会社実印を作るタイミングと「ネット注文」の安さ

会社名が決まったら、すぐに「会社実印(代表者印)」を発注してください。これが手元にないと、次のステップである定款作成や登記申請に進めません。

街のハンコ屋さんで作ると数万円することもありますが、今はネット通販で十分です。「会社設立印鑑セット(実印・銀行印・角印)」で検索すれば、3,000円〜5,000円程度で立派なものが作れます。こだわりがなければ、安い素材(柘など)で全く問題ありません。

Step2:定款作成(※ここで4万円の差がつく)

最難関の「定款(会社のルールブック)」作成です。ここで「事業内容」を決め、「電子定款」を作る必要があります。

紙の定款はNG!「電子定款」で印紙代を0円にする仕組み

定款の中身(文章)ができたら、それを「定款」として仕上げます。ここで運命の分かれ道です。

紙に印刷して製本すると、印紙税法により「4万円の収入印紙」を貼らなければなりません。しかし、PDFデータで作る「電子定款」なら、印紙代は0円です。

「じゃあPDFにするだけか」というと、そう簡単ではありません。電子定款には「電子署名」が必要で、これにはマイナンバーカード、ICカードリーダー、そして有料のAdobe Acrobat(署名プラグイン対応版)が必要です。たった一回の設立のためにこれらを揃えるのは、逆に高くつきます。

【正解:クラウド設立ツールを使う】
素人が安く電子定款を作る唯一の解は、「会社設立freee」や「マネーフォワード会社設立」などのクラウドツールを使うことです。これらのサービスを使えば、月額料金や少額の手数料(5,000円程度)で、行政書士が電子署名を代行してくれます。

自分で機材を買う必要もなく、紙の4万円も払わなくて済む。これが現代の「賢い自力設立」のスタンダードです。

【重要】事業目的の書き方は「専門記事」をカンニングせよ

定款には「この会社は何をして稼ぐのか」という事業目的を記載する必要があります。

ここで「個人事業と同じ内容」を書いてしまうと、税務署に否認されるリスクがあることは、以前お話しした通りです。また、書き方を間違えると法務局で修正を命じられます。

失敗しない事業目的の選び方と、そのまま使える文例については、以下の専門記事で徹底解説しています。必ずこちらを確認し、文言を選んでから戻ってきてください。

【重要】必ず確認
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【コピペOK】マイクロ法人の定款「事業目的」書き方・文例集20選|行政書士が教える資産管理会社の鉄板ルール

例(A):定款の事業目的は「会社の憲法」です。適当に書くと、後で銀行口座が作れません。 例(B):個人事業と全く同じことを書こうとしていませんか? その瞬間、税務署のターゲットロックオンです。 行政書 ...

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Step3〜4:出資と登記申請(法務局)

定款(会社のルール)が決まったら、次は「資本金の準備」と、本丸である「法務局への申請」です。ここが正念場です。

[画像指示: 銀行通帳のコピーと、6万円分の収入印紙が貼られた登記申請書のイラスト。法務局の窓口に提出している様子 (推奨ファイル名: registration-application-process.jpg, alt: 登記申請と資本金払込)]

資本金の払込みは「個人の通帳」を使うのが正解

会社を作る前なので、当然まだ「会社の銀行口座」はありません。では、資本金はどこに入れるのか?

正解は、「発起人(あなた自身)の個人の銀行口座」です。

手順は以下の通りです。
1. あなたの個人口座(普段使っているものでOK)を用意する。
2. その口座に、資本金全額(例:10万円)を「振込」または「預入」する。
3. 記帳されたら、「通帳の表紙」「表紙の裏(支店名などが載っているページ)」「振込が記帳されたページ」の3枚をコピーする。
4. 「払込証明書」という表紙を作り、コピーと一緒にホッチキスで留める。

これが「資本金が確かに存在します」という証明書になります。

👨‍⚖️

行政書士 小野馨の「ここだけの話」

ここで一番多いミスが「日付」です。お金を入金するのは、必ず「定款作成日(電子署名日)以降」でなければなりません。定款ができる前に入れたお金は「ただの貯金」とみなされ、法務局で突き返されます。必ず「定款作成→入金」の順序を守ってください。

登記申請書の作り方と法務局への提出方法(郵送可)

いよいよラストスパートです。「合同会社設立登記申請書」を作成します。

これは法務局のホームページに雛形(Word)がありますが、初心者は前述の「会社設立freee」などのツールで自動生成されたPDFを印刷するのが確実です。

【申請セットの内容】
1. 登記申請書(6万円の収入印紙を貼る台紙付き)
2. 本店所在地決定書
3. 代表社員就任承諾書
4. 払込証明書(先ほど作った通帳コピーの束)
5. 電子定款の入ったCD-R(または磁気ディスク提出用フォルダー)

これらをまとめてホッチキスで留め、会社実印を押します。そして、管轄の法務局へ提出します。

「平日に法務局なんて行けないよ」という方も安心してください。「郵送」でOKです。封筒の表に「設立登記申請書在中」と赤書きし、書留(レターパックプラスなど追跡できるもの)で送れば完了です。

法務局に到着した日が、あなたの会社の「設立日」になります。そこから約1週間〜10日後、何も連絡がなければ無事に登記完了です(※不備がある時だけ電話がかかってきます)。

Step5:設立後の届出(税金・社会保険)

登記が終わっても、まだ終わりではありません。最後に「会社ができました」と各役所に知らせる必要があります。これを忘れると、青色申告ができなかったり、社会保険に入れなかったりと、大惨事になります。

[画像指示: 設立後の手続きリスト。税務署、都道府県、年金事務所の3つのルートが示されている図 (推奨ファイル名: post-incorporation-procedures.jpg, alt: 会社設立後の届出)]

これで完了!税務署と年金事務所への「開業セット」提出

登記完了後、法務局で「履歴事項全部証明書(謄本)」と「印鑑証明書」を数通取得したら、以下の3箇所へ届出を行います。

提出先主な書類期限
① 税務署法人設立届出書
青色申告承認申請書
給与支払事務所等の開設届
設立から2ヶ月以内
② 都道府県・市町村事業開始等申告書設立から15日〜1ヶ月以内
③ 年金事務所健康保険・厚生年金保険 新規適用届事実発生から5日以内
(※実務上は多少遅れてもOK)

特に③の年金事務所への届出が、マイクロ法人のゴールです。ここで「役員報酬をいくらに設定したか」を申告する必要があります。

ここで「月額45,000円」で申請することで、初めて社会保険料削減が実現します。この手続きの際に必要な「決定書」の書き方や、年金事務所での立ち回りについては、以下の専門記事でテンプレートを配布しています。

【重要】必ず確認
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【コピペOK】マイクロ法人の定款「事業目的」書き方・文例集20選|行政書士が教える資産管理会社の鉄板ルール

例(A):定款の事業目的は「会社の憲法」です。適当に書くと、後で銀行口座が作れません。 例(B):個人事業と全く同じことを書こうとしていませんか? その瞬間、税務署のターゲットロックオンです。 行政書 ...

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青色申告の承認申請書を忘れると大損する

最後に一つだけ、致命的な注意点です。

税務署に出す「青色申告承認申請書」。これだけは絶対に期限(設立から3ヶ月以内)を守ってください。

マイクロ法人は、設立初年度は赤字になることが多いです。青色申告をしておけば、この赤字を翌年以降に繰り越して、将来黒字が出た時に相殺(節税)することができます(欠損金の繰越控除)。

しかし、申請書を出し忘れて「白色申告」になってしまうと、赤字はただの垂れ流しになり、繰り越せません。紙一枚出すだけで数万円〜数十万円の税金が変わります。必ず提出してください。

あなたが得られる未来(まとめ)

自分の城を持ち、手取り最大化の旅へ出発しよう

お疲れ様でした。以上が、マイクロ法人を自分で作るための全ロードマップです。

「意外とやることが多いな」と思いましたか? それとも「これなら自分でもできそうだ」と思いましたか?

確かに手間はかかります。しかし、この一連の作業は、たった一度きりです。この数週間の努力を乗り越えれば、この先ずっと「年間数十万円の社会保険料削減」という果実を受け取り続けることができます。

自分で設立手続きを行うことは、単なるコスト削減ではありません。自分の会社の定款を読み、ハンコを押し、役所に届ける。そのプロセスを通じて、「経営者としての自覚」が芽生えるのです。さあ、準備は整いました。あとは行動あるのみです。

🚀 今日から始める「3つの行動」

  • 会社設立freeeなどの「クラウド設立ツール」に無料登録する
  • 楽天市場などで「会社実印」を注文する(3,000円〜)
  • どうしても不安な点があれば、プロに無料相談して解消しておく

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