定款変更

定款変更で登記が必要なケースとは?手続きの費用や期限を解説

行政書士 小野馨

こんにちは。行政書士の小野馨です。

今回は「定款変更登記」について詳しく解説します。

会社を経営していると、「もっと幅広いビジネスに挑戦したいから事業目的を追加しよう」「オフィスをもっと便利な場所に移転したい」といった前向きな変化のタイミングが必ず訪れます。

しかし、そこで壁となるのが「定款変更」とそれに伴う「登記手続き」です。

「定款を変えたら必ず登記しなきゃいけないの?」「費用はいくらかかるの?」「自分でやると大変そう…」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

実は、定款変更には「法務局への登記が必須なケース」と「社内の手続きだけで終わるケース」があり、それぞれ対応方法や費用が異なります。

また、登記には「2週間以内」という厳格な期限があり、これを知らずに放置してしまうと罰金を科されるリスクさえあります。

この記事では、数多くの企業をサポートしてきた私が、定款変更の登記が必要な具体的ケースから、費用の仕組み、そして自分で申請する場合の手順まで、専門用語をなるべく使わずにわかりやすく解説します。

これを読めば、あなたの会社に必要な手続きが明確になり、スムーズに次のステップへ進めるようになりますよ。

  • 定款変更登記が必要な場面と、申請が不要で済む具体的なケースの違い
  • 登録免許税の仕組みと、複数の変更をまとめて費用を節約するテクニック
  • 法務局への申請期限(2週間ルール)と、遅れた場合に発生する過料のリスク
  • 自分で手続きを行う場合のメリット・デメリットと、プロに任せるべき判断基準

定款変更の登記が必要なケースと費用の仕組み

会社を設立した時に作成した「定款(ていかん)」。

これは会社の憲法とも言える重要なルールブックですが、一度決めたら絶対に変えられないわけではありません。むしろ、時代の変化や会社の成長に合わせて柔軟に変えていくべきものです。

しかし、定款の中身を書き換えるだけで終わるのか、それとも国(法務局)に「変わりましたよ」と報告(登記)しなければならないのか、その線引きは意外と複雑です。

ここでは、どんな時に法務局への登記が必要になるのか、そしてそれには一体いくらお金がかかるのか、基本の仕組みを整理していきましょう。

定款変更登記が必要な場合と不要なパターンの違い

経営者の方から「定款を少し変えたんだけど、これって登記しなきゃいけないの?」という相談をよく受けます。

結論から言うと、「会社の登記簿(履歴事項全部証明書)に載っている項目を変更するなら、登記申請が必須」となります。

会社の定款には、商号や本店所在地といった基本情報から、株主総会の開催時期、役員の任期まで、さまざまなルールが記載されています。

しかし、その全てが登記簿に公開されているわけではありません。

登記簿に載っている事項(登記事項)を変更した場合のみ、法務局への手続きが必要になるのです。

具体的に見てみましょう。

【登記が必要な主な変更(登記事項)】

  • 商号(会社名)の変更:「株式会社〇〇」から「△△株式会社」へ社名を変える場合。
  • 事業目的の変更:新しいビジネス(例:飲食業からIT事業へ)を始めたり、実態のない古い事業を削除したりする場合。
  • 本店所在地の移転:オフィスの住所を移転する場合(※同じビル内の階数移動など、定款の記載(最小行政区画までなど)によっては定款変更が不要でも登記が必要な場合があります)。
  • 発行可能株式総数の変更:会社が発行できる株式の上限数(枠)を増減する場合。
  • 役員構成・機関設計の変更:取締役会を廃止したり、新たに監査役を設置したりする場合。
  • 公告方法の変更:決算公告の掲載先を「官報」から「自社のホームページ」や「電子公告」に変える場合。

逆に、以下のような変更は定款の書き換えは必要ですが、登記簿には載っていない情報なので、法務局への登記申請は不要です。

この違いを知っておくだけで、無駄な心配が減りますよ。

【登記が不要な定款変更の例】

  • 事業年度(決算期)の変更(例:3月決算から12月決算へ)
  • 定時株主総会の招集時期の変更
  • 役員の員数(人数枠)の変更(※具体的な役員の交代は登記が必要)
  • 株券を発行しない旨の定め(※現在は原則不発行なので、古い定款を整備する場合など)

定款を変更した場合はどうすればいいですか?

では、実際に定款を変更しようと思った時、具体的にどのような手続きを踏めば良いのでしょうか。

社長が「今日から変える!」と宣言しただけでは、法的に有効な変更とは認められません。株式会社の場合、原則として「株主総会の特別決議」という厳格な手続きが必要です。

定款変更は会社にとって重大な決定事項なので、通常の決議(過半数の賛成)よりもハードルが高い「特別決議」が求められます。具体的なステップは以下の通りです。

  1. 株主総会の招集通知:株主に対して「定款変更の件で総会を開きます」と通知を送ります。非公開会社で株主全員の同意がある場合などは、期間短縮や招集手続きの省略も可能です。
  2. 株主総会の開催・特別決議:議決権の過半数を持つ株主が出席し、その出席株主の議決権の3分の2以上の賛成を得て可決します。
  3. 株主総会議事録の作成:いつ、どこで、誰が出席し、どのような変更が承認されたかを記録した「議事録」を作成します。これは登記申請の際に必ず提出する重要書類となります。
  4. 定款の書き換え・保管:決議に基づき、実際の定款を修正します。実務上は、元の定款を直接書き換えるのではなく、変更箇所のみを記載した「定款変更の覚書」を作成して合綴するか、修正を反映させた「新しい定款全文」を作成して「現行定款」として保管する方法が一般的です。

もし登記が必要な項目の変更であれば、この後に法務局への申請手続きが待っています。登記が不要な項目(決算期変更など)であれば、議事録と新しい定款を会社に保管し、税務署や都道府県税事務所などへ「異動届出書」を提出して手続き完了です。

会社の定款を変更するにはいくら登記費用がかかる?

「手続きにお金はかけたくない」というのが本音かと思いますが、登記申請には国に納める税金である「登録免許税」がかかります。

これは自分で行っても、司法書士などの専門家に頼んでも必ず発生する実費(法定費用)です。金額は変更する内容によって一律で決まっています。

変更内容の区分登録免許税額(1申請あたり)
商号変更目的変更公告方法変更など30,000円
本店移転(同じ法務局の管轄内での移転)30,000円
本店移転(他の法務局の管轄への移転)60,000円

(旧本店管轄分3万円+新本店管轄分3万円)

役員変更(資本金1億円以下)10,000円
発行可能株式総数の変更30,000円

ここで一つ、費用を節約するための重要なテクニックをお伝えします。それは「複数の変更を一度に申請する」ことです。

登録免許税には「区分」という考え方があり、同じ区分(「その他の変更登記」の区分など)に含まれる変更であれば、同時に申請することで1件分の税金(3万円)で済む場合があります。

例えば、「商号変更」と「目的変更」を別々の日に申請すると、それぞれ3万円で合計6万円かかります。

しかし、これらを同じ株主総会で決議し、1枚の申請書でまとめて申請すれば、登録免許税は合計で3万円で済みます。

もし複数の変更を検討しているなら、時期を合わせて一括で行うのが断然お得ですよ。

定款変更の登記はいつまでにすればいいですか?

ここが最も注意すべきポイントです。

会社法では、登記事項に変更が生じた日(効力発生日)から「2週間以内」に、本店所在地を管轄する法務局へ登記申請しなければならないと義務付けられています(会社法第915条第1項)。

「2週間なんてあっという間じゃん!」と思われた方、その感覚は正しいです。

株主総会が終わったら、のんびりしている暇はありません。

すぐに議事録を作り、申請書の準備に取り掛かる必要があります。

もしこの期間を過ぎてしまうとどうなるかというと、「登記懈怠(とうきけたい)」といって、代表者個人に対して100万円以下の過料(かりょう)という罰金のような制裁が科される可能性があります。

「1日遅れたら即罰金ですか?」と心配される方もいますが、実務上は数日〜数週間の遅れでいきなり過料の通知が来ることは稀です。

しかし、半年、1年と放置していると、裁判所から数万円〜数十万円の過料決定通知が届くケースが実際に多々あります。

何より、登記簿の情報が古いままになっていると、取引先や銀行からの信用を失う原因にもなりかねません。

コンプライアンス(法令遵守)の観点からも、2週間ルールは厳守しましょう。

管轄の法務局を調べて申請する場所と方法

申請先は、会社の本店所在地を管轄する法務局(登記所)です。全国どこの法務局でもいいわけではありません。

例えば、東京都千代田区に本店がある会社なら「東京法務局(本局)」が管轄ですが、同じ東京都でも八王子市なら「東京法務局 八王子支局」が管轄になります。

管轄外の法務局に書類を持って行っても受け付けてもらえません。

法務局のホームページで「管轄のご案内」を検索すればすぐにわかるので、事前に必ず確認してください。

申請方法は、以下の3つから自分の都合の良い方法を選べます。

  • ① 窓口持参:作成した書類を法務局の商業登記部門の窓口へ直接持って行きます。その場で書類が揃っているかなどの形式的なチェックを受けられる場合があり、安心感があります。
  • ② 郵送:書類を書留郵便などで法務局へ送ります。移動の手間や待ち時間がありません。封筒の表面に「登記申請書在中」と書き、返信用封筒(切手貼付)を同封しておけば、完了後の書類も郵送で返却してもらえます。
  • ③ オンライン申請:法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を使ってネットから申請します。非常に便利ですが、専用ソフトのインストールやマイナンバーカード(電子署名)などの準備が必要で、少しITスキルが求められます。

自分で定款変更の登記を申請する手順と流れ

「費用を抑えたいから、登記手続きも自分でやってみたい」という経営者の方は非常に多いです。

確かに、会社設立の時に比べれば、変更登記の手続きは比較的シンプルで、パターンさえ掴めば難易度はそこまで高くありません。

しかし、役所に提出する書類ですから、一文字の間違いも許されない厳格さがあります。

ここでは、実際に自分で申請を行う場合の手順や、プロに任せるべきかどうかの判断基準、そして絶対に失敗しないための書類作成のポイントを、実務の流れに沿って具体的に解説していきます。

しっかりと準備をすれば、法務局は決して怖い場所ではありませんよ。

定款変更を自分でやるメリットと専門家の活用

まず、自分で手続きを行う最大のメリットは、何と言っても「コストの削減」です。

通常、司法書士などの専門家に変更登記を依頼すると、登録免許税(実費)とは別に、報酬(手数料)がかかります。

一般的な報酬相場は、変更内容にもよりますが、商号変更や目的変更といったシンプルなものであれば3万円〜5万円程度、本店移転や増資などが絡むと5万円〜10万円程度が目安となります。

自分で手続きを行えば、この報酬部分が丸ごと浮くことになります。

浮いた資金を新しい名刺や封筒の作成費、あるいは事業投資に回せるのは、特に中小企業やスタートアップにとっては大きな魅力ですよね。

一方で、デメリットは「手間と時間」、そして「ミスのリスク」です。慣れない法律用語を調べ、書類を作成し、法務局へ足を運ぶ(または郵送する)。

これら一連の作業には、慣れていない人だと数時間から数日はかかります。

もし書類に不備があれば、平日の日中に法務局へ行って訂正しなければなりません。

【自分でやるか、プロに頼むかの判断基準】

  • 自分でやってもOKなケース:「商号変更」「目的変更」「管轄内での本店移転」など、定型的な変更であり、かつ時間に余裕がある場合。
  • 専門家に依頼すべきケース:「種類株式の発行」「組織再編(合併など)」「資本金の額の減少」など手続きが複雑な場合。または、融資や許認可申請が控えており、一刻も早く確実に登記を完了させたい場合。

「自分の時給」と「節約できる金額」を天秤にかけて、どちらが得かを冷静に判断することが大切です。

定款変更登記の必要書類と議事録の準備

自分で申請すると決めたら、まずは書類の準備です。

申請に必要な書類は変更内容によって異なりますが、多くのケースで共通して必要となる「基本セット」があります。

【定款変更登記の主な必要書類】

  1. 変更登記申請書:法務局への表紙となる書類。商号や本店所在地、変更内容などを記載します。
  2. 株主総会議事録:「いつ、どこで、どの株主が集まり、定款変更を決議したか」を証明する最重要書類です。
  3. 株主リスト:議決権数上位10名の株主(または議決権割合2/3に達するまでの株主)の氏名、住所、議決権数などを記載したリストです。近年の改正で必須となりました。
  4. 委任状:司法書士に依頼する場合や、代表取締役以外の社員が代理人として窓口で申請する場合に必要です(代表取締役本人が申請するなら不要)。

この中で最も作成に気を使うのが「株主総会議事録」です。単に「変更しました」と書くだけでは不十分で、会社法で定められた記載要件(開催日時、場所、出席株主数、議長名、決議の結果など)を満たしている必要があります。

また、実印の押印にも注意が必要です。

議長や出席取締役は、原則として会社の実印(代表印)などを押印しますが、取締役会設置会社かどうかによって押印のルールが細かく異なります。

インターネット上には多くの雛形(テンプレート)がありますが、古い法律に基づいたものも混ざっています。

必ず最新の会社法に対応したフォーマットを使用するようにしてください。

登記申請書の書き方と法務局への提出方法

必要書類が揃ったら、いよいよ「登記申請書」の作成です。

これはゼロから自分で作文する必要はありません。法務省のウェブサイトに、変更内容ごとの様式(テンプレート)と記載例がWordやPDFで公開されていますので、これをダウンロードして入力するのが一番の近道です。

(出典:法務省『商業・法人登記の申請書様式』)

申請書を書く際の最大の難関は、「登記すべき事項」の欄です。

ここには、変更後の新しい情報をただ書けばいいわけではありません。「何がどう変わったか」を、登記独特のルールに従って記載する必要があります。

【記載例:商号を変更する場合】

「商号」株式会社〇〇

「原因年月日」令和〇年〇月〇日変更

このように、「変更後の内容」と「いつ変わったか(効力発生日)」をセットで記載します。ここを間違えると、必ず補正(修正)になります。

【収入印紙の貼り方に注意!】

登録免許税分の収入印紙は、申請書の台紙(または貼付欄)に貼りますが、ここには絶対に消印(ハンコ)を押さないでください。

切手を貼る感覚でつい消印をしたくなりますが、登記の印紙は法務局の職員が処理の過程で消し込みを行います。

自分で消印してしまうと、その印紙は無効(使用済み)とみなされ、再度買い直しになるリスクがあります。

3万円や6万円をドブに捨てないよう、貼るだけでOKと覚えておきましょう。

定款変更で登記申請が不要な場合はどうすればいいですか?

記事の前半で、「決算期の変更」や「定時株主総会の開催時期の変更」などは、定款変更は必要だけれども法務局への登記は不要(登記事項ではないため)とお伝えしました。

では、登記がいらない場合は、株主総会で決議して終わりで良いのでしょうか?

答えはNOです。登記は不要でも、「税務署などへの届出」「定款本体の更新」が必要です。

1. 税務署・都道府県・市区町村への届出

特に「決算期(事業年度)」を変えた場合は、税金の申告時期が変わるため、速やかに関係官庁へ知らせる必要があります。

「異動届出書」という書類に、定款変更を決議した株主総会議事録のコピー(または変更後の定款コピー)を添付して提出します。

2. 定款の保管と更新

会社法では、会社に最新の定款を備え置く義務があります。登記簿が変わらないからといって、古い定款のまま放置していると、銀行融資の際や許認可の更新時に「定款と実態が合っていない」と指摘されてしまいます。

株主総会での決議が終わったら、変更前の定款に「変更決議をした議事録」を合綴(ホッチキス留めして割印)して変更の経緯がわかるようにするか、変更内容を反映させた「新しい定款全文」を作成し直し、代表者が奥書証明(「原本に相違ない」旨の署名押印)をして保管しておきましょう。

定款変更登記の手続きを完了させるまとめ

定款変更の登記は、会社の成長や変化に伴って避けては通れない手続きです。

難しそうに見えるかもしれませんが、やるべきことは「決める(株主総会)」「書く(議事録・申請書)」「出す(法務局)」の3ステップに集約されます。

重要なのは、変更の効力が発生してから「2週間以内」という期限を守ることです。期限を過ぎて余計な罰金を払うことほど、無駄なコストはありません。

自分で手続きを行えば、確実に数万円のコストカットになります。しかし、書類作成や法務局への行き来に貴重な時間を取られるのも事実です。

あなたの時間はタダではありません。

「経験として自分でやってみる」のか、それとも「プロに任せて空いた時間で営業に行く」のか。

会社の状況とあなたの忙しさに合わせて、最適な選択をしてくださいね。

もし自分でやる道を選んで、途中で分からなくなったら、管轄の法務局が実施している「登記手続案内(予約制)」を利用するのも賢い方法です。

無料で書き方を教えてくれますよ。

あなたの会社の新しい一歩が、スムーズに進むことを応援しています!

4400円のおしゃれな署名付き電子定款

【全国対応】実績5000件以上・おしゃれな電子署名付きの電子定款ならサクセスファン

株式会社の電子定款と公証人の手配、合同会社の電子署名の実績多数

国家資格者の行政書士が丁寧に業務を行います!

サービス対応地域

全国対応

サクセスファン行政書士事務所

電子定款のご相談

※お気軽にお問い合わせください!

-定款変更