電子定款・定款認証

定款の絶対的記載事項とは?5つ全部言えますか?記載漏れ=即無効の恐怖

「定款なんて、ネットの雛形を埋めれば終わりでしょ?」…その油断が、公証役場で「作り直し」を宣告される原因です。

行政書士 小野馨
こんにちは!

開業20年で電子定款と会社設立の実績5000件、行政書士の小野馨です。

今回は、会社設立の最初にして最大の難関である「絶対的記載事項について詳しくお話しします。

「会社を作ろう!」と意気込んで定款作成に取り掛かったものの、聞き慣れない法律用語に頭を抱えていませんか?

特に「絶対的記載事項」という言葉。

これは単なる重要項目ではありません。

「これがないと、それは定款として認めない」という、会社法上のレッドラインです。

注意ポイント

たった一つ書き忘れただけで、定款全体が無効になり、公証人の認証を受けられません。

つまり、会社設立がストップし、予定していた開業日に間に合わなくなるのです。

この記事では、絶対に外してはいけない「5つの項目」と、将来のコストを抑えるための「プロの書き方」を解説します。

教科書的な知識だけでなく、「現場でどう書くのが正解か」を知ってください。

▼ この記事のポイント ▼

  • ✅ 1つでも欠けると定款が無効になる「5つの鉄則」
  • ✅ 「目的」と「商号」で初心者がハマる落とし穴
  • ✅ 引越しコストを下げる「本店所在地」の書き方
  • ✅ 電子定款なら印紙代4万円が0円になる理由

定款の「絶対的記載事項」とは?欠けると無効になる5つの項目

ポイント

会社法第27条には、定款に必ず記載しなければならない事項が定められています。

これを「絶対的記載事項」と呼びます。

「絶対的」という言葉に、法律の怖さが詰まっています。

相対的記載事項(株券発行の定めなど)や任意的記載事項(事業年度など)は、書き忘れても定款自体は有効です。

しかし、絶対的記載事項は違います。

この5つのうち、たった1つでも欠落していたり、違法な内容が書かれていたりすれば、その定款は「無効」です。

公証役場での認証はおろか、法務局での登記申請も通りません。

では、その5つとは何か?
以下のリストをまずは頭に叩き込んでください。

【会社法第27条:定款の絶対的記載事項】

  1. 目的(どのようなビジネスをするか)
  2. 商号(会社の名前)
  3. 本店の所在地(会社をどこに置くか)
  4. 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額(資本金の額)
  5. 発起人の氏名または名称及び住所(誰がお金を出し、会社を作るか)

これらは、会社の「背骨」にあたる部分です。

一つずつ、プロの実務視点で解説していきましょう。

①目的(事業内容):適法性と明確性が命【定款】

「目的」とは、会社が営む事業の内容のことです。
ここで重要なのは、「適法性(法律に違反していないか)」「明確性(誰が見てもわかるか)」、そして「営利性」です。

例えば、「麻薬の密売」などは公序良俗に反するため当然書けません。
また、「スゴいこと全般」のような曖昧すぎる表現も、登記官に却下されるリスクがあります。

【ここがポイント】
将来やるかもしれない事業も入れておきましょう。
定款の目的に書いていない事業を行うことは、原則としてできません(会社の権利能力の範囲外とみなされるリスクがあります)。
後から目的を追加するには、定款変更の手続き(株主総会の特別決議+登記変更費用3万円)が必要になります。

「いつかカフェもやりたいな…」と思うなら、「飲食店の経営」の一行を今、入れておくのが賢い経営者の判断です。

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②商号(会社名):使える文字と禁止ルール【5つ】

商号は会社の顔です。
基本的には自由に決められますが、絶対的なルール(使用文字の制限など)があります。

【使用できる文字】
漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字(大文字・小文字)、アラビア数字(1, 2, 3…)。
そして、一部の符号(「&」「’」「,」「-」「.」「・」)です。
※ただし、符号は名称の先頭や末尾には使えません(ピリオドのみ末尾OKの場合あり)。

【絶対に守るべきルール】
必ず「株式会社」という文字を入れること。
「株式会社〇〇」でも「〇〇株式会社」でも構いませんが、英語で「Co., Ltd.」と登記することはできません(定款の商号としては日本語表記が必須です)。

また、同一住所に同一の商号がある場合は登記できません。
バーチャルオフィスなどを利用する場合は、全く同じ名前の会社が既に登記されていないか、事前の調査(類似商号調査)が不可欠です。

③本店の所在地:地番まで書くべきか?【プロの知恵】

ここが、素人とプロの差が一番出るポイントです。

絶対的記載事項としての「本店の所在地」は、最小行政区画(市区町村)まで記載すれば足ります。
つまり、具体的な住所(〇丁目〇番〇号)まで定款に書く必要はないのです。

【記載例の比較】
Aパターン(具体的):「当会社は、本店を東京都港区六本木一丁目1番1号に置く。」
Bパターン(最小行政区画):「当会社は、本店を東京都港区に置く。」

どちらも法的に有効ですが、私は断然「Bパターン」を推奨します。

【なぜBパターンが良いのか?】
もし創業後に、同じ港区内でオフィスを引っ越したとしましょう。
Aパターンの場合、定款の記載(六本木…)と現状がズレるため、「定款変更(株主総会の特別決議)」が必要になります。
一方、Bパターンなら「東京都港区」であることに変わりはないので、定款変更の手続きは不要です(取締役会の決議などでOK)。

もちろん、どちらの場合も法務局での「本店移転登記」は必要ですが、定款変更という重い手続き(と議事録作成の手間)を省略できるのは、忙しい起業家にとって大きなメリットです。

残りの2つと、記載漏れを防ぐための「賢い作成手順」

ここまで、会社の「目的」「商号」「本店」という、外向きの顔となる3つの要素を見てきました。
残る2つは、会社の「所有と資本」に関わる、極めて重要な内部的要素です。

これらを正確に記載することで、初めて定款は法的な効力を持ちます。
ラストスパート、気を抜かずに確認していきましょう。

④出資財産の価額・⑤発起人の氏名と住所

4. 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
これは、いわゆる「資本金の額」に関連する項目です。
会社法上は「当会社設立に際して出資される財産の価額は、金〇万円とする」と確定額を書くのが一般的です。

「最低額」と書くことも法律上は可能ですが(例:「金100万円以上とする」)、実務ではあまり推奨されません。
なぜなら、最終的にいくらで確定したのかが定款から読み取れず、設立手続きが複雑になるケースがあるからです。
ここはシンプルに、発起人全員が出し合う合計金額(資本金)をズバリ記載するのが、スムーズな設立への近道です。

5. 発起人の氏名または名称及び住所
発起人とは、会社の出資者であり、設立の企画者です。
ここで最も恐ろしいのは、「一字一句のミスも許されない」という点です。

定款に記載する住所と氏名は、発起人の「印鑑証明書」と完全に一致していなければなりません。
例えば、「1丁目1番1号」を「1-1-1」と省略して書いたり、斎藤さんの「斎」を「斉」と間違えたりした時点で、公証役場でストップがかかります。

「たかが漢字の間違い」ではありません。
「別人が会社を作ろうとしている」と法的に判断されてしまうのです。
印鑑証明書を手元に置き、指差し確認をしながら転記してください。

「相対的記載事項」との違いは?もし書き忘れたら【無効】

さて、絶対的記載事項の5つが出揃いました。
これらは、一つでも欠ければ定款全体が紙くず同然(無効)になります。

一方で、よく混同されるのが「相対的記載事項」です。
これらは、「書かなくても定款自体は有効だが、書いておかないとそのルールの効力が発生しない事項」を指します。

【代表的な相対的記載事項】
● 株式の譲渡制限(これがないと、見ず知らずの他人に自社株が渡るリスクがあります)
● 取締役会の設置
● 監査役の設置
● 現物出資(お金以外のパソコンや車などを資本金にする場合)

これらは書き忘れても会社は作れますが、後から「やっぱり譲渡制限をつけたい」となると、またしても定款変更の手続きと費用がかかります。
つまり、「絶対的記載事項は『0か100か(無効か有効か)』」、「相対的記載事項は『あるかないか(ルールが存在するかしないか)』」という違いがあるのです。

電子定款なら印紙代4万円が0円!プロに頼む損益分岐点

最後に、コストの話をしましょう。
苦労して作成した定款ですが、紙で作成して公証役場に持っていくと、収入印紙代として「4万円」がかかります。
これは税金なので、誰がやっても逃れられません。

しかし、PDFファイルで作成し、電子署名を付与する「電子定款」であれば、文書扱いではないため、この4万円が全額免除(0円)になります。

「じゃあ自分で電子定款をやろう!」と思われるかもしれません。
しかし、ここで待ってください。
自分で電子定款を作成・送信するには、以下の環境が必要です。

● マイナンバーカードとICカードリーダー
● Adobe AcrobatなどのPDF作成ソフト(署名機能付き)
● 法務省の登記・供託オンライン申請システムのセットアップ

これらの機材やソフトを揃え、慣れないシステムと格闘する時間は、時給換算でいくらの損失になるでしょうか?
我々のような電子定款対応の行政書士に依頼すれば、手数料はかかりますが、印紙代4万円が浮く分で、実質的な負担は数千円~1万円程度に収まることも珍しくありません。

「4万円をドブに捨てて、自分で汗をかく」か。
「4万円をプロへの報酬に充てて、確実な定款と時間を手に入れる」か。

経営者としての最初の意思決定は、ここにあります。
絶対的記載事項という基本を押さえたあなたなら、どちらが「投資」として正しいか、もうお分かりのはずです。

あなたの会社設立が、リスクなく、最高のスタートを切れることを心から応援しています。

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