電子定款・定款認証

電子署名のやり方完全ガイド!PDFやスマホ対応のおすすめ手順

電子署名のやり方

行政書士 小野馨
こんにちは

1番わかる電子定款の教科書 運営者で行政書士の小野馨です。

今回は「電子署名のやり方」についてお話します。

最近はリモートワークも定着してきて、契約書や請求書といった書類をデジタル化したいという相談を本当によく受けます。

でも、いざ「電子署名を導入しよう!」と思い立っても、PDFやWordといったファイル形式ごとの具体的なやり方や、無料で使えるツールがどこまで実用的なのかなど、分からないことだらけで戸惑ってしまいますよね。

個人事業主の方なら「コストをかけずにスマホだけで完結できるのか」、企業の担当者様なら「法的な効力やセキュリティは万全なのか」といった不安も尽きないかなと思います。

特に最近話題の、メール認証だけで済むような簡単な方法が本当に法的に有効なのか、気になりますよね。

  • 法的効力を持つ電子署名の仕組みと種類の違い
  • PDFやWordなどツール別の具体的な署名手順
  • 無料ツールやスマホを活用したコストを抑える方法
  • マイナンバーカードを使った厳格な本人確認の手法

初心者でも分かる電子署名のやり方と種類

「電子署名」と一口に言っても、実はいくつかの種類や方法があるんです。

いきなりツールを選ぶ前に、まずは「何のために署名するのか」という目的と、それぞれの方法が持つ法的な意味合いをざっくり理解しておくとスムーズですよ。

ここでは基本的な仕組みから、身近なツールを使ったやり方まで、専門的な視点も交えながら分かりやすく解説しますね。

法律上の法的効力と仕組みを解説

まず一番大切な「法的な効力」についてお話ししますね。

ここ、契約実務においてすごく重要です。

従来の紙の契約書にハンコを押すのと同様に、デジタルの世界でも「確かに本人が同意しましたよ」という証拠が必要です。

これを実現するのが電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)という法律に基づいた電子署名なんです。

「ただの画像データと何が違うの?」と思われるかもしれませんが、法的な効力を持つ電子署名には、バックグラウンドで高度な暗号技術が使われています。

具体的には、以下の2つの要素がセットになっていることが一般的です。

電子署名の必須セット

  • 電子証明書(本人性の担保):「誰が」作成したかを証明するデジタルデータです。現実世界でいうところの「印鑑証明書」と「実印」がセットになったような役割を果たします。公開鍵暗号方式という技術を使って、本人しか持ち得ない「秘密鍵」で署名を行うため、他人によるなりすましを防ぐことができます。
  • タイムスタンプ(非改ざん性の証明):「いつ」その文書が作成され、それ以降「変更されていないこと」を証明する技術です。電子データはコピーや書き換えが容易ですが、タイムスタンプが付与されることで、「この時刻に確かに原文が存在し、その後1ビットたりとも改変されていない」という完全性を担保します。

電子署名法第3条では、「本人による電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する」という規定があります。

つまり、しっかりとした電子署名があれば、万が一裁判になったとしても「この契約書は本物ですよ」と法的に強く主張できるわけです。

注意ポイント

一方で、単にタブレットの画面にタッチペンで名前を書いただけのものや、印影画像をWordに貼り付けただけのものは、厳密には「電子印鑑」や「サイン画像」扱いになります。

これらは見た目こそ署名っぽいですが、誰でも簡単に複製できてしまうため、法的な証拠力としては非常に弱くなってしまいます。

重要な契約業務で使うなら、必ず裏側で暗号化技術やログ保存が行われているサービスを選ぶのが安心ですよ。

さらに詳しい法律の定義や要件については、法務省が公開している公式情報も参考にしてみてください。

(出典:法務省『電子署名法に基づく特定認証業務の認定制度について』

PDFファイルに直接署名する手順

ビジネスシーンで文書のやり取りをする際、一番よく使うのがPDFファイルですよね。

実は、皆さんのPCに入っているであろう「Adobe Acrobat Reader」などのPDF閲覧ソフトを使えば、意外と簡単に署名ができちゃいます。

ここでは、無料版のReaderでも可能な「入力と署名」機能を中心に、具体的な手順を深掘りします。

PDFへの署名は、大きく分けて「簡易的な署名(スタンプ感覚)」と「電子証明書を用いたデジタル署名」の2通りありますが、日常的なやり取りで頻繁に使われるのは前者です。

Adobe Acrobat Readerでの署名手順(簡易版)

  1. ファイルを開く:署名したいPDFファイルをAcrobat Readerで開きます。
  2. ツールを選択:画面右側のパネル、または「ツール」タブから「入力と署名」をクリックします。「自分」が署名するのか「他者」に依頼するのか聞かれた場合は、「自分が署名」を選択してください。
  3. 署名の作成:ツールバーの「署名」アイコン(ペンのマーク)をクリックし、「署名を追加」を選びます。ここで3つの入力方法が選べます。
    • タイプ書き:キーボードで名前を入力し、書体スタイルを選ぶ方法。一番簡単ですが、見た目は既存のフォントになります。
    • 手書き:マウスやトラックパッド、タッチパネルを使って手書きする方法。自分の筆跡を残せるので、サインらしさが出ます。
    • 画像:あらかじめ紙に書いたサインをスマホで撮影し、その画像を取り込む方法。最もアナログなサインに近い見た目になります。
  4. 配置と調整:作成した署名データがカーソルに追随するので、文書内の署名欄など、配置したい場所でクリックします。配置後はサイズを拡大・縮小したり、位置を微調整したりできます。
  5. 保存:最後にファイルを保存します。一度保存すると、署名部分は編集できなくなる(ロックされる)場合があるので、必ず原本は別に残しておくことをおすすめします。

この方法は手軽で、請求書や見積書、あるいは社内の休暇届などには非常に便利です。

しかし、あくまで「見た目上の署名」を追加する機能がメインであり、電子署名法で求められる厳格な「電子証明書」が埋め込まれているわけではありません。

もし、契約書などでより高い証拠力が必要な場合は、「ツール」>「証明書」>「デジタル署名」という機能を使います。

こちらでは、事前に作成した「デジタルID(電子証明書)」を使って暗号化処理を行うため、文書の改ざん検知が可能になります。

ただし、相手方もその証明書を検証できる環境が必要になるため、少しハードルが上がります。

注意ポイント

注意点:

無料版のAcrobat Readerで追加した簡易的な署名は、見た目は綺麗ですが、厳密な改ざん検知機能がついていない場合があります。

重要な契約書(金銭の貸借や不動産関連など)の場合は、後述するクラウド型の電子契約サービスの利用を強くおすすめします。

無料ツールでコストを抑える方法

「電子署名を導入したいけど、毎月の固定費がかかるのはちょっと…」「たまにしか使わないから、できればお金をかけたくない」というのが本音ですよね。

特に開業したばかりの個人事業主の方や、フリーランスの方にとっては切実な問題です。

実は、工夫次第でコストをかけずに、かつ安全に電子署名を行う方法はいくつかあります。

まず一つ目は、先ほど詳細に解説したAdobe Acrobat Readerの無料機能を使う方法です。

見積書、発注書、請求書、納品書といった、いわゆる「係争リスクが比較的低い」日常的な取引文書であれば、この方法でPDF化してメール添付する形で十分に通用するケースが多いです。

実際、多くの中小企業でこの運用が行われています。

二つ目は、クラウド型電子契約サービスの「フリープラン(無料プラン)」を賢く活用する方法です。

電子契約サービスは基本的に有料(月額1万円〜など)が多いですが、ユーザーの裾野を広げるために、機能を制限した「ずっと0円」のプランを提供している事業者がいくつかあります。

例えば、国内シェアNo.1のCloudSign(クラウドサイン)や、会計ソフトでおなじみのfreeeサインGMOサインなどです。これらのフリープランには、一般的に以下のような特徴があります。

サービス種別コスト主な制限内容(例)おすすめの用途
Adobe Reader(無料版)0円改ざん検知なし、ログ管理なし請求書、見積書、社内稟議書
クラウド契約サービス(フリープラン)0円月間送信数(1〜5件程度)、タイムスタンプ機能の一部制限など個人事業主間の契約、秘密保持契約書(NDA)、頻度の少ない取引

フリープランを使う最大のメリットは、無料でありながら「立会人型」の電子署名として、事業者によるログ記録とタイムスタンプが付与される点です。

つまり、Adobe Readerで単に画像を貼り付けるよりも、法的な証拠力が格段に高いのです。

ただし、「月間の送信件数は1件〜5件まで」といった厳しい制限があるのが一般的です。これを超えると有料プランへのアップグレードが必要になります。

また、過去の契約書の検索機能が制限されていたり、サポートが受けられなかったりと、使い勝手の面でも差があります。

私の考えとしては、「まずは無料でアカウントを作って試してみて、取引先が増えて件数制限に引っかかるようになったら有料プランへ移行する」というステップアップが最も賢い導入方法かなと思います。

これなら初期投資ゼロで始められますからね。

詳しい機能比較などは、各サービスの公式サイトを確認してみてくださいね。

(出典:Adobe Acrobat Reader ヘルプ『PDF への署名』

スマホを使って出先で対応するコツ

「営業で外回りをしている最中に、急ぎで契約書にサインしなきゃいけなくなった!」「PCを持ってきていない旅行中に緊急の連絡が…」なんてシチュエーション、意外とありますよね。

そんな時、PCがなくてもスマホさえあれば電子署名は完結できます。

最近の電子契約サービスの多くは「スマホファースト」で設計されており、専用アプリ、もしくはスマホのブラウザ(SafariやChromeなど)からストレスなく操作できるようになっています。

むしろ、署名(サイン)という行為に関しては、マウスを使ってPCで行うよりも、スマホやタブレットのタッチパネルを使った方が断然やりやすいことが多いんです。

指先やスタイラスペンを使って、紙に書くのと同じ感覚で直感的にサインができるからです。

スマホで電子署名を行う具体的な流れ

多くのクラウド型サービス(立会人型)では、以下のようなフローになります。

  1. メールを受信:相手から「署名依頼」のメールが届きます。スマホのメールアプリでこれを開きます。
  2. リンクをタップ:メール内の「書類を確認する」といったボタンやURLをタップします。これでブラウザが立ち上がり、契約書のプレビュー画面が表示されます。
  3. 内容の確認:ここが一番重要です!スマホの画面は小さいので、ピンチアウト(指で広げる操作)をして文字を拡大し、契約書の条文、金額、日付などを隅々までチェックしてください。「画面が小さくて読み飛ばしてしまった」は通じません。
  4. 署名・同意:内容に問題がなければ、署名欄をタップします。手書き入力画面が出てくるので、指でサインを書くか、キーボードで名前を入力します。
  5. 完了:「同意して完了」ボタンを押せば手続き終了です。完了メールが届くので確認しましょう。

アプリ版を提供しているサービス(DocuSignなど)であれば、プッシュ通知で依頼に気づけたり、過去の署名済み文書をオフラインで閲覧できたりと、さらに利便性が高まります。

セキュリティの豆知識:

出先のカフェなどの「公衆フリーWi-Fi」を使って重要な契約書にアクセスするのは、セキュリティ上好ましくありません。情報を盗み見られるリスクがあるため、スマホで署名を行う際は、必ず携帯キャリアの通信(4G/5G)を使うか、VPN接続を利用するようにしましょう。

メール認証で完結する立会人型とは

ここ数年、日本のビジネスシーンで爆発的に普及したのが、この「立会人型(メール認証型)」と呼ばれる署名方法です。

現在、CMなどで見かける電子契約サービスのほとんどがこのタイプを採用しています。

従来、電子署名といえば「当事者型」が主流でした。

これは、署名する本人(あなた)が事前に認証局から「電子証明書」を発行してもらい、それをICカードなどに格納して、専用の読み取りソフトを使って署名するというものでした。

これ、聞くだけで面倒くさいですよね? 自分だけならまだしも、契約相手にも同じ準備を強いることになるため、「導入ハードルが高すぎて普及しない」という大きな課題がありました。

そこで救世主として登場したのが「立会人型」です。

仕組みはこうです。契約当事者(A社とB社)の代わりに、信頼できる第三者であるサービス提供事業者(クラウドサインやDocuSignなど)が立会人となり、「間違いなくこのメールアドレスに紐づく人物がアクセスし、認証を経て合意ボタンを押しましたよ」というプロセス全体を記録・証明します。

そして、サービス事業者の名義で電子署名とタイムスタンプを付与するのです。

立会人型の圧倒的なメリット

  • 相手の負担がゼロ:これが最大の特徴です。契約相手はアカウント登録をする必要もなければ、有料プランに入る必要もありません。届いたメールを開くだけで契約が完了します。
  • スピード感:最短数分で契約締結が可能です。郵送にかかっていた数日がゼロになります。
  • 導入コストの安さ:高価なICカードリーダーや証明書発行手数料が不要です。

「でも、メール認証だけで本当に法的に大丈夫なの?」と不安になる方もいるかもしれません。

この点については、日本政府(法務省・経済産業省・総務省)から公式に「利用者の指示に基づきサービス提供事業者が自身の署名鍵を利用して暗号化等を行う方式(立会人型)も、電子署名法上の電子署名に該当し得る」という見解(Q&A)が出されています。

つまり、適切な本人確認(メール認証や2段階認証など)が行われていれば、法的な効力を持つと認められているのです。

ただし、実印が必要なレベルの極めて重要な契約や、なりすましリスクが非常に高い取引の場合は、よりセキュリティ強度の高い「2要素認証(SMS認証など)」を併用するか、後述するマイナンバーカードを用いた署名を検討するなど、使い分けが必要です。

政府による詳しい見解については、こちらの資料も非常に参考になります。

(出典:経済産業省『電子署名法第3条に関するQ&A』

ツール別に見る電子署名の具体的なやり方

ここからは、普段の業務で使い慣れているMicrosoft Officeソフトや、公的な手続きで必須となるマイナンバーカードなど、具体的なツールごとの操作イメージを、さらに一歩踏み込んで解説していきます。「これなら今の環境ですぐできそう!」という方法がきっと見つかるはずです。

Excelのブック保護機能で署名する

普段、見積書や請求書の作成、社内の数値管理などでExcelを使っている方は多いと思います。

実はExcelにも標準機能として「電子署名」を追加する機能が備わっているのをご存知でしょうか。

これは主に、外部との契約締結というよりは、「社内文書の改ざん防止」「承認プロセスの完了証明(責任者のハンコ代わり)」として使われることが多い機能です。

Excelでのデジタル署名手順

(※Excelのバージョンによって多少表記が異なりますが、基本的な流れは同じです)

  1. 準備:署名したいExcelブックを開き、内容に間違いがないか最終確認します。一度署名すると、内容を変更した瞬間に署名が無効になるためです。
  2. メニューを開く:画面左上の「ファイル」タブをクリックし、「情報」メニューを開きます。
  3. 保護機能を選択:「ブックの保護」というアイコンをクリックし、ドロップダウンメニューから「デジタル署名を追加」を選択します。
  4. 署名内容の記述:ダイアログボックスが表示されます。「このドキュメントに署名する目的」という欄があるので、例えば「202X年度予算案承認済み」や「〇〇課長確認済み」といったコメントを入力します。
  5. 署名の実行:「署名」ボタンをクリックします。PCに有効なデジタルID(証明書)がインストールされていない場合は、作成を促すメッセージが出ることがあります。社内利用であれば、Windowsの機能を使って自己署名証明書を作成することも可能です。

署名が完了すると、Excelファイルを開いた際に、画面上部に黄色い帯で「署名済み」というマークが表示されます。

この状態であれば、「このファイルは承認者が確認した時点から変更されていない」ということが保証されます。

もし、悪意のある第三者(あるいはミスをした同僚)が数値を書き換えて保存してしまうと、次にファイルを開いた時に赤い帯で「署名が無効です」という警告がデカデカと表示されます。

これにより、「あ、このファイルは誰かが勝手に触ったな」とすぐに気づけるわけです。

ただし、この機能で作成した署名は、あくまで「Officeファイルとしての整合性」を保つためのものです。

Adobeの署名やクラウドサインのような第三者機関によるタイムスタンプが付くわけではないので、社外との重要な契約に使うには証拠力が不十分な場合があります。

あくまで社内のワークフローや、仕様書の確定版として保存する場合に活用するのがベストですね。

(出典:Microsoft サポート『Word または Excel でデジタル署名を追加する』

Wordでデジタル署名を追加する方法

Wordの場合も、基本的な仕組みや手順はExcelとほぼ同じです。契約書のドラフト(草案)を作成し、内容を確定させる際や、社内規定・議事録の承認などに役立ちます。

Wordならではの特徴として、文書内に「署名欄(署名ライン)」を視覚的に挿入できる機能があります。

紙の契約書でよく見る、名前を書くための下線と「×」印がついた、あれです。

Wordでの署名手順と署名欄の活用

  1. 署名欄の挿入:「挿入」タブの右側にあるテキストグループから「署名欄」をクリックします。「Microsoft Office 署名欄」を選択します。
  2. 署名者の設定:設定ダイアログが出るので、署名してほしい人の名前(例:山田 太郎)、役職(例:代表取締役)、メールアドレスなどを入力して「OK」を押します。すると、文書上に署名用の枠(オブジェクト)が配置されます。
  3. 署名の実行:自分自身が署名する場合、その署名欄をダブルクリックします。すると署名入力画面になるので、名前を入力するか、手書き画像の印影を選択して「署名」ボタンを押します。

この機能には2種類の署名タイプがあります。

  • 可視署名:上記のように、文書内に署名者の名前や印影が表示されるタイプ。印刷した時にも署名済みであることが分かりやすいです。
  • 不可視署名:文書の内容には表示されませんが、ファイルのメタデータ(プロパティ)として署名情報を埋め込むタイプ。見た目を変えずに「改ざんされていないこと」だけを保証したい場合に使います(Excelの手順と同じく「ファイル」>「情報」から行います)。

Wordの署名機能を使って外部と契約を結ぶことも技術的には可能ですが、相手も同じWord環境を持ち、かつ自身のデジタルIDを用意していなければ署名できません。「Wordファイルを送るので署名して返送してください」というのは、相手のITリテラシーに依存するため、少しハードルが高いかもしれません。やはり、Wordで作った文書は一度PDF化して、Acrobatやクラウドサービスで署名するフローが一般的かつスムーズです。

マイナンバーカードで本人確認を強化

ここまでは民間企業間の取引を中心にお話ししてきましたが、行政手続きや不動産登記など、極めて高い信頼性が求められるシーンでは、マイナンバーカード(公的個人認証サービス)を使った電子署名が必要になります。

これは、ネット上の「実印」と同じ、あるいはそれ以上の最強クラスの法的効力を持ちます。

公的個人認証サービス(JPKI)とは?

マイナンバーカードのICチップの中には、実は2種類の「電子証明書」が格納されています。

  • 利用者証明用電子証明書:「私が利用者本人ですよ」と証明するもの(コンビニ交付やマイナポータルへのログインに使用)。
  • 署名用電子証明書:「この文書は私が作成・送信しましたよ」と証明するもの(e-Taxなどの電子申請や民間契約に使用)。

今回使うのは、後者の「署名用電子証明書」です。これには、氏名・住所・生年月日・性別という基本4情報が暗号化されて記録されており、改ざんが事実上不可能です。

必要な準備と手順

マイナンバーカードで署名を行うには、以下のアイテムが必要です。

  • マイナンバーカード(署名用電子証明書のパスワード:英数字6〜16桁を設定済みのもの)
  • PCで利用する場合:ICカードリーダー(数千円程度で市販されています)
  • スマホで利用する場合:NFC読み取り対応のスマートフォン

具体的な手順としては、e-Tax(国税電子申告・納税システム)などのポータルサイトや、マイナンバーカード対応の電子契約ソフト(クラウドサインなども一部対応しています)上で操作します。

  1. 申請データや契約書データを作成します。
  2. 署名画面で「マイナンバーカードで署名」を選択します。
  3. PCならカードリーダーにカードをセット、スマホなら端末の背面にカードをぴったり当てます。
  4. 設定した長い方の暗証番号(英数字6〜16桁)を入力します。ここ、3回連続で間違えるとロックされて役所に行かないといけなくなるので、超・慎重に入力してくださいね!
  5. 読み取りが成功すると、署名データが付与されて完了です。

ポイント

以前は「カードリーダーがないと使えない」というのがネックでしたが、最近はスマホのアプリがカードリーダー代わりになる(スマホで読み取ってPCに転送する)機能も増えてきました。

わざわざ専用機器を買わなくても対応できるケースが増えているので、お手持ちのスマホが対応しているかチェックしてみてください。

(出典:地方公共団体情報システム機構(J-LIS)『公的個人認証サービス ポータルサイト』

個人事業主やフリーランスの活用法

私のような個人事業主やフリーランスにとって、電子署名の導入は「大手企業がやることでしょ?」と思われがちですが、実は個人こそメリットがめちゃくちゃ大きいんです。

行政書士の立場としても、強くおすすめしたい理由があります。

1. 印紙税がゼロになる!

これが一番分かりやすいメリットです。

紙の契約書の場合、契約金額に応じて収入印紙を貼る必要がありますよね(例:請負契約なら200円〜数万円)。

しかし、電子データは「文書」ではないという解釈から、印紙税が非課税になります。年間に何通も契約を交わす方なら、これだけでツール代の元が取れてしまうこともあります。

2. コストと手間の削減

紙の場合、印刷して、製本テープで袋とじして、署名・捺印して、封筒に入れて、切手を貼って、ポストに投函して…。

この作業、地味に時間がかかりますよね。電子署名なら、PDFをアップロードしてメールを送るだけ。

インク代も紙代も郵送費も全部ゼロです。

3. 契約締結スピードの向上

郵送だと往復で最低でも数日、相手が忙しいと1週間以上かかることもザラです。

電子署名なら、相手がその気になれば送信から1分後には締結完了です。

フリーランスにとって、契約締結の遅れは着手金の入金遅れや、プロジェクト開始の遅延(=機会損失)に直結します。このスピード感はビジネスを加速させます。

個人事業主の上手な使い分け術

おすすめの活用法は、「相手に合わせて柔軟に使い分ける」ことです。

  • 相手が大手企業の場合:向こうから「クラウドサインで送りますね」と言われることが多いです。その場合は、届いたメールに従って同意するだけでOK。こちらがお金を払う必要はありません。
  • 自分から発注する場合(外注など):フリープランのあるクラウドサービスを使って署名依頼を送りましょう。「スマホで完了できるので楽ですよ」と一言添えると、相手にも喜ばれます。
  • 簡易的な覚書や見積書:PDFにAcrobat Readerで署名してメール添付で送る方法で十分です。ただし、契約成立を明確にするために、メール本文で「本メールへの返信をもって合意とします」といったやり取りを残しておくと安心です。

電子帳簿保存法の改正により、メールやWebでやり取りした電子取引データは、原則として紙に印刷して保存するのではなく、電子データのまま保存することが義務付けられました(猶予期間等の特例あり)。

電子署名を導入することは、こうした法対応をスムーズにする第一歩でもあります。

(出典:国税庁『電子帳簿保存法関係』

効率的な電子署名のやり方まとめ

ここまで長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

電子署名のやり方には色々な選択肢があることが、具体的にお分かりいただけたのではないでしょうか。

最後に、迷った時の「選び方の基準」をざっくりとまとめておきますね。

状況別のおすすめ手法

  • 一般的な取引・契約(B2B、B2C):「立会人型のクラウドサービス」一択です。一番楽で、管理もしやすく、法的効力も十分です。まずは無料プランから試しましょう。
  • 社内文書の承認・保存:「ExcelやWord、Acrobatの標準機能」を使いましょう。コストをかけずに改ざん防止ができます。
  • 厳格な行政手続き・実印相当の契約:「マイナンバーカード(公的個人認証)」を使いましょう。面倒ですが、信頼性は最強です。

「難しそうだから」と敬遠して紙とハンコを使い続けるのは、実は見えないコストを払い続けているのと同じです。

まずは無料のPDF署名や、クラウドサービスのフリープランを実際に触ってみることから始めてみてはいかがでしょうか。

一度その便利さを体験すると、「なんで今まであんなに時間をかけて紙でやってたんだろう…」と、きっと驚くはずですよ。

この記事が、あなたの事務作業を少しでも楽にするきっかけになれば嬉しいです。

※本記事は執筆時点(2025年)の一般的な情報提供を目的としており、具体的なツールの仕様変更や法律の改正等により内容が異なる場合があります。正確な情報は各公式サイトをご確認いただき、契約に関する最終的な判断は弁護士等の専門家にご相談ください。

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