こんにちは。行政書士の小野馨です。
「よし、独立して自分の城を持つぞ!会社を作って建設業許可もバッチリ取るぞ!」
そんな熱い想いを胸に、会社設立の準備をスタートさせたあなた。本当に素晴らしい決断だと思います。でも、ちょっと待ってください。
その勢いのまま、ネットで拾った雛形を適当に使って定款を作ったりしていませんか?実は、いざ申請書類を行政庁に提出した段階になって、「あれ?定款の目的がこれじゃ許可出せませんよ」「資本金の証明、これじゃダメですね」なんて、あっさり門前払いされるケース、現場では本当に多いんです。
特に初めての会社設立だと、定款の作成日や公証人の認証日といった日付のパズルや、原本の保管義務など、細かいルールに翻弄されがちですよね。それに加えて建設業許可は、単に会社を作るだけじゃなく、建設業法という厳しい法律が定める「人・物・金」の要件を、設立の時点で全てクリアしておかなければならないんです。
「えっ、会社作ってから考えればいいんじゃないの?」
ここ、気になりますよね。でも、違うんです。この失敗を防ぐためには、会社設立のまさにその段階で、建設業許可の審査基準を100%意識した定款を作り上げることが最大の鍵なんです。
この記事では、私がこれまで5000件以上の行政書士業務を通じて見てきた、多くの建設業者様の設立サポート経験から、特に重要な定款の「事業目的の書き方」や、「資本金の設定戦略」について、絶対に知っておくべき会社設立の落とし穴を、これでもかというくらい徹底的に解説していきます。
この記事でわかること
- 建設業許可申請で門前払いされない「鉄壁の定款」作成術
- あとで泣かない!定款変更にかかる登録免許税3万円を回避する裏技
- 資本金500万円の証明を最短・最速で完了させるための設立戦略
- 建設業許可では絶対NG!バーチャルオフィスの致命的な落とし穴
建設業許可定款と会社設立で失敗しない戦略
まずは、建設業許可を取得する上で「命」とも言える、定款の事業目的の記載方法や、資金繰りに直結する資本金の設定戦略について、じっくり掘り下げていきましょう。
設立時の「ほんのちょっとしたミス」や「知らなかった」が、後になって数十万円単位の無駄なコストや、数ヶ月の事業停止につながることもあります。脅すわけじゃありませんが、ここは本当に慎重に進めていきましょうね。
門前払いを防ぐ定款の事業目的の書き方
会社設立において「定款」は、いわば国の憲法と同じで、その会社のルールブックです。
古物商許可なら警察署、建設業許可なら行政庁(都道府県知事や国土交通大臣)が管轄になりますが、どの役所もこの「会社の憲法」である定款の中身を、虫眼鏡で見るように細か~くチェックします。
特に建設業許可の場合、ここが最大の落とし穴。「建設業」とだけ書いておけばOKだと思っていませんか?
残念ながら、それだけでは行政庁によっては「具体性がない」「何をする会社かわからない」と判断され、窓口で受理さえしてもらえず、門前払いとなる可能性が非常に高いんですよ。
行政庁が定款をここまで厳しく見る理由
役所が意地悪をしているわけではありません。彼らは、申請者が「本当にその業種を営む意思があるのか」、そして「会社法上の目的(登記された内容)と、建設業法上の許可を受けようとする業種が一貫しているか」を審査しなければならないんです。
もしここの具体性が欠けていると、「本当に工事やる気あるの?」と疑われ、審査が長期化したり、「念書」などの追加書類の提出を求められることになります。
例えば、審査が特に厳しいことで有名な東京都などの自治体では、単に「建設業」や「土木建築工事」といったフワッとした抽象的な表現だけでは不十分だと判断されることが多いです。
その結果、「今回の申請業種に合わせて、速やかに目的変更の登記を行う旨の念書を出しなさい」という行政指導を受けるケースが頻発しています。
この「念書」って、要するに「許可が下りたら、すぐにお金を払って定款を直しに行きます」という約束状なんですよね。つまり、許可を取るために、わざわざ後でお金がかかることを約束させられるわけです。これ、すごくもったいないと思いませんか?
ですから、設立の段階で「土木工事業」「内装仕上工事業」のように、許可を受けたい業種をズバリ具体的に書いておくことが、スムーズな審査への一番の近道なんです。
(出典:国土交通省『建設業許可制度の概要』)
登録免許税3万円発生を防ぐ定款変更の対策
「失敗した!定款の目的が足りなかった!」
設立後に役所からこう指摘された場合、どうなると思いますか?ただ書き直せばいい、というわけにはいきません。
会社法の手続きに則って「株主総会」を開き、定款の目的変更を決議し、さらに法務局で「変更登記」を行わなければならないんです。これが、まさにお金と時間が湯水のように消えていく最たる例です。
定款変更にかかるコストと期間の目安(痛い出費です…)
- 登録免許税:最低30,000円(法務局に支払う税金です。これは必ずかかります)
- 司法書士報酬:20,000円〜40,000円程度(自分でやればタダですが、書類作成は超複雑です)
- 行政書士報酬:20,000円〜(許可後の変更届出費用もかかります)
合計すると、最低でも5万円以上、場合によっては10万円近くが飛んでいきます。時間にしても、登記完了まで2週間程度待たされることも。その間、許可申請はストップしたままです。
設立時にしっかり準備しておけば、このコストは丸々0円で済むんです。浮いたお金で新しい工具が買えますよね。
定款作成は、単なる設立時の手続きではありません。電子定款を使えば印紙代4万円が節約できるというのは有名な話ですが、それ以上に、こうした「将来発生するかもしれない無駄な出費」を未然に防ぐための、最強の「保険」だと考えてください。
私がいつも口を酸っぱくして「目的はしっかり書きましょう」と言うのは、あなたの財布を守るためでもあるんですよ。
東京都や大阪府に存在する審査の地域差と対策
建設業許可の少しややこしいところなんですが、許可には「国土交通大臣許可」と「都道府県知事許可」の2種類があります。
そして、多くの人が最初に取得するであろう「知事許可」の場合、実は自治体(都道府県)ごとに独自の「手引き」や「ローカルルール」が存在するんです。「法律は同じ日本国内なら一緒でしょ?」と思うかもしれませんが、運用の現場では結構違うんですよ。
この地域差、ローカルルール対策こそが、プロの腕の見せ所であり、スムーズな許可取得の鍵となります。
東京都の厳格な「具体性」の要請
先ほども少し触れましたが、東京都は全国でもトップクラスに審査が厳格だと言われています。
定款の事業目的に、申請しようとする業種に関する「具体的」な記載がないと、「目的変更を行う旨の念書」の提出を求められる可能性が非常に高いです。
例えば、「リフォーム工事」とだけ書いてあっても、それが「内装」なのか「大工」なのか「管工事」なのか特定できないため、東京都ではNGが出ることも。事業の実態と目的の一貫性を徹底的に重視しているんですね。
大阪府の柔軟性と包括記載の推奨
一方で、大阪府はどうでしょうか。
大阪府の建設業許可申請の手引きを見てみると、面白いことに「将来の事業展開も見据えて、あらかじめいろいろ書いておいた方がいいよ」といったニュアンスの記載が見受けられます。
単一業種しか書いていないと、将来業種が増えるたびに定款変更の手間(とお金!)が発生することを懸念してくれており、包括的な記載をむしろ推奨しているような節があります。
これは大阪府に限らず、地域に関わらず言えることですが、「将来の展開を広めに盛り込む」というのは、会社設立時の定款戦略における鉄則中の鉄則です。
じゃあ、どうすればいいの?
最終的な最強の対策をお教えします。それは、設立登記(ハンコを押して申請する)を行う前に、管轄の行政庁(都道府県庁の建設業許可窓口)へ電話やメールで相談しちゃうことです。
「これから会社を作るんですが、定款の目的を『〇〇工事』と書こうと思っています。これで御庁の許可申請は通りますか?」と、直球で聞いてみてください。これが最も確実で、間違いのない方法です。
(出典:東京都都市整備局『建設業許可申請の手引』)
資本金500万円の証明戦略と残高証明書の注意点
建設業許可(一般)を取得するための、避けては通れない大きな壁。それが「財産的基礎要件(お金の要件)」です。
簡単に言うと、「この会社、すぐ潰れたりしないよね?ちゃんと工事を完成させるだけのお金あるよね?」ということを証明しなきゃいけないんです。具体的には、次のどちらかを満たす必要があります。
- 自己資本:直前の決算書(貸借対照表)で、純資産の合計が500万円以上あること
- 資金調達能力:500万円以上の資金を持っていることを証明できること(残高証明書など)
設立時の資本金設定が「最短・最強」のルート
これから会社を作るあなたに、私の経験から全力で推奨したい戦略があります。
それは、「会社設立時の資本金を、最初から500万円以上に設定すること」です。
なぜか?会社設立直後の第1期目であれば、設立時の「開始貸借対照表(バランスシート)」で資本金500万円がそのまま純資産として計上されます。つまり、これだけで「自己資本500万円以上」という要件をクリアできてしまうんです。
銀行に行って残高証明書を取る手間も手数料もかかりませんし、何より「資本金500万円の会社」としてスタートすることで、取引先や金融機関からの信用力もグッと上がります。まさに一石二鳥、いや三鳥くらいのメリットがありますよ。
残高証明書の有効期限という「罠」
「うーん、でも今は現金500万円も用意できないな…とりあえず100万円で設立しよう」
もちろん、それも可能です。その場合は、許可申請の直前に、ご自身の会社名義の口座に500万円を集めて、金融機関から「残高証明書」を発行してもらい、「資金調達能力」を証明することになります。
でも、ここに大きな落とし穴があるんです。
残高証明書の有効期限は短い!
多くの行政庁では、この残高証明書の有効期限を「証明日(基準日)から約1ヶ月以内」と定めている場合がほとんどです。
これ、実はかなりタイトなスケジュールなんです。
- 設立登記完了を待つ(約1週間)
- 法人口座を開設する(審査に2週間〜1ヶ月かかることも!)
- なんとか500万円をかき集めて入金する
- 残高証明書を取得する
- その証明日の1ヶ月以内に、膨大な許可申請書類を完成させて役所に提出する
もし書類作成に手間取って1ヶ月を過ぎてしまったら?アウトです。もう一度、残高証明書を取り直しです。その時、口座に500万円が残っていなかったら…許可申請はそこでストップしてしまいます。
資本金の払い込みは、定款の認証日以降に、発起人個人の銀行口座に振り込むことで証明します。この最初の手続きで500万円を用意できるなら、絶対に資本金にしてしまった方が、後の手続きは圧倒的に楽になりますよ。
29業種すべてを網羅する記載テクニック
建設業許可の業種は、土木、建築、大工、左官…と、全部で29種類もあります。多いですよね。
ここで質問です。「あなたは今、内装工事がメインだから、定款には『内装仕上工事業』とだけ書けばいい」と思っていませんか?
それはちょっともったいないかもしれません。会社設立時には、今すぐやる業種だけでなく、「将来的にやるかもしれない業種」も、定款の目的に全部盛り込んでおくのが、賢い経営者の戦略です。
なぜなら、後から「やっぱりリフォームに伴う水道工事もやりたいな」と思った時に、定款に書いていないと、またあの3万円の税金を払って定款変更をしなきゃいけないからです。
具体的な記載パターンの推奨
かといって、29個全ての業種名をズラズラと並べると、定款が巻物みたいに長くなってしまいますし、読む方も大変です。実務上は、カテゴリーや包括的な表現をうまく組み合わせて記載するのがスマートです。
特に絶対に忘れてはいけないのが、平成28年の法改正で新設された「解体工事業」です。これ、意外と書き忘れる方が多いので注意してくださいね。
これで完璧!推奨される包括的な事業目的の例
以下のような書き方をしておけば、ほぼ全ての建設業種をカバーできます。そのまま使ってもらって構いませんよ!
- 土木一式工事及び建築一式工事の請負、設計、施工、監理
- 大工、左官、とび・土工・コンクリート、石、屋根、電気、管、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、舗装、しゅんせつ、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、電気通信、造園、さく井、建具、水道施設、消防施設、清掃施設及び解体工事の請負、設計、施工、監理
- 不動産の売買、賃貸、仲介及び管理(将来、宅建業も取るなら必須です)
- 産業廃棄物収集運搬業(現場から出るゴミを自分で運ぶなら必須です)
- 前各号に付帯関連する一切の事業(これが魔法の言葉です)
このように、主要な29業種と関連性の高い事業を網羅的に記載しておけば、将来事業が拡大した時も、「定款変更しなきゃ!」と焦る必要は一切ありません。余裕を持ってビジネスに集中できますよ。
建設業許可の要件を満たす定款と会社設立の実務
さて、ここまでは「紙の上」の話、つまり定款の記載内容について詳しく見てきました。
ここからは、もっとリアルな話。会社設立時に確保すべき「ヒト(役員・技術者)」と「モノ(営業所)」に関する、超・厳格な要件について解説します。
いくら定款が完璧でも、ここの実態が伴っていなければ、許可は100%下りません。「とりあえず形だけ整えればいいんでしょ?」なんて甘い考えは、建設業許可では通用しないんです。
専任技術者や役員が常勤すべき住所要件
建設業許可を取るためには、会社の経営を適切に行える「経営業務の管理責任者(経管)」と、技術的な指導監督を行える「専任技術者(専技)」という、二人のキーパーソンが必要です(一人で兼任も可能です)。
そして、この二人には「営業所での常勤」が絶対条件として求められます。
「常勤」ってどれくらい?
「常勤」とは、原則としてその営業所に、休日を除く毎日、営業時間中は勤務している状態を指します。名義貸しなんてもってのほかです。
ここで問題になるのが、「住所」と「通勤距離」です。
もし、経管や専技の住民票の住所が、会社の本店(営業所)から片道2時間以上かかるような遠方にある場合、行政庁はどう思うでしょうか?
「この人、本当に毎日通ってるの?無理じゃない?」と、常勤性を疑います。
実際、行政庁は健康保険証の写し(事業所名が記載されているもの)や、通勤定期券の提示、場合によってはタイムカードや出勤簿の提出を求め、本当に常勤しているかを厳しくチェックします。
ですから、設立時の役員構成を考える際は、「誰を役員にするか」だけでなく、「その人は本当にこの営業所に通えるのか?」までセットで考えてください。住民票の異動が必要なら、設立前に済ませておくなどの対策も必要になってきます。
致命的な失敗!バーチャルオフィス設立の落とし穴
最近、起業の初期費用を抑えるために「バーチャルオフィス」を利用する方が増えていますよね。都心の一等地の住所が格安で借りられる、魅力的なサービスです。
でも、はっきり言います。
建設業許可を取りたいなら、バーチャルオフィスでの設立は絶対にやめてください。
これは「推奨しない」レベルではなく、「致命的な失敗」に直結します。
なぜバーチャルオフィスはNGなのか?
建設業法上の「営業所」とは、単に登記上の住所がある場所のことではありません。「請負契約の見積り、入札、契約締結などの実体的な業務を行う場所」でなければならないと定義されています。
住所貸しのみのバーチャルオフィスでは、以下の要件を満たせないため、許可は下りません。
- 物理的な実態がない:机、電話、PC、書庫(契約書を保管する場所)が自分専用のスペースとして確保されていない。
- 連絡が取れない:外部からの郵便物や電話を、常勤役員が直接受け取れない。
- 調査に対応できない:警察や行政庁がいきなり立ち入り調査に来た時、対応するスペースも人もいない。
共用スペースしかないシェアオフィスや、住所貸しのみのサービスは100%不可と考えてください。
もし知らずにバーチャルオフィスで登記してしまったらどうなるか?
許可申請の前に、慌てて「本店移転登記」を行わなければなりません。登録免許税3万円〜6万円と司法書士費用が余計にかかり、さらに登記完了までの時間もロスします。
この二度手間を避けるためにも、設立時には、自宅兼事務所でも構いませんので、必ず「実体のある場所」を本店所在地にしてください。「自宅じゃカッコ悪い」なんて言ってる場合じゃありませんよ!
建設業許可の必須要件である社会保険加入の義務
これは本当に重要なので、声を大にして言わせてください。
社会保険に入っていない会社は、建設業許可が取れません。
以前は「指導」で済んでいた時代もありましたが、2020年(令和2年)の大改正により、適切な社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)への加入が、建設業許可の「絶対的な必須要件」となりました。
社会保険加入のデッドラインはいつ?
会社を作ったら、「いつか入ればいい」ではありません。
会社設立(法人登記)が完了したら、原則として5日以内に会社所在地を管轄する年金事務所へ、「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を提出しなければなりません。
「社長一人だけの会社だから、国民健康保険のままでいいや」
これは法人化したら通用しません。社長一人でも、法人は社会保険への強制加入となります。
許可申請時には、年金事務所に提出した「新規適用届」の受付印がある控えや、保険料の納入領収証、被保険者標準報酬決定通知書などの写しを添付することが求められます。「まだ手続き中です」では許してくれないことも多いんです。
設立登記が完了したら、銀行口座開設と同じ最優先順位で、年金事務所へ走ってください。この手続きの遅れが、そのまま許可取得の遅れに直結しますよ。
(出典:日本年金機構『新規適用の手続き』)
500万円超の工事ができない空白期間の対策
会社を設立し、資本金も500万円積んで、定款も完璧。さあ許可申請だ!
…と意気込んでも、申請書を窓口に提出してから、実際に許可証が手元に届くまでには「審査期間」という待ち時間があります。
この期間、あなたの会社はまだ「無許可業者」です。この「空白期間」のルールを正しく理解していないと、許可が下りる直前に法令違反でアウト、なんてことになりかねません。
空白期間にやってはいけないNG行為
- 500万円以上の工事の請負:消費税込で500万円以上の工事は、許可がないと絶対に請け負ってはいけません。「注文書」や「請書」の日付に要注意です。
- 分割発注のごまかし:「1000万円の工事だけど、400万円と300万円と300万円の契約書3枚に分けよう」。これ、バレます。実質的に一つの工事とみなされれば、建設業法違反(無許可営業)として厳しく処罰されます。
「許可が下りる予定だから」という言い訳は通用しません。
審査期間はどれくらいかと言うと、都道府県知事許可の場合で標準処理期間が30日〜45日程度(約1ヶ月〜1.5ヶ月)。国土交通大臣許可になると、なんと約3〜4ヶ月もかかります。
設立手続きを含めれば、準備開始から許可取得まで最短でも2〜3ヶ月はかかると見ておくべきです。この数ヶ月間は、500万円未満の軽微な工事で食いつなぐか、営業活動に専念する期間と割り切って、余裕を持った資金繰り計画を立てておくことが、経営者としての腕の見せ所ですね。
株式会社と合同会社設立の費用と信用度の比較
建設業許可を目指すにあたって、「株式会社(KK)」にするか、最近増えている「合同会社(LLC)」にするか、迷う方も多いのではないでしょうか?
結論から言うと、どちらの形態でも建設業許可は問題なく取れます。有利不利はありません。
ただし、設立にかかる「初期費用」と、世間一般からの「対外的な信用度」には大きな違いがあります。
| 比較項目 | 株式会社(KK) | 合同会社(LLC) |
|---|---|---|
| 設立実費 (電子定款利用時) | 約20万円〜 (内訳:登録免許税 最低15万円 + 定款認証手数料 約5万円 + その他) | 約6万円〜 (内訳:登録免許税 最低6万円のみ。定款認証費は不要!) |
| 定款認証 | 公証役場での認証が必須 (手間と費用がかかる) | 不要 (自分で作って法務局に出すだけ。スピーディ!) |
| メリット | 知名度・信用度が圧倒的に高い。 求人が集まりやすい。 将来の増資や株式上場も可能。 | 設立コストが圧倒的に安い。 決算公告義務がない(官報掲載費の節約)。 経営の自由度が高い。 |
| デメリット | 設立費用が高い。 役員の任期があり、定期的に重任登記(1万円〜)が必要。 | 「合同会社?何それ?」と言われる可能性がまだある。 肩書きが「代表取締役」ではなく「代表社員」になる。 |
| こんな人に おすすめ | ・公共工事の入札に参加したい ・元請けとして一般客の信用を得たい ・「社長」と呼ばれたい | ・とにかく初期費用を抑えたい ・BtoBの下請けがメイン ・一人親方からの法人化 |
初期費用を14万円も安く抑えられる合同会社は、確かに魅力的です。下請け仕事がメインで、取引先も決まっているなら合同会社で十分かもしれません。
一方で、公共工事の入札参加を視野に入れている場合や、Webサイトで広く一般のお客様からリフォーム工事などを受注したい場合は、やはり「株式会社」の看板が持つ安心感は絶大です。初期費用が高くても、将来への投資として株式会社を選ぶ方が、長い目で見れば無難な選択と言えるでしょう。
専門家へ依頼した場合の費用と報酬相場
ここまで読んでいただいて、「うわぁ、建設業許可ってこんなに面倒なのか…」と頭を抱えている方もいるかもしれません。
そうなんです。建設業許可の要件は複雑怪奇で、さらに会社設立手続きも合わせると、慣れていない方にはかなりの労力と時間がかかります。「餅は餅屋」という言葉がある通り、専門家に依頼することで、失敗リスクを回避し、あなた自身の貴重な時間を「営業」や「現場」という本業に集中させることができます。
では、頼むとしたらいくら位かかるのか?ざっくりとした相場観を知っておきましょう。
専門家への依頼費用目安(税抜・法定費用除く)
- 会社設立代行(行政書士/司法書士):50,000円〜100,000円程度
※電子定款作成代理のみなら数万円〜というケースも - 建設業許可申請代行(知事許可・新規):110,000円〜150,000円程度
※難易度や、証明書類の収集量によって変動します - (失敗した時の)定款目的変更登記:20,000円〜40,000円程度
会社設立から許可取得まで、全てを依頼した場合の専門家報酬の総額は、約20万円〜30万円程度を見ておくと良いでしょう。(これとは別に、登録免許税や許可手数料などの実費がかかります)
「高い!」と思いましたか?
でも、私たち行政書士に依頼して電子定款を作成すれば、紙の定款で必要な印紙代4万円が0円になります。つまり、実質的な報酬負担は4万円引きで考えられるわけです。
さらに、ご自身で調べて、役所に何度も足を運び、書類不備で突き返され…という何十時間もの労力を考えれば、決して高い投資ではないはずです。
設立時の定款作成で少しでも不安を感じたら、まずは専門家の無料相談などを利用してみるのが賢明な判断ですよ。
建設業許可定款と会社設立のまとめ
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
建設業許可の取得を見据えた定款作成と会社設立は、単なる事務手続きではありません。あなたの会社の将来の事業基盤を築くための、極めて重要な「最初の経営戦略」です。
設立時に「まぁいいか」と曖昧な目的で登記してしまったり、安易にバーチャルオフィスを選んでしまったりすると、後で時間と金銭的な負担が倍返しで襲ってきます。
私がこのガイドを通して最もお伝えしたかったポイントは、設立手続きの全ての段階で「常に行政庁の審査を意識した準備を行うこと」です。
建設業許可取得のための重要チェックリスト
- 定款の目的:「建設業」だけでなく、将来行う可能性のある29業種を具体的かつ網羅的に記載する。
- 資本金:資金証明の手間とリスクを省くため、最初から500万円以上に設定する。
- 営業所:バーチャルオフィスは絶対NG。実体のある場所を確保する。
- 社会保険:設立後5日以内に速やかに加入し、証明書類を保管する。
この準備を徹底すれば、無駄な出費や手戻りを防ぎ、最短ルートで念願の建設業許可を取得し、堂々と500万円以上の大きな工事を請け負うことができます。
正確な情報は、必ず管轄の行政庁の公式サイトをご確認いただくか、私たちのような専門家にご相談ください。
電子定款を活用すれば、印紙代4万円の節約というメリットも享受できます。効率的かつ確実な設立をお考えでしたら、ぜひ一度お気軽にご相談くださいね。
あなたの会社設立と建設業許可取得が、スムーズに成功することを心から応援しています!
会社設立や電子定款認証のスペシャリスト!開業17年・年間実績500件以上。実は、電子定款の制度ができた10年以上前から電子定款認証の業務を行なっているパイオニアです!他との違いは、まず定款の完成度!内容はモデル定款のモデルと言われ全国数百箇所の公証人の目が入っている優れもの!そして電子署名はまるでサインのようなかっこいい電子署名です!その電子定款であなたの大切な会社設立を真心込めて応援します!
