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法人の古物商許可に必要な定款の目的と書き方:行政書士が教える完全戦略

古物商 定款

行政書士 小野馨
こんにちは

行政書士の小野馨です。

今回は、古物商の定款について詳しく解説します!

「古物商 定款」というキーワードで検索されているあなたは、法人の古物商許可申請を進める中で、この「定款の目的」の壁に直面されているかもしれませんね。

実際、「古物営業を営む旨の記載がない」という理由で、申請窓口である警察署での受理を一度断られてしまうケースは非常に多いんですよ。

何を隠そう、私も昔、この定款の書き方で悩んだ経験があります。ここ、気になりますよね。

特に、「目的 変更」が必要なのか、確認書を使えば「そのまま」申請できるのか、あるいは合同会社の場合はどうなるのか、定款の書き方、手続きの流れや所要期間議事録 雛形の準備、事業追加が必要な際の注意点、そして何より心配な費用料金はどれくらいかかるのか、という疑問は尽きないはずです。

この複雑なプロセスで無駄な手間や費用をかけないように、この記事で私がすべてクリアに解説します。

この解説を読んでいただければ、あなたの古物商許可申請が「一発で通る」ための、完璧な定款戦略が立てられるはずですよ。

ここから、あなたの古物商許可申請が「一発で通る」ための、定款戦略を解説していきますね。

  • 古物商許可がスムーズに取れる定款の正しい「目的」の文言がわかる
  • 定款変更が必要な法人形態ごとの正確な手続きの流れと費用がわかる
  • 「定款変更せずに申請したい」場合の確認書のリアルなリスクがわかる
  • 電子定款の取り扱い方や、原本証明の方法といった実務上の注意点がわかる

古物商許可の申請で重要な定款の目的と書き方

法人が古物商許可を申請する際、警察が最も厳しくチェックするのが、定款の「事業目的」欄です。これは、単なる形式的な確認ではなく、法人の権利能力の制限(ウルトラ・ヴィーレスの法理)という民法上の大原則に基づいています。

つまり、会社は定款に定めた目的の範囲内でしか事業を行えないため、古物営業を行うという法的能力を証明しなければ、警察は盗品の流通防止という公安目的を達成できません。

古物営業法(盗品等の売買防止などを目的とする法律)の立法趣旨に照らしても、申請主体が適法に営業を行う権限を有しているかを担保するために、定款の目的欄は厳格に確認されるわけです。

この基本構造を理解することが、適切な定款作成の出発点ですよ。

 許可される事業目的の記載例と正しい文言

定款の目的欄に記載すべき文言は、行政手続きにおいて解釈の余地を残さず、古物営業法に基づく事業であることが明確に伝わるようにする必要があります。

例えば、「物品の販売」だけでは、新品の販売なのか、古物(中古品)の販売なのかが判然としないため、審査上は不十分と判断されてしまいます。

古物営業法に基づく事業目的であることを明確に示すことで、全国どの警察署においてもスムーズに受理される可能性が高まるんですよ(S_R7, S_R9)。

特に古物商の許可は、主に中古品を「買取(仕入れ)」する行為に対して必要となる許可です。単に販売するだけであれば原則不要ですが、買取を伴う場合は必須となるため、目的の記載には「買取」または「売買」が明確に含まれている文言を選ぶことが重要です(S_R7, S_R6)。

取引先や金融機関からの信用を得るためにも、売買両方が揃った「古物商」の定義を定款に反映させることが、最も無難で安全な戦略ですよ(S_R9)。

確実に許可される推奨文言と理由

記載例法的明確性警察署の受理傾向理由・備考
古物営業法に基づく古物商極めて高い(法の定義に完全に準拠)◎(最推奨)解釈の余地がなく、一発で受理される最も安全な文言(S_R6, S_R7)。
古物の買取及び販売(古物の売買)高い(古物営業の実態を正確に描写)○(安全)「買取」が含まれることで、許可が必要な行為を明確化(S_R6)。
古物の売買、交換、貸借及びその代理高い(法律の条文を網羅)○(網羅的)古物営業の幅広い形態をカバーする。

これらの明確な文言を選ぶことで、申請時の補正リスクを大幅に減らすことができます。これは、事業開始を急いでいるあなたにとって、最短ルートを確保するための重要な戦略ですよ。

リサイクルショップ経営など注意すべき表現

実務で多くの申請者が失敗し、警察署で補正を求められる原因となるのが、定款に一般用語をそのまま記載してしまうケースです。その最たる例が「リサイクルショップ」という言葉なんですよ。一般用語としての「リサイクル」は、広範な意味を持ちすぎており、警察行政が求める「明確性の原則」を満たしません。具体的には、リサイクルという言葉は、中古品をそのまま再利用する「リユース」(古物営業法の領域)なのか、あるいは廃棄物として資源化する「再資源化」(廃棄物処理法の領域)なのかが判然としないからです。警察庁は「明確な事業権限」を確認したいので、曖昧な表現では受理が難しくなり、補正や説明書の提出を求められるリスクが高いです。

行政から指摘されやすい曖昧な文言と、その回避策

  • 「リサイクルショップの経営」:リユースか再資源化かが不明確なため、必ず「古物営業法に基づく〜」を併記してください。確認書を求められる場合もあります(S_R8)。
  • 「各種物品の販売」や「雑貨の販売」:包括的すぎるため、古物営業の目的としては極めて不適切です。これにより許可要件を満たさないと判断される可能性が高いです(S_R8, S_R16)。
  • 「インターネット関連事業」:IT企業などが古物(中古PCなど)を扱う場合、この文言だけでは古物営業の権利能力が証明できません。必ず古物売買の目的を別に設けてください。

もし既に「リサイクル事業」などと記載されている場合は、その目的条項の後に「ただし、古物営業法に基づく古物商としての営業を含む」といった補足文言を追加するなど、解釈を補強する措置が必要になる場合がありますが、最も確実なのは、やはり「古物営業法に基づく古物商」を独立した項目として追加することですよ。

行政庁は「明確な事業権限」を確認したいわけですから、手続きをスムーズに進めるための近道は、警察担当者の疑問点を一つ残らず潰しておくことです。

事前の確認こそが、無駄な手間を最小限に抑える鍵になるわけですね。

中古車販売やネットせどりの適切な記載

取り扱う品目や業態が特殊な場合、定款の目的もより具体的に記載することで、事業の透明性と整合性を高めることができます。

特に、中古車販売業(自動車商)や、実店舗を持たないネット専業(せどり・EC)の場合には、定款の記載だけでなく、営業所の要件についても細心の注意が必要ですよ。

中古車販売業(自動車商)の場合の記載戦略

中古自動車は取引額が大きく、盗難リスクも高いため、古物商許可の中でも特に審査が厳格に行われる品目の一つです。

定款の目的には、「中古自動車の売買」と明確に記載することに加え、「各種自動車の販売、整備、板金、塗装、修理、解体及び輸出入」といった関連事業も網羅することで、単なる転売業者ではなく、自動車流通を総合的に担う事業者であるという印象を与えられます。

これは、後の銀行融資や取引先との契約時にも有利に働く可能性がありますよ。

品目を限定した記載を求められる場合もあるので、どの品目をメインとするかを明確にしておくことも重要です。

また、「損害保険代理業」や「自動車整備業」を併せて記載することも、事業の一貫性をアピールする上で効果的です。

ネット専業(せどり・EC)の場合の営業所と定款の整合性

実店舗を持たないネット専業の場合、「インターネットを利用した通信販売業務」「各種物品のインターネットオークションへの出品代行」といった記載が一般的です。

しかし、定款の目的欄に記載があるだけでは不十分で、古物商許可申請では、古物営業を行う「営業所」の実在性・独立性が厳しく審査されます。

自宅の一部を営業所にするのは可能ですが、その場合も他の居住スペースと区分されている必要がありますし、特に賃貸住宅を営業所にする場合、賃貸契約書の使用目的が「住居専用」となっていると、貸主からの「使用承諾書」の提出を求められるケースが非常に多いです。

都道府県や管轄警察署によっては、無断での古物営業を防止するために使用承諾書の提出を必須としているところもありますよ。

また、実家が賃貸物件なら大家さんの承諾が必要になります。

バーチャルオフィスを本店所在地とする場合は、営業所としての独立性・実態性が認められず、警察側が申請を受理しないケースがほとんどですから、避けるべきです(S_R5)。

定款にインターネット販売の目的を入れても、営業所の要件を満たせなければ許可は下りませんから、ご注意くださいね。

複数の事業を行う場合の記載順序の戦略

古物営業が複合事業や副業的な位置づけとなる場合、「定款の目的欄の何番目に古物商の記載をすればいいのだろうか」という疑問は、経営戦略とも関わる重要なポイントです。

まず、会社法上の法的効力においては、定款の記載順序に優劣は一切ありません。どの項目も等しく、法人が営むことのできる事業を示しています。これは法務局の視点ですが、実務上は別の戦略的な意味合いがあります。

融資審査と対外的な信用度への影響

金融機関が融資審査(特に創業融資やプロパー融資)を行う際や、取引先があなたの会社に対する与信調査を行う際、彼らは登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の「目的」欄を必ず確認します。

そして、一般的に、目的欄の上位に記載されている項目を、その企業の「主たる事業」であると認識する傾向が強いのです。

例えば、ITコンサルティングがメインなのに、古物営業の記載が第1項にあると、「この会社は中古品売買がメインなのか?収益の柱はどちらだろうか?」と、金融機関に誤解を与えかねません。

融資担当者が判断に迷うような記載は、審査の遅延や、最悪の場合、評価の低下につながるリスクがあります。

したがって、古物営業が企業活動における主軸であるスタートアップ企業であれば、第1項または第2項など、目立つ位置に「古物営業法に基づく古物商」と明記することで、対外的に事業のアイデンティティを明確化し、信用度を高める効果があります。

逆に、古物営業が「前各号に附帯関連する一切の事業」に繋がる副業的な位置づけであれば、定款の末尾、附帯事業の直前に追加する形で全く問題ありません。

事業の戦略に応じて記載順序を調整し、対外的な信用を最大限に高めるように検討することが、賢い経営判断と言えますよ。

警察署の担当者も、定款の目的に古物営業が明確に記載されていれば、それが何番目にあっても、許可の可否に影響を与えることはありませんからご安心ください。

定款を変更せずに確認書で申請する条件

「今すぐ株主総会を開くのは手間だ」「3万円の登録免許税を節約したい」という理由で、定款を変更せずに申請したいというニーズに対応するのが、例外的な対応としての「確認書(確約書または理由書)」です。

これは、定款の目的変更登記を行わずに、現行の定款のままで古物商許可申請を受理してもらうための添付書類で、代表者名で以下の内容を誓約・表明します

  • 当社の定款第〇条の事業目的には、古物営業法に基づく古物の売買も含まれることを確認する(既存目的の解釈)
  • 直近の株主総会において、古物営業の目的を速やかに定款に追加することを誓約する(将来の変更約束)

この確認書が有効かどうかは、残念ながら管轄する警察署(公安委員会)のローカルルールや担当官の裁量に大きく依存します

ただ、その有用性を法的に論理的に説明して、所轄や本部の古物担当者に納得させるのは行政書士である私たちの腕の見せ所でもあるんです。

認められる可能性が高いのは、定款に「各種物品の販売」「商社業」など、解釈によって古物を含めうると判断できる、包括的な記載がある場合です。

逆に、定款の目的が「Web制作」「飲食店の経営」など、物品販売と全く無関係な場合は、「権利能力の制限」に抵触するリスクが高いため、警察側も受理を拒否する傾向が強いです。

確認書運用がもたらす長期的なリスクアセスメント

目先の費用(3万円)を節約できたとしても、この確認書運用には長期的なコンプライアンスリスクが伴います。

私は専門家として、この一時しのぎの方法は推奨しません。なぜなら、以下のようなリスクがあるからです。

  1. 銀行口座開設・AMLへの影響:昨今のAML(マネー・ロンダリング対策)強化により、法人口座開設時に銀行は登記簿の目的欄を厳しくチェックします。許可証を持っていても、登記簿に「古物商」の記載がなければ、事業実態の説明に苦慮し、口座開設を断られるリスクがあります(S_R10)。
  2. コンプライアンス違反の常態化:確認書を提出したことを失念し、何年も定款変更を怠ると、登記簿と実際の事業内容が乖離し続けることになります。これは企業の信用を損ないます(S_R10)。
  3. 更新・変更時のトラブル:将来、役員変更や許可証の書換えなどで再度警察署に行った際、「なぜ定款が変わっていないのか」と指摘され、手続きが滞る可能性がある。

結論としては、3万円の登録免許税を支払い、正式に定款変更を行うことが、最も安全かつ誠実な経営判断であると断言します。

コンプライアンスの遵守が、結果として最短で事業を開始し、信用を維持するための道筋ですよ。

法人が古物商を取得するための定款変更と費用

定款に古物営業の目的がないことが判明したら、次のステップは「変更手続き」です。

法人申請の場合、個人の申請よりも必要な書類が多く、手続きが煩雑になる傾向があります。定款変更が絡むと、会社法と古物営業法の二つの法律に基づいた手続きが必要になるため、全体のフローと所要期間を正確に把握しておくことが、事業計画を狂わせないために非常に重要です。

特に株式会社の場合は「特別決議」という高いハードルがありますし、NPO法人の場合は認証に時間がかかります。

ここでは、具体的な変更手続きの流れと、必ず発生する費用について詳しく見ていきましょう。

計画的に進めることで、無駄な時間とコストを削減できますよ。

合同会社や株式会社での変更手続きの流れ

既存の法人が古物商許可を申請する際、定款に目的が入っていない場合に行う「定款変更(事業目的の追加)」は、会社法に基づく厳格な手続きを要します。

法人形態によって、最高意思決定機関と決議要件が大きく異なるため、事前に確認しておきましょう。

株式会社における特別決議と登記申請のフロー

株式会社の場合、定款の事業目的の変更は、会社法上の「特別決議」事項です。

これは、議決権の過半数を有する株主が出席し、その3分の2以上の賛成が必要となる、非常に重い決議要件です(S_R22)。

特別決議を経た後は、議事録を作成し、それを添付書類として本店所在地を管轄する法務局へ変更登記を申請しなければなりません(S_R22)。

この全行程(準備期間、株主総会、登記期間)には、通常2週間から1ヶ月を要し、古物商許可申請の標準処理期間(約40日)と合わせると、事業開始までに2〜3ヶ月のリードタイムが必要となることを覚悟しておきましょう。

この期間を見誤ると、事業計画に致命的な影響を与えかねません。

合同会社(LLC)における総社員の同意と簡便性

合同会社(LLC)は、株式会社とは異なり株主総会がなく、定款変更には原則として「総社員の同意」が必要となります。

ただし、定款に別段の定めがある場合はそれに従います。

法務局へ提出するのは、この「総社員の同意書」です。株式会社の議事録よりも手続きは簡素に見えますが、社員全員の実印の押印や印鑑証明書の添付が必要になるケースが多く、社員が複数いる場合はその調整に手間がかかることもありますよ。

この同意書を添付し、法務局へ変更登記を申請します。

合同会社は設立コストが安いだけでなく、こうした組織変更の手続きも比較的柔軟に行えるのが特徴ですね。

NPO法人や一般社団法人が定款変更する注意点

営利を目的としない法人が古物営業を行う場合、その手続きは営利法人よりも格段に煩雑になり、行政庁の審査が加わるため、スケジュール管理に特に注意が必要です。会社法だけでは済まされない、特殊なルールがあるんですよ。

NPO法人は所轄庁の「認証」に数ヶ月かかる

NPO法人(特定非営利活動法人)が古物営業を行う場合、その事業は、定款上の「特定非営利活動に係る事業」ではなく、「その他の事業(収益事業)」に区分されます。

古物営業を収益源として定款に追加するためには、社員総会での議決(出席者の4分の3以上の賛成が必要)に加え、所轄庁(都道府県や市町村)の認証が必須となります。

この認証手続きには、縦覧期間(申請書類を公開して市民の意見を聞く期間)があるため、申請から認証完了まで約3ヶ月〜4ヶ月という長大なリードタイムが必要です。

株式会社のように「明日から変更」というわけにはいかないため、NPO法人の場合は、設立時から古物営業を計画的に記載しておくことが最も重要になります。

NPO法人向けのコンテンツでは、このタイムラグの存在を強く警告する必要がありますよ。

一般社団法人の公益認定取消しリスク

一般社団法人(非営利型・普通型)であれば、株式会社に準じた手続きで古物営業の目的を追加できますが、特に「公益社団法人」として認定を受けている場合は、非常に高いリスクが伴います。

公益認定は、「収益事業等が公益目的事業の実施に影響を与えないこと」「公益目的事業比率が50%以上であること」といった厳格な基準(公益認定基準)に基づいて付与されています。

古物営業を追加し、その規模や利益が大きくなることで、これらの基準に抵触し、最悪の場合、行政庁によって公益認定を取り消される事態になりかねません。

公益法人の方は、定款変更の前に、必ず公益認定の専門家(行政書士や税理士)に相談してくださいね。一般社団法人自体は、株式会社に準じた手続きで変更可能ですよ。

事業目的の追加に必要な登録免許税と費用

定款変更を行う際に必ず発生する費用は、「法定費用(実費)」と「専門家報酬」に分けられます。

特に法定費用は、避けることのできない固定コストとして、事業計画に組み込んでおく必要があります。

法定費用:登録免許税3万円の絶対コスト

株式会社や合同会社が定款の事業目的を変更し、法務局へ変更登記を申請する際、必ず登録免許税が発生します。これは、登録免許税法によって定められた法定費用であり、資本金の額や、変更する目的の数に関わらず一律で、金30,000円です。

この費用は、変更登記申請書に収入印紙を貼付して納付します。この他に、登記事項証明書(謄本)を取得する際にも、1通あたり600円程度の実費が必要です。

この3万円を節約しようとして確認書で乗り切ろうとすると、前述した長期的なリスクを負うことになるため、私は必ずこの費用を支払って正式に登記することをおすすめしています。

専門家報酬の相場と内訳(自力申請との比較)

定款変更から古物商許可申請までを専門家に依頼した場合の費用内訳をまとめました。専門家に依頼しない場合は、法定費用のみで済みます。費用と手間、どちらを取るかの判断材料にしてくださいね。

古物商許可申請に関連する定款変更費用内訳(概算)

費目金額目安(税抜)支払先・備考
登録免許税(法定費用)30,000円(一律)法務局。収入印紙で納付(S_R22)。
登記事項証明書取得費(実費)600円/通法務局。申請前後の確認に必要(S_R22)。
司法書士報酬(登記申請代理)20,000円〜50,000円司法書士。登記の代理権を持つ(行政書士は不可)。
行政書士報酬(許可申請代行)40,000円〜60,000円行政書士。警察署への申請代理。古物商専門を選ぶべき(S_R6)。
合計(自力で登記申請まで行う場合)約32,000円+最低限の実費。議事録作成スキルが必要。
合計(専門家依頼)約10万円前後(概算)手間と時間を節約し、最短・確実な許可取得を目指す目安。

自力申請はコストを抑えられますが、議事録の記載ミスや、古物商許可申請に必要な他の書類(役員全員分の住民票、身分証明書など の収集・作成の手間を考慮すると、専門家への依頼も有力な選択肢ですよ。

特に、法人の場合はミス・やり直しが多発する傾向にあるため、古物商専門の行政書士への依頼を検討してみてください。

申請で提出する株主総会議事録の雛形

株式会社の定款変更において、株主総会議事録は、単なる会議の記録以上の意味を持ちます。これは、定款変更という重要な決定が、会社法に定められた特別決議の要件を満たして適法になされたことの「法的証拠」です。

この議事録がなければ、法務局は登記を受け付けませんし、警察署も定款変更の事実を証明する書類として確認を求める場合があります。

古物商許可申請を滞りなく進めるためには、議事録の品質が行政手続き全体のスピードを左右すると言っても過言ではありませんよ。

議事録に必須の記載事項と新旧対照表の活用

議事録には、会社法施行規則第72条に基づき、以下の事項を漏れなく記載する必要があります。

これらの記載事項に不備があると、法務局から「補正」を求められ、登記完了が遅れてしまいます。

特に、決議が「特別決議」要件を満たしていることを明確に記載することが肝要です。

また、定款の変更内容については、変更前の条文と変更後の条文を対比させる「新旧対照表」形式で記載することが、法務局の審査がスムーズに進むための実務的なテクニックとして推奨されています。

  • 開催日時および場所
  • 出席株主数および議決権数(特別決議要件を満たしていることを確認できるように)
  • 議長の氏名と、議事録作成者の氏名
  • 議事の経過の要領およびその結果(「本議案は、満場一致をもって承認可決された」など)
  • 変更する定款の具体的な条項(新旧対照表形式での記載が望ましい)

この議事録は、法務局への登記申請の添付書類となるだけでなく、警察署への古物商許可申請においても、定款変更の事実を疎明する資料として提出を求められる場合があります。

もし、古い定款しか見つからず、変更内容に関する議事録が残っていない場合は、定款そのものを再作成するか、株主総会を改めて開催して決議を取り直す必要が出てくるかもしれません。

議事録の作成は、古物商許可申請の最初の関門であり、このステップを確実に行うことが成功への第一歩ですよ。

### 電子定款の扱いと正しい原本証明の方法

古物商許可申請で警察署へ定款を提出する際は、原則として「現行定款の写し(コピー)」に「原本証明」を施したものを提出する必要があります(S_R1, S_R14)。

なぜなら、単なるコピーでは、その定款が最新の内容であることや、原本と同一であることを証明できないため、行政庁は法的効力を認めないからです。

この原本証明(奥書)の方法は、紙の定款を持っているか、電子定款しか持っていないかによって少し異なりますよ。

電子定款の取り扱いとプリントアウトの必要性

現在の会社設立では、印紙代が不要な「電子定款」で作成されることが一般的です。

この場合、物理的な「原本」は電子データ(PDF)として存在します。

警察署の窓口は依然として紙での対応が基本ですから、電子署名が付されたPDFデータを探し出し、それをプリントアウトする必要があります。

そして、そのプリントアウトした紙の写しに対し、代表者自身が以下の原本証明を行うことで、正式な提出書類として認められます。

USBメモリなどでデータ提出を受け付けている警察署は、今のところ極めて稀ですから、必ず紙に出力して準備してくださいね。

正しい原本証明(奥書)の必須フォーマット

原本証明(奥書)とは、提出する写しが原本と相違ないことを代表者が証明するものです。定款のコピーの最終ページなどの余白に、以下の文言を記載し、必ず会社の実印を押印してください。

この手続きを怠ると、「定款の原本証明がない」という理由で補正を求められます。

また、原本証明を行う日付は、申請日当日または直近の日付であることが望ましいです。数ヶ月前の日付では「その後に変更があったのではないか」と疑われるためです。

原本証明(奥書)の記載例と注意点

「以上は、当社の現在の定款原本と相違ないことを証明する。」

令和〇年〇月〇日(申請日直近の日付が望ましい

住所

商号(登記上の表記で正確に)

代表取締役 氏名 ㊞(会社実印)

※定款のすべてのページをコピーし、製本テープで綴じた上、契印(製本テープと用紙の境目)を忘れずに押しましょう。

もし定款を紛失してしまった場合、設立時の定款(原始定款)であれば、公証役場に請求することで謄本(写し)を取得することが可能です。

ただし、公証役場で取得できるのは設立時の内容のみで、その後の変更内容は反映されていないため、別途、変更決議の議事録を探すか、最新の現行定款を再作成する必要がありますよ。

定款の最新版(現行定款)を常に整理・保管しておくことが、スムーズな許認可申請の鉄則です。

行政書士に依頼する場合の報酬相場

古物商許可申請は、必要書類の多さ(法人申請では役員全員分の住民票、身分証明書、略歴書、誓約書などが必要 と、行政庁との折衝の複雑さから、不慣れな方が自力で行うと、申請のやり直し(補正)が多発し、結局時間がかかってしまうケースが多いです。

特に法人の場合はミス・やり直しが多発する傾向にあるため、専門家である行政書士に依頼することは、時間と機会損失を避けるための賢明な投資と言えますよ。相場料金を把握し、適切な専門家を選ぶことが重要です。

行政書士と司法書士の役割分担と報酬相場

ここで明確にしておきたいのは、行政書士と司法書士の役割分担です。行政書士は、古物商許可申請書や略歴書、誓約書といった警察署へ提出する書類の作成・提出代行が主な業務範囲です。

報酬相場は、古物商許可申請代行のみで40,000円〜60,000円程度を目安にしてください。

一方、定款変更に伴う法務局への登記申請(事業目的の追加)は、司法書士の独占業務です。もし定款変更が必要であれば、司法書士報酬として別途20,000円〜50,000円程度が必要になります。

このため、古物商許可申請をスムーズに行うためには、行政書士と司法書士が連携している事務所を選ぶか、ワンストップで対応可能な事務所を選ぶと手間が省けますよ。

失敗しない専門家選びのポイント

行政書士を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてください。適当に選んだ行政書士では、使用承諾書の問題や定款不備の問題が解決しない可能性があります(S_R4)。

  • 古物商許可専門であること:古物商専門の事務所を選ぶことで、虚偽申請や記載漏れ、警察署との折衝ミスといった失敗を防げます(S_R4, S_R10, S_R11)。古物営業法に精通しているかどうかが重要です。
  • 相場料金の事務所を選ぶこと:極端に安い料金の事務所は、経験が浅い、またはサポートが不十分な可能性があります。相場料金の行政書士であれば、約2ヶ月かかる古物商許可申請を最後までしっかりサポートしてくれますよ(S_R4)。
  • 法人申請の実績があること:法人申請は、役員全員(監査役含む)の欠格事由確認や、定款との整合性確認など、個人申請よりも複雑です(S_R16, S_R12)。法人申請の実績が豊富な行政書士を選ぶのが安心ですよ(S_R10)。

専門家に依頼することで、あなたは本業に集中しつつ、最短で許可を取得できる。これは、事業の機会損失を防ぐ最も有効な手段ですよ。

古物商の定款不備によるリスクのまとめ

最後に、定款の目的不備や、それに伴う手続きの遅延が、あなたの事業に与える深刻なリスクを総括します。

定款の不備は、単なる書類のミスではなく、事業継続の基盤を揺るがすコンプライアンス上の重大な問題なんですよ。

このリスクを避けるための最終的な確認ポイントを押さえておきましょう。

申請手数料(19,000円)の没収と機会損失のリスク

古物商許可の申請手数料(19,000円)は、警察署が申請を受理した時点で、審査費用として納付されます。もし、定款の不備などが原因で警察署から「申請の取り下げ」を指導され、再度申請し直すことになった場合、この手数料は返還されません

つまり、再申請のたびに19,000円がムダになるということです。

定款が適正であるかを確認してから申請することが、金銭的損失を避けるための絶対条件です。

また、定款変更に時間がかかると、その分、事業の開始が遅れ、テナントの空家賃など、経済的な機会損失は計り知れません。最短で許可を取得するには、定款の整備を最優先で行うべきです。

許可後の「変更届出義務違反」による許可取消しリスク

許可取得後も、定款に基づく組織体制の変更や、役員の変更(退任・就任)があった場合、法務局での登記だけでなく、20日以内に警察署へ「変更届出」を行わなければなりません。

この届出義務を怠ると、古物営業法第7条違反となり、形式的な違反であっても、長期にわたる届出漏れは「信用性欠如」と判断され、行政指導や最悪の場合、許可取り消しの対象となる可能性があるのです。

特に法人の場合、役員が欠格事由に該当する状態になった場合も許可が自動的に取り消されます。

定款は、こうした古物営業法上の遵守事項の基盤となる書類ですから、初動で正確に整備し、常に最新の情報を反映させることが、後の事業の安定に直結します。

定款変更を正式に行うことで、この変更届出義務もスムーズに履行できるようになりますよ。

推奨されるアクションプラン:古物商許可を最短で取得するために

  1. 現行定款の目的欄に古物に関する記載があるか、登記事項証明書と併せて確認する(S_R22)。
  2. 記載が不十分または無い場合は、原則として定款変更(目的追加)を選択し、確認書対応は避ける
  3. 文言は「古物営業法に基づく古物商」という、解釈の揺れがないものを採用する(S_R7)。
  4. 株主総会決議を経て、法務局での登記申請を3万円の登録免許税を支払い実行する(S_R22)。
  5. 登記完了後、新しい謄本と現行定款を添えて警察署へ古物商許可申請を行う(S_R22)。

この王道のプロセスを経ることが、不許可リスクをゼロに近づける唯一の方法です。

あなたの事業の成功を、心から応援していますよ。

正確な情報は、必ず所轄の警察署や法務局にご確認の上、最終的な判断は専門家にご相談くださいね。

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