会社設立・許認可

【コピペOK】マイクロ法人の定款「事業目的」書き方・文例集20選|行政書士が教える資産管理会社の鉄板ルール


例(A):定款の事業目的は「会社の憲法」です。適当に書くと、後で銀行口座が作れません。


例(B):個人事業と全く同じことを書こうとしていませんか? その瞬間、税務署のターゲットロックオンです。

行政書士 小野馨
こんにちは!

開業20年で5000社以上の起業をサポートし、多くの社長の「生存」と「廃業」の分岐点を見てきた行政書士の小野馨です。

今回は【マイクロ法人の事業目的】というテーマについて、解説します。

会社設立freeeやマネーフォワードの入力画面で、「事業目的」の欄を前にして手が止まっていませんか?

「将来やるかもしれないことも書いていいの?」「書き方を間違えると、法務局で突き返される?」
その不安は正しいです。事業目的は、単なる作文ではありません。登記事項として全世界に公開され、銀行融資や許認可、そして税務調査の運命をも左右する重要な「法的宣言」だからです。

そこで本記事では、マイクロ法人に特化した「失敗しない事業目的の選び方」と、そのままコピペして使える「鉄板の文例集」を20個厳選して公開します。これを読めば、もう迷う時間はゼロになります。

▼ この記事のポイント ▼

  • ✅ 個人事業(本業)と被る内容は絶対に書いてはいけない
  • ✅ 「資産管理」+「コンサル・事務」の組み合わせが最強
  • ✅ 銀行口座を作るなら、目的は10個以内に絞るべし
  • ✅ 最後の「附帯関連する一切の事業」は魔法の言葉

※なお、まだマイクロ法人を設立していない方、全体の戦略マップを知りたい方は、以下の「教科書」を先に読んでおくと理解が深まります。

『【2025年版】マイクロ法人の最強の教科書|個人事業主が「二刀流」で社会保険料を劇的に下げる全手法』

マイクロ法人の事業目的における「3つの鉄則」

具体的な文例を見る前に、絶対に守らなければならない「3つの鉄則」を頭に叩き込んでください。ここを無視して文例だけコピペすると、マイクロ法人の最大の目的である「節税(社保削減)」が、税務否認という最悪の形で失敗に終わるリスクがあります。

行政書士として数多くの定款を見てきましたが、失敗する人は例外なく、ここを「なんとなく」で済ませています。

[画像指示: 二つの円が重なっているベン図のイラスト。左の円が「個人事業」、右の円が「マイクロ法人」。重なっている部分(共通の事業)に大きく「NG(危険!)」と書かれている (推奨ファイル名: business-purpose-overlap-risk.jpg, alt: 個人事業とマイクロ法人の事業重複リスク)]

【鉄則1】個人事業(本業)と「被る」内容は書いてはいけない

マイクロ法人の事業目的を決める上で、最も重要なルール。それは「個人事業(本業)で行っている事業内容は、法人の定款に入れない」ということです。

例えば、あなたがフリーランスの「Webデザイナー」だとします。個人事業でWeb制作の売上を上げているにもかかわらず、マイクロ法人の定款にも「Webサイトの企画・制作」と入れてしまうとどうなるか。

税務調査が入った際、調査官はこう考えます。

👨‍⚖️

実録:税務調査官の視点

調査官:「社長、個人でも法人でもWeb制作をやっていますね? どちらも財布はあなた一つ。つまり、利益が出そうな案件だけ税率の低い法人に付け替えて、利益調整(租税回避)をしているのではありませんか?」

あなた:「い、いえ、たまたま法人の仕事として受けたもので…」

調査官:「実態は同じですよね? 法人の売上として認められません。個人の所得として合算して課税します。あと、重加算税もいただきますね。」

こうなれば一巻の終わりです。マイクロ法人はあくまで「本業とは別の、小規模なビジネスを行う箱」として運用しなければなりません。したがって、本業がデザイナーなら、法人は「資産管理」や「物販」など、全く別のジャンルにするのが鉄則です。この「住み分け」が、あなたの資産を守る防波堤になります。

【鉄則2】実体がなくてもOKだが「具体性」は必要(法務局対策)

2つ目の鉄則は、「具体性」です。

会社法第27条では、定款に「目的」を記載することが義務付けられており、法務局の登記実務では「明確性(誰が見てもわかるか)」が審査されます。

よくある失敗が、カッコつけて抽象的な言葉を使ってしまうケースです。
❌ 「世界を平和にする事業」
❌ 「みんなを笑顔にするサービスの提供」
これらは理念としては素晴らしいですが、登記用語としては「意味不明」として却下されます。

逆に、「将来やるかどうかわからないけど、とりあえず書いておく」のはOKです。これを「休眠目的」と呼びますが、法的には全く問題ありません。AmazonやGoogleの定款を見ても、今はやっていない事業がたくさん書かれています。重要なのは「今やっているか」ではなく、「もしやる時に、何をするかが明確にわかる言葉か」です。

次章から紹介する文例は、すべて法務局での登記実績がある「適法な文言」ですので、安心して使ってください。

※なお、事業目的が決まれば、次は「役員報酬」の決定が必要です。事業内容に見合った適切な報酬設定(月額4.5万円など)のロジックについては、以下の記事で詳しく解説しています。

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【そのまま使える】マイクロ法人・資産管理会社の文例集(投資・不動産)

ここからは、マイクロ法人の王道である「資産管理会社(プライベートカンパニー)」として設立する場合の鉄板文例を紹介します。

多くのマイクロ法人は、このカテゴリを中心に構成します。なぜなら、投資や資産管理は「労働集約型」ではないため、本業が忙しい個人事業主でも片手間で管理でき、かつ「本業との被り」を回避しやすいからです。

[画像指示: 株価チャートや不動産のアイコン、ビットコインのマークなどが並んでいるイラスト。「資産管理会社の事業目的」というタイトルがついている (推奨ファイル名: asset-management-business-purpose.jpg, alt: 資産管理会社の事業目的イメージ)]

株式投資・FX・暗号資産(仮想通貨)の事業目的

株式、投資信託、FX、そして暗号資産(仮想通貨)の運用を行う場合の文言です。特に暗号資産は、個人で保有すると「雑所得(最大55%課税)」となるため、法人化して運用するメリットが非常に大きい分野です。

以下の文言を組み合わせて記載してください。

📋 投資・金融系の文例

1. 有価証券の保有、運用、売買及び投資
(※株や投資信託をやるなら必須の基本フレーズです)

2. 金融商品取引法に基づく有価証券及びデリバティブ取引に係る投資顧問業
(※FXなどを行う場合に含めておくと無難です)

3. 外国為替証拠金取引業
(※FXに特化する場合の記載です)

4. 暗号資産(仮想通貨)の交換、保有、運用及び売買
(※ビットコインなどの運用益を法人に入れたい場合に必須です。「仮想通貨」という言葉もまだ通じますが、法律用語である「暗号資産」と書くのがスマートです)

不動産投資・賃貸管理の事業目的(※宅建業の有無に注意)

不動産投資もマイクロ法人の定番です。ただし、ここで注意が必要なのは、「自分が持っている物件を貸す(大家業)」のか、「他人の物件を売買・仲介する(不動産屋)」のかで、必要な許認可が全く異なる点です。

マイクロ法人の場合、ほとんどが前者(大家業)でしょう。その場合、宅建業免許は不要です。誤って「仲介」「代理」などの言葉を入れてしまうと、法務局は通っても、銀行融資の際に「宅建免許は持っていますか?」と突っ込まれる原因になります。

📋 不動産系の文例

5. 不動産の保有、売買、賃貸及び管理
(※自社物件を貸す・売る・管理するための基本フレーズ。これさえあれば大家業はOKです)

6. 駐車場の経営
(※空き地をコインパーキング等にする可能性がある場合)

7. 民泊事業及び宿泊施設の経営
(※Airbnbなどで民泊を行う場合。別途、旅館業や住宅宿泊事業法の届出が必要になります)

【NG例:書いてはいけない言葉】
❌ 不動産の「仲介」「斡旋」「代理」
(※これらは宅地建物取引業の免許が必要な行為です。免許を取る予定がないなら書いてはいけません)

【サブにおすすめ】売上を作りやすい実務系の文例集

資産管理だけでは、設立当初の売上が立ちにくい場合があります。そこで、少しでも収益機会を広げるために、手間がかからず、かつマイクロ法人の「ついで」にできる実務系の事業目的もセットで入れておくのが戦略的です。

[画像指示: ノートパソコンと書類のイラスト。「コンサルティング」「事務代行」などのタグがついている (推奨ファイル名: consulting-admin-services.jpg, alt: 実務系事業目的のイメージ)]

経営コンサルティング・事務代行・Webメディア運営

ここでは、設備投資が不要で、知識やスキルをお金に変えやすい事業をピックアップしました。特に「事務代行」は、配偶者を役員にして、実際の経理作業などを行ってもらう際の名目として非常に有効です。

📋 実務・サービス系の文例

8. 各種コンサルティング業務
(※経営、IT、人事など。範囲が広く使い勝手が良い万能ワードです。「〇〇に関するコンサルティング」と限定しても良いですが、単に「各種」としておく方が潰しが効きます)

9. 経理事務及び給与計算事務の代行
(※妻や家族を役員にし、事務作業の対価として売上を立てる場合に有効です)

10. インターネットを利用した各種情報提供サービス
(※ブログのアフィリエイト収入や、YouTube収益などを法人に入れる場合に最適です)

11. 書籍・電子出版物の企画、編集、制作及び販売
(※Kindle出版やnote販売などを行う場合)

12. 古物の売買及びその受託販売
(※いわゆる「せどり」や、不用品をメルカリ等で売る場合。ただし「古物商許可」が別途必要になります)

最後の「魔法の言葉」ですべてをカバーする方法

ここまで様々な文例を挙げましたが、将来何が起こるかは誰にもわかりません。「あ、これもやってみたい」と思った時に、定款に書いていないからといって諦めるのか。あるいは、数万円払って定款変更登記をするのか。

そんな事態を防ぐために、必ず定款の最後の項目(末尾)に入れておくべき「魔法の言葉」があります。

✨ 魔法の言葉(必須)

前各号に附帯関連する一切の事業

この一文があるだけで、上記で挙げた事業に関連するビジネスであれば、何をやっても「定款の範囲内」と解釈することが可能になります。例えば、「不動産賃貸」しか書いていなくても、この一文があれば「入居者向けの清掃サービス」なども「附帯関連する事業」として正当化できるのです。

これは会社設立における「お守り」のようなものです。入れ忘れると後悔しますので、必ずリストの最後に追加してください。

💡 3秒でわかるまとめ

  • 投資系は「有価証券の保有」、不動産は「賃貸・管理」が基本。
  • 「仲介」など免許が必要な言葉は、予定がないなら書かない。
  • 最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」を必ず入れる。

失敗しないためのQ&A(数・許認可・変更コスト)

文例を選んだら、あとは定款に並べるだけ…ではありません。実は、事業目的の「並べ方」や「数」によって、会社設立後の最初の難関である「法人口座開設の審査」に落ちるリスクがあるのをご存知でしょうか?

銀行は、あなたの会社の定款を見て「この会社は怪しくないか?」「マネーロンダリングのペーパーカンパニーではないか?」を厳しくチェックしています。ここでは、銀行審査をクリアし、かつ将来の無駄な出費を防ぐためのQ&Aを解説します。

[画像指示: 銀行の窓口担当者が、定款(事業目的欄)を虫眼鏡で厳しくチェックしているイラスト。NG項目に「×」がついている (推奨ファイル名: bank-account-screening-check.jpg, alt: 法人口座開設審査と事業目的)]

事業目的は「何個」書くのがベスト?(銀行審査の壁)

Q. 将来やりそうなことは全部書いておこうと思い、30個くらいリストアップしました。全部載せてもいいですか?

A. 全力で止めます。推奨は「5個〜10個以内」です。

法的には、事業目的の数に制限はありません。100個書いても登記は通ります。しかし、銀行口座の審査担当者はこう考えます。

🏦

銀行審査マンの本音

「設立したてで、資本金も少ない会社が、なんで『不動産』と『宇宙開発』と『タピオカ屋』と『アプリ開発』を同時にやるんだ? 事業の実態が見えない。怪しい資金移動(マネロン)に使われる恐れがあるな。今回は見送ろう(審査落ち)。」

これが現実です。特にネット銀行(楽天銀行、GMOあおぞらネット銀行、住信SBIネット銀行など)は、対面での面談がない分、書類審査がシビアです。「何で稼ぐ会社なのか」が一目でわからない定款は、リスク要因とみなされます。

また、事業目的が多すぎると、謄本(履歴事項全部証明書)の枚数が増え、取得するたびにコピー代や手数料が無駄にかかるという地味なデメリットもあります。「メインの資産管理」+「サブの実務」+「将来の予備」で、合計10個以内に収めるのが、最もスマートな経営者の判断です。

「古物商」や「宅建」など許認可が必要な目的の注意点

Q. とりあえず「中古品の売買」や「人材派遣」も入れておこうと思いますが、許可を取る予定はありません。大丈夫ですか?

A. 違法ではありませんが、銀行審査で「許可証を見せて」と言われるリスクがあります。

事業目的に許認可が必要な業種(古物商、宅地建物取引業、労働者派遣業、有料職業紹介業など)が記載されている場合、銀行によっては「この事業を行うための許可証はありますか?」と確認を求めてくることがあります。

その際、「いや、定款に書いただけで、当面やる予定はありません」と説明して納得してくれる銀行なら良いですが、担当者によっては「無許可営業の疑いあり」としてコンプライアンス部門に回され、審査が長期化したり、否決されたりすることがあります。

特に以下のキーワードには注意が必要です。
・「古物の売買」(古物商許可)
・「不動産の売買・仲介」(宅建業免許)
・「労働者派遣事業」(派遣業許可)
・「旅行業」(旅行業登録)

これらは、直近1〜2年以内に着手する予定がないのであれば、あえて書かない方が口座開設はスムーズに進みます。後から本当にやりたくなったら、その時に定款変更すればいいのです。

なお、定款変更には「登録免許税3万円」がかかりますが、口座が作れない機会損失に比べれば安い経費です(※合同会社でも株式会社でも、目的変更のコストは一律3万円です)。

💡 3秒でわかるまとめ

  • 目的が多すぎると「怪しい会社」認定されて口座が作れない。
  • 許認可系は、許可を取る予定がないなら書かないのが無難。
  • 後から追加するには3万円かかるが、審査落ちよりはマシ。

あなたが得られる未来(まとめ)

最適な「看板」を掲げ、堂々と二刀流をスタートさせよう

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。これで、あなたのマイクロ法人の「事業目的」は決まりました。

事業目的は、会社の「看板」です。適切な看板を掲げることで、税務署からの疑いを避け、銀行からの信用を得て、スムーズに事業をスタートさせることができます。逆に、適当な看板を掲げると、入口(登記や口座開設)でつまづき、無駄な時間と労力を浪費することになります。

あなたはもう、正解(鉄板文例)を知っています。あとは、それを選んで定款に記載するだけです。難しく考える必要はありません。先輩たちが切り拓いた安全な道を、堂々と歩いてください。

事業目的が決まったら、次は実際に定款を作成し、設立登記へと進みましょう。最短ルートで設立するためのロードマップは、ピラーページで全て公開しています。

🚀 今日から始める「3つの行動」

  • 本記事の文例から、自分に合うものを3〜5個ピックアップする
  • 最後に「附帯関連する一切の事業」を追加する
  • 事業目的の記載内容に不安があるなら、専門家に無料で相談してみる

自分一人で悩んで、時間を無駄にしていませんか?
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