助成金に有利な定款の目的の書き方とは？健康経営で数百万変わる戦略

行政書士　小野馨

こんにちは。行政書士の小野馨です。

今回は、定款の目的の書き方とタイミングだけで、数百万円の助成金が受けられるかどうか天と地ほどの差が出るというお話をします。

これ経営者としては、絶対に知っておいてほしいことなので、ぜひ、最後まで聞いてくださいね。

これから会社を作ろうとしているあなたにとって、助成金が入るかどうかは、かなり大きな関心事ですよね。

経営に使える助成金があるなら、その情報知りたくないですか？

ネット上の例文をそのまま使うのも悪くはありませんが、定款の目的を適切に作らなかったことで本来もらえるはずの助成金がもらえなかったり、後から変更の手続きで余計な費用がかかったりすることがあるんですね。

これは知っておいて絶対に損はないですよ。

さらに会社設立した後に最も怖いのは、従業員の離職やメンタル不調による労務リスクです。

その辺の経営課題も解決できる、国の助成金を活用して、実質負担ゼロで『最強のメンタル管理体制』を作ることもできるんです。

そのための情報をこの記事でお伝えしていますので、お忙しいと思いますが、時間をとってこの記事を見てください。

ちなみにその最強戦略である、健康経営については

健康経営とは？簡単にわかりやすく言うと離職を防ぎ業績を上げる最強の生存戦略

この記事も抑えてください！

助成金に有利な定款の目的の書き方

会社設立の準備、お疲れ様です。

行政書士として多くの起業家をサポートしてきましたが、書類作成の中でも特に頭を悩ませるのが「事業目的」ですよね。

「将来やるかもしれないことも書いておけ」とはよく言われますが、実はここ、「助成金」を取りに行くための最初の分岐点なんです。

ここでは、ただの形式的な手続きで終わらせず、将来のキャッシュフローを生むための「戦略的な書き方」を解説していきます。

会社設立時の事業目的と助成金

会社設立時に作成する定款の「事業目的」は、その会社が何をして収益を上げるのかを対外的に宣言するものです。

単なるビジネスリストのように思われがちですが、実はこれが、助成金の審査において非常に重要な意味を持ちます。

なぜ助成金審査で定款を見るのか？

多くの助成金、特に厚生労働省管轄の雇用関係助成金は、会社の取り組み（雇用環境の改善や制度導入など）に対して支給されます。

申請時には、会社の実在性や事業内容を確認するために、必ずと言っていいほど「登記事項証明書（履歴事項全部証明書）」の提出を求められます。

このとき、審査官は「申請内容」と「定款の目的」に整合性があるかどうかを厳しくチェックします。

整合性がない場合のリスク

逆に、全く関連性のない目的しか記載されていない場合、どうなるでしょうか。

例えば、IT開発のみを目的に掲げている会社が、突然「健康経営コンサルティング事業」に関する助成金を申請したとします。

最悪の場合、「定款の目的を変更してから再申請してください」と言われることもあります。

これでは、本来ならスムーズに受給できたはずの資金が、数ヶ月遅れることになってしまいます。

だからこそ、設立の段階から「取りに行きたい助成金」を見据えて目的を書いておく必要があるのです。

定款の目的に入れるべき例文

「じゃあ、具体的に何を書けばいいの？」と思いますよね。行政書士としての経験上、2025年現在、最も汎用性が高く、かつ多くの助成金や融資制度に絡んでくるキーワードはズバリ「健康経営」です。

以下の例文を、あなたの会社の事業目的の末尾に追加してみてください。

これらは非常に汎用性が高く、様々な業種で違和感なく使用できます。

これらの条項を入れておくことで、将来的に「人材確保等支援助成金」などを申請する際、「定款にも記載がある通り、当社は創業時から従業員の健康管理を重要視しています」と胸を張って言えるようになります。

たったこれだけのことで、審査官の心証は大きく変わるものです。

電子定款なら変更費用も削減

「定款なんて後から変えればいいや」と思っている方、ちょっと待ってください。

その油断が、無駄な出費を生みます。

定款の目的を変更するには、株主総会の特別決議を経て、法務局で変更登記をする必要があります。

見えないコスト「登録免許税」の重み

会社設立時の電子定款で印紙代4万円が浮いたと喜んでいる場合ではありません。

定款変更の登記申請には、なんと登録免許税が3万円もかかります。

これは、たった一行の文章を追加するだけでも発生する税金です。

（出典：法務局『登録免許税の税額表』）

専門家報酬と手間のダブルパンチ

さらに、自分で手続きをするのが難しければ司法書士に依頼することになりますが、そこでも数万円の報酬が発生します。

合計すると、5万円〜10万円近くのコストがかかってしまうのです。

コストだけではありません。

定款変更には「株主総会議事録」の作成や、法務局への申請、そして登記完了までの待ち時間（1週間〜2週間）が必要です。

もし、「来週締め切りの助成金に申請したい！」と思った時に定款変更が必要だと判明したら…間違いなく間に合いません。

電子定款で会社設立時の印紙代4万円を節約しても、すぐに定款変更で3万円払っていては本末転倒ですよね。

最初から書いておけば0円です。

これから電子定款を作成するのであれば、追加のコストはゼロです。

今のうちに将来使うかもしれない「カード」を定款の中に仕込んでおくのが、賢い起業家の戦略と言えるでしょう。

採用力強化と定款の記載

定款は誰でも閲覧できる（登記事項証明書を取得すれば見られる）公的な書類です。

最近の求職者、特にリテラシーの高い層は、応募企業の信頼性を確認するために登記情報をチェックすることがあります。

「ブラック企業」を避ける求職者心理

特に最近の若い世代は「ブラック企業」を極端に警戒します。

「使い捨てにされるのではないか」「メンタルを病むまで働かされるのではないか」という不安を持っています。

そんな彼らが企業の登記情報を見たとき、定款の目的に「従業員の健康保持増進」といった文言が入っていたらどう思うでしょうか。

これは対外的に「この会社は創業の憲法レベルで人を大切にすることを定めている」という強いメッセージになります。

採用サイトに美辞麗句を並べるよりも、法的文書である定款に明記されている事実の方が、圧倒的に信頼性が高いのです。

採用コスト削減への波及効果

優秀な人材からの信頼を得られれば、採用のミスマッチが減り、定着率が向上します。

結果として、高額な人材紹介手数料や求人広告費を削減することにつながります。

定款の目的欄は、実は最強の採用ブランディングツールでもあるのです。

健康経営優良法人の認定メリット

定款に健康経営関連の記述を入れることは、「健康経営優良法人」の認定を目指す第一歩にもなります。

これは経済産業省が推進する制度で、認定されると以下のような実利的なメリットがあります。

具体的なインセンティブ

• 融資の金利優遇：多くの地方銀行や信用金庫が、認定企業に対して低利融資商品を用意しています。創業期において、0.1%でも金利が下がるのは大きなメリットです。
• 公共調達の加点：自治体や官公庁の仕事を入札する際、評価点に加算される場合があります。BtoG（対行政）ビジネスを考えているなら必須級の資格です。
• 保険料の減免：一部の保険会社で、法人向けの保険商品の保険料が割引になることがあります。

（出典：経済産業省『健康経営優良法人認定制度』）

中小企業こそ認定を狙うべき理由

「うちはまだ小さいから関係ない」と思っていませんか？

実は、中小規模法人部門（ブライト500など）こそ、認定取得によるブランディング効果が高いんです。

大企業はやって当たり前ですが、スタートアップで取得している企業はまだ少数派。

だからこそ目立ちます。

定款への記載は、この認定取得に向けた「経営トップの宣言（コミットメント）」の証拠として活用できます。審査書類に「定款にも記載済み」と書ける強さは計り知れません。

融資審査における定款の重要性

創業融資を受ける際、日本政策金融公庫や銀行の担当者は必ず定款（および登記簿謄本）を確認します。

ここで彼らが見ているのは、単なる事業内容だけではありません。

「事業の実現可能性」と「経営者の資質（ガバナンス能力）」を見ています。

「ヒト」のリスク管理能力が評価される

流行りのキラキラしたビジネスを羅列しているだけの定款よりも、組織基盤やリスク管理（メンタルヘルス対策など）に関する条項が入っている定款の方が、

「この経営者は足元もしっかり見ているな」「従業員が倒れるリスクまで想定して経営しようとしているな」という印象を与えます。

定款を活用した健康経営と助成金

さて、定款に良いことを書いただけで満足してはいけません。ここからは、その定款を武器にして、具体的にお金（助成金）や組織の強さを手に入れるための実践編です。

特に創業期に使える制度と、それをクリアするための裏ワザ的な手法についてお話しします。

創業時に狙い目の助成金の種類

創業間もない会社でも狙える、健康経営や労働環境改善に関連する主な助成金には以下のようなものがあります。

これらは「知っているか知らないか」だけで数百万円の差がつきます。

人材確保等支援助成金（雇用管理制度助成コース）

この助成金は、魅力ある職場づくりをして離職率を低下させた企業に支給されます。

具体的には、「健康づくり制度（メンタルヘルス研修など）」を含む雇用管理制度を導入し、一定期間運用した後、離職率が目標値まで下がっていれば支給されます

（例：57万円など、年度により変動あり）。

定款に「健康保持増進」の記載があれば、制度導入の根拠として説得力が増しますし、計画届を出す際にもスムーズです。

働き方改革推進支援助成金（労働時間短縮・年休促進支援コース）

これは、生産性を向上させて残業を減らしたり、有給休暇を取りやすくしたりするための取り組み（設備投資など）を支援するものです。

成果目標の達成状況に応じて、最大数百万単位の助成が受けられる可能性があります。

「PCやソフトウェアを導入して業務効率化したい」という場合、それが「労働時間の短縮」に繋がるなら対象になり得ます。

ここで、「従業員の健康管理（ストレスチェックやサーベイ）」も、生産性向上のための施策として位置付けられます。

（出典：厚生労働省『事業主の方のための雇用関係助成金』）

※助成金の要件は年度によって頻繁に変更されます。

必ず申請前に最新の要領を確認するか、社会保険労務士等の専門家へ相談してください。

生産性要件を満たす健康管理

多くの助成金には「生産性要件」というものがあります。

これは、助成金を支給する条件として、助成金を受け取る前と後で「会社の生産性が一定以上（例えば6%以上）向上していること」を求めるものです。

健康と生産性の密接な関係

ここで重要なのが、「従業員の健康管理は生産性向上に直結する」という視点です。

メンタル不調による休職（アブセンティーズム）はもちろんですが、もっと怖いのは「出勤しているけれど調子が悪い、集中できない」という状態、いわゆる

「プレゼンティーズム」

です。研究によると、プレゼンティーズムによる経済的損失は、医療費や休職コストよりもはるかに大きいと言われています。

定款の目的が数値成果に変わる瞬間

逆に言えば、科学的なアプローチでストレス管理を行い、従業員の集中力やコヒーレンス（心身の調和状態）を高めることは、そのまま「生産性要件」をクリアするための施策になり得るのです。

「定款に書いた目的（健康経営）を実行に移したら、売上や利益率（生産性）が上がった」というストーリーを作ることが、助成金受給の王道です。

安全配慮義務とリスク対策

ここで一つ、怖い話をします。定款に「従業員の健康保持増進」と書いたのに、実際には何もしていなかった場合どうなるでしょうか？

法的義務としての「安全配慮」

会社には法律上、「安全配慮義務（労働契約法第5条）」があります。

これは「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」という義務です。

不作為（何もしないこと）のリスク

もし従業員が過労やストレスで倒れ、訴訟になったとします。

その時、定款に「従業員の健康保持増進」という目的が掲げられていたら、裁判官はどう判断するでしょうか。

「この経営者は、健康管理の重要性を認識し、会社の目的として掲げていた。それにもかかわらず、具体的な対策を怠った（不作為）」

こう判断され、経営者の責任がより厳しく追及されるリスクがあります。損害賠償請求額は数千万円から、場合によっては億単位になることもあります。

実態を作る低コストな導入手法

「実績が必要なのはわかったけど、創業期に高いコンサル料なんて払えないよ…」と思いますよね。私もそう思います。創業時は1円でも現金を残したい時期です。

大企業と同じやり方は不可能

大企業であれば、専属の産業医と契約したり、EAP（従業員支援プログラム）を導入したりしますが、これらは月額数万〜数十万円の固定費がかかります。スタートアップには重すぎます。

デジタルツールで「安く・確実に」実績を作る

そこで、多くの賢いスタートアップが導入しているのが、ITツールや科学的メソッドを活用した低コストな実績作りです。今は、ウェアラブルデバイスやアプリを使って、従業員のストレス状態を可視化できる時代です。

例えば、「ハートマスメソッド（HeartMath）」のような、心拍変動（HRV）を利用してストレス状態を可視化・管理できるツールであれば、高額な産業医契約を結ばなくても、従業員のメンタルケアに取り組んでいるという客観的な記録を残すことができます。

定款に掲げた理念を、絵に描いた餅にせず、かつ最低限のコストで「実利（助成金申請の根拠資料など）」に変えるための具体的な手法については、以下のページで詳しく解説しています。創業期の予算でも十分に導入できる内容ですよ。

▶ 定款の理念を低コストで「実利」に変える：科学的メンタル管理「ハートマス」の導入法

助成金申請に役立つ実績作り

最後に、助成金申請の現場の話をします。労働局などの審査機関は「書類上の整備」だけでなく「実態」を非常に重視します。「メンタルヘルス対策をやっています」と口で言うだけでは、審査には通りません。

何が「証拠」になるのか？

具体的には、以下のような「エビデンス（証拠）」の提出を求められることがあります。

• メンタルヘルス研修を行った際の日時、カリキュラム、参加者リスト、写真
• 従業員へ「健康相談窓口」や「制度」を周知した社内メールや掲示物の写し
• 従業員が実際にストレスチェックやトレーニングを行った具体的な利用データやログ

事務作業が苦手な人こそデジタルへ

紙で管理していると、「あの時の記録どこだっけ？」となりがちです。先ほど紹介したようなデジタルツールを使ってデータを残しておけば、これらがそのまま「制度を運用している動かぬ証拠」になります。ツールからCSVデータを吐き出して提出するだけで済む場合もあります。

事務作業が苦手な経営者こそ、記録が自動化できるデジタルツールを活用し、助成金申請のハードルを下げるべきです。

定款の目的の書き方と助成金戦略

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。会社設立はゴールではなく、長い経営のスタート地点です。電子定款を選択して4万円を節約できたあなたは、すでにコスト意識の高い、優秀な経営者としての資質を持っています。

その浮いたコストと賢い知恵を使って、定款にたった数行の「魔法の言葉（健康経営に関する目的）」を書き加えてください。そして、それを裏付ける低コストな仕組み（ハートマスなど）を導入しましょう。

たったこれだけの準備で、将来受け取れる助成金の可能性が数百万円規模で広がり、法的リスクを回避し、採用や融資でも有利に立てます。自分で定款を作るからこそできる、この「最強の創業戦略」を、ぜひ今日から実践してみてください。

ここまで定款の作成方法を解説してきましたが、最近のトレンドとして「健康経営」に関する条項を盛り込む起業家が急増しています。

「健康経営」とは、従業員の健康管理をコストではなく「投資」と捉え、生産性向上や株価アップにつなげる経営手法のことです。 「大企業の話でしょ？」と思われるかもしれませんが、実は採用難に苦しむ中小企業やスタートアップこそ、この戦略が生存率を左右する鍵となります。電子定款で浮いたコストを、最もリターンの高い「組織づくり」に投資してみませんか？

なぜ今、定款に「健康」を書くのか？3分でわかる「健康経営」のメリットと導入方法

会社設立や電子定款認証のスペシャリスト！開業17年・年間実績500件以上。実は、電子定款の制度ができた10年以上前から電子定款認証の業務を行なっているパイオニアです！他との違いは、まず定款の完成度！内容はモデル定款のモデルと言われ全国数百箇所の公証人の目が入っている優れもの！そして電子署名はまるでサインのようなかっこいい電子署名です！その電子定款であなたの大切な会社設立を真心込めて応援します！