会社設立

会社設立に必須の定款とは?作成費用や認証の流れを行政書士が解説

行政書士 小野馨

こんにちは!
1番わかる電子定款の教科書を運営している、行政書士の小野馨です。

今回は、定款について解説します!

それでは、はじめましょう!

これから自分の会社を作ろうと意気込んでいるあなた、準備を進める中でこんな風に思っていませんか?

「定款(ていかん)ってそもそも何?」「法律の用語って難しそうだし、自分で作れるのかな?」と。初めて聞く法律用語や手続きに戸惑ってしまうのは、経営者としての第一歩を踏み出した証拠であり、当然のことですよ。

実は定款は、会社の目的や組織のルールを決める、人間で言えば「背骨」や「性格」にあたる、とっても大事な書類なんです。作成にはどうしても費用や印紙代がかかりますし、株式会社であれば公証役場での認証という厳格な手続きが必要な場合もあります。でも、安心してください。最近では「電子定款」という方法を使えば、コストを賢く抑えることもできるんですよ。

この記事では、定款の基本から具体的な書き方、認証の手続きの流れ、そして行政書士だからこそ知っている賢い費用の抑え方まで、専門家の視点で徹底的にわかりやすくお話ししますね。最後まで読んでいただければ、モヤモヤしていた定款への不安が、「これなら自分でもできる!」という確信に変わるはずです。

  • 定款の法的な役割と、なぜ会社法において最も重要な書類とされるのかが理解できる
  • 株式会社と合同会社における定款作成の違いや、認証手続きの具体的な流れがわかる
  • 定款に必ず記載すべき「絶対的記載事項」の詳細と、事業目的の書き方のコツがわかる
  • 電子定款を活用して収入印紙代4万円を節約する具体的な仕組みと手順がわかる

会社設立に必須となる定款の基礎知識

会社を作るとき、絶対に避けて通れないのがこの「定款」の作成です。なんとなく「難しそう」「面倒くさそう」というイメージがあるかもしれませんが、要はこれからあなたが作る会社の「ルールブック」を形にする作業なんですよ。ここでは、そもそも定款とは法的にどういう位置づけなのか、どんなことを書く必要があるのかといった基本から、会社の種類による手続きの違い、そして認証の流れまでを、専門用語を噛み砕いて詳しく解説しますね。

会社の憲法である定款とは何か

定款(ていかん)を一言で表現するならば、それはまさに「会社の憲法」です。日本という国に「日本国憲法」という最高法規があり、すべての法律や国の運営がそれに従っているように、会社という組織にも「どんな事業をしていくのか」「本店はどこに置くのか」「株主総会はどう運営するのか」といった、組織運営の根幹となるルールが必要なんですね。

会社法という法律によって、会社(株式会社、合同会社、合名会社、合資会社すべて)を設立するときには、発起人(創業者)全員の同意のもとで必ず定款を作成しなければならないと決まっています。これは単なる社内向けのメモやルールブックではなく、法務局に設立登記を申請する際にも、必ず添付書類として提出が求められる公的な書類なんですよ。

なぜここまで定款が重要視されるのでしょうか。それは、会社というものが「法人」、つまり法律によって人と同じような権利能力を与えられた存在だからです。人間は生まれたときから個性を持っていますが、法人は定款によって初めて「商号(名前)」、「目的(活動内容)」、「本店の場所(住所)」、「機関設計(脳や手足の役割)」といった個性を獲得します。

定款がないと、会社は法的に生まれることすらできません。会社の骨格を作り、魂を吹き込むための超重要書類だと覚えておいてくださいね。

また、定款には「定款自治」という原則があります。これは「会社法などの強行規定(絶対に守らなければならない法律)に反しない限り、会社は自分たちのルールを自由に決めていいですよ」というものです。例えば、取締役の任期を通常の2年から10年に延ばしたり(非公開会社の場合)、株主総会の招集通知をメールで送れるようにしたりと、自分たちの使いやすい会社にするための設計図でもあるんです。

ただし、一度決めた定款の内容は、後から「やっぱり変えたいな」と思っても簡単には変更できません。定款を変更するには、株主総会を開いて「特別決議」(議決権の過半数を持つ株主が出席し、その3分の2以上の賛成が必要など、普通の決議より厳しい条件)を経る必要がありますし、変更内容によっては法務局での変更登記手続きと登録免許税(通常3万円)が必要になります。

だからこそ、「とりあえず適当に作っておけばいいや」ではなく、最初の設立段階でしっかりと将来のビジョンを見据えた内容にしておくことが、無駄なコストと手間を省くために何より大切なんですよ。

株式会社と合同会社で異なる定款の特徴

「定款を作る」という作業自体はどの会社形態でも同じですが、あなたが「株式会社」を作るのか、それとも「合同会社」を作るのかによって、その後の手続きの重みや定款の自由度が少し違ってきます。これから会社を作るなら、どっちの手続きが自分に合っているのか、気になりますよね。

まず、圧倒的に数が多い株式会社の場合からお話しします。株式会社の定款における最大の特徴は、作成した定款について公証役場で「公証人の認証」を受ける必要があるという点です。これは、法律の専門家である公証人が「この定款の内容は会社法に違反していませんよ」「発起人が本当に自分たちの意思で作ったものですよ」ということをチェックし、お墨付きを与える手続きのことです。この認証を受けないと、定款としての効力が発生せず、法務局での登記申請も受理されません。つまり、第三者の厳しいチェックが入るわけですね。

一方で、最近増えている合同会社(LLC)の場合はどうでしょうか。合同会社でも定款の作成は必須ですが、なんと公証役場での認証は不要なんです。自分たちで定款の内容を決めて、パソコンで作成し、社員(出資者)全員が署名または捺印すれば、それで法的に有効な定款として完成します。そのまま法務局への登記申請に使えてしまうんです。

会社形態定款作成公証役場の認証認証手数料特徴
株式会社必須必要約3万~5万円第三者(公証人)のチェックが入るため、対外的な信用力が担保されやすい。
合同会社必須不要0円手続きがシンプルでスピーディー。定款の設計自由度が非常に高い。

このように比較すると、合同会社の方が手続きも費用もスリムに進められるのがわかりますね。認証手数料がかからない分、設立コストを数万円単位で節約できるのは大きなメリットです。

また、定款の中身(ルール)についても違いがあります。株式会社は、所有(株主)と経営(取締役)が分離しているのが原則なので、株主を守るために会社法で「こうしなさい」と決められているルールが比較的多いです。対して合同会社は、出資者=経営者であることが基本なので、「利益の配分を出資比率ではなく自由に決める」といった、内部関係に関するルールの自由度(定款自治の範囲)が株式会社よりも広く認められています。

「じゃあ合同会社の方がいいじゃん!」と思うかもしれませんが、認証がないということは、誰も内容のミスを指摘してくれないということでもあります。法務局の登記審査で定款の不備が見つかって突き返される、なんてことにならないよう、合同会社の場合こそ慎重に定款を作り込む必要がありますよ。

定款の絶対的記載事項と目的のルール

定款は自由に書いていいと言いましたが、実は「これを書いていないと定款全体が無効になってしまう」という超重要な項目があります。これを専門用語で「絶対的記載事項」と呼びます。ここを書き漏らすと、公証人の認証も受けられませんし、法務局での登記も絶対に通りません。まさに定款の心臓部分です。

【これだけは絶対に書く!】定款の絶対的記載事項

  • 商号(会社名):株式会社〇〇、などの正式名称です。使える文字種(漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、アラビア数字など)にもルールがあります。
  • 目的(事業内容):その会社が何をして稼ぐのか、具体的なビジネスの内容です。
  • 本店の所在地:会社の住所です。定款上は最小行政区画(例:東京都千代田区)まででOKですが、番地まで書くことも可能です。
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額:資本金としていくら用意するのか、または最低いくら以上とするのかを記載します。
  • 発起人(出資者)の氏名または名称および住所:誰がお金を出して会社を作るのかを明確にします。印鑑証明書通りの正確な記載が必要です。
  • 発行可能株式総数(※):会社が将来発行できる株式の上限数です。(※これは厳密には設立登記の時までに定款に定めておけばよい事項ですが、実務上は最初から定款に記載するのが一般的です)

この中で特に皆さんが頭を悩ませるのが「目的」かなと思います。「ITコンサルティング」とか「飲食店の経営」のように事業内容を書くわけですが、ここには重要なポイントがあります。それは、「将来やるかもしれない事業もあらかじめ含めておく」ということです。

会社は、原則として定款の「目的」に書かれた範囲内の事業しか行えません(判例上はかなり広く解釈されますが)。もし設立後に新しいビジネスを始めようとして、それが定款に書いていないことだった場合、わざわざ株主総会を開いて定款変更を行い、さらに法務局で変更登記(登録免許税3万円)をしなければなりません。これは時間もお金ももったいないですよね。

だからといって、「なんでもやります」と書けるわけではありません。目的の記載には、以下の3つの要件が求められます。

  • 適法性:法律に違反する事業(例:麻薬の売買、賭博など)は書けません。
  • 営利性:会社は利益を追求する団体なので、ボランティアや寄付のみを目的とはできません。
  • 明確性:誰が読んでもどんな事業かわかる必要があります。「愛を届ける事業」のような抽象的すぎる表現はNGが出る可能性があります。

また、「古物商」や「人材派遣業」、「建設業」など、許認可が必要なビジネスをする場合は要注意です。許認可の申請の際に、「定款の目的に〇〇という文言が入っていること」が条件になることが多いからです。ここを適当に書くと、会社はできたけど営業許可が下りない!なんて悲劇が起きてしまいます。

定款の目的の書き方については、法務局の相談窓口や、私たち行政書士のような専門家に確認するのが一番安心ですよ。

公証役場で行う定款認証の流れ

株式会社を作る方にとって、会社設立手続きの最初の山場となるのがこの「定款認証」です。初めて公証役場に行くときは緊張するかもしれませんが、流れさえ知っておけば大丈夫ですよ。具体的なステップを見ていきましょう。

ステップ1:定款案の作成と事前確認

いきなり公証役場に定款を持ち込むのはNGです。まずは作成した定款(案)を、会社の本店所在地がある都道府県内の公証役場へ送り、事前確認(プレチェック)を受けます。現在は、メールやFAXで対応してくれる公証役場がほとんどです。ここで公証人の先生が「この表現は法的に問題ないか」「誤字脱字はないか」を細かくチェックしてくれます。修正の指示があれば直し、OKが出るまでやり取りをします。この事前確認があるおかげで、当日はスムーズに進むんですよ。

ステップ2:認証日時の予約

事前確認でOKが出たら、実際に公証役場へ行く日時を予約します。設立予定日(登記申請日)から逆算して、余裕を持ってスケジュールを組みましょう。

ステップ3:公証役場での認証(当日)

予約した日時に、発起人(出資者)全員で公証役場へ出向きます。もし発起人が忙しくて行けない場合は、代理人に依頼することも可能です(委任状が必要です)。当日の持ち物は一般的に以下の通りです。

  • 定款(紙で認証する場合):3通(原本、謄本用、会社保存用)
  • 発起人全員の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 発起人の実印(定款に押印したもの)
  • 代理人が行く場合:委任状と代理人の身分証明書、認印
  • 認証手数料などの現金(約5万円程度)
  • 電子定款の場合:空のCD-RやUSBメモリ(データ受け取り用)

公証役場では、公証人の面前で「自分たちの意思で定款を作りました」ということを確認します。問題なければ、定款に公証人の署名・印鑑が押され、認証が完了します。

テレビ電話認証について
最近は、公証役場に行かずにテレビ電話で認証を受けられる制度も整備されています。しかし、これを利用するには事前にマイナンバーカードを使った電子署名の環境設定や、専用システムへの登録などが必要で、一度きりの設立のために準備するのは正直かなり手間がかかります。「やってみたけど結局行くほうが早かった」という声も聞くので、慣れていない方は実際に足を運ぶ方が確実かもしれませんね。(出典:法務省『公証制度に基礎を置く公証人による定款認証』)

ステップ4:定款謄本の受領

認証が終わると、定款の原本が確定し、その写しである「謄本(とうほん)」を受け取ることができます。この謄本は、後の法務局への登記申請や、銀行での法人口座開設時に必ず提出を求められる重要な書類です。電子定款の場合は、暗号化されたデータが入ったメディアを受け取ります。

定款の原本保管と登記への役割

苦労して認証を受けた定款(合同会社の場合は自分たちで完成させた定款)ですが、これは「登記したら終わり」ではありません。会社法第31条により、定款の原本は会社の本店(および支店)に大切に保管・備え置く義務があります。

これは、会社の株主や債権者(会社にお金を貸している人など)から「定款を見せてほしい(閲覧請求)」や「コピーが欲しい(謄本交付請求)」と言われたときに、営業時間内であればいつでも対応できるようにするためです。会社にとっての憲法ですから、関係者が内容を確認できる状態にしておくのは当然の責任なんですね。

そして、会社設立のクライマックスである「設立登記申請」の際にも、この定款は主役級の活躍をします。登記申請書と一緒に、添付書類として法務局へ提出するのです(オンライン申請の場合はPDFなどで送信、紙申請の場合はCD-Rなどに保存して提出することが一般的です)。

法務局の登記官は、提出された定款を見て「資本金はいくらか」「本店はどこか」「目的は何か」を確認し、その内容通りに登記簿(登記事項証明書)を作成します。つまり、定款と登記申請書の内容が一言一句合致していないと、登記は完了しないのです。

紙の定款であれば、汚損や紛失を防ぐために、金庫などの安全な場所に保管することをおすすめします。電子定款の場合は、認証された電子データ(PDF)そのものが原本になりますので、パソコンの中だけでなく、クラウドストレージや外付けハードディスクなど、複数の場所にバックアップをとって厳重に管理してくださいね。定款は、会社が存在する限りずっと付き合っていく、一生のパートナーのような書類なんですよ。

定款作成の費用と電子化のメリット

さて、ここからは皆さん一番気になる、そして経営者としてシビアに見るべき「お金」の話です。定款はお役所に提出する公的な書類なので、どうしても所定の手数料や税金がかかってきます。「会社を作るだけでこんなにお金がかかるの?」と驚かれる方も多いです。でも、やり方次第でこのコストをガクンと下げることができるんですよ。私が行政書士として一番得意とする「電子定款」の話も交えて、プロが教える賢い節約術をお伝えしますね。

定款の作成にかかる費用と印紙代

まず、従来の方法(紙)で定款を作るのに、具体的にどれくらいのお金がかかるのかを整理してみましょう。何も知らずに進めると、以下の費用が財布から飛んでいきます。

費目金額対象・備考
収入印紙代40,000円紙の定款原本に貼付(必須)。株式会社・合同会社問わず発生。
公証人手数料30,000円~50,000円株式会社のみ。資本金額によって変動。
・100万円未満:3万円
・100万円以上300万円未満:4万円
・300万円以上:5万円
定款の謄本交付手数料約2,000円株式会社のみ。ページ数によって変動(1枚250円)。

この表を見て、特に「高いな!」と感じるのが、一番上の「収入印紙代 40,000円」ではないでしょうか。これは定款認証の手数料とは別にかかる税金(印紙税)です。
紙で作った定款の原本は、印紙税法上の「課税文書(第6号文書)」という扱いになります。そのため、作成した定款に4万円分の収入印紙を貼り、消印をすることが法律で義務付けられているのです。

株式会社を作る場合、認証手数料(約5万円)と印紙代(4万円)を合わせて、定款だけで約9万円のコストがかかります。公証役場の認証が不要な合同会社であっても、紙で定款を作ればこの印紙代4万円は絶対に逃れられません。「事業資金に使いたい大事な4万円が……」と嘆きたくなる気持ち、よくわかります。

(出典:国税庁『No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで』※定款は第6号文書ですが、印紙税の全体像として参照)

収入印紙代が不要になる電子定款

ここで救世主として登場するのが、私の専門分野である「電子定款(でんしていかん)」です。これは名前の通り、紙ではなくPDFなどの電子データで作成・署名された定款のことです。

なぜ電子定款だとお得なのか。その理由は法律の解釈にあります。印紙税法は「紙の文書」に課税することを前提としているため、「電子データは物理的な文書ではない」と解釈されるのです。その結果、中身が全く同じ定款であっても、電子データとして作成するだけで、収入印紙代の40,000円が丸々0円(非課税)になります。

これは裏技でもなんでもなく、国も認めている正式な方法です。「4万円のコストカット」は、創業時の資金繰りにおいて非常に大きいですよね。これを使わない手はありません。

「じゃあ、今すぐパソコンでPDFを作ればいいの?」と思ったあなた、少し待ってください。電子定款を「自分で」作成して認証を受けるには、以下の高いハードルを越える必要があります。

【自分で電子定款を作成する場合に必要なもの】

  • マイナンバーカード(電子証明書入り)または住基カード
  • ICカードリーダーライター(マイナンバーカードを読み取る機器)
  • Adobe AcrobatなどのPDF編集ソフト(有料版が必要)
  • 電子署名プラグインソフト(法務省指定のもの)
  • 法務省の「登記・供託オンライン申請システム」のセットアップ

正直なところ、一度きりの会社設立のために、数万円するPDFソフトを買ったり、複雑なシステム設定に何時間もかけたりするのは、コストパフォーマンスが良いとは言えません。自分で機材を揃えると、結局4万円近くかかってしまうこともあります。

ここで私たち行政書士のような専門家の出番です。専門家はすでに電子定款作成の環境を持っています。専門家に定款作成を依頼すると報酬(数万円~)はかかりますが、その分、印紙代4万円が浮きます。つまり、「自分で紙で作る場合」と「専門家に電子定款を頼む場合」で、トータルの出費があまり変わらない(もしくは専門家に頼んだ方が安くて楽な)ケースが多いのです。「報酬を払ってでもプロに任せて、自分は事業の準備に専念する」。これも賢い経営判断の一つですよ。

定款の無料テンプレートと雛形の入手

「それでもまずは自分で書いてみたい」「勉強のために自力でやってみたい」というチャレンジャーなあなたには、インターネット上で公開されている無料のテンプレート(雛形)を活用することを強くおすすめします。法律知識がない状態で、真っ白な紙に一から条文を書くのは、はっきり言って無謀ですし、間違いなく法務局で却下されます。

一番信頼性が高く、安心して使えるのは「日本公証人連合会」の公式サイトです。ここでは、以下のように様々なパターンに応じた定款の記載例がWord形式などで無料公開されています。

  • 小規模な株式会社用(取締役1名のみ)
  • 取締役会を設置する株式会社用
  • 合同会社用

また、法務局のホームページや、大手の会社設立支援サービス(クラウド会計ソフトの会社など)のサイトでも、良質なひな形が手に入ります。自分の作りたい会社のイメージ(役員は何人か、株式の譲渡制限はあるかなど)に近いものを選んでダウンロードし、商号や目的、発起人の情報などを穴埋めしていくのが、一番確実で早い作成方法です。

注意点:テンプレートはあくまで「例」です
テンプレートは汎用的に作られているため、あなたの会社の事情に完全に合致するとは限りません。例えば「事業年度」や「公告の方法」などは、自社の都合に合わせて書き換える必要があります。「そのままコピペして出したら、決算月が思っていたのと違った!」なんてことにならないよう、必ず中身を一つ一つ読んで確認してくださいね。

定款の謄本や写しの取得方法

会社を無事に設立した後も、定款が必要になる場面は意外と頻繁に訪れます。例えば、法人口座の開設、創業融資の申し込み、税務署への届出、助成金の申請などです。これらの場面では、ほぼ間違いなく「定款の写し(謄本)を提出してください」と言われます。

このとき、どうすればいいのでしょうか。「定款の写し」とは、基本的には「会社で保管している定款原本をコピーしたもの」を指します。ただし、単なるコピーでは信用力が足りないため、コピーの最後のページに以下のような文言を赤ペンなどで書き、会社の実印(代表者印)を押す必要があります。

【原本証明の記載例】
以上、原本と相違ありません。
令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
代表取締役 〇〇 〇〇 [代表者印]

これを「原本証明付きの定款」と呼びます。役所や銀行に出すときは、この形にするのが一般的です。

もし、万が一会社で保管していた定款原本そのものを紛失してしまった場合(あってはなりませんが、災害などで失くすこともありますよね)、どうすればいいでしょうか。
株式会社であれば、設立時に認証を受けた公証役場に頼みの綱があります。公証役場では、認証した定款の原本を原則として20年間保存しています。そのため、保存期間内であれば、手数料を払って定款の謄本を再発行してもらうことが可能です。

一方、法務局でも会社設立後、定款の内容を閲覧することはできますが、それはあくまで「見るだけ」です。法務局が「これが正式な定款ですよ」という証明書を発行してくれるサービスは原則としてありません(※ごく一部の例外を除く)。やはり、自分の会社の手元にある原本(およびそのバックアップ)が何より大切なのです。

設立登記申請書など定款以外の書類

定款が完成して認証も受けたら、いよいよゴール……ではありません。そこからが本番、法務局への「登記申請」です。会社を設立するためには、定款以外にも用意しなければならない書類が山のようにあります。「定款だけでお腹いっぱいだよ」と思うかもしれませんが、ここが踏ん張りどころです。

主な必要書類は以下の通りです。会社の実情によって必要なものは変わりますが、代表的なものを挙げますね。

  • 登記申請書:法務局に提出する表紙のような書類です。会社名、本店、資本金、役員などを記載します。
  • 登録免許税の収入印紙貼付台紙:株式会社なら最低15万円分(資本金の0.7%)の収入印紙を貼るための台紙です。
  • 就任承諾書:代表取締役、取締役、監査役などに選ばれた人が、「役員になることを承諾します」と宣言する書類です。実印での押印が必要な場合があります。
  • 払込証明書:発起人が資本金を個人の銀行口座に振り込んだことを証明する書類です。「通帳の表紙」「1ページ目」「振込内容がわかるページ」のコピーをとり、表紙をつけて会社の実印を押します。
  • 印鑑届書:会社の実印(法務局届出印)を登録するための書類です。ここで登録した印鑑が、会社の印鑑証明書の印影になります。
  • 発起人の決定書(同意書):定款で本店の詳細な住所(番地)を定めていない場合などに必要になります。

これらの書類をすべて揃え、定款とセットにして法務局へ提出します。ここで一番怖いのが「定款の内容と登記申請書の内容の不一致」です。例えば、定款には「資本金100万円」と書いてあるのに、払込証明書の金額が「90万円」しかなかったら、登記は通りません。書類全体での整合性がとれているか、提出前に何度もチェックする必要があります。

正しい定款作成で会社設立を完了する

ここまで定款について、基礎知識から費用の節約術、認証の流れまで、かなり詳しくお話ししてきましたがいかがでしたか?

定款は、単なる紙切れやデータではありません。あなたの会社の「理念」や「ルール」を詰め込んだ、世界に一つだけの憲法であり、設立手続きの核となる存在です。
内容をしっかりと将来を見据えて決定し、株式会社なら公証人の認証を受け、4万円の節約になる電子定款という賢い選択をする。これが、成功する起業家のスタートダッシュです。

自分ですべての手続きを完遂するのは、経営者としての素晴らしい経験になりますし、自信にもつながるでしょう。しかし、もしあなたが「本業の準備で忙しくて時間がない」「法的なミスをして後でトラブルになるのが怖い」と感じたなら、私たち行政書士のような専門家を頼るのも一つの立派な経営判断です。

正しい知識を持って定款を作成し、スムーズに会社設立を完了させてください。あなたの新しいビジネスが、素晴らしい定款とともに大きく飛躍することを心から応援しています!

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