現物出資がある時の定款の記載の方法を解説
現金ではなく現物で出資することも可能です!
こんにちは
電子定款認証が得意な行政書士の小野です。
ここでは定款の「現物出資」についてお話します。
定款作成の参考にしてください。
会社設立をする時、出資します。これが資本金になります。
普通、発起人は現金を出資することで株を引き受けますが、実は、出資は現金以外でもできるんです。
例えば、
- 仕事に使うパソコンを出資
- 社用車としてくるまで出資
- 製品を加工する工作機械を出資
などの事業で使う道具や機械など。
これらの現物を現金の変わりに出資することで株式を手に入れます。
この現物で出資することを「現物出資」というんですね。
つまり現金をもってなくても現物出資で会社設立ができるんです。
実はこの現物出資
500万円以下なら比較的簡単にできる
んです。
裁判所などでの難しい手続きも必要なく、手軽にできちゃうんですね
今日は、その詳しい方法もお話をしますね。
最後までご覧ください。
現物出資って何?
会社を設立するとき、発起人は会社法第25条に基づいて発行する株式を1株以上引く受けなければなりません。
参考 会社法第25条
株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。
株式を引き受ける際に出資を行いますが、普通はこれを現金で出資します。このやり方が一般的なのですが、
一般的には自己資金を準備して出資を行いますが、現金ではなく、車や不動産などの資産を出資金に充てることもできます。これが現物出資です。現金を使わずに、現物出資のみで会社設立を行うこともできます。
現物出資のメリットってどんなこと?
平成18年5月に「最低資本金制度」がなくなり、株式会社の資本金は1円以上あれば会社を作ることが可能になりました。
まあ、実際に運営できるかどうかはもちろん別ですよ!
とりあえず制度上、1000万円なくても会社が設立できます。
会社を設立するのに1000万円いるとすると、多くの方が会社を設立することができません。創業時にお金がないのが普通ですからね。
そうなると法人化の様々なメリットを受けられません。
法人化のメリットについては以下に詳しく書いています。ぜひ見てください。
法人化すると取引してくれる企業も増えるのですが、資本金がなく法人化できないとそういう顧客獲得のチャンスも逃してしまいます。
この最低資本金制度の撤廃は経済の活性化の起爆剤になりえる有効な手段だったのです。
1円以上あれば現金も要らない?現物出資だけで設立可能!
現物出資できる資産ってどんなもの?
現物出資できる資産とはどんなものでしょうか?とよく質問されます。
事業に使う動産や不動産、債権などの有価正面なども出資可能です。
判断のポイントは、貸借対照表に資産として計上できるかどうか?というところです。
具体的には以下のような資産です。
- 営業用の自動車、(ローン中のものはダメ)
- パソコンやプリンターなどのオフィス用機器
- 机や椅子、棚などのオフィス家具
- 有価証券(株式や非上場株式、債権、ゴルフ会員権やリゾート会員権
- 不動産(土地や建物)
現物出資に使えますが、あまりにも品目が多すぎると会社設立後の資産計上業務が煩雑になってしまいます。10万円以上のものを現物出資する目安で考えてみましょう。
現物出資を簡単にするために
結論から言いますと、現物出資は500万円以下にして下さい!原則、現物出資は裁判所に検査役をの選任を申し立てることからはじめます。
通常、後弁護士や公認会計士が検査役として選ばれ、現物出資の価額や内容が適切であるか調査するんですね。現物出資は、本来は厳格で手間のかかる手続きなんです。
ですが、全ての場合に検査役の調査が必要となると、手続きがややこしすぎて現物出資をする人がいなくなります。
これでは最低資本金をなくして、誰にでも法人化の道を作った会社法の意味がなくなります。
そこで500万円以下なら検査役の調査がいらないとしたのです。
なので500万円以下の現物出資は、検査役の調査なしで、自分で資産としての価値を評価して現物出資ができるのです。(会社法第33条)
現物出資をするならこの方法をおすすめします。
現物出資で検査役選任が不要の場合
- 現物出資のトータル額が500万円以下
- 現物出資する資産が市場価格のある有価証券であり、記録された価額が市場価格以下
- 現物出資する資産について、定款に記載された価額が相当であることが弁護士や公認会計士により証明されている(不動産に関しては不動産鑑定士の鑑定評価が必要)
一番おすすめなのが500万円以下で現物出資をすることです。合計額が500万円以下なら、いくつでも事業に使う資産を現物出資できます。
現物出資で会社設立をする場合に必要な手続き
500万円以下の資産を現物出資する場合、以下のような流れで進めます。
- 現物出資する資産の価格の調査
- 定款に現物出資をする条文を入れる
- 調査報告書と財産引継書を作成する
まず、現物出資では購入額ではなく時価(市場価格)で計上します。車であれば、車種や年式から中古市場価格をインターネット上で調べておきましょう。続いて、定款に現物出資に関する必要事項を記載します。記載すべき内容は、現物出資する人の氏名、資産の名称、資産の価額や割り当てる株式数です。
定款にはどう書けばいい?現物出資の条文とは?
現物出資は、定款に記載しなければなりません。記載する方法は以下のとおりです。
(発起人の氏名ほか)
第34条 発起人の氏名及び住所並びに設立に際して割当てを受ける株数及びこれと引換えに払い込む金銭の額は、次のとおりである。
発起人住所 兵庫県神戸市北区行政町1丁目1番1号
発起人氏名 小野 馨
現物出資 1500株(第35条記載の通り)
(現物出資)
第35条 当会社の設立に際して現物出資をする者の氏名、出資の目的である財産、その価額及びこれに対して割り当てる株式の数は、次のとおりである。
(1)出資者
発起人 小野 馨
(2)出資財産及びその価額
イ 兵庫県県神戸市行政町1丁目1番1号 宅地 2000㎡
金1000万円
ロ 行政書士株式会社 普通株式 500株
価額 金500万円
(3)割り当てる株式の数
1500株
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調査報告書と財産引継書とは?
「調査報告書」と「財産引継書」の2つの書類を作成します
調査報告書
調査報告書
平成 年 月 日株式会社サクセスファン(設立中)の取締役に選任されたので,会社法第46条の規定に基づいて調査をした。その結果は次のとおりである。
調査事項
1 定款に記載された現物出資財産の価額に関する事項(会社法第33条第10項第1号及び第2号に該当する事項)
定款に定めた,現物出資をする者は発起人小野馨であり,出資の目的たる財 産,その価額並びにこれに対し割り当てる設立時発行株式の種類及び数は下 記のとおりである。
イ 兵庫県県神戸市行政町1丁目1番1号 宅地 2000㎡
定款に記載された価額 金1000万円
これに対し割り当てる設立時発行株式 普通株式 1000株
ロ 行政書士株式会社 普通株式 500株
価額 金500万円
これに対し割り当てる設立時発行株式 普通株式 1500株
① 上記イについては,時価金1500万円と見積もられるべきところ,定款に記載した評価価額はその約3分の2の金1000万円であり,これに対し割り当てる設立時発行株式の数は1000株であることから,当該定款の定めは正当なものと認める。
② 上記ロにつき,当該有価証券の価額は,時価500万円以上であり,当該定款の定める価額は相当であることを認める。
2 発起人小野馨の引受けに係る1500株について,平成30年3月9日現物出資の目的たる財産の給付があったことは,別紙財産引継書により認める。
3 平成30年3月9日までに払込みが完了していることは株式会社三井住友銀行の払込金受入証明書により認める。
4 上記事項以外の設立に関する手続が法令又は定款に違反していないことを認める。
上記のとおり会社法の規定に従い報告する。
平成30年3月9日
株式会社サクセスファン
設立時取締役 小野馨 ㊞
現物出資する資産の価額が適切であるかどうか調査した結果をまとめた書類
財産引継書
財産を会社に譲り渡したことを証する書類
財産引継書
現物出資の目的たる財産の表示
イ ○県○市○町○番○号 宅地 ○○㎡
定款に記載された価額 金○○円
ロ ○○株式会社普通株式 ○○株
価額 金○○円
以上の価額の合計 金○○円
以上,私所有の上記財産を現物出資として給付します。
平成30年3月9日
兵庫県神戸市・・町・・丁目・・番・・号
発起人 小野馨 ㊞
株式会社サクセスファン 御中
これらが設立登記に必要な添付書類となります。
現物出資に不足額がある場合の支払い義務
現物出資をするときに、不足額があった場合は気をつけましょう!不足額は、発起人の責任で支払うわなければなりません。(会社法52条)
100万円の価値しかない機械を、根拠なく200万円と多く見積もって現物出資しした場合に、あとで会社側に100万円を補填しなければなりません。
お気をつけ下さいね。
最後に現物出資のまとめ
今日の現物出資の話はいかがでしたか?
現物出資は、現金がなくても設立時の資本金を増やすことができる手段です。
法人化によるメリットは大きいため、現物出資を大いに活用して会社を設立するのも一つの手です。
ただ、現物出資は会社に現金が入るわけではなく、あくまでも事業に必要な資産と資本金という数字が増えるだけであることは忘れないようにしましょう。
会社を運営する上で現金の把握は欠かせません。こちらはキャッシュフローの話で資本金の話ではないことに気をつけましょう。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。
今日の話があなたの会社設立のお役に立てれば幸いです。
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