

1番わかる電子定款の教科書、運営者の行政書士の小野馨です。
今回は、「電子定款の費用はいくらかかるの?」というお話をします。
会社を設立する際、避けて通れないのが「定款(ていかん)」の作成と認証手続きですよね。
特に初めての起業の場合、電子定款 費用ってどれくらいかかるんだろう?
紙の定款と比べて本当に安くなるの?定款 認証 手数料はいくら払う必要があるの?といった疑問や不安をお持ちではないでしょうか。
また、電子定款 自分で作成できるのか、それとも電子定款 司法書士などの専門家に依頼した方が良いのか、そして設立形態によってはそもそも電子定款 合同会社では認証自体が不要だと聞いたけど本当か?
など、知りたいことがたくさんあると思います。
この記事では、電子定款の費用に焦点を当て、紙の定款と比較しながら、費用を最大限に抑えるための具体的な知識を、専門家である私がわかりやすく解説していきます。
この記事を読めば、あなたの抱える費用に関する疑問はすべて解決するはずですよ。
- 電子定款と紙の定款で発生する費用の明確な違いがわかる
- 資本金に応じた定款認証手数料の仕組みを理解できる
- 自分で電子定款を作成する場合と専門家に依頼する場合の費用の比較ができる
- 合同会社設立時の定款費用に関する決定的なメリットを知ることができる
電子定款 費用を徹底解説!紙より安い理由
「会社を作るなら電子定款がお得」と聞いたことはあっても、具体的に何がどう安くなるのか、その内訳まで詳しく理解している方は意外と少ないかもしれません。電子定款は、紙の定款と比べて、なぜ費用が安くなるのでしょうか?それは、国に納めるべきある税金が免除されるからです。
ここでは、電子定款にかかる費用の内訳を深掘りし、専門家に頼むか自力でやるかの費用対効果を、シビアな視点で比較していきます。これから起業するあなたにとって、1円でも創業資金を無駄にしないための重要な知識になりますので、じっくり読んでみてくださいね。
電子定款作成で印紙税4万円を節約
電子定款の最大のメリットであり、多くの起業家が電子定款を選ぶ最大の理由は、印紙税(収入印紙代)40,000円が完全に不要になることです。これは単なる割引ではなく、法律上の仕組みの違いによる「非課税」の恩恵なんです。
通常、紙で作成された「定款」は、印紙税法上の「課税文書(第6号文書)」に該当するため、原本に40,000円分の収入印紙を貼って消印することが義務付けられています。もしこれを忘れると、脱税行為とみなされてしまうほどの重要なルールです。しかし、電子定款はPDFなどの「電磁的記録」として作成されます。ここがポイントで、現在の日本の法律では「電子データは文書(紙)ではない」という解釈になるため、印紙税が課税されないのです。
つまり、中身の文章が一言一句同じであっても、それを「紙」で出すか「データ」で出すかという形式の違いだけで、4万円もの差が生まれるわけです。創業時の4万円は、広告費や備品購入に回せる貴重な資金ですよね。この節税効果は、株式会社だけでなく、合同会社や合名会社など、あらゆる法人設立において共通のメリットとなります。
電子定款の最大の魅力
電子定款を選べば、手続きの手間はかかっても、必ず40,000円の節約になります。会社設立時にこの金額を節約できるのは大きいですよ。紙の定款を選ぶメリットは、現在ではほぼ存在しないと言っても過言ではありません。
定款認証手数料は資本金とどう関連する?
株式会社を設立する場合、定款を作成しただけでは効力を持ちません。公証役場という場所に行き、公証人に「この定款は正当な手続きで作られましたよ」というお墨付きをもらう必要があります。これを「定款の認証」と呼び、この手続きには定款認証手数料という費用が発生します。
実はこの手数料、以前は一律5万円だったのですが、2022年(令和4年)1月1日から制度が変わり、資本金の額等に応じて3段階に変動するようになりました。これは起業促進のために、小規模な会社の負担を減らす目的で導入された制度です。
具体的には、資本金が少ないほど手数料が安くなる仕組みになっています。ご自身の予定している資本金額と照らし合わせて、いくら必要になるかを確認してみましょう。
| 資本金の額等 | 認証手数料 | 備考 |
|---|---|---|
| 100万円未満 | 30,000円 | 最も安くなる区分です |
| 100万円以上 300万円未満 | 40,000円 | 小規模ビジネスで多いゾーンです |
| 300万円以上 | 50,000円 | 従来通りの金額です |
多くのスタートアップや個人事業からの法人成りの場合、資本金は300万円未満で設定されることが多いので、認証手数料は3万円か4万円で済むケースがほとんどでしょう。この認証手数料は、電子定款でも紙の定款でも同額発生する実費であり、誰に依頼しても(あるいは自分でやっても)絶対に安くならない公定価格です。
なお、この手数料改定に関する正確な情報は、日本公証人連合会の公式サイトでも公開されていますので、詳細を確認したい方は参考にしてください。
(出典:日本公証人連合会「定款認証」)
自分で電子定款を作成する費用の内訳
「4万円浮くなら、自分で電子定款を作ってみようかな?」と考えるチャレンジャーな方もいらっしゃると思います。確かに、専門家への報酬を払わずに自分でやれば、最も安上がりに見えますよね。しかし、ここで落とし穴となるのが初期投資の存在です。
電子定款を作成するには、紙の定款で行う「押印」の代わりに、PDFファイルに「電子署名」を行う必要があります。この環境を整えるためには、普段の生活では使わないような専用の機材やソフトを揃えなければなりません。
自作に必要な初期投資と概算費用
具体的にどのようなものが必要で、いくらかかるのか、一般的な目安を算出してみました。
- マイナンバーカード対応ICカードリーダー(約3,000円〜): 家電量販店やAmazonなどで購入する必要があります。マイナポータル対応のものを選びましょう。
- 電子署名可能なPDF編集ソフト(Adobe Acrobat Proなど): 無料のAdobe Acrobat Readerでは電子署名の付与(プラグイン連携)ができないケースが多く、有料版の契約が必要になることが一般的です。月額プランでも数千円、買い切りだと数万円かかります。
- 電子証明書(マイナンバーカード): これは多くの人が持っていると思いますが、もし持っていない場合は発行の手間がかかります(発行手数料自体は初回無料が多いです)。
これらを合計すると、環境を一から揃える場合、約38,000円程度の初期費用がかかってしまうことも珍しくありません。「あれ?4万円節約するために3万8千円払うの?」と気づいたあなたは鋭いです。そうなんです、一度きりの会社設立のためにこれらを揃えるのは、コストパフォーマンスの観点からは微妙なラインになることが多いんですよ。
自作の注意点:時間コストも忘れずに
金銭的なコストだけでなく、時間的コストも無視できません。PDFへの署名プラグインの設定や、公証役場のオンライン申請システム(登記・供託オンライン申請システム)の操作は非常に複雑で、慣れていないと数日悩み続けることもあります。設立準備の貴重な時間をトラブルシューティングに費やすリスクも考慮しておきましょう。
司法書士へ依頼した際の電子定款費用と報酬
では、司法書士や行政書士といった専門家に電子定款の作成・認証代理を依頼した場合の費用はどうなるでしょうか。「専門家に頼むと高い」というイメージがあるかもしれませんが、電子定款に関しては少し事情が異なります。
専門家に依頼する場合の費用構造は、**「実費(公証役場に払うお金)」+「専門家報酬(手数料)」**となります。
まず、専門家はすでに電子署名に必要な高価なソフトや機材、システムを完備しています。そのため、あなたが自分で機材を買い揃える必要はありません。そして、専門家の報酬相場は、事務所やサポート範囲によって幅がありますが、電子定款作成のみの依頼であれば5,000円〜、設立登記まで含めたパック料金の一部として実質数万円程度で設定されていることが多いです。
「実質0円」や「格安」のカラクリ
よくネット広告で「手数料0円」といったキャンペーンを見かけませんか?これは、専門家が「あなたが自分でやる場合に浮くはずだった印紙税4万円分」の範囲内で報酬を設定しているからです。例えば、報酬を2万円に設定しても、あなたは印紙税4万円を払わなくて済むため、トータルで見れば自分で紙の定款を作るよりも安く済みます。
つまり、**「自分で3万8千円かけて機材を揃えて苦労して作る」のと、「数万円払ってプロに丸投げして確実に作る」のとで、最終的な出費があまり変わらない(あるいはプロに頼んだ方が安い)**という逆転現象が起きるのが、電子定款の面白いところなんです。
専門家に依頼するメリット
手間と時間のかかる電子化作業や公証役場とのやり取りをすべて任せられ、定款内容の法的確実性も担保されます。万が一、定款に不備があって法務局で補正になると、その修正の手間は計り知れません。特に、設立を急ぐ方や、事業目的をしっかり作り込みたい方には、専門家への依頼を強くおすすめします。
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定款謄本や保存手数料などその他の費用
予算を組む際に見落としがちなのが、公証役場で支払う「認証手数料以外」の細かい費用です。数千円単位の話ですが、当日に現金で用意する必要がある場合も多いので、しっかり把握しておきましょう。
電子定款の認証が終わると、公証人から認証済みのデータを受け取るのですが、それとは別に、会社設立登記の申請書に添付するための「定款の謄本(紙)」が必要になります。また、電子データを公証役場のサーバーに保存してもらうための手数料もかかります。
- 電磁的記録の保存手数料(300円): 電子定款のデータを公証制度のシステムに保存するための費用です。
- 同一情報の提供(謄本)手数料(約2,000円): 認証された定款の内容を用紙に出力してもらうための費用です。計算式は「700円+(20円×枚数)+1」となっていますが、一般的な定款の枚数(5〜10枚程度)であれば、だいたい2,000円前後を見ておけば足ります。
これらの費用は、認証手数料(3万〜5万)と一緒に公証役場の窓口で支払うのが一般的です。電子定款だからといって、全てがオンライン上の決済で完結するわけではない(窓口に行く必要があるケースが多い)という点も覚えておいてくださいね。
合同会社は定款認証が不要で費用が安い?
さて、ここまでは主に「株式会社」を前提にお話ししてきましたが、「電子定款 合同会社」というキーワードで検索されている方も非常に多いです。実は、費用面だけで見ると、合同会社は株式会社よりも圧倒的に有利なんです。
その最大の理由は、合同会社を設立する場合、公証人による定款の認証手続き自体が法律上不要であるという点です。
株式会社の場合、不特定多数の出資者を募る可能性があるため、定款の内容が正当であることを第三者(公証人)がチェックする必要があります。しかし、合同会社は「出資者=経営者」という持分会社であり、内部の関係性が密接であるため、公証人の認証までは求められていないのです。
合同会社の定款費用は実質0円も可能
認証が不要ということは、以下の費用が一切かかりません。
| 削減できる費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 定款認証手数料 | 30,000円〜50,000円 |
| 定款謄本手数料・保存手数料 | 約2,000円 |
| 収入印紙代(電子定款の場合) | 40,000円 → 0円 |
つまり、合同会社で電子定款を選択すれば、定款作成にかかる公的な費用は完全に0円になります。実費がかからないため、自分で作成すればソフト代などの初期投資のみ、専門家に頼んだとしても報酬のみで済むわけです。とにかく初期費用を抑えて法人格を持ちたい!という方にとって、合同会社×電子定款の組み合わせは最強のコストパフォーマンスを誇ります。
豆知識:なぜ合同会社は認証不要?
合同会社は、株式会社と比べて「定款自治(自分たちでルールを自由に決めること)」が広く認められています。所有と経営が一致しているため、外部の公証人が介入する必要性が薄いと判断されているんですね。ただし、認証がない分、定款の内容に不備があっても誰も指摘してくれないまま登記申請に進んでしまうリスクもあるため、作成にはより慎重さが求められます。
会社設立の総額費用と電子定款のメリット
ここまでは「定款」単体の費用について詳しく見てきましたが、会社を作るには他にも大きなお金がかかります。全体の中で定款費用がどのような位置づけにあるのかを把握し、トータルコストをイメージできるようにしましょう。
電子定款の導入は、会社設立費用全体を圧縮するための「最初の一手」に過ぎません。ここでは、登録免許税も含めた総額シミュレーションを行い、あなたが用意すべき資金の目安を明確にしていきます。
株式会社と合同会社の登録免許税を比較
会社設立の費用で最も大きなウェイトを占めるのが、法務局での登記申請時に納める登録免許税です。これは「会社という戸籍」を作るための税金のようなもので、定款費用とは別に必ず用意しなければなりません。
登録免許税の計算方法と最低額
登録免許税は、基本的に「資本金の額 × 0.7%(1000分の7)」で計算されますが、計算結果が一定額を下回る場合は「最低税額」が適用されます。株式会社と合同会社では、この最低税額に大きな差があります。
- 株式会社: 資本金の額の1000分の7(最低額は150,000円)※資本金が約2,143万円までは一律15万円です。
- 合同会社: 資本金の額の1000分の7(最低額は60,000円)※資本金が約858万円までは一律6万円です。
この金額は、電子定款を使っても使わなくても変わりません。つまり、株式会社を作るなら最低でも15万円、合同会社なら最低でも6万円の税金が確定でかかってくるということです。
| 費用項目 | 株式会社(電子定款) | 合同会社(電子定款) |
|---|---|---|
| 定款印紙代 | 0円 | 0円 |
| 定款認証手数料等 | 約32,000円 | 0円 |
| 登録免許税 | 150,000円 | 60,000円 |
| 実費合計(目安) | 約182,000円 | 約60,000円 |
こうして比較すると、株式会社と合同会社で設立費用に約12万円もの差が出ることがわかりますね。電子定款を使うことで、ここからさらに紙定款の場合にかかる4万円を削減できている状態です。もし紙の定款で株式会社を作っていたら、総額は24万円を超えていたでしょう。
定款認証手数料の詳細と特例減額の条件
会社設立のコストを1円でも削りたいと考えているあなたにとって、見逃せないのが「定款認証手数料」の減額制度です。先ほど、資本金に応じて3万円・4万円・5万円と変動することをお伝えしましたが、実はある特定の条件を満たすと、この手数料がさらにガクンと下がり、一律15,000円になる特例があることをご存知でしょうか?
これは、小規模な起業を国が後押しするために設けられた非常にありがたい制度ですが、適用条件が少し細かいため、知らないまま申請して損をしてしまうケースも少なくありません。ここでは、この特例減額について徹底的に解説します。
手数料が15,000円になる「特例」の適用条件
認証手数料が15,000円になるためには、以下のすべての条件をクリアする必要があります。一つでも外れると、通常の3万円(またはそれ以上)の手数料がかかってしまいます。
- 株式会社であること: 合同会社はそもそも認証不要なので対象外です。
- 資本金の額が100万円未満であること: 100万円ジャストではダメです。「未満」なので、99万9999円までが対象です。
- 発起人が「人(自然人)」のみであること: 法人が発起人(出資者)に含まれている場合は対象外です。
- 発起人の人数が3人以下であること: 4人以上の出資者がいる場合は対象外です。
- 取締役会を設置しないこと: 取締役会設置会社としてスタートする場合は対象外です。
- 監査役を設置しないこと: 監査役を置く場合も対象外です。
- 定款に特別な定めがないこと: 株式譲渡制限の定め以外の、種類株式などの複雑な設定がないシンプルな定款である必要があります。
こうして羅列すると「条件厳しくない?」と思われるかもしれませんが、実はこれ、「一人社長で小さく始める」または「家族経営で始める」という一般的なスモールビジネスの形であれば、自然とクリアできる条件ばかりなんです。特に「資本金100万円未満」と「取締役会非設置」は、初期の法人設立ではスタンダードな設定です。
ここが節約の分岐点!
もし資本金を「キリがいいから100万円」にしようとしているなら、ちょっと待ってください。あえて**「99万円」や「50万円」に設定するだけで、認証手数料が15,000円も安くなる**可能性があります。この1万5千円の差は、創業期にはバカにできませんよ。
なお、この定款認証手数料の計算方法や区分については、法務省の関連ページでも詳細な令規が確認できます。専門家として正確な情報をお伝えするために、一次情報を掲載しておきますね。
(出典:法務省「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う公証人手数料令の一部改正について」)
紙の定款との費用比較でわかる電子定款の優位性
ここまで個別の費用について詳しく見てきましたが、改めて「紙の定款」と「電子定款」をトータルで比較してみましょう。数字を並べてみると、電子定款を選ばない理由がないことが一目瞭然になります。
多くの人が「電子化は難しそう」という理由だけで紙を選んでしまいがちですが、その選択がどれだけの金銭的ロスを生んでいるのか、シビアに認識しておく必要があります。
| 費用項目 | 紙の定款(従来の方法) | 電子定款(おすすめ) | 差額(節約額) |
|---|---|---|---|
| 収入印紙代(印紙税) | 40,000円 | 0円 | 40,000円 |
| 定款認証手数料 | 40,000円 | 40,000円 | 0円 |
| 謄本交付・保存手数料 | 約2,000円 | 約2,300円 | ほぼ同額 |
| 合計(実費のみ) | 約82,000円 | 約42,300円 | 約40,000円 |
ご覧の通り、単純計算で約40,000円の差額が発生します。これは誰が計算しても変わらない事実です。
目に見えない「隠れコスト」も削減できる
さらに、費用面だけでなく、電子定款には「目に見えないコスト」を削減する効果もあります。
- 印紙を買いに行く手間の削減: 4万円分の収入印紙は、コンビニでは売っていないことが多く、郵便局や法務局まで買いに行く必要があります。電子定款ならこの移動時間と交通費がゼロです。
- 貼付ミスのリスク回避: 紙の定款の場合、印紙を貼る場所を間違えたり、消印を失敗したりすると、最悪の場合印紙を買い直す羽目になります。電子定款なら物理的な貼り付けミスは起こり得ません。
- ペーパーレス化による保管コスト削減: 原本がデータであるため、物理的な保管場所を取りませんし、紛失のリスクもバックアップさえあれば回避できます。
「紙」は過去の遺産になりつつあります
行政手続きのデジタル化が進む現在、あえてコストのかかる「紙」を選ぶメリットは、記念として紙で残したいという感情的な理由以外には見当たりません。ビジネスとしての合理性を追求するなら、迷わず電子定款一択ですよ。
電子定款 自分で作る?司法書士に頼む?
「電子定款がお得なのはわかった。じゃあ、どうやって作るのが正解なの?」これが次の悩みどころですよね。選択肢は大きく分けて2つ。「自分で機材を揃えて作成する(DIY)」か、「司法書士や行政書士に依頼する(アウトソーシング)」かです。
それぞれのメリット・デメリットを費用と手間のバランスから分析し、あなたに最適な方法を見極めましょう。
1. 自分で作成する場合(DIY派)
【向いている人】
ITリテラシーが高く、新しいソフトの操作に抵抗がない人。すでにマイナンバーカードやICカードリーダーを持っていて、少しでも実費以外の出費を抑えたい人。
【費用の真実】
前述の通り、ICカードリーダーやPDFソフト(Adobe Acrobat Proなど)を一から揃えると、初期投資で約38,000円かかります。印紙代4万円が浮いても、差し引きの節約効果は2,000円程度になってしまうことも。すでに環境が整っている人以外は、金銭的なメリットは薄いです。
2. 専門家に依頼する場合(プロ派)
【向いている人】
設立手続きを最短・確実に行いたい人。本業の準備に集中したい人。定款の内容(事業目的など)についてプロのアドバイスが欲しい人。
【費用の真実】
専門家への報酬として数万円(例:2万円〜4万円)かかります。しかし、印紙税4万円が浮くため、実質的な負担増はありません。「紙の定款を自分で作る費用(約9万円)」と「専門家に電子定款を頼む総額(約7〜9万円)」を比べると、プロに頼んだ方が安いか、同等という逆転現象が起きます。
私の結論:プロに頼むのが「コスパ最強」
ポジショントークに聞こえるかもしれませんが、客観的に見ても「専門家に依頼する」のが最もコストパフォーマンスが良いです。なぜなら、「プロの高品質な定款作成・認証代行サービス」を、自分で紙で作るよりも安い(または同等の)金額で受けられるからです。自分で何日もかけて勉強して、機材を買って、役所に行って…という時間を時給換算したら、大赤字になってしまいますからね。
会社設立 費用を抑えるための全知識
ここまでの内容を踏まえて、会社設立の費用をトータルで賢く抑えるための戦略をまとめます。単に「安いから」という理由だけで選ぶのではなく、あなたの事業規模や将来のビジョンに合わせた最適なコストダウン方法を選んでください。
【戦略1】電子定款はマスト(必須)
これは基本中の基本です。株式会社でも合同会社でも、電子定款を選ぶだけで4万円の節税になります。ここを外す手はありません。
【戦略2】法人格にこだわりがなければ「合同会社」
「株式会社」という名称に強いこだわりがない、あるいはBtoBで大手企業と取引する際に株式会社である必要がないのであれば、合同会社(LLC)を強くおすすめします。定款認証手数料(約3〜5万円)と登録免許税の差額(9万円)を合わせると、株式会社より約12〜14万円も安く設立できます。AmazonやAppleの日本法人が合同会社であることからもわかるように、信用面でのデメリットも年々少なくなっています。
【戦略3】資本金の設定を工夫する
株式会社の場合、資本金を100万円未満に抑え、シンプルな機関設計にすることで、認証手数料の特例減額(15,000円)を狙います。ただし、資本金があまりに少なすぎると(例:1円など)、銀行口座の開設や融資審査で不利になることがあるので、50万円〜99万円あたりが現実的なラインかもしれません。
【戦略4】創業支援の補助金・助成金を活用する
自治体によっては「特定創業支援事業」という制度があり、これを受けることで登録免許税が半額になる(株式会社なら15万円→7.5万円!)などの強力なメリットを受けられる場合があります。これらは設立「前」に相談・申請が必要なケースがほとんどですので、管轄の商工会議所などに早めに問い合わせてみましょう。
安易な「コピペ定款」は危険!
費用を抑えたいからといって、ネットに落ちている定款のひな形を適当にコピペして使うのは非常に危険です。事業目的が足りずに許認可が取れなかったり、株式の譲渡制限に関する規定が自社に合っていなかったりと、後から修正するために数万円の登記費用がかかるケースが後を絶ちません。「初期費用」をケチった結果、「修正費用」で高くつくことのないよう、定款の中身にはしっかりこだわってください。
失敗しないための電子定款 費用まとめ
今回は、電子定款 費用というテーマで、紙の定款との比較から、専門家に依頼すべきかどうかの判断基準まで、行政書士の視点で徹底解説してきました。
最後に、この記事の要点をもう一度整理しておきましょう。
- 電子定款にするだけで、収入印紙代40,000円が確実に0円になる。
- 定款認証手数料は資本金によって3〜5万円かかるが、電子でも紙でも同額。
- 資本金100万円未満などの条件を満たせば、認証手数料が15,000円に減額される特例がある。
- 自分で電子定款を作るには約3.8万円の初期投資が必要だが、専門家に頼めばその初期投資なしで、手間なく確実に手続きできる。
- 合同会社なら定款認証自体が不要で、電子定款と組み合わせれば定款作成費用は実質0円になる。
会社設立は、あなたの夢を実現するための第一歩です。複雑な手続きやコストの計算に頭を悩ませる時間はできるだけ減らし、一日も早く本業のビジネスに全力投球できる環境を整えてください。
電子定款を活用して賢くコストを抑え、最高のスタートダッシュを切れることを心から応援しています!
会社設立の全体像を把握したい方へ
今回は「費用」に絞って解説しましたが、電子定款の作成手順や、定款に記載すべき重要事項(絶対的記載事項)など、会社設立には知っておくべき知識がまだたくさんあります。
当サイトのトップページでは、電子定款の基礎から設立完了までのロードマップを網羅的に解説しています。失敗のない会社設立のために、ぜひブックマークしてご活用ください。
会社設立や電子定款認証のスペシャリスト!開業17年・年間実績500件以上。実は、電子定款の制度ができた10年以上前から電子定款認証の業務を行なっているパイオニアです!他との違いは、まず定款の完成度!内容はモデル定款のモデルと言われ全国数百箇所の公証人の目が入っている優れもの!そして電子署名はまるでサインのようなかっこいい電子署名です!その電子定款であなたの大切な会社設立を真心込めて応援します!
