会社解散・清算

会社解散後の届出一覧|税務署・社会保険・許認可の手続きと期限

会社解散後の届出。税務・社会保険・許認可の手続きを確認する記事の表紙。書類とファイルを並べた机のイメージ。

会社を解散した後は、税務署・自治体への届出に加え、加入している社会保険や雇用保険、取得している許認可の手続きを確認します。「廃業届」を1枚出すだけで、法人の手続きがすべて終わるわけではありません。

先に整理したいのは、書類の名前よりも「何が、いつ終わるのか」です。解散日、従業員の退職日、給与の支払事務を廃止する日などが違えば、届出の期限も別々に動きます。清算結了まで待てない手続きもあります。

社会保険には、対象となる事実の発生から5日以内の届出があります。退職や事業所の廃止が先に進む場合は、税務だけでなく社会保険の期限も最初に確認してください。

この記事は、小規模な株式会社・合同会社の通常清算を対象に、主な届出先・書類・期限を整理します。登記や官報公告の詳しい手順、個別の税額計算、全業種の許認可手続きは扱いません。破産・特別清算、合併による解散は別に確認してください。

会社の届出先を税務署・自治体、社会保険・雇用保険、許認可の行政庁に分けた関係図。各手続きの対象・日付・期限を確認する。
届出先と手続きを分けて確認します。図を選ぶと拡大できます。

最初に、届出の起点になる日付を分ける

会社側では、清算人を中心に担当者を決めます。そのうえで、次の日付を議事録、雇用関係の資料、決算資料などで確かめてください。すべてを「解散日」として同じ欄へ転記しないことが、期限管理の出発点です。

表は左右にスクロールできます。

確認する日付何の判断に使うか
解散日会社が解散したことの届出や、法人税の事業年度の区切り。登記申請日とは分ける。
営業・事業を止める日事業所の廃止や許認可の手続き。ただし、消費税の「事業廃止」に当たるかは別に判断する。
退職日・資格喪失日従業員ごとの健康保険・厚生年金保険・雇用保険の届出。会社全体の廃止日と同じとは限らない。
給与支払事務所等の廃止日給与等の支払事務を廃止したことの届出。清算中に残る支払事務も確認する。
残余財産の確定日清算中の最終的な税務申告の期限確認。清算結了登記の日とは別。
清算の承認日・清算結了登記の日清算結了の届出や、その事実を証する資料の確認。解散時の届出だけで終えない。

まだ解散から清算までの順序が決まっていない場合は、先に全体の流れを確認してください。この記事では、その日程と並行して進める届出に絞ります。

株式会社を解散し、清算を終えるまでの全体手順

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【完全マニュアル】会社の解散・清算手続き全手順|法務局の必要書類と最短スケジュール

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税務署への届出は、解散・給与・消費税を分ける

税務署へ出す主な届出は次のとおりです。該当する法人や給与等の支払者が提出し、代理を依頼する場合は税理士等へ確認します。異動の届出と税額を計算する申告は別の手続きです。

表は左右にスクロールできます。

届出・対象提出先提出時期
異動届出書:法人が解散したとき、清算結了したとき原則、異動前の納税地の所轄税務署それぞれの異動等の後、速やかに
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書:給与等の支払事務所を廃止したときその給与支払事務所等の所在地の所轄税務署廃止の事実があった日から1か月以内
事業廃止届出書(消費税):課税事業者が事業を廃止したとき納税地の所轄税務署該当する事由が生じた後、速やかに。法人の解散だけでは提出対象にならない

出典:国税庁 異動事項に関する届出、給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出、事業廃止届出手続。

異動届は解散時と清算結了時で、別の事実を届ける

解散時に異動届を提出していても、清算結了後の届出まで済んだことにはなりません。商号、本店、法人番号、現在の代表する清算人、異動した事実と日付を、登記資料等と照合します。

国税庁の異動届の案内では、添付書類は「なし」とされています。ただし、内容確認のため定款等の写しを求められる場合があります。自治体の添付条件とは異なるため、同じ封筒に入れる一式をそのまま使い回さないでください。

消費税の事業廃止届を、解散日に一律提出しない

国税庁は、法人の休業・解散は、この届出でいう事業の廃止に当たらないと説明しています。店舗の営業を止めても、清算に伴う取引や資産の処分が残る場合があります。解散したという理由だけで、消費税の手続きも終了したと判断しないようにしましょう。

事業廃止に該当する時点や、選択している消費税制度の届出との関係は、税務署または税理士に確認します。所定の不適用届出書等に事業廃止の旨を記載して提出すると、事業廃止届出書等も提出したものと扱われる場合があります。重複提出の要否も含めて確認してください。

根拠:国税庁 事業廃止届出書の記載要領等。

税務申告の期限は、届出の期限と別に管理する

通常清算する内国法人では、事業年度の途中で解散すると、原則として解散の日で事業年度が区切られます。法人税の確定申告は原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。清算中も事業年度ごとの申告を確認します。

2026年4月1日以後に開始する事業年度は、防衛特別法人税の申告も確認します。各事業年度の所得に対する法人税を課される法人が対象で、対象法人は防衛特別法人税額がゼロでも申告が必要です。解散日や申告日だけで対象を判断せず、通算法人等の条件も税理士等へ確認してください(国税庁の案内・2026年6月改訂)。

残余財産が確定した事業年度の法人税申告は、原則としてその事業年度終了の日の翌日から1か月以内です。その1か月以内に最後の分配・引渡しをする場合は、その前日までとなります。通算法人などには別の条件があるため、個別に確認してください。

消費税の課税事業者である法人も、残余財産が確定した課税期間の申告は、原則としてその課税期間終了の日の翌日から1か月以内です。その期間内に最後の分配・引渡しをする場合は、その前日までとなります。

税目ごとの期間、延長の適用、納付期限を税理士等と照合し、清算結了登記の完了を待ってから調べ始めないようにしてください。

根拠:法人税法14条・74条、国税庁 法人に係る消費税の確定申告書の提出期限。

地方税は、都道府県と市町村を別々に確認する

税務署への届出だけで、都道府県・市町村への必要な届出まで終わるとは限りません。これまで申告していた自治体と、事務所等を置いていた地域を確かめ、それぞれの書式・期限・添付資料を確認します。東京都など、税の窓口が一般の市町村と異なる地域にも注意してください。

解散、事務所の廃止、休業、清算結了は別の届出事項です。税務の扱いも一律ではないため、営業していないという理由だけで、申告や均等割の納付が不要になったと判断しないでください。

地域例:神戸市では異動後2か月以内

神戸市は「法人の異動届」と添付資料を、異動後2か月以内に提出するよう案内しています。解散・結了の場合は登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の写しが必要です。一方、事務所等の廃止・休業については添付書類不要とされています。

これは神戸市の取扱いです。全国の自治体に「2か月以内」「同じ添付書類」を当てはめないでください。神戸市・法人の異動届で、該当する異動内容を確認できます。

地域例:兵庫県では解散・清算結了の専用書式を確認する

兵庫県では、解散時は「法人解散(支店等廃止・県外転出)届」、清算事務が終わったときは「法人清算結了・合併解散届」を使います。一般の登記事項等異動届とは別の書式です。

どちらも、主たる事務所または事業所の所在地を管轄する県税事務所の法人関係税担当へ提出し、登記事項証明書の写しを添付します。

神戸市の様式や期限を県の届出へ流用せず、解散・結了それぞれの提出期限と資料を管轄県税事務所で確認してください。参照:兵庫県 法人解散(支店等廃止・県外転出)届、法人清算結了・合併解散届。

社会保険・雇用保険は、会社と従業員の手続きを分ける

事業所全体の適用を終える届出と、従業員一人ひとりの資格喪失は別です。事業主側で手続きを進め、退職日、対象者、最後の給与・保険料処理を確認します。

事業所全体の適用を終える手続きと、従業員ごとの資格喪失手続きを左右に分け、それぞれ対象と日付を確認する比較図。
事業所全体の手続きと、個人の手続きは別です。図を選ぶと拡大できます。

表は左右にスクロールできます。

書類・手続き提出先・確認先提出期限の起点
健康保険・厚生年金保険の適用事業所全喪届日本年金機構の事務センターまたは管轄年金事務所適用事業所に該当しなくなる事実の発生から5日以内
健康保険・厚生年金保険の被保険者資格喪失届等日本年金機構の事務センターまたは管轄年金事務所。健康保険組合加入の場合は組合側の手続きも確認退職等による資格喪失の事実発生から5日以内
雇用保険適用事業所廃止届事業所を管轄するハローワーク事業所を廃止した日の翌日から10日以内
雇用保険被保険者資格喪失届事業所を管轄するハローワーク被保険者でなくなった事実のあった日の翌日から10日以内
労働保険の確定保険料の申告・納付所轄労働基準監督署・労働局等。事業の適用区分で確認保険関係が消滅した日から50日以内

全国制度の案内:日本年金機構 適用事業所全喪の手続き、退職等による資格喪失の手続き。労働・雇用保険の期限は、厚生労働省北海道労働局 事業を終了したときの手続きを参照しています。提出先は自社所在地の管轄を確認してください。

登記完了待ちや、従業員がいないことだけで判断しない

全喪届の添付は、原則として解散登記のある法人登記簿謄本の写し、または雇用保険適用事業所廃止届の事業主控の写しです。これらを添付できない場合は、給与支払事務所等の廃止届や税務上の異動届など、代わりに使える資料が日本年金機構の案内に示されています。

登記が終わるまで何もしなくてよい、と考えず、手元にある資料を伝えて年金事務所等へ相談しましょう。どの資料を添付するかは、届出内容と公式案内を照合してください。

また、清算中に人を雇い続ける場合や、役員等の加入が残る場合は、実態に沿った適用の判断が必要です。「解散したから全員同じ日に資格喪失」「従業員ゼロだから社会保険の届出も不要」と一括で決めないでください。

雇用保険では離職証明書の提出の要否も確認します。退職者の給付手続きにつながるため、離職理由、賃金台帳、出勤記録などをそろえ、会社の廃止届だけで終えないことが大切です。労働保険料の精算は、一元適用・二元適用や事務組合への委託の有無を示して窓口へ確認します。

雇用保険の提出方法・添付資料は、上記の労働局案内と、自社を管轄するハローワークの案内で確かめてください。

許認可の廃止届は、持っている許可ごとに確認する

異なる業種の記号が付いた資料を分け、虫眼鏡で確認するイメージ。
保有する許可・登録を一つずつ確認します。イラストは整理のイメージで、実際の様式ではありません。

税務署・法務局への手続きとは別に、許可・登録・届出をした行政庁へ、廃止等の手続きが必要になる場合があります。許可証や登録通知を集め、許可の種類、名義、許可番号、管轄、対象の事業所を並べて確認してください。

期限だけでなく、届出をする人、許可証等の返納、全部廃止か一部廃止かも制度ごとに違います。事業を他社へ引き継ぐ予定があるなら、廃止届を出す前に承継制度や必要な手続きを確認します。

例:建設業では、通常の解散なら清算人が届け出る

兵庫県の建設業許可案内では、法人が合併・破産以外の事由で解散した場合、清算人が30日以内に廃業届を提出します。許可を受けた行政庁への手続きで、兵庫県知事許可は主たる営業所の所在地を管轄する土木事務所が窓口です。大臣許可は窓口が異なります。

この30日は建設業の例であり、すべての許認可の共通期限ではありません。一部業種だけを廃止する場合には、営業所技術者等に関する変更手続きも確認します。根拠:兵庫県 建設業許可申請書等のダウンロード「廃業等の届出」。

提出前に、担当者と未処理の手続きを照合する

届出を外部へ依頼しても、どこまでが依頼範囲か分からないままだと、別の窓口への届出が残ることがあります。手続きごとに「対象となる事実/実際の日付/提出期限/担当者/提出日・受付控え」を書いた管理表を作ると、残件を追いやすくなります。これは社内の整理用で、各窓口に提出する届出書の代わりにはなりません。

最後に、次の点を自社の一覧で確かめてください。

  • 各手続きについて、対象になる事実と実際の日付を記録したか。
  • 提出先・期限・添付資料を、その窓口の最新案内で確認したか。
  • 作成・提出する担当者と、提出後に控えや受付結果を確認する人が決まっているか。
  • 解散時だけでなく、残余財産確定時・清算結了時の申告や届出も予定に入っているか。

依頼する専門家は、手続きの分野ごとに分けて考えます。

  • 税務の申告・届出の代理、個別の税務相談:税理士。
  • 社会保険・労働保険の手続き:社会保険労務士。
  • 登記書類の作成・申請代理:司法書士。
  • 許認可の廃止届:所管行政庁、またはその手続きに対応する行政書士。

行政書士の業務には、他の法律で制限される業務は含まれません。事務所に依頼するときも、作成する書類と提出先、どこまで任せるかを手続きごとに確かめてください。

借入、未払金、口座、賃貸借契約などの整理が残っている場合は、届出とは別に対応が必要です。支払いができない、債権者等と争いがある場合は弁護士へ相談してください。次の記事では、清算に伴う支払い・契約の注意点を整理しています。

会社の解散・清算で確認する口座・借入・契約の注意点

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まずは、解散の日程表に、各従業員の退職日、事業所・給与支払事務所の廃止日、各許可の届出期限を重ねてください。「どの書類を出したか」だけでなく、「どの事実について、誰がどこへ届けたか」が分かるようにしておくと、清算結了までの残件を追いやすくなります。

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