会社解散・清算

会社解散の官報公告と債権者への催告|申込み・期間・費用

会社解散の官報公告と債権者への催告を案内する、封筒・校正用紙・紺のペンのイメージ

株式会社・合同会社の通常清算では、解散後、遅滞なく官報公告と、知れている債権者への個別の催告を行います。債権を申し出てもらう期間は、2か月以上確保しなければなりません。

官報への申込みが済んでも、それだけで債権者への対応が終わるわけではありません。掲載される原稿と日程を確認しながら、会社が把握している債権者への連絡も準備します。

この記事では、株式会社・合同会社の通常清算を対象に、公告の申込準備、期間と料金の見方、個別催告、掲載後の注意点を整理します。合併・減資の債権者保護手続や、他の法人、破産・特別清算とは区別してください。

解散時は、官報公告と知れている債権者への催告を行う

解散時の公告は、債権者に会社への債権を申し出てもらうための手続きです。「解散に異議があれば申し出てください」という、合併や減資の公告と同じ文面にはしません。

対応何をするか
官報公告官報に、一定期間内に債権を申し出るよう公告する
各別催告会社が把握している債権者に、一人ずつ個別に債権の申出を求める

会社法では、株式会社は499条、合同会社は660条に、この両方が定められています。ここでいう「知れている債権者」とは、会社が把握している債権者のことです。

定款の公告方法を電子公告や新聞公告にしていても、解散時のこの公告は官報で行います。 自社サイトへのお知らせだけでは置き換えられません。また、官報に加えて新聞や電子公告を行えば個別催告を省略できる、という他の手続きのルールを、この解散公告へ持ち込まないでください。

把握している債権者がいないと思う場合も、官報公告が不要になるわけではありません。一人会社であることや、銀行借入がないことも、公告を省略する理由にはなりません。

本記事の対象となる通常の解散公告は、1回の掲載を行う手続きです。ただし、原稿の誤りや期間不足があっても、必ず1回で対応が完了するという意味ではありません。

根拠:会社法499条・660条・939条、国立印刷局の法定公告案内。

解散日・申込日・掲載日を分けて、申出期限を確かめる

2か月以上は、債権者の申出のために確保する期間

「2か月以上」は、債権者が債権を申し出るための期間です。2か月間毎日官報に掲載する、という意味ではありません。

国立印刷局の解散公告例では、公告掲載の翌日から2か月以内に申し出る文面になっています。解散日や官報への申込日から2か月たったことだけで、申出期間が終わったと判断しないでください。

日付管理する内容
解散日解散がいつ成立したか。公告原稿の解散に関する記載と照合する
官報への申込日掲載を依頼した日。掲載日とは別に記録する
実際の掲載日公告が実際に載った日。予定日だけでなく掲載結果で確かめる
債権申出期限実際の掲載日と公告文の期間表示から確認する

月単位の期間は、暦に従って計算します。「2か月」を一律に60日へ置き換えないでください。月末や休日が関係する場合も、独自に期限を短くしたり、「土日祝なら必ず次の平日」と決めたりせず、原稿と掲載日を示して確認しましょう。

公告の期間と、個別催告の発送・到達の状況も分けて管理します。通知が遅れて届いた、返送された、公告と通知で期限が違う、といった場合に、公告の期限だけを見て問題がないと判断することは避けてください。

根拠:会社法499条・660条、民法138条~143条。

申出期間の満了は、清算全体の完了ではない

申出期間が終わっても、債権の回収、債務の処理、残余財産の分配などが残っていれば、清算事務は終わっていません。期間が満了する予定日だけで、清算結了の予定を確定しないようにしましょう。

解散から最後の登記までの順序を確認したい方は、全体ガイドも参照してください。

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公告の申込みは、原稿・掲載予定・料金を一緒に確認する

会社形態と解散の内容に合う原稿例を使う

国立印刷局は、各都道府県の官報サービスセンター・官報公告等取次店での申込みを案内しています。まず公式の申込案内から窓口を確認し、原稿、申込方法、希望掲載日について問い合わせます。

国立印刷局の法定公告パンフレットの冊子9ページに、解散公告の例があります。株式会社の株主総会決議による解散を例にし、合同会社では総社員の同意に置き換える注記があります。会社名だけを差し替えるのではなく、自社の会社形態と実際の解散事由に合わせてください。

原稿を作る前に、次の情報を手元の資料と照合しておくと、窓口へ確認しやすくなります。

  • 会社の正式な商号と所在地。
  • 解散日と、決議・同意など解散に関する事実。
  • 現在の清算人の氏名と、原稿上の肩書。
  • 債権を申し出てもらう期間と、申出先の確認。
  • 希望掲載日、校正の担当者、連絡先。

これは申込準備のための整理項目であり、全国共通の法定提出書類一式ではありません。申込先が求める資料や記入方法と照合してください。

合同会社で解散の同意や清算人の決まり方から確かめたい場合は、こちらで確認できます。

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公告には、期間内に申出がないと清算から除斥される旨を付記します。ただし、会社が把握している債権者まで、申出がないだけで除斥できるわけではありません。この違いは後段で説明します。

なお、解散公告に決算公告や貸借対照表を必ずセットで載せる手続きではありません。減資・組織再編の原稿例にある決算情報を、そのまま追加しないでください。過去の決算公告や継続中の情報開示義務は別に確認します。

掲載料は原稿の行数で、日程は申込先の締切で確認する

2026年11月に確認した国立印刷局の掲載料金案内では、行公告は1行22字、税抜3,589円に掲載行数を掛け、税を加える方式です。案内の料金基準は2025年4月1日時点です。

たとえば、公式取次先である兵庫県官報販売所の公告料金表では、11行の場合は税込43,426円と示されています。これは行数を条件とする掲載料の例であり、すべての解散公告がこの金額になるわけではありません。

文字数を22で割るだけで確定料金を計算せず、実際の原稿を窓口へ示して行数と総額を確認してください。税込の1行表示を単純に掛けると、税の端数処理で料金表とずれる場合もあります。

掲載料には、解散・清算結了の登記費用や専門家への依頼報酬まで含まれません。申込先や依頼先へは、掲載料以外の手数料等があるかも含めて確認しましょう。

日程は、希望掲載日だけでなく、原稿提出・校正などの締切と併せて確認します。国立印刷局の法定公告パンフレット(冊子25ページ)には、原稿の確認・校正を経て掲載へ進む流れが示されています。校正完了後は原則として修正・取消しができなくなるため、承認前に社名・日付・清算人・期間を確かめてください。

掲載までの日数を全国一律に決めつけず、申込先の現在の案内を確認します。「申し込んだ日」と「実際に掲載される日」を分けておくことが、申出期間の管理にもつながります。

知れている債権者への催告も並行して準備する

官報公告の原稿・校正・実掲載記録と、知れている債権者への催告・発送到達記録を並行管理し、公告文と実掲載日から確認した期限を通知記録と突き合わせる関係図
官報公告と各別催告は並行して準備し、掲載内容・期限と相手ごとの通知記録を確認します。

借入だけでなく、帳簿・請求書・契約を確認する

官報の掲載準備と並行して、会社が把握している債権者を整理します。金融機関からの借入だけを見て、通知先がないと判断しないことが大切です。

帳簿、未払いの請求書、契約、関係者との貸借に関する資料などを確認し、相手の名称、連絡先、債務の内容、金額や支払予定を一覧にします。金額や支払義務を争っている相手についても、自分の判断だけで一覧から消さず、争点と資料を分けて残してください。

掲載窓口へ公告を申し込んだことが、これらの相手への個別催告の代わりになるわけではありません。担当者を分けている場合は、誰が各相手への催告を進めるのかも決めておきましょう。

催告の内容と、発送・到達の記録を分けて残す

各別催告では、相手に債権を申し出てもらうことを伝えます。公告原稿と突き合わせながら、対象会社、申出期間、申出先などに食い違いがないか確認してください。

会社法499条・660条は、内容証明郵便という送付方法まで指定していません。ただし、「どの方法でも同じ」「メールを送れば必ず十分」とも言い切れません。相手に何を伝え、いつ届いたかを後から確認できる方法を検討します。

少なくとも準備・管理のために、宛先、通知文の控え、発送日、到達や返戻の状況をまとめておくと、未対応先を見つけやすくなります。これは記録の残し方の提案であり、法定の統一書式を示すものではありません。

通知が返ってきた、相手の所在が分からない、掲載後かなり遅れて通知した、期限の表示が食い違ったという場合は、公告の掲載日・文面と通知記録をそろえて、手続きへの影響を個別に確認してください。

行政書士 小野馨
公告の担当者と債権者への連絡担当者が違う場合は、同じ掲載原稿と申出期限を共有しておきましょう。「誰かが送ったはず」で終わらせず、相手ごとの実施記録をそろえると、対応の抜けを確かめやすくなります。

期間中の支払いと、申出がなかった債権の扱い

申出期間中は、原則として債務の弁済が制限される

株式会社・合同会社とも、債権申出期間中は原則として債務を弁済できません。一方で、その間に支払わなかったことによる不履行責任を免れる、という規定ではありません。

少額の債権、会社財産の担保権で担保された債権、その他弁済しても他の債権者を害するおそれがない債権について、裁判所の許可を得て弁済できる例外があります。清算人が複数いる場合、許可の申立てには全員の同意が必要です。「少額だから自由に払える」と判断しないでください。

期間中に支払期限が来る債務がある場合は、相手、金額、支払期限、担保の有無、会社の財産状況を整理し、適切な対応を専門家へ確認します。口座が使えることと、清算手続き上支払ってよいことは別です。

根拠:会社法500条・661条。

申出がなかっただけで、債務がなくなるとは限らない

知れている債権者は、期間内に申出がなくても清算から除斥されません。 「官報に載せたのに連絡がない」という理由だけで、その相手への支払いを切り捨てることはできません。

知れている債権者を除き、期間内に申し出なかった債権者は清算から除斥されます。ただし、除斥された債権者も、まだ分配されていない残余財産の範囲に限って弁済を請求できます。すでに一部の株主・社員へ分配した場合は、他の株主・社員へ同じ割合で分配するために必要な財産を、その範囲から差し引きます。

また、株主・社員への残余財産の分配は、原則として債務を弁済した後です。争いのある債権が残る場合等には条件付きの扱いがあるため、申出期間が終わったことだけで分配を進めないようにしてください。

根拠:会社法502条・503条・664条・665条。

公告と催告を終えた後は、実際の掲載内容と日付、申出期限、各相手への催告記録、寄せられた申出、残る支払予定を見直します。公告や催告の漏れに気づいた場合も、日付をさかのぼらせず、何をいつ行ったかが分かる資料をそろえてください。

掲載原稿・料金・日程は公告取扱窓口へ、清算結了登記への影響は司法書士へ、支払いの可否や債権者との争いは弁護士等へ確認します。依頼するときは、公告の手配、催告、登記のどこまでが担当範囲かを明確にしましょう。

まずは、実際の掲載予定と原稿、把握している債権者の一覧、催告を進める担当者をそろえるところから始めてください。

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