会社解散・清算

みなし解散の通知が届いたら|会社継続か清算かの確認手順

みなし解散の通知を受けた株式会社が会社継続か清算かを判断し、期限と手続きを確認する記事の表紙。

法務局から「休眠会社の整理作業」に関する通知が届いたら、まず、通知の期限内なのか、すでにみなし解散になっているのかを分けて確認してください。同じ「会社を続けたい」という希望でも、必要な対応が異なります。

期限内であれば、事業を廃止していない旨の届出や、必要な登記への対応を確認します。すでにみなし解散となった株式会社では、条件を満たして会社を継続するか、清算を進めるかの判断になります。通知を返送するだけで元の状態に戻せるわけではありません。

この記事は、会社法472条の対象となる株式会社について、通知の確認から、継続・清算の判断までを説明します。一般社団法人・一般財団法人は別の法律による制度であり、この記事の株主総会の説明をそのまま使わないでください。

最初に、通知・期限・現在の登記を確認する

通知書の会社名、本店、対象年度、提出先、期限を確認し、現在の登記事項証明書と照合します。古い通知を見つけた場合や、すでに期限が過ぎている場合は、当時の通知だけで現在の状態を判断しないことが大切です。

現在の状態先にすること
通知が届き、期限内である事業を廃止していないかを確認し、届出・必要な登記について管轄登記所へ確認する。
期限を過ぎた、または状況が分からない最新の登記事項証明書を確認し、通知元の登記所へ現在の処理状況を問い合わせる。
みなし解散の登記がある解散したものとみなされた日、清算の状況、会社継続の期限を確認する。

2026年度の手続期限は、2026年12月15日(火)です。国税庁が掲載する法務省からのお知らせで確認できます。別年度の通知には、その年度の期限があります。毎年同じ日と考えず、手元の通知と当年度の公的案内を照合してください。

出典:国税庁「会社・法人の変更登記について(法務省からのお知らせ)」2026年10月23日。

通知を見ていない、転送先に届かなかったという場合も、それだけで対象外にはなりません。法律上の期間は官報公告から数えるため、通知を受け取った日から新たに2か月が始まるとは考えないでください。

事業を続けていても、12年間登記がなければ対象になり得る

会社法472条の「休眠会社」は、その株式会社に関する最後の登記から12年を経過した会社です。「12年間売上がない会社」「税務署に休業届を出した会社」という意味ではありません。実際に営業し、税務申告を続けている会社でも、登記が長期間行われていなければ対象になり得ます。

対象会社について法務大臣が官報公告を行い、その公告から2か月以内に事業を廃止していない旨を届け出ず、期間内の登記もない場合、期間満了の時に解散したものとみなされます。登記所は公告について会社に通知を発します。根拠:会社法472条。

合同会社は会社法472条の対象ではなく、特例有限会社にも同条は適用されません。通知に記載された法人の種類を確認し、対象や記載に疑問がある場合は通知元へ照会します。根拠:会社法整備法32条。

「税務署に申告しているから大丈夫」「銀行口座が使えているから大丈夫」と判断せず、登記の記録を確認しましょう。

期限内なら、届出と必要な登記を分けて対応する

まだ事業を廃止していない場合の届出

まだ事業を廃止していない会社は、通知の案内に従い、本店所在地を管轄する登記所へ「事業を廃止していない旨の届出」を行う方法を確認します。税務署や自治体へ出す異動届とは、提出先も役割も異なります。

会社法施行規則139条では、この届出は書面で行い、次の事項を記載するとされています。

  • 会社の商号・本店、代表者の氏名・住所。
  • 代理人が届け出る場合は、その氏名・住所。
  • まだ事業を廃止していない旨。
  • 届出年月日と、登記所の表示。

代理人による届出では、その権限を証する書面も必要です。通知書の使用方法、押印、郵送・持参などの提出方法と期限内の到達については、通知元の登記所へ確認してください。電話で状況を説明しただけで届出が済んだと思わないようにしましょう。

根拠:会社法施行規則139条。届出には実際の状況を記載し、会社を残したいという理由だけで、事実と異なる内容を届けないでください。

届出をしても、役員変更などの未登記は残る

事業を廃止していない旨を届け出ても、未了の役員変更や本店移転などが登記されたことにはなりません。必要な登記は別に整えます。届出だけでは「最後の登記の日」も更新されないため、その後の整理作業の対象となる可能性も残ります。

必要な登記の申請で対応する場合も、現在の登記、定款、過去の議事録などを確認し、どの申請が必要かを整理します。申請中なら受付番号と補正の有無を示し、今回の期限への対応が足りているか登記所へ確認してください。

同じ人が役員を続けていても、再任に伴う登記が必要になることがあります。実際には行っていない決議をしたことにしたり、日付をさかのぼらせたりせず、事実に沿って手続きを進めます。登記の遅れに伴う過料の問題も、今回のみなし解散への対応とは別です。

変更登記そのものを忘れていた場合の資料整理や、裁判所からの過料の書類への対応は、次の記事で確認できます。

期限に気づいたら、変更登記の遅れの確認と対応。書類を確認するデスクのイメージ。
会社の変更登記を忘れたら|期限・過料と気づいた後の確認手順

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すでにみなし解散なら、会社継続の条件を確認する

3年以内、清算結了前に、株主総会の特別決議をする

会社法473条により、みなし解散となった株式会社は、解散したものとみなされた後3年以内で、清算が結了するまで、株主総会の決議によって会社を継続できます。3年の起点は、通知を受け取った日や、解散に気づいた日ではありません。

必要なのは株主総会の特別決議です。原則として、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要になります。

ただし、定款で定足数を3分の1以上の割合まで下げている場合や、賛成割合を引き上げている場合、追加の要件を設けている場合があります。定款と現在の株主・議決権を確認し、「株主の人数の3分の2」と取り違えないでください。

根拠:会社法309条2項・473条。株主が亡くなっている、株主の所在が分からない、株式の帰属に争いがある場合は、その整理も必要になるため、期限直前まで相談を待たないようにします。

継続の決議後は、2週間以内に継続登記をする

会社を継続したときは、本店所在地で、2週間以内に継続の登記をする必要があります。3年以内に相談や書類集めを始めれば足りる、という意味ではありません。決議と登記の予定を分けて確認してください。

継続後の取締役・代表取締役などの体制も整えます。清算人になった人を、そのまま営業中の会社の取締役・代表取締役として扱わず、必要な役員の選任・代表者の選定と登記を確認します。機関設計によって必要な決定や書類が変わります。

相談時は、最新の登記事項証明書、定款、株主名簿、過去の役員選任等の記録、解散後に行ったことが分かる資料を用意してください。これらは相談準備の例であり、すべての会社に共通する登記申請の完成セットではありません。

株主総会議事録、株主に関する証明書類、役員の就任承諾や代表者の選定に関する書類、清算人の登記との関係などは、会社の状態に応じて司法書士または管轄登記所へ確認します。根拠:会社法927条。

継続できる期限と、事業を再開できる状態は別に確認する

会社継続の手続きをしても、休止していた許認可、銀行の取引条件、税務申告、社会保険の適用まで自動的に整うわけではありません。未申告・未納、契約の失効、許可の期限切れなどがないかを確認し、再開前に対応します。

すでに3年を過ぎている場合や、清算が結了している場合は、会社法473条の会社継続を前提に進めることはできません。残っている財産・債務・登記を整理し、今後の処理を専門家へ相談してください。

会社を継続しない場合も、清算の残務はなくならない

みなし解散は、会社の財産や借入れを消す手続きではない

みなし解散となった会社も、通常は清算をする必要があります。清算の目的の範囲では会社が存続するため、「登記所が解散の登記をしたので、あとは何もしなくてよい」とは考えないでください。

預金、売掛金、不動産、借入れ、未払金、税金、契約などの残件を調べます。会社に不動産が残っているのに、元代表者個人の財産として売却するなど、会社と個人の財産を混同してはいけません。根拠:会社法475条・476条・481条。

清算人と、会社を代表できる人を確認する

清算人は、定款の定めや株主総会での選任の有無を確認します。それらがなければ取締役が清算人となるのが原則です。長く放置された会社では、役員の死亡、退任・任期、過去の選任の記録も調べる必要があります。法律上清算人となる人がいない場合には、利害関係人の申立てにより裁判所が選任する制度があります。

清算人と代表清算人の確認も必要です。取締役が法律上そのまま清算人になる場合に、代表取締役を定めていたときは、その代表取締役が代表清算人となる規定があります。ただし、誰が清算人になるかという前提を確認せず、登記に残っている元代表者なら当然に処分できるとは判断しないでください。

清算人に関する登記、印鑑・代表権を示す資料など、口座の処理や財産の処分に必要な手続きを先に確認します。解散の登記が職権で行われても、必要な清算人の登記や財産整理まで代わりに済むものではありません。根拠:会社法478条・483条・928条。

通常清算で進められるかを確認し、必要な手順へ移る

通常清算では、財産調査に加え、官報公告と分かっている債権者への個別の催告などが必要です。債権の申出期間は2か月以上設けます。この期間は、みなし解散の公告後の「2か月」と別の手続きです。前の通知から2か月が過ぎたことを理由に、清算の債権者保護手続きを省略できません。

会社の財産で債務を完済できないことが明らかになったときは、清算人には直ちに破産手続開始を申し立てる義務があります。支払いができない、債権者と争いがある場合は、財産の分配を始めず弁護士へ相談してください。根拠:会社法484条・499条。

口座・借入れ・賃貸借など、清算で残りやすい問題を先に確認したい場合は、次の記事をご覧ください。

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相談するときは、会社の現在地と希望を一緒に伝える

最初の相談では、「通知が届いた」だけでなく、期限内か、登記に解散が入っているか、会社を続けたいかを伝えます。結論が決まっていない場合も、残っている事業・財産・債務を説明すれば、先に確認すべき事項を絞れます。

  • 通知書と、通知に記載された期限。
  • 現在の登記事項証明書と、解散したものとみなされた日。
  • 定款、株主名簿、役員・代表者の選任等の記録。
  • 休業・営業の状況、解散後に行った取引、清算の進み具合。
  • 財産・債務・契約・許認可と、未申告・未納の有無。

登記の状態や手続案内は管轄登記所へ、登記書類の作成・申請代理は司法書士へ確認します。株主間の争い、債務を支払えない場合などは弁護士、税務申告・個別の税務判断は税理士が相談先です。許認可の変更・廃止は所管行政庁または対応する行政書士へ確認してください。

期限内なら、みなし解散への対応と未了の登記を進める。すでにみなし解散なら、継続の条件と清算の残件を確認する。この順番で、自社の今の状態に合った手続きを選びましょう。

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